9
それを思ってさぶろう老人はこころを安らげることがある。彼は怠け者である。彼は、へなへなな人間である。無様を晒している人間である。勇ましいことなど何もできないへなちょこ人間である。
それでよいようにしてくださっている。だからこそ一道でなければならなかったのである。無碍道でなければならなかったのである。
10
ああ、よかったと思う。「十方無碍」の力量を有しているのは仏陀その人である。無力のわたしを通していてよかったのである。
この仏陀の守護に依拠することによって、生死に悩み苦しむ者の十方が無碍になるのである。