ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

青春のたまり場

2009-02-21 11:41:15 | 第1紀 生きる
行ってきました。

歌手あさみちゆきさんのコンサート「青春のたまり場~盛岡編~」with野中則夫(Guitar)へ。

時は2月20日、金曜日、6時半開演。
場所は盛岡劇場。

金曜日の夜とあって、ふがいないながら店主であるワタシが店を空けていいのかどうかの道徳心をばさっとぬぐい捨てて駆けつけました。
まあ、幸いというか店の売上にとっては不幸にというか、朝方の大雪で市内も圧雪。
雪は断続的に降っているし、まあ「優しい」従業員たちも「行ってもいいべ」ってな了解を得たわけです。
  (ちなみに店はやはりいつもの金曜日とは違い出足は悪かったですが、ワタシが帰ってからばたばたと常連さんがたに来ていただき盛況でした。やれやれ、ほっと。)

前情報では前売券が売りきれ状態だとか。
はらはらしながら開演45分前の当日券販売時間に到着。

やはり雪で来れなくキャンセルされた電話予約のお客様の件を窓口で前売券価格で販売していただき、当然のように二階の端の席でしたがなんとかゲット!!

開演まで時間もあるしと界隈の有名店、「菊水」に向かう。

「菊水」といえば盛岡人はよくご存じの焼鳥屋さん。
夕方5時の開店前から行列になるという、盛岡ではじゃじゃ麺の「白龍(パイロン)」、「日光軒」くらいしかない行列店。
 (本当に盛岡人は並んでまで食べるという行為をいたしません。これになれると東京などでただただ行列をつくっている方が「軽く」みえてきます。)

幸い雪のせいかおそるおそる開けた「戸」の中のカウンターは、常連さんとおぼしき数名に、土産を待つご婦人。
席を確保できて先ずは安心。

おかみさんがビールはと聞く。
一番搾りかラガーということで、一番搾りを選択。
大瓶です。
600円。

「漬物は」という問いに、お願いしますと。
150円で大根の漬物がたっぷり。
本当にたっぷり。
そしてオイシイ。

焼きは6種。
いずれも「焼鳥」ならぬ「ヤキトン」。

他の地方都市でも同じようなかんじのところが多いと聞くが、盛岡で「焼鳥」といってもこの「ヤキトン」のところが多い。
あるいは焼鳥(モモとかネギ間とか)にまじってヤキトンもあるという感じ。
全てが「鶏」かと思って、例えば「ハツ」なんかを頼むと「豚ハツ」ってな事も「普通に」ある。

「シロ」二本、「ウラニク」一本、「ナンコツ」一本、「レバー」二本、全て塩で頼む。
「タン」「ハツ」は後からと思ったが結局お腹一杯で次回に・・。

常連さんも皆(だいたい一人で来る客が多い)、L字カウンターの奥の高いところにあるテレビを見ながら静かに飲み、食べている。
ひっきりなしに持ち帰りの電話が来るが、一時間待ちとおかみが答える。
おやじは黙々と、黙々と、さらに黙々と焼き続ける。
その姿を見るとなにか精神世界へ引き込まれそうになる。

次から次へと常連客が来るなか、ワタシも黙々と飲み、食べ、大根を頬張り、時間もないし、長居していい店ではないから久しぶりの余韻に浸りながら店を出る。

「盛岡劇場」は開演前でこの雪にもかかわらず多くの人が会場へ向かう。

「菊水」の煙の匂いがまだちょっとコートからぬけず、少しだけ外で風に身を浸す。

で、コンサートは・・・・。

良かった。
やはり無理言って、来て良かった。

内容はそれぞれに想いがあるだろうから、気のついた点を少しだけ「バラバラと」あげる。

火事かななんて思った方もいよう。
開演前からライトの演出のためか、スモークが炊かれていた。
あとで彼女をどのジャンルにあてはまるのかという議論をしたのだが、それはさておいて、ワタシはJAZZとかクラシック系、若かりし頃は「フォーク」(懐かしい響きだな~)のコンサートが多く、演歌とか歌謡系のは全く縁がないから、このスモークには少しばかりびっくりした。(ホルモン屋でいつも煙に巻かれているのにね!!)

客層は驚くことに、ワタシが若い方。
そう、還暦を過ぎたくらいの老(失礼!!)夫婦が多く目についた。

そして「おっかけ」も。
遠くは長野や青森からも来られているらしい。

「あさみちゆき」ちゃんをはじめてみたのは昨年の「IBCまつり」の時だった。
コカコーラのイベントカーのステージで、「ひとり」、ギターを持って唄う彼女の姿に惚れたわけである。
いままでに彼女のような若い女性が「ひとり」でギターを巧みにあやつりながら弾き語りをするのは、かの「フォーク」時代を除けば無かった。

懐かしく感じたのは、西島三重子さんを思い出したからだろう。
学生の頃、吉祥寺でアルバイトをしていた。
ある日、吉祥寺伊勢丹(だったかな?)の屋上で彼女のライブがあった。
屋上の強い風が吹くなか、まばらな観客の前で、「ひとり」ギターを爪弾きながら唄う「池上線」にやはり強く惹かれた。

そして、「あさみちゆき」ちゃんは「井の頭公園」の歌姫である。
なんとなく、つながった二人の共通点、ワタシの感情という心の中にある共通点がさらに彼女に引きつけられる要因となっているのだろう。

さてさて、だからというわけではないがこの盛岡劇場のコンサートはアコースティックギター二本(だけ)で、本当に心にしみ入る流れだった。
彼女はやはりギター弾きであるし、ギターの音色と彼女の声と唄の旋律がとてもいいのである。

だから・・、だから、ここからは全くワタシの勝手な「思い」であるが、彼女は「ひとり」ギターで立って唄うのがいいし、このコンサートでも一曲あったがマイクを通さない生歌・生ギターが一番あっているように思う。

そして、今日のようなもう一本のギター歌伴があるのも、これまたいい。
彼女のアルペジオと、バックの巧みな支えが一体化して旋律を奏でるのが、とてもいい。

だから・・、だから、重ねて言うが全くワタシの勝手な「思い」であるのだが、バックにバンドやオーケストラなんかがある大がかりな仕掛けは少しどうかなと思う。
彼女の良さがかき消されてしまうように感じるからだ。

コンサート会場で「サイン付き」で買い求めた、青山劇場でのコンサートDVDにも少しの違和感を覚えたワタシである。

そして、やはり派手な照明もね。
なんか、植えつけられた先入観のせいか、大きな舞台より、井の頭公園にようにビール箱二つ裏返しで作った即興ステージの方が彼女に似合うような気がするのは、ワタシの誠に勝手な気持ちであります。

休憩が入らずぶっつづけで行われたコンサート。

アンコールの最後に、ようやく「青春のたまり場」。

不肖、齢(よわい)五十とうん歳のワタシ、不覚にも涙してしまいましたね。

う~ん、良かったと、この引きずる余韻を冷ますために、桜山のこのあいだ見つけた店へ。
雪の夜で(ワタシには)幸い他の客もなく、ゆっくりと「鷲の尾」を飲みながら寒い道すがらも冷めなかった心と体の火照りを冷ましました。

期待していた通り、BGMは「竹内まりあ」のベストアルバム。
この店で、カラオケ付きの初盤を聴いて、すぐにレコード屋にかけつけたけど、やはりもう特典つきのは売れ切れ。
しょうがないや、聴きたくなったらこの店に来るかと、新玉の天麩羅、突き出しのおでん、ママさんのお母さんがつけたというおいしい漬物を頂いて、雪が小やみになった桜山のネオンを窓越しに見ながら一人酒を楽しみました。

う~ん、いい一夜でありましたな。

PS:コンサートでの「ちゆき」ちゃん情報。その一、来週火曜日のNHK歌謡コンサートで、「吾亦紅(われもこう)」でおなじみの作曲家、すぎもとまさとさんと彼の作曲である「鮨屋で・」を唄うそうです。 その二、コンサート会場にめんこいテレビのカメラが入っていましたが、(聞き違いかな)26日の10時から彼女の特番をするそうです。ファンの方はお楽しみに。 その三、今日(21日)は井の頭公園でいつものようにストリートライブをするそうですよ。

じゃあ、んだばまだ。きょうは、ちょごっとあっづいののごってだがら、おがしねがったなっは。  ははっ。