温泉クンの旅日記

温泉巡り好き、旅好き、堂社物詣好き、物見遊山好き、老舗酒場好き、食べ歩き好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

厚岸で牡蠣狂ひ(1)

2019-11-17 | 食べある記
  <厚岸で牡蠣狂ひ(1)>

「まずは生牡蠣と・・・。焼き牡蠣の三種盛り、それに蒸し牡蠣を一皿に・・・・・・」

 

 メニューを見て矢継ぎ早に注文する。
 店内はほぼ満員だから、そんなにすぐ料理が運ばれるはずはないだろう。席を立ち中庭みたいな喫煙スペースにいって煙草に火を点けた。

「道なりで四十キロ、(そしたら)左折です」
 本州ではとても信じられないような<ナビガイダンス>が流れてきて驚く。その後は長い沈黙。一般道でのナビである。
 広大な北海道を車で移動するときには、ルートによるが、ガソリンとトイレには特に気をつけねばならない。

 

 まだ大丈夫だろう・・・次の機会でいいや、などと高をくくっていると、ハラハラして冷や汗をかくことになりかねない。ガソリンスタンドをみつけたら飛びこんで給油し、ついでにトイレも拝借しておいたほうが無難だ。

 あともうひとつ、食事ができる店がみつからないことなども茶飯事である。だから簡単な非常食も持っていたほうがいい。
 今回の旅では<白い恋人>を非常食にした。一番安いのを買って箱から出し、バラの状態にしてコンビニの袋に詰め助手席に置いておいた。甘いもの好きでないので、一枚食べれば数時間はだいじょうぶ、というわけである。

 

 巡航速度ン十キロ(これは書けない)で突っ走ること四時間、その非常食さえも我慢して漸く辿り着いた「厚岸(あっけし)味覚ターミナル コンキリエ」である。トイレは途中、危ういところで只一軒みつけたセイコマートのお世話になったのだった。

 コンキリエは一階にオイスターカフェ、総合観光案内所、二階がレストランとなっている。他に炭焼きの店とレストランがあったが、わたしはもう一軒のすぐ坐れそうな「オイスターバール ピトレスク」を選んだ。厚岸の街を一望しながら料理を楽しめる。もちろん酒もだが。

 

 

 席に戻ると、計ったように生牡蠣の皿が目の前のカウンターに置かれた。 

 

 並んだ牡蠣は、どれもわたしの好みドンピシャの大きさである。
 心踊るティスティング。パクリと口に入れた瞬間、北の海の豊穣が怒涛のように押し寄せ余白なしのいっぱいに広がった。
<マルえもん>は宮城より稚貝を移入し厚岸で大きくした牡蠣で、甘くそしてなんとも旨みが濃い。<カキえもん>は厚岸生まれの厚岸育ちの純厚岸産のブランド牡蠣でふっくらやわらかな身で甘みが深い。<金のカキえもん>はカキえもんの中から、さらに大きさ、重さ、形を厳選した牡蠣だ。

 三つとも旨くて、甲乙つけがたい。牡蠣はいつも安芸の宮島で食べるくらいの乏しい経験しかない。どれが一番旨いか決めろと言われても、オイスターマイスターほどの食いしん坊でないのでとても決められない。
 車でなければ、メニューにあった「生牡蠣3点ウィスキーセット」 を直ちに追加したいところだ。生牡蠣三個とアイラモルトのセットで、アイラモルト八種の中から選んだウィスキーを牡蠣に数滴かけて食べる、スコットランドでは定番の食べ方だそうだ。

 いつしか雨が強くなってきたようで、目の前に広がる厚岸の街が濡れそぼっている。

 

 続いて、焼き牡蠣の三種盛りがとどいた。 

 

 それぞれジェノバ風、グラタン風、田楽風に焼いた一品だ。フランス・イタリア・日本、それぞれのソースで絡めた絶品料理だが、これは厚岸の牡蠣じゃなくても同じレベルの味になるに相違ないと思う。焼いた牡蠣に、ただ単に醤油数滴をかけたくらいのほうが断然良いだろうとわたしには思えるのだ。


  ― 続く ―


   →「宮島口のあなごめし」の記事はこちら


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続・洞爺湖温泉(4) | トップ | 厚岸で牡蠣狂ひ(2) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

食べある記」カテゴリの最新記事