温泉クンの旅日記

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麒麟山温泉、絵かきの宿(2)

2018-10-07 | 温泉エッセイ
  <麒麟山温泉、絵かきの宿 (2)>

「おっ、久しぶりの『はでっぱ』じゃないか!」



 新潟の繁華街の一角に「安兵衛」という、銘酒をたくさん取り揃えた呑み助垂涎の居酒屋がある。
 その店で、すすきので呑んだ懐かしい「國稀」や、珍しい「麒麟山 はでっぱの香」に出逢えた。酒は、あろうことか升に入ったグラスを皿に載せて、一升瓶からドバドバ注ぎ、グラスから升そして皿まで満たす酒呑み狂喜の秘技「二段零し」という形で提供してくれる。



<唎酒プラン>の夕食には、地元で江戸後期創業の麒麟山酒造の三種類の酒がでた。いずれも辛口の酒で、青いぐい呑みが麒麟山の辛口の「伝辛」、緑のが、麒麟山「はでっぱの香」で「はでっぱ」とは、お米をはざ架け(天日干し)し造ったところからだそうだ。竹色のは麒麟山ブラウンボトルで地元限定でカラーボトルシリーズの純米吟醸酒である。



 酒を一種類づつ味わいながら、、まさに適量に盛りつけられた料理の皿に次つぎと箸をつけていく。



 一合の酒を追加して、デザートまで辿りついた。



 追加を一合に止めたのは、まだ入っていない温泉があるからだった。
 まずは、空いていれば自由に入れる貸切風呂にいくと、思ったとおり泊り客はまだ食事中なのですんなり入れた。



 うーむ。ここは眺望がないのがちょっと不満である。でも無料なので家族連れなどには喜ばれるだろう。
 温泉の泉質はナトリウム-塩化物・硫黄塩温泉で、景色ほど極上とはいえないが、よほどの温泉通でなければ満足できるはずだ。
 続いて、内湯の男風呂にいってみる。温泉好きとしてはすべての浴室と浴槽を掠わなければ気が済まないのだ。



 ここはガラス越しで、絶景が切りとられるが一部は拝めるのがありがたい。
 そしてやっぱり温泉好きなので、締めに露天風呂を満喫してしまった。



「今日って、蛍は見えるんかい」
「昨日、お客さまをお連れしたら、まだちょっと早いようで見られなかったんです。今日も同じ状況なのでたぶん難しいかと思います」
 フロント近くの静かな喫煙スペースで一服していると、会話が飛び込んできた。そうか。蛍も見られるんだこの宿は。ふむ、覚えておこう。

 部屋に戻り、持ち込んだ四合瓶を取り出し酒宴を静かに再開する。
 窓の外の暗い闇の底で、川は深い眠りに入る前のように、かすかな水音をたてて流れていた。
 耳をすませると、どこからか「ケーン!」と狐の哭き声が聞こえてきそうな夜だった。


  ― 続く ―



   →「麒麟山温泉、絵かきの宿 (1)」の記事はこちら
   →「安兵衛の國稀」の記事はこちら
   →「読んだ本 2015年5月」の記事はこちら
   →「つがわ、狐の嫁入り行列」の記事はこちら

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