OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

LabSat 3でロケットシナリオ

2013-10-30 21:16:42 | ロケット
実験の待ち時間に,LabSat 3をGPS信号シミュレータに接続して
ロケットシナリオの信号を記録してきました.



ロケットの軌道には,学生時代にお世話になったMAXUSのデータを
使用しました.微小重力実験のための大型観測ロケットで,
高度は700km以上に達します.



フライトの時間はトータルで17分と長めで,4GBに収まるかどうか
不安だったのですが,実際にデータを取得してみたら,2GBのファイルに
分割されていました.どうやら,長時間の信号でも,自動的に分割され,
問題なく記録できそうです.

記録が完了したら,ロケット搭載用に開発したGPS受信機に接続して,
信号を再生します.



GPS受信機のハードウェアは市販品ですが,中身の信号処理
ソフトウェアは総入れ替えのオリジナルです.高度・速度制限が
無いのはもちろん,ロケットの高加速度にも対応しています.

出力フォーマットは,u-blox社の受信機とコンパチにしいています.
そのため,モニタリングにu-centerをそのまま使うことができます.

 (クリックで拡大)

残念ながら,u-centerから開くGoogle Earthのプロットは,高度が
地上に固定されてしまっています.結局,一旦保存した測位結果を
kmlファイルに変換して表示することにしました.



全軌道で欠損なく測位ができています.LabSat 3,GPS受信機共に,
問題なく動作しているようです.

何らかの形でGPS信号を発生させ,それを記録しなければならない
手間はありますが,一度記録すればコンパクトなデバイスで何度も
再生でき,とても便利です.

また,記録されたGPS信号は単なるデジタルのデータですので,
原理的には実信号を記録しなくても,数値的に生成することが可能です.

bladeRFでは,この数値的にGPS信号を模擬する機能も開発して,
フルスペックのシミュレータを目指します.

【追記】MAXUSのペーパーモデルがある!これは作るしかない.

【追記2】FPGA版GPS受信機での動作も確認.

コメント (2)
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LabSat 3を試してみる

2013-10-27 10:13:03 | ロケット
GPS信号の記録・再生装置であるLabSat 3のデモ機をお借りできたので,
早速その機能を試してみました.

まずは,屋外でGPS信号を記録します.LabSat 2では,PCとの接続や
外部電源が必要でしたが,LabSat 3では本体に差し込んだSDカードへ
データが記録されます.バッテリーも内蔵になり,持ち運びも便利です.



さらに,モニタ用のGPS受信機まで内蔵しており,記録しているGPS信号の
状況を確認することができます.



しかし,モニタ機能をONにすると,内蔵GPS受信機からの電磁波干渉が発生し,
記録されてGPS信号の信号強度が急激に低下する現象がみられました.
これはメーカに連絡しておこう.

さて,屋外で記録したGPS信号は,RF信号として再生することができます.
屋内でもLabSat 3をGPS受信機に接続することで,屋外と同じ受信環境を
模擬することができます.



 (クリックで拡大)

機能は限定されますが,手軽に操作でき,実験用にとても便利そうです.

ただし,受信した信号をすべて記録しているため,データ量が膨大になります.
おおむね,5分間の記録で1.2GBのデータになります.
32GBのSDカードを使っていますので,それなりの長さのデータを記録できますが,
それでも1時間を超えるような試験には向きません.

実信号での動作は確認できましたので,次はGPS信号シミュレータに接続して,
ロケット軌道のシナリオを記録してみよう.

【追記】備忘録.

LabSat 3はコンパクトな設計を目指しているため,いまのところ記録・再生は
SDカードにしかできないらしい.フォーマットがFAT32なので,4GB以上の
連続したデータは記録はできないそうだ.これは結構大きな制約.

まあ,ロケットのシナリオなら射点での静止状態を含めても15分で収まるだろう.

あと,再生時にRF OUTから出力される信号の電力が,そのまま再放射しても
受信できるくらいに大きい.同軸ケーブルで受信機に直結するのであれば,
30dB程度のアテニュエーションが適切.

最近の受信機は,AGCのダイナミックレンジが広いから問題にならないけど,
古いものだとサチレーションを起こして正常に受信できない.
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SDR向けRFトランシーバ

2013-10-26 10:58:28 | FPGA
メモ

EDN Japan: アナログ・デバイセズ AD9361:ソフトウェア無線向けRFトランシーバ、広範な周波数帯で動作

周波数範囲が70MHz~6GHzで,帯域が最大56MHzのSDR向けRFトランシーバ.
チャンネル数が2×2なのも魅力的.

製品情報はこちら.

AD9361: RF Agile Transceiver
AD-FMCOMMS2-EBZ: Evaluation Kit

評価ボードが$750というのは,ちょっと高いな.

接続できるXilinxのボードとはどれのことだろうと調べてみたら,
どうやらZedBoardのようだ.

ZedBoard.org: ZYNQ SDR-II Eval

ついに積み基板になっているZedBoardの出番か!



【追記】USRP B200/B210もAD9361ベースなのね.

Ettus Research: USRP Bus Series
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LabSat 3

2013-10-22 18:23:59 | ロケット
bladeRFでGPS信号シミュレータを作ろうと目論んでいるわけですが,
一方で,GPS信号の記録・再生装置が随分と安くなってきています.

LabSat - GPS Simulation, Record & Replay

以前は100万円を超えていたのですが,新しいLabSat 3は
3,620ユーロから.50万円弱といったところでしょうか.

当然,信号を記録するだけではなく,SatGenというソフトウェアで
受信機の運動をシミュレーションもできます.ただし,SatGenで
ロケットや衛星の軌跡までシミュレーションできるかは不明.
NMEAから変換できると良いのだけれど.

デモ機が借りられるようなので,試してみよう.

【追記】メーカにリクエストしたら,データフォーマットを公開してくれた.
見慣れたIFデータなので,自分で生成できそうな予感.

【追記2】早速デモ機が届きました.週末に試す!

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MHD flow control

2013-10-12 17:25:18 | ロケット
今年の宇宙科学技術連合講演会が米子で開催されました.

学生セッションのポスターを見学していたら,電磁力で再突入時の
プラズマを制御するという面白い研究を発見.

これ,GPS信号のブラックアウト回避に使えないだろうか?

残念ながら,学生さんによる説明はすでに終了しており,
直接お話を聞くことはできませんでした.

ネットで調べてみると,筑波大学のプラズマ電磁流体工学研究室のようです.

電磁力を利用した熱・流れの制御技術(MHD flow control)

磁場を数か所で発生させることができれば,再突入機の軌道も
制御できそう.

早速コンタクトしてみよう.

【追記】JAXAでも観測ロケットによる似たような実験の提案があったようだ.
結局,実験計画の方はどうなったのだろう?

Abe, T., "MAGNETIC BRAKING AND HEAT SHIELD RESEARCH WITH A CAPSULE-TYPE REENTRY BODY", 2010.
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28.8MHz TCXO換装キット配布のご案内

2013-10-06 11:41:00 | RTL-SDR
 
28.8MHz TCXO換装キットの配布は終了いたしました.
入手を希望される方には申し訳ありませんが,
追加での配布の予定はありません.

RTL2832Uを使用したUSBワンセグチューナに搭載されている
28.8MHzの水晶振動子を,より周波数安定度の高いTCXOに
換装するためのキットの配布を始めました.

換装キットは,周波数安定度が2ppm(-30度C~85度C)の
TCXOの他に,改造に必要となるチップコンデンサなどが
セットになっています.



特殊な周波数ですので,どうしても割高になってしまいますが,
メール便での送料込みで,1000円で配布したいと思います.

ご興味のある方は,osqzss at gmail.comまで希望購入数,
郵便番号,住所,氏名をご連絡ください.支払の方法など,
案内のメールを差し上げます.

TCXOへの換装手順は,こちらの記事をご参照ください.

28.8MHz TCXOの換装手順

【追記】改造レポートのまとめ.

ttrftech:RTL2832Uドングルの水晶をTCXOに交換してみる
runway17:RTL2832U用のTCXOを入手しました。2
ゆうちゃんのパパ:RTL-SDR TV28T v2 DVB-T USB (R820T)チューナーに28.8MHz TCXO(温度補償型水晶発信器)換装しました。
Blade7:USB SDR の28.8MHz水晶発振の換装
pupのブログ:R820Tの水晶をTCXOに交換とアマゾンで買ったTC4-1TG2トランスでダイレクトサンプリング
サのホームページ:HF Converter製作と性能評価 & RTLチップSDR
コメント (1)
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28.8MHz TCXOの換装手順

2013-10-06 11:35:09 | RTL-SDR
28.8MHz TCXO換装キットがお手元に届きましたら,まずはすべての
部品がそろっているかご確認ください.

1000pFと100nFのチップコンデンサは,カットされたリールの端を,
それぞれ赤と青に色分けしています.着色のないカットテープの部品は,
0オームのチップ抵抗になります.TCXOは,黒色のプラスチップの
カットテープに梱包されています.どれも小さな部品ですので,
紛失しないようにご注意ください.



まず,基板から水晶振動子を取り外します.aitendoで購入できる
RTL2832U+R820Tのチューナは,水晶振動子の下にSMDのパッドが出ています.



次に,水晶発振回路の外付けコンデンサを取り外します.



基板についているパッドは,SMDの水晶振動子のためのパターンです.
TCXOを取り付けるために,このパターンを多少改造する必要があります.

まず,Y1のシルクのパッドからR820Tの8番ピンにつながっているラインの
レジストマスクを削って,銅箔を露出させます.さらに,TCXO出力のDCカット
コンデンサが取り付けるために,その一部をカットします.R820Tの9番ピンに
つながっているパッドはGNDに落とすため,こちらのラインもカットします.

 (クリックで拡大)

カットした8番ピンのラインに,1000pFのチップコンデンサを取り付けます.
銅箔を露出させたラインがパッドの代わりになるように,斜めに取り付けるのが
ポイントです.



次に,TCXOを取り付ける準備をします.水晶振動子の下のSMDのパッドには,
何かが薄く塗布されており,このままでは上手くハンダが付きません.
薬品で洗浄するか,ナイフの刃先で削るなどして,銅箔を露出させた後に,
薄くハンダを流しておくと,取り付けが楽になります.



マーカが付いているTCXOのパッドが,3のシルクの位置になるように
TCXOを取り付けます.その後,GNDのパッドを接続したり,電源ラインの
バイパスコンデンサを取り付けるために,TCXO周辺のベタグラウンドの
レジストを削り,銅箔を露出させます.



2のシルクのパッドが電源となりますので,このパッドとGNDの間に
100nFのチップコンデンサを取り付けます.TCXOの1番と2番のパッドは
GNDになりますので,ベタグランドと0オームのチップ抵抗でショートさせます.

 (クリックで拡大)

最後に,電源ラインのジャンパを取り付けて完成です.



ゆうちゃんのパパさんが紹介されている水晶振動子の交換と同じように,
完成したチューナで123.775MHzの信号を受信してみました.

 (クリックで拡大)

ピタリと一致しています!
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