温泉クンの旅日記

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栃木、鹿沼名物のニラ蕎麦

2024-03-31 | 食べある記
  <栃木、鹿沼名物のニラ蕎麦>

“渡良瀬橋のついで”という名目のもと、ついに訪れた「新鹿沼」駅。

 

 栃木には、佐野の「大根そば」、鹿沼の「ニラそば」、日光市や栃木市の「寒晒しそば」、栃木東部の「八溝そば」など、いろいろな蕎麦があるのだがわたしが最も興味が持ったのはニラそばだった。
 ニラそばの誕生については、どうやら次のような経緯だそうだ。

『鹿沼市は戦後、ニラの栽培が盛んになった。
鹿沼では客人が来たときに蕎麦を打ってもてなし、客人が帰った後に、栽培したニラを茹でて蕎麦と一緒に家族で食べるようになったことからニラ蕎麦が誕生したと言われている。約40年前に鹿沼市にある蕎麦屋で商品化され、その後提供店舗が増えていった・・・。』
 
 つまりは客人が食べて減った蕎麦を、ニラで混ぜて増量したのだろう。あえかな香りの蕎麦に、ニンニクに近い独特の強い匂いを持つニラを混ぜるなど、蕎麦通にすれば大いに<邪道>で片腹痛しといったところある。
 この邪道こそが、蕎麦好き正統派のわたしを「新鹿沼」から遠ざけてきたのだ。

 新鹿沼駅を出て、目当ての店をナビで検索すると、なんと1キロ以上もある。八雲神社を<方違え>したお陰で、もうこれ以上歩く気がしない。
 駅から130メートルと一番近い、メディアに露出しすぎている店「みっちゃんそば」に躊躇うことなく変更することにした。

 

 意外に奥行きのある広い店内は満員盛況で、卓の上には蕎麦に天麩羅とかシュウマイの皿が並んでいる。
 奥の卓に座るとメニューを点検し、一応シュウマイの大きさを尋ねると、「やや大きめ」ということで、いつも崎陽軒の小さめを食い慣れているわたしはパスする。

 

 降りた新鹿沼駅にシュウマイの自動販売機が設置してあるほど鹿沼では“押し”のようで、この店の入口にも掲げてあった。蕎麦屋でシュウマイなんておよそ聞いたことがない。とりあえず訊いただけ、邪道はニラ蕎麦だけで充分である。

 天麩羅を付けず、純粋にニラ蕎麦と、ついでに蕎麦前の熱燗を頼む。車でないので、帰りは電車で寝ていけばいい。
 ほどなく、地酒の熱燗と、突出しの赤カブとニラの茎の漬物が運ばれてきた。

 

(ん! これは・・・)
 辛味のあるニラの茎・・・こいつがシャキシャキの噛みごたえで、ぴり辛くてなんとも旨い。酒はもちろん、メシもこの少量で二杯くらいすすむだろう。

 

 正統派の蕎麦を食べるとき、自分なりの拘りのルーティンというか作法がある。

『まずは蕎麦つゆだけを少し啜って味わう。
 つぎに蕎麦だけを数本つまんでじっくり吟味する。
 薬味を入れない、純粋につゆだけで蕎麦をゆっくり愉しんだ後、
 山葵だけ投入したつゆで、次に豊富な薬味を順次つゆに投入して都度愉しむ。
 蕎麦をきれいに食べきって、残った蕎麦つゆに蕎麦湯を注いで飲み、ひと息つくのだ。』

 ニラ蕎麦が卓に運ばれてきた。

 

 邪道なので作法一切を省略し、「えーい、かまうことか」と食べることにした。
(な、なんと! これは・・・)

 

 とんでもなく美味な蕎麦だ。茹でて冷たく締めたニラが、蕎麦と一緒に食べても蕎麦の味を一向に邪魔しない、というか風味を増す。ニラの茎の漬物をぱくぱく食べたせいか、不思議にニラの匂いもまったく気にならない。
 べらぼうに旨い、こいつは、虜にというかクセになっちゃう蕎麦だ。まあ、期待値を低めに設定していたせいも多分にあるかもしれないのだが。邪道だ、などと強い先入観を持っていたが見事に裏切られた。

<酒と女は二合(二号)まで>と熱燗の二本目を頼もうとしたら、店の客がどんどん帰り始めだした。訊けば、この店は二時から中休みだというのであきらめる。二本目のために残していた漬物を急いで平らげる。残念、無念。
 帰りに確認すると、たしかに店先の看板にあった。

 

 いまさらの<渡良瀬橋の聖地巡礼>だけでなく、ニラ蕎麦を組み合わせた日帰り旅にしたのは、結果として上首尾であった。
 ニラ蕎麦・・・だけでまた来ようと決めた。邪道上等、そのときにはシュウマイにも挑戦してみるか。



  →「『♪渡良瀬橋』の聖地巡礼(1)」の記事はこちら
  →「『♪渡良瀬橋』の聖地巡礼(2)」の記事はこちら


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