最高地点の蕎麦 長野・野辺山

　　＜最高地点＞

　清里方面に行くと、いつも野辺山の「最高地点」で蕎麦を食べる。



　その名のとおりＪＲの最高地点1,346メートルの野辺山駅である。八ヶ岳連峰が
一望できる。



　山梨から佐久に抜ける小海線沿いの街道には、いかにも旨そうな外見の蕎麦屋が
立ち並ぶ。何軒か試したがどこもたいしたことはなかった。ここの蕎麦のほうが
断然安くて旨い。

　喫茶店とレストランと土産物屋をごちゃまぜにしたようなとても蕎麦屋にはみえ
ないログハウスの店なのだが、とにかくびっくり蕎麦が旨いのである。コーヒー、
軽食などいろいろなメニューがあるが蕎麦が一番だ。



　今回、この店が長野県であることがわかり愕然とした。到着直前に長野県の表示
をみつけたのだ。長らく山梨と思い込んでいたのだ。信州蕎麦なら旨いはずだ。

「山梨で昼飯食うなら、河口湖あたりなら花屋とかの富士吉田うどん、甲府石和
あたりなら『くるまやラーメン』の味噌ラーメンと餃子、清里あたりなら『最高地
点』」の蕎麦がいいぞ」
　などとけっこうマジに力説していたのが、まことにお恥ずかしい。
　最高地点は、長野県に足の親指の爪くらいはいったところだったのだ。

　あいにくの雨である。気温も15度を下回った。
　清泉寮で凍えるように身体が冷え切ったけれども、蕎麦好きとしてはやはり冷た
い蕎麦だろう。



　蕎麦は、東京の手打ち蕎麦有名店の頑固店主が「おお、弟子どもよ！　これを
みよ。今年一番の上出来の蕎麦が打てたわい、うほほほほ」というぐらいの上物
で、値段は東京の有名店主が青くなるほど安いのだ。信州蕎麦そのもののたしかな
歯ざわり、香りともに文句はない。



　ただし、蕎麦つゆは蕎麦に比べるとちょっと落ちて、平均点か。惜しい。

　それでも、とにかく一度食べると、この清里辺で昼時を迎えたらこの店に決まる
だろう。