「風の授業」 山鳩暮風
生きているみんながそうしているのです
始めから終わりまでたがいを
輝かそう輝かそうとしているのです
「何のために?」「星にするためです」
ここは学校 僕もいます
teacherは丘の上の新しい春の風です
お日様が空と大地を照らしています
おっほん 咳払いが聞こえました
そうです 根源はお日様です
でもそれだけでは終わらないのです
その根源の力がさまざまに作用し合って
力が力を生んで 新しい力を生んで
こんどはみんなの思いの中心核に
互いを輝かそうとする意志が灯ります
万年億年ぶつかり合って火花を散らします
おっほん また咳払いが聞こえました
思いの明るさは増して光のbodyは膨らみ
1000の1000乗倍のルクスになって
最後にはあのオリオン座のリゲルのように
みな美しい星になって自己完結するのです
☆
選評がありました。
「全体が隠喩になっている。生きているみんなが、互いに輝かせ合って、最後に美しい星になる。そんな世界がいつか来るだろうか。詩の中の、爽やかな風に触れたい。
☆
僕のこの詩の作品がN新聞の新春読者文芸大会詩の部門の1席になりました。嬉しいです。選者に200%の理解をしてもらって、嬉しいです。でも、果たしてそれだけの作品になっているかどうか、内心でははらはら、危ぶんでもいます。制限行数は20行です。
☆
仏教では、人はみな最後は仏陀=自己完結者になっていくとされています。最後の最後には必ずそうなるのです。仏陀になって輝くのです。他者を輝かすためです。仏陀になった後からではなく、仏陀になる以前でもそうです。互い互いに輝かし合って明度を増し加えて行くのです。僕はそういう理解をしています。
でもそこまで進んで行く間にはいろいろなドラマを経ていかねばなりません。悲しみにも出遭います。苦しみも引き受けます。そこを経ていかなければ、重力がついていかないためです。僕はそういう理解をして、相反する位置にある自分を慰撫しています。