OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

GPS信号の送信と電波法

2015-08-31 17:51:47 | GPS Signal Simulator
GPS信号の送信用にパッシブアンテナを探していたら
taoglasのターミナルアンテナが可愛らしかったので購入.



とても小型でデモ用にはぴったり.
GPSだけではなく,GLONASSやBeiDouにも対応しています.

とはいえ,勝手に電波を出すわけにはいきませんので,
電波法を調べてみました.

GPS信号を送信するデバイスとして,IMESがあります.
IMESは,日本の電波法としては送信出力が微弱無線に相当するため,
免許不要で送信機の設置や運用ができます.

TELECのページを見ても,微弱無線局の場合は,第3者機関が試験を行うと
ユーザも安心して使えますというだけで,特定無線設備のように
技術基準適合証明(技適マーク)が必要というわけではないようです.

どうやら,微弱無線局の規定を守っている限り,GPS信号の送信であっても
電波法としては問題なさそうです.

実際の電界強度は,電波暗室の中などで測っておかないといけませんが,
IMESの運用を見る限り,数m先で受信できる程度の電力は出せそうです.

【追記】地上におけるGPS信号の受信電力を参考に,電界強度を概算してみます.
GPSのICDでは,地上における受信電力を-130dBm以上と規定しています.
そのため,受信の条件が良い場合,20dBほど高い-110dBmの電力が期待できます.

この受信電力から,e・オータマのEMC資料集で公開されている電界強度計算式を用いて,
電界強度を求めてみます.

e・オータマ:EMC資料集

taoglasのターミナルアンテナは,最大利得が-0.55dBiですので,0dBiと仮定します.
GPS信号の周波数は1575.42MHzですので,波長は0.19mとなります.
インピーダンスは50オームなので,アンテナファクターが17.1dB/mとなります.

これから,電界強度は,Er=-110 + 17.1 + 107=14.1dBμV/m=25.7μV/mと求まります.

GPSの周波数における微弱無線局の電界強度の許容値は35μV/mですので,
シミュレータの送信アンテナから3m以内に設置されたGPS受信機の受信強度が
通常のGPS信号と同程度であれば,シミュレータは微弱無線局として免許不要で
運用できそうです.


【追記2】いろいろと計算間違いをしていました.アンテナファクターはdB/mに
換算すると,34.2dB/mになります.そのため,-110dBmに相当する電界強度は

Er=-110 + 34.2 + 107=31.2dBμV/m=36.3μV/m

となり,35μV/mをややオーバーします.送信アンテナから3m以内に設置された
GPS受信機の受信強度が通常のGPS信号と同程度だと,結構ぎりぎりの運用です.
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SatGen V3でNMEA生成

2015-08-26 15:13:37 | GPS Signal Simulator
前回のテストで,滑らかなユーザモーションが生成できず残念な結果となった
NMEA生成ソフトウェアですが,LabSatのサポートから,無償版のSatGenに
実装されている速度プロファイルの生成アルゴリズムは古いものであり,
高頻度の軌跡生成では,正常に動作しないとコメントをいただきました.

製品版のSatGen v3でも,I/Qサンプルだけではなく,NMEAファイルの生成が
できるとのことなので,早速ためしてみました.こちらの速度プロファイル生成
アルゴリズムはアップデートされており,滑らかな軌跡が生成できるそうです.

LabSatのwebサイトから,SatGen v3 Softwareをダウンロードします.
認証用のUSBドングルがないと,評価版として機能制限があるようです.

LabSat: Software & Firmware

インターフェイスは無償版と異なりますが,Google Earthで描いたkmlファイルを,
Import fileから読み込みます.また,Update rateは10Hzに設定します.

 (クリックで拡大)

Create scenarioボタンを押すと,I/Qサンプルデータ以外にNMEA fileがプルダウン
メニューから選ぶことができます.OKをクリックすれば,NMEAファイルが生成されます.

NMEAファイルをnmea2umでユーザモーションに変換し,加速度プロファイルを見てみると,
確かにoutlierがなくなり,滑らかになっています.

 (クリックで拡大)

さて,このユーザモーションからシミュレーションデータを生成し,bladeRFで
再生してみると,みごとGoogle Earthで描いた軌跡を再現してくれます.
しかも,受信信号の品質を示すQiの値も,最大値の7で安定しています.

 (クリックで拡大)

とても便利なSatGen v3ですが,評価版のままでは30日間しか使えないようです.
無償版のNMEA生成ソフトウェアのアルゴリズムも,アップデートして欲しいな.

とりあえず,gps-sdr-simもNMEAファイルを直接読み込めるようにしよう.

【追記】NMEAファイルも読めるように,オプションを追加しました.

GitHub: osqzss / gps-sdr-sim
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GPS Spoofing at DEF CON 23

2015-08-22 11:16:14 | GPS Signal Simulator
メモ

GPS Spoofing: Low-cost GPS simulator

コード,公開しないのかな.

【追記】GPS信号が模擬できることと,受信機をspoofingできるかどうかは別問題.

Forbes: Hacking A Phone's GPS May Have Just Got Easier
コメント (2)
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bladeRF player

2015-08-01 17:23:16 | GPS Signal Simulator
GPS信号シミュレータのリアルタイム化に向けて,まずはファイルから
I/Qサンプルを読みだしてTXするだけの機能をbladeRFで実装してみました.

GitHub: osqzss / gps-sdr-sim / player

bladeRFのsynchronous data transmissionは優秀で,特にトラブルなく
さっくりと動いてくれました.

 (クリックで拡大)

gps-sdr-simでのI/Qサンプルの生成も,実時間より随分速く動いてくれているので,
ファイル読み出しの部分を置き換えるだけでリアルタイム化できると期待.


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