OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

fl2k_fileとGPS信号

2018-04-26 08:30:52 | GPS Signal Simulator
osmo-fl2kをbuildすると,fl2k_fileというアプリケーションがインストールされる.

$ fl2k_file --help
fl2k_file: invalid option -- '-'
fl2k_file, a sample player for FL2K VGA dongles
Usage:
[-d device_index (default: 0)]
[-r repeat file (default: 1)]
[-s samplerate (default: 100 MS/s)]
filename (use '-' to read from stdin)

基本的に,ベースバンドのファイルを指定したサンプリング周波数で出力するだけ.
サンプリング周波数は,ホストPCに搭載されているUSB 3.0コントローラに依存して,
最大で110MS/sから150MS/sと幅がある.

GPS信号の周波数は1575.42MHzなので,このサンプリング周波数の高調波を利用する.
例えば,サンプリング周波数を138MHzに設定して,11th harmonicを使うとすると,
1518MHzの高調波が得られる.GPS信号の周波数との差は-57.42MHzになるので,
ベースバンド側にこの周波数オフセットを予め与えておく必要がある.

さらに,VGA変換アダプタに搭載されている10MHzのXOにも周波数誤差があるため,
その微調整も必要となる.

fl2k_examplesでは,gps-sdr-simで生成されたI/Qデータを,fl2k_fileに入力できる
周波数オフセット込みのベースバンド信号に変換できるGNU Radioのフローグラフが
準備されている.

 (クリックで拡大)

このためだけにGNU Radioを起動するのは面倒なので,gps-sdr-simにfl2k_file用の
ベースバンドファイルが生成できるオプションを追加しよう.

【追記】osmo-fl2kのインストール手順やデモの動画が紹介されている.
周波数オフセットがあるけれど,本当にGPS信号が生成できるんだ.

mars_999のブログ:osmo-fl2kの実験メモ

【追記2】130MHzのサンプリング周波数でベースバンドを生成するのはキツイ.
gps-sdr-simでアップサンプリングができるようにしないといけないな.

【追記3】周波数オフセットの問題も解決し,fl2k_fileで生成したGPS信号で
測位に成功している.多分,世界最安のGPS信号シミュレータ.

mars_999のブログ:osmo-fl2kでgps-sdr-sim

【追記4】即席のSMAアダプタを作製.良い感じだ.

コメント (3)
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USB 3.0 VGA Dongle SDR

2018-04-23 08:08:24 | GPS Signal Simulator
面白そうなSDRを見つけた.

osmocom.org: osmo-fl2k

USB 3.0のVGA変換アダプタを使った送信機.ビデオ信号をRFのソースとして使うようだ.
高調波を上手く利用すると,GPS信号も出せるらしい.

GitHub: steve-m / fl2k-examples / GPS

サポートしているのは,Fresco LogicのFL2000というチップを使っているアダプタのみ.
$20程度で購入できるらしいが,具体的な製品名は紹介されていない.

amazonで探してみると,それっぽい製品が見つかったので取り合えず購入.

amazon.co.jp: Patech USB3.0 to VGA変換アダプタ

2,000円以下でGPS信号シミュレータが手に入る!
まあ,動かなくても,大した出費ではない.

【追記】探せば$5からあるのか.

HACKADAY: Spoofing Cell Networks with a USB to VGA Adapter
rtl-sdr.com: A TX-Only SDR Hacked From Commodity $5 USB to VGA Adapters

【追記2】amazonから変換アダプタが届いたので早速分解.



簡単にケースから取り出すことができます.
外観はwikiに掲載されているものとまったく同じ.



ラベルが読みづらいけれども,Fresco LogicのFL2000のようだ.

他にもいくつか似たような製品がamazonで見つかるけれど,
最安でも1,500円程度.その内にaitendoが1,000円以下で
販売してくれると期待.

【追記3】情報が増えてきた.ありがたい.

rtl-sdr.com: SETTING UP AND TESTING OSMO-FL2K
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GPS Week Number Rollover

2018-04-11 17:35:59 | 小型衛星
GPSシステムの時刻は,1980年1月6日からカウントされた時間を
週番号(Week Number)とTOW(Time of Week)で管理しています.

しかし,GPS衛星から放送される航法メッセージに含まれる
Week Numberは10ビットしかないため,1024週でゼロに戻る
rolloverが発生します.

そのため,GPS受信機内部では,このrolloverを適切に処理しないと,
正常なGPS時刻が計算できません.

今日のWeek Numberは1996なので,すでに1回,rolloverが
発生しています.

3年前にfireflyを開発したときには,次のrolloverのことなど
遥か未来で,まったく気にしていませんでした.ところが,
1年後の2019年4月6日には,2回目のrolloverが発生します!

GPS Week: Homeland Security provides info about 2019 GPS rollover event

来年4月といえば,fireflyが革新的衛星技術実証1号機で
軌道実証の真最中.さすがにこのタイミングでrolloverに
よる不具合が発生すると致命的です.

これはまずいと思い,慌ててGPS信号シミュレータに接続して
動作を確認してみました.



おまえ,大丈夫だよな?

 (クリックで拡大)

2019年4月6日の深夜からシミュレータをスタート.

 (クリックで拡大)

よかった!無事にrolloverを乗り越えて,正常な時刻と
位置を維持しています.

これで一安心.あってよかったシミュレータ.

github.com: osqzss / bladeGPS
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