1月27日、23日に続いて大阪地裁に行って参りました。
いつも同じ東成の3人の同胞の方々と待ち合わせをして一緒に行くのですが、おひとりは私よりもずっと高齢の方です。
10時に待ち合わせをしたので、私は9時半には家を出ました。家から北浜の大阪地裁に行くのですが、私の自転車は電動ですが、ハルモニの普通の自転車で、寒空の下、40分以上自転車をこぎ続けるのは大変なことです。でもいつも「大丈夫です。」と仰るハルモニ!頭は下がりっぱなしです。孫たちの未来のため、今日も頑張るハルモニを見ているといつも胸が熱くなり、もっと頑張らねばと心の底から思えます。
今日も別館前には大勢の方が見えられ抽選になりました。私は今回も無事中に入ることができました。外れた方々も202号室の前で立ちつづけて裁判を見守っておられました。
今日も藤永先生の解説を転載させていただきます。とても分かりやすいです。
「 先週に引き続き、今日は大阪の朝鮮学校「無償化」裁判の第5回口頭弁論が開かれ、原告側弁護団が陳述を行いました。原告側は、朝鮮学校の「無償化」適用除外が政治・外交的判断にもとづいた措置であったことを丁寧に論証したうえで、朝鮮学校と朝鮮総聯との関係は被告(国)の言うような「不当な支配」にはあたらないと主張しました。こちらも議論がだいぶ進んできましたので、争点について、今回の陳述を中心にメモしておきたいと思います。
「無償化」除外についての、現在の国の立場は、さる1月7日の下村文科相の次の発言にコンパクトに示されています。
「朝鮮学校については、朝鮮総連と密接な関係があり、教育内容、それから人事、財政にその影響が及んでいることなどから、「法令に基づく学校の適正な運営」という指定基準に適合するということには当てはまらないということが1点。それから、省令改正により指定の根拠となる規定を削除した。このことによって、昨年2月20日付けで不指定処分を行ったということで、この処分を変更する予定はありません。」(下村博文文部科学大臣記者会見録、http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1343111.htm)
つまり不指定の根拠は、2点からなっています。第一は、朝鮮総聯との「密接な関係」が教育基本法第16条に言う「不当な支配」に相当するので「指定基準に適合」しない、というものです。ちなみに教育基本法第16条の条文は次の通りです。
「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。」
なお根拠の第二は「指定の根拠となる規定を削除した」からというものですが、「省令改正」はそもそも朝鮮学校を排除するための措置だったのですから、原因と結果を転倒させた、「なめとんのか!」と言いたくなるような、まことにふざけた物言いです。
それはともかく、下村文科相は上に見られるように、「無償化」排除の理由として、いわゆる拉致問題などの政治・外交問題を掲げることを慎重に避けています。しかし今回、原告側弁護団は政治・外交問題こそが「無償化」排除の理由であったことを論証してみせたわけです。典型的なのは、昨年2月20日の「省令改正」に関するパブリックコメント結果発表の際に文科省が付した、以下のような見解です。
「「外交上の配慮などにより判断」しないとの民主党政権時の政府統一見解は廃止した上で、朝鮮学校については、拉致問題の進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることを踏まえると、現時点での指定には国民の理解が得られないと判断するものです。」http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000617&Mode=2
ここでは明確に、「外交上の配慮などにより判断」しないという見解は廃止する、と述べています。この間の経緯を知る者にとっては、「無償化」除外が政治・外交問題によるものであることは、あまりにも明白なのですが、原告側弁護団はこの点についての国側主張の矛盾点を明確にし、逃げ道を塞いでおこうとしているのです。
そこで次に焦点になってくるのが、「不当な支配」の問題です。「不当な支配」は本来、戦前の軍国主義教育に対する反省にもとづき、政治や官僚の支配から教育の独立性を確保するための条項でした。ところが被告(国)はこれを朝鮮総聯と朝鮮学校の関係にあてはめてきたため、原告側弁護団は「不当な支配」という概念の客体は教育行政のような公権力であり、朝鮮総聯のような民間団体は客体となりえない、と主張しました。「不当な支配」は、これまで弁護団で慎重に議論を重ねてきた論点ですが、今回やや踏み込んだ解釈を示したようで、私も勉強が必要です。議論の行方を注目しておきたいと思います。」
裁判終了後、いつもの弁護士会館前での報告会です。今回も金星姫さんはじめ新たに弁護団に加わった3人の弁護士さんが紹介され歓声が上がりました。
報告の内容は藤永先生の解説をお読みくだされば良くわかると思います。
報告後、3月2日に母校を巣立つ二人の女子朝高生が、裁判を傍聴した感想と自分の想いを静かに語りました。神妙な面持ちで聞いていらした皆さんの表情に少し笑顔と精気を感じました。彼女たちの存在は、申し訳ない気持ちと、これからも頑張るぞという二つの気持ちをしっかり持たせてくれました。コマッスムニダ。
次回の無償化裁判は4月11日11時と決まりました。
先日行われた助成金の裁判は次回3月26日11時です。合わせてご参加くださいね。
すべてが終わった後「火曜日行動」の4人の仲間と一緒に弁護士会館内の食堂で昼食を摂りました。
私以外は3人とも日本の方ですが、1年半の間、毎週会ってきたので、もう姉妹の様です。無償化除外は私たちの胸に大きな傷をもたらしましたが、この戦いを通じて親友、心友になった我々をどう思われますか?国籍や民族は違っても、人間の尊厳を守るための戦いは大切な新しい心の友を私に授けてくれました。60歳になるまで日本の友人は皆無だった私にとって、本当にびっくりするようなことです。