「目さん、耳さん、口さん、鼻さん、手さん、足さん、五臓六腑さん、こころさん、魂さん、お世話になりましたね。あなたたちのご苦労のお陰で、わたしは幸福な人間をして過ごせました。人間の終止符が打たれる前に、あなたたちにお礼を言います」
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って、言っておくべきだろうなあ、と、ちらりちらり思っています。生涯ずっと休み無し、慰労なし、ペイなしの激務労務に就かせてばかりだったんですから。
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それでも、一言の文句も吐かなかったんですから、ね。ご主人様の健康ばかりを願って、みんな働き詰めに働いて来たんですからね。
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で、そのご主人様が、「わたしは不幸な人生でした」などと言って泣いていたら、悲しいでしょうね、ありったけの力をわたしに尽くして来た彼らは。