ニョニョのひとりごと

バイリンガルで詩とコラムを綴っています

コラム4.  「希望のやまびこ」  (2012・1・22 作)

2012-01-22 21:38:59 | 日記
 コラム4. 「 希望のやまびこ(희망의 메아리)」

                             
 今日、クレオ大阪南で「第3回大阪朝鮮学生民族器楽演奏会―희망의 메아리(希望のやまびこ)」が催された。民族楽器の単独演奏会は3回目だが毎年欠かさず観覧している。今年は東日本大震災被災地の復興を願って行われると聞いていたし、特に中央芸術競演大会での出会いがきっかけになり今回一緒に出場することになった東北の民族楽器部の生徒たちが来ると聞いていたので何が何でも行かねばと思っていた。

 出演者総勢50人!大阪朝高、東大阪中級、北大阪初中級、東北初中級それに金剛団歌劇団で活躍している梁聖姫、李由伊さん、現役のソヘグム演奏家の権美雪、チョッテ演奏家の姜年浩さん、4人とも大阪朝高の卒業生であり、女性3人は教え子でもある。

 最近まで金剛歌劇団で活躍していた権美雪さんは奈良のウリハッキョで民族楽器を始めたが、東中に民族楽器部創設の契機を作った立役者だといえる。権さんを含めたった二人ではじまった民族楽器部が、年ごとに部員を増やし、一時は50人を軽く越えた年もある。毎年、芸術競演大会で優秀作品に選ばれ、民族楽器は関東だという神話を見事にくずした民族楽器部なのだ。東中を訪れる人々は民族器楽部の演奏を聴くたび感嘆の声を上げた。ウリハッキョの子供達は異国で生まれ育ったにも関わらず、何故あのような民族情調溢れる演奏ができるのかと涙を流す人さえいた。

 <若き舞姫>、<春とひばり>、葉加瀬太郎の代表曲である<情熱大陸>のオープニング曲,<ハムギョンド農夫歌>、大阪朝高生の素晴らしい演奏<歓喜>と、あっという間に1部が終わった。合同演奏、各学校の単独演奏に専門家のゲストを交えての演奏など、聴き応えのある曲ばかりだった。

 2部は東中の<我が誇り>から始まり、2番目に大阪朝高と東中の声楽部の友情出演として朴昭暎さんらが被災地の応援歌として創作した<いつもどこでも>を清らかな、美しいハーモニーで会場一杯に広げてくれた。何回聞いてもウルウルする良い歌だ。

 ついに東北の学生達の単独演奏の時間が来た。曲は<オンヘヤ>だ。カヤグム奏者3人に、チャンゴとプクの5人で重奏をする。素朴なこの楽器編成でどんなオンヘヤになるのかなぁと少し心配したがなんのその、素晴らしい音色が私の胸を熱くしてくれた。カヤグムの音が深い。左手指先で調節する音の響きがなんともいえないほど味わい深いのだ。まるで演奏会のタイトル<希望のやまびこ>そのものなのだ。この音は多分内面からほとばしる音だ。東北の学生達はウリマルがとても上手だ。民族的な1世に近い味がある。そのウリマルの味とこの味のある演奏はきっと無縁ではないはずだ。

 <リムジン河>、<ミリャンアリラン>に続いて最後は総勢50人による大合奏<慶祝>ですべての演目は終わった。が、アンコールがなりやまず指揮者の朴志勇さんが苦笑いしながら再登場、アンコール曲の<ツレノリ プッチュム>が又素晴らしい。いつまでも席を立ちたくないと思ったのは、私だけではなかったと思う。

 50人の奏者達、コンサートを後で支えたスタッフ達に惜しみない拍手が贈られた。

 *東北のウリハッキョをいつも取材し、報道を続けてくださっているコマプレスの朴サユさんが一生懸命撮影している姿がここでも見られた。

             (2012・1.22)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コラム3.   ウリマルのシャワー (2012・1・21 作)

2012-01-22 00:11:54 | 日記
 コラム3.  
「ウリマルのシャワー」
                       
 今日は久々に「ウリマルのシャワー」を浴びてきた。大阪朝高学区制初級部児童たちのウリマルの口演大会だ。

 教科書朗読(高学年)、お話(低学年・高学年)、才談(低学年・高学年)、演劇(低学年・高学年)、歌とお話のアンサンブル(低学年・高学年)の9演目に東大阪、中大阪、南大阪、北大阪、大阪第4、生野、城北、福島、和歌山から233名の初級部の子供達が参加した。

 低学年は大阪の口演大会で終りだが、高学年は西日本中央口演大会の予選も兼ねる。 久しぶりの雨の中、子供達が東大阪朝鮮中級学校講堂での開会式に元気に参加した。

 各初級学校では2月はじめに行われる大阪府マラソン大会の練習、口演大会の練習の二手に分かれ、3学期早々から校内が熱気に包まれる。この時期は気候の関係もあって嫌なインフルエンザがはやる時期でもある。先生方は手洗いとうがいを口がすっぱく言い続けるが、肝心な時に必ずひとり、ふたり風邪や高熱などでお休みする子供が出る。まさに3学期の風物詩だ。

 40年以上審査に関わっているが、私は口演大会がとても好きだ。一生懸命ウリマルをしゃべり、演技をしている子供達を見ると、ぎゅっと抱きしめたくなる。

 今年は演劇部門の審査をしたが男の子達が特に目立って成長していると感じた。各学校でウリマルを使おうと、特に口語を使おうと運動を続けてきた甲斐があってか、特に学校間の大きな差も無く審査がとても難しかった。ウリマルが上手な学校では演出や動きが硬かったり、半面、演技は上手だけど発音がイマイチな学校があり一長一短である。

 競演が始まると各会場は保護者で一杯になる。ビデオを撮っている保護者、シャッターを切っている保護者、右を見ても左を見ても保護者達だ。教え子達が親になり自分の子供の応援をしている姿を発見するとき駆け寄って握手をしたくなるほど嬉しい。教え子の子供達を審査する喜びはひとしおだ。ウリマルを通して繋がりを感じる瞬間だ。

 子供達のウリマル水準を向上させるためにはウリマルを使う空間を作ってあげることが何よりも大事だ。1、2世たちとの交流会やインタビュー、又ウリマルでの作文や詩の創作なども良い方法だ。特に口演大会に向けての集中訓練は子供のウリマル水準を向上させる為にはとてもよい方法だと思う。

 口演大会出演を機にウリマルがとても好きになった子、声優になったり演劇俳優になりたいと思う子供達も少なからずいる。最近国際線のスチューワデスになった教え子も日本語、英語は勿論、ウリマルが上手であった事が選ばれた大きな要因だと聞くととても嬉しい。子供達がウリマルを通じてどんどん大きな世界に羽ばたいてくれることを切に願う。

                 (2012・1・21)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする