OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

原子時計故障時の放送暦

2011-07-30 16:25:25 | OSQZSS
ルビジウム原子時計故障時に観測されたみちびきの擬似距離データも
使用して,単独測位を実施してみました.JAXAのアナウンスによると,
7月28日の12:43(GPS時刻)に故障が発生し,13:07に2台目の時計に
切り替えています.その後,動作を確認し,19:05にアラートフラグを
解除しています.



電離層遅延誤差の補正をOFFにしているため,高度方向に20mほどの
オフセットがみられますが,故障時には,それを遥かに上回る測位
誤差が観測されています.

みちびきを測位に利用しているユーザは,この故障の発生を放送暦に
含まれるヘルスフラグで判別するしかありません.そこで,今回の
故障時におけるヘルスフラグの挙動について,確認してみました.
J 1 11 07 28 13 00 00.0 -.235158950086D-06  .113686837700D-11 -.277555756200D-16
      .166000000000D+03  .121750000000D+03  .374051294952D-08  .310842571863D+01
      .342726707416D-05  .756974654329D-01 -.566616654325D-05  .649331751505D+04
      .392400000000D+06  .653788447299D-06 -.193394850091D+01 -.745058059600D-07
      .711842166911D+00  .332437500000D+03 -.156866316399D+01 -.352014662756D-08
      .235366946790D-09  .100000000000D+01  .164600000000D+04  .100000000000D+01
      .000000000000D+00  .100000000000D+01 -.419095158570D-08  .678000000000D+03
      .391429000000D+06  .000000000000D+00
J 1 11 07 28 13 00 00.0 -.235158950086D-06  .113686837700D-11 -.277555756200D-16
      .166000000000D+03  .121750000000D+03  .374051294952D-08  .310842571863D+01
      .342726707416D-05  .756974654329D-01 -.566616654325D-05  .649331751505D+04
      .392400000000D+06  .653788447299D-06 -.193394850091D+01 -.745058059600D-07
      .711842166911D+00  .332437500000D+03 -.156866316399D+01 -.352014662756D-08
      .235366946790D-09  .100000000000D+01  .164600000000D+04  .100000000000D+01
      .000000000000D+00  .330000000000D+02 -.419095158570D-08  .934000000000D+03
      .391842000000D+06  .000000000000D+00
J 1 11 07 28 13 00 00.0 -.235158950086D-06  .113686837700D-11 -.277555756200D-16
      .166000000000D+03  .121750000000D+03  .374051294952D-08  .310842571863D+01
      .342726707416D-05  .756974654329D-01 -.566616654325D-05  .649331751505D+04
      .392400000000D+06  .653788447299D-06 -.193394850091D+01 -.745058059600D-07
      .711842166911D+00  .332437500000D+03 -.156866316399D+01 -.352014662756D-08
      .235366946790D-09  .300000000000D+01  .164600000000D+04  .100000000000D+01
      .150000000000D+02  .630000000000D+02 -.419095158570D-08  .934000000000D+03
      .392412000000D+06  .000000000000D+00

ヘルスフラグは7行目のふたつめのパラメータになります.準天頂
衛星のヘルスフラグは6ビットで,MSBから放送暦,L1 C/A信号,
L2C信号,L5信号,L1C信号,LEX信号のヘルスを表しています.
現在の通常運用では,LEX信号のみフラグがアクティブになって
おり,ヘルスフラグは「1=0x01」となります.

放送暦が送信された時刻は,8行目のひとつめのパラメータである
「Transmission time of message」で確認できます.OSQZSS受信機で
記録した放送暦を見てみると,12:50:42(TOW 391842)で放送暦の
フラグがアクティブになり(33=0x21),13:00:12(TOW 392412)には,
すべてのフラグがアクティブになっています(63=0x3F).

原子時計の故障の時刻が12:43と報告されていますので,約7分ほど,
ユーザーは故障を知ることができません.衛星側の故障による測位
精度の劣化を防ぐためには,受信機側にRAIMなど,観測値の異常を
検知するアルゴリズムが必要になります.

L1-SAIFには,このような異常を迅速にユーザーに知らせる機能が
備わっています.今回のトラブルでは,どのように動作していたのか,
興味があります.

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ルビジウム原子時計の故障

2011-07-30 13:08:54 | OSQZSS
みちびきに搭載されているルビジウム原子時計が7月28日に
故障し,2台目の原子時計に切り替わったとアナウンスが
ありました.

「みちびき」のルビジウム原子時計の冗長系切り替えについて

ルビジウム原子時計は,みちびきが放送している測位信号の
基準となる重要な時計です.打ち上げから一年経たずに故障
してしまったのは残念です.

GPS衛星では,故障の対策として3~4台の原子時計を搭載しています.
みちびきは何台搭載しているのでしょうか?

7月28日の擬似距離観測データをアップしておきますので,
興味のあるかたは解析にご利用ください.

http://www.sensorcomm.co.jp/osqzss/data/20110728/
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