曇り空をしている。この分では、まもなく雨になるかも知れない。もしかしたらこの僕の内面を、そのまま映し出して見せているのかもしれない。
雨になったってかまわない。外に出ていって何かしようと思ってなんかいないのだから。
時間をやり過ごすために、炬燵に入って数冊の文庫本を読んでいるばかり。面白いとも思っていない小説類を。
時間が祝意を携えて、人々の軒先に訪ねて来ているというのに、僕はそれをないがしろにして、冷たい目でやり過ごしてしまおうとしている。
強い悪意はないとしても、それに準じていないか。
巻き返して前進をしようというような意欲が湧き起こらない。じりじりじりと引き下がる。退嬰に打ち負かせつつ。
むしろ、時が経つのを見守っている。桜の花が咲き出すころになれば、幾分か、状況にも変化があるかもしれない。
ただそれも漠然とした淡い期待に過ぎないのだけれども。
庭の片隅に、日本水仙が、花の咲かない冬場だというのに、ひとり白くひそかに咲いている。スケッチをしたら、気分が紛れるかも知れない。