トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

風車の見える丘

2020-03-04 23:35:12 | 
旭爪あかねさんの「風車の見える丘」を読みました。日本農業大学に入学後まもない英語の授業で、原子力エネルギーに変わって自然エネルギーで代替はできるかというテーマで5人1グループで話し合うことになった新、靖、拓郎、ゆかり、榛名はその授業をきっかけに仲良くなった。YESと答えたのは彼らのグループだけだったとのこと、教授からいい意味で理想主義者と言われた彼らは、卒業間際に風車の見える丘で風車とともに記念写真を撮った。卒業後、新は土壌改良材を作っている会社の研究職として採用されるが、他社の土壌改良材と比較調査の結果を改竄したりする会社の体質についていけず、2年で退社する。学生時代の恋人ゆかりは農業改良普及員として仕事に励んでいたが、農業をしようとゆかりの地元へ行った新はゆかりに振られてしまう。榛名は夢だった編集者としての仕事を苦労しながらも続けていた。拓郎は農業高校の常勤講師をしながら教員採用試験を毎年受け続けていた。大きな農家の後継である靖は大学を留年した挙句、中途退学して長距離トラックの運転手になり、過酷な労働条件で働いていた。靖は農業を継ぎたくなかったのだ。大学卒業後5年が経ち、新はなるべく農薬を使わない農業をめざして頑張っていたが、まだかつかつの生活だった。拓郎は採用試験に落ち続け、うつ病になり、ゆかりは不倫の恋に悩み、靖は過労から居眠り運転で大事故を起こす。一生懸命なのに不器用に生きてる5人の青春群像です。農学部大学院卒で、人間関係のつまづきから引きこもりになっていたという筆者だからこその小説かなと思いました。おすすめです。
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