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もんく [とある港街の住人]

神の怠慢、人の野蛮

昨日の夜、工場への水の供給が止まったとメンテのマネージャーが言った。これから夜勤が始まるし、いつ回復するかなんて夜にわかるわけがない。通常こうした場合、夜勤が少なくとも飲み水に困らないようにペットボトルに入った水を用意する。

と言ってもある一ヶ所に置いてある事になっているので心配はあまりない。が、万一の事を考えてメッセンジャーで現場の管理者に確認するように言った。モタモタしながら確認に行って、返事は無いだった。

こりゃまずい。誰か車を運転出来る者を工場内で探して買って来てもらうように連絡回せと言った。が、何を考えたか空いてるペットボトル3本にタンクに残っている水を貯め始めた。

アホか! タンクにあるのは今そんな事しなくてもいつでも取り出せる。まだ残っていればだが。確認はできないのでそれは安全な方法じゃない。それより早く誰かに連絡して買って来るように言え!時間の無駄はするな!と。

出てきた答えが「誰が買いに行く?」だ。

アホかオマエは。走って言って探せば良いだろう。そこにいるのはオマエだ。


こんな時、緊急で誰かが何かいつもと違う事をやらなければならない時、誰も役に立たないのはいつもの事。まず、水が止まったと発見したメンテの連中、止まった、で終わり。それに対して何かしようがあるのか考えない。どのタンクにそれぞれ水がどれだけ残っているか確認する位はできるはずも、思いつかない。そして補償しなければならないのが作業員の夜12時間の飲み水だと言う事も思いつけない。そして誰かに連絡し水を用意するのもできない。

日勤の方が夜勤より責任ある人間が多いが、連絡を受けてもそうか、で終わり。その後何もせず帰宅。夜勤で引き継ぎされた者も普段と違う事で動けない。


うーん、人類はこう言うようにいつか滅亡して行くのだなあ、と納得。

それも実は予想の範囲内なので、早速自分から人事のマネージャーにメッセージを入れる。なぜなら水を用意しなければならないのは人事だから。それにそう遠くないところに住んでいる。

と言うわけで、夜9時頃までに水は用意できた。ただ、その人事マネージャー、水のストックが無い事が以前にどこからも連絡が無かったと言う。つまりは、こうして夜に買いに行かなければならないのは誰も連絡して来なかったのが原因だと、責任逃れの言い訳兼、不満を行っているのだった。

なので今朝になってメールを入れておいた。門のところのガードハウスに数箱置いておけば良いんじゃないの?、と。そこなら毎日ガードマンとあなたは会うわけだしね、と。他人のせいにするんじゃない!、と言う意味。


総じて、多くの人は他人に共感しようと言うところが無いと言える。自分は日勤で帰れば夜勤の事は知らないよ。他人が連絡して来ないのが悪くてその事は知らないよ。水止まったのは水道会社のせいで自分じゃないから知らないよ。

なので、誰が買うと言った者にはちょっと言ってやった。他人のために動いてみろ、と。工場では大半がムスリムで、次にヒンドゥーだろう。神を信じないのはここでは自分だけかもしれない。そこでちょっと思った。神は人を理想の人間になんてしないし、他人の痛みがわかる人にも、公平にもせず、温和にだってしない。神様がちょっと怠慢なのか、人がどうにもならないほど野蛮な生き物なのか、どちらかじゃないかと思う。
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