温泉クンの旅日記

温泉巡り好き、旅好き、堂社物詣好き、物見遊山好き、老舗酒場好き、食べ歩き好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

眼光に・・・

2012-08-31 | 俳句、なぁーんちゃって
この猫は決して鳴かない。頑なに鳴かない。いつでも完全黙秘である。それに首に付けた鈴を、どういうわけか鳴らさないで歩くことができる。だから、いつもどこにいるのかさっぱりわからない。でもけっして鳴けないわけではないのだ。病院に連れていくと、治療室からライオンのような咆哮が聞こえてくる。この猫が「あたしに触るんじゃない! その汚い手をいますぐに離せ!」と威嚇しているのだ . . . 本文を読む
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幻のとんかつ

2012-08-29 | 食べある記
わたしが大のとんかつ好きであるのをきっと誰も知らない。たまにとんかつを食べたくなっても、これはという店を思いつかない。わたしにすると、どれも平均点か、それをすこしだけ上回るくらいの店ばかりだ。だから、とんかつといえば、最近わたしはカツカレーくらいしか食べていない。横浜の関内、神奈川新聞社のそばに「とん亭」という小体なとんかつ屋が昔あった。関内で働いていたころ、月に二、三回は食べていた。昔、と書いたのはどうやら廃業してしまったようなのである。ここのとんかつがすこぶる旨かった。いまでも、狐色というよりどちらかというと黒っぽいこの店のとんかつを思い出すと涎が出てくる . . . 本文を読む
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続・貝掛温泉 新潟・越後湯沢

2012-08-26 | 温泉エッセイ
秘湯の宿というところは大体不便なところにあることが多い。そうして協定したように料金が高め設定なのは解せない。ここ貝掛温泉も国道17号からほんのすこし入ったところにあるのだが、ほんとうに運転手泣かせな未舗装路なのだ。まずは急な下りのヘアピンカーブで、アウトからインに曲がりこんで降りていこうとするときに対向車が来ると往生する。バックするにも傾斜がかなりきつく、舗装がないので滑ってしまう。双方が膨らんで進入するため、相手の車と接触せずにすれ違うのに汗だくになってしまう。やっとすれ違えると、次は貝掛橋のところまでの五十メートルくらいを、車一台がやっとなので急いで走っていかなければならない。そして貝掛橋なのだが、車一台がぎりぎりの橋なので、先に向こう岸側から進入すればこちらは待機である。頃合を見はからって橋に乗り入れても、もし向こう岸から下手糞な運転手が入ってくれば戻らねばならぬ . . . 本文を読む
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蝉しぐれ

2012-08-24 | 俳句、なぁーんちゃって
お盆を過ぎても猛暑の日々が続いている。けれども、だいぶ日暮れが早くなってきた。夕方に並木道などを歩くと蝉しぐれがもの凄い。もともと蝉は暑い時間帯にはあまり鳴かないものである。蝉もその種類によって、鳴く時間が違う。それと蝉でも鳴くのはオスだけでメスは鳴かない。ニイニイ蝉は早朝から夕暮れまで、ミンミン蝉は午前中、アブラ蝉とツクツク法師は午後、蜩(ひぐらし)は朝夕の涼しい時間帯である . . . 本文を読む
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鶴岡ラーメン

2012-08-22 | 食べある記
福島の玉子湯を出発、山形県の日本海側の酒田に向かっていて、いまは鶴岡あたりを走行中だ。そろそろ昼どきである。大きな看板に「いろは」と書いてある食堂をみつけ、ためらうことなく駐車場に車を乗り入れた。店内に一歩入ってみると、驚くほど天井が高くそして広い店だった。席に座って、しばらくしても誰も注文を取りにこない。それにメニューも卓にはない。あとから入ってきた二人連れをみていると、ひとりは給茶機だか給水機に歩み寄り、もうひとりが厨房前のレジのほうへ行って注文している。あとはテーブルにもどって待機する。どうやら、この店はセミセルフのスタイルのようである . . . 本文を読む
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続・玉子湯 福島・福島市

2012-08-19 | 温泉エッセイ
(部屋があいていたら、泊まってしまおうか・・・)このいい湯を、ゆっくり堪能したくなってきた。山形にはいって、赤湯か上山か天童あたりで泊まろうと考えていたが、宿泊料金が折り合えばここに泊まって早めに出発するのも悪くない。それに今日は平日で、なんとなく宿泊客が少なそうである。原発事故で落ち込んだ福島の観光客が、会津の東山温泉などはかなり震災前の元の状況に戻り始めたというが、中通の温泉地ではまだ回復半ばであろう . . . 本文を読む
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拭き清め・・・

2012-08-17 | 俳句、なぁーんちゃって
永平寺の修行の中心は座禅である。しかし座禅だけがすべてではない。座禅の精神を日常生活に展開していくことが大切だ。毎日の廻廊掃除などの作務(さむ)も、動の座禅と言える。重ねて大きくなっていく数字というものには魔力がある。七百年以上、三百六十五日毎日、気が遠くなるような月日をかけ何十人もの修行僧の手によって拭き清められた廻廊というのも、一種芸術品のような輝きを放つ . . . 本文を読む
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京極スタンド

2012-08-15 | 京都点描
スタンドは昼間から呑めるし、定食もやっている店である。見栄張ることもない、肩も凝らない庶民的な食堂だ。創業は古く、昭和レトロのムード満点の店で気にいっている。昼食を軽めにしたのは、ハナからここで明るいうちから呑むことを決めていたからだ。麦代餅と北野天満宮が目的ならわざわざ車を置いてくることはない。上七軒から大の苦手なバスで京極まで移動したのも、速くここへ来たかったからである。店内はテーブル席が三卓くらいと、大理石でできた細長いテーブルがひとつ。細長いテーブルというよりも両側が座れる長いカウンターと言った方が近い。混みあうので相席当たり前の店である。独りであれば、待つこともなくすぐにどこかの席に押し込んでくれる。地元の客が多いが、一見の客でもとくに差別はなく居やすい . . . 本文を読む
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北野天満宮

2012-08-12 | 京都点描
麦代餅を食べると、桂から阪急を使って西院まで二駅戻って、そこから歩いて嵐電に乗り換え北野天満宮に向かうことにした。べつに、どうしてもいきたいところではないのだが、(麦代餅だけが目的ではるばる京都まで行ったのか、馬っ鹿じゃねえーの)と思われるのも癪である。北野天満宮へ行きたかった、というほうが不自然ぽくないだろう。そして実際に行ったのと、口だけとは説得力が段違いだ。出張がやたら多かった頃、西へ来ると京都ではけっこう観光したのでわたしはかなり詳しい。だから行ったことのないところのほうがジツは少ないのである . . . 本文を読む
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鬱蒼を・・・

2012-08-10 | 俳句、なぁーんちゃって
森のなかで道に迷う。鬱蒼(うっそう)とした森を彷徨っているうちに腹が減り、喉も渇いてくる。周りにはまったくひとの気配もなく、人家も遠く離れているようだ。木洩れ陽だけでは、肌寒いくらいだ。小枝を踏みしめた音に驚き飛び立つ鳥の羽音が、逆にわたしを怯えさせる。遠くの繁みが揺れて、熊ではないかと一瞬凝固する。突然、といった感じで眼の前に階段が出現する。森の匂いのなかに草いきれが混じっている。助かった・・・ . . . 本文を読む
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