食道楽は国境をこえて。

フランス・パリでの生活
おいしいものと、楽しいことに囲まれて…

お仕事

2010年11月13日 | ちょっとした事・話
私の職場は、パリのパティスリー

仕事内容は、売り子さん(ヴァンドゥーズ)



お店は、パリの中でも下町(?)な場所で。

“超・有名店”みたいな所ではない。

(味は、私が食べた中でもトップ5に入るけどね)

なので、お客さんの7割はご近所さんか、好きで通ってくださる方



で、初日から、

『やっと帰ってきた~

とか、

『待ってたよ~

なんて、

常連さん達にいっぱい声をかけてもらえて



通勤途中の商店街の皆さんも、私を見つけたら、

『ようこそ~。ココが一番良いでしょう』

『マダム、タイヘンだったんだよ

『日本のお土産は??』

とか、お店に入ってきて、いろいろ…。



あったかいなぁ

人と接することが好きで、食べる事が好きで、お客さんにも恵まれて。

私の中で“仕事=楽しみ”の方程式が社会人になってから、いまだに成り立ってるのはホント、周りの人達のおかげだと思う



と、あまりにもうれしかったので、どこかにこの気持ちを残しておきたかったダケ




そんな今日、1人の日本人のお客様が


日本人のお客様のほとんどの方から聞かれる、

『お店のスペシャリテは何ですか?』

ウチのお店では、“コレです”って、言えないんです

悪い意味じゃなくて、シェフが、あえて、そういうのを考えていないから。

“その時、その方が食べたいものがスペシャル。

なぜなら、ウチのお店のケーキは全部おいしいから”

と、私は、そう解釈しているのだけど。



そうは言っても、何かオススメを聞きたいのが日本人。

(書き方が失礼ですみません

私も、オススメや、いろいろ、皆さんとお話するのが好きです。

悪くとらえないで下さい)



問題はそこじゃなくて、お店のシステムと今日の状態

朝8時にオープンするお店だけど、日本のパティスリーと違って、オープンと同時にケーキがズラッと並んで皆様をお出迎え…

が、出来ないのがフランスのパティスリー

よほどの有名店だったり、取り扱いがケーキだけっていうお店は、もっと開店時間が遅くて。

朝、早くオープンしているお店の多くが、朝食用のヴィエノワズリーやパンの為

当店ももちろんその為。

最初にパン類、その後、順にケーキたちが出て来るわけで…。

ケーキの全商品が出揃うのは、ウチの場合、10時~11時。



で、今日いらっしゃった方は、ご旅行との事で。

彼女の希望は、“スペシャリテ”と、“チョコレート”。

その時点で、ケーキが半分ちょっとしかならんでいなかった

せっかくのご旅行で

わざわざいらして下さったのに、その方にオススメ出来そうな“コレ”というのが、たまたま、いくつも、まだ出来上がっていなく

『ホントは、こういうのもあるんですよ

…と、心の中で叫びながら、ある中でご紹介するしかなく…

これが、個人的に、一番ツライ…。

“売り切れちゃった”は、残念だけど、しょうがない

でも、これがウチのお店の全力じゃないし、おそらく、彼女としても、不完全燃焼に近かったかも…。



旅行でいらっしゃった方に、

『また、次回…』

って、言えない距離がある事は、十分分かっていて。

ああして来て下さったって事は、下調べをして、わざわざ来て下さったんだと思う。




どうする事も出来ないジレンマ…

考えてもしょうがないのかもしれないけど…



楽しい仕事をしつつも、消化不良におちいる事もある





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素敵です (ドロシネア)
2010-11-13 13:22:54
楽しいお仕事にも悩みはあるんですね

でもその悩みは
「お客様のために」という
真心ゆえに生じるんですね

どうらく人さんの温かいお人柄が
お話から伝わってきます

これからもお元気で
素敵なお仕事を続けてください
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おすすめ (chocolaterie)
2010-11-13 15:58:59
パティスリーで働いてらっしゃるんですね。
短い間ですけど私も日本のケーキ屋でバイトしてました。
おすすめって難しいですよね。
スポンジ系が食べたいのか、タルト系なのか、パイ系なのか。
チョコがいいのか、フルーツがいいのか。
それぞれのケーキにいいところがありますから。
返信する
ドロシネアさん (どうらく人)
2010-11-14 00:34:09
お客様に愚痴を言う訳にはいかないし
フランス人にこのモヤモヤを言っても分かってもらえない…
(なにせ、自分主義な人たちなので)
で、ココでグチッてしまいました

せっかく、最高のものを提供出来る環境にいるので、来て良かった、と思っていただく事が、私のやりがいなのです
(しかも、日本語の通じる方・笑)

もっと、パティシエさん達とのコミュニケーションと準備が必要ですね
返信する
chocolaterieさん (どうらく人)
2010-11-14 00:44:02
気が付いたら、こんな所に
小さい頃、“ケーキ屋さんになりたい”って思ってた事がありましたが、まさか、そうなるとは

あの頃の“ケーキ屋さん”って、こういう、売り子さんで、近所のオバサマたちと世間話しながら(?)…
みたいなイメージで、職人さんではなかったんです。

日本人とフランス人のオススメの聞き方とか、好みとか…。
いろいろ違いがおもしろいです
『名に買うか決めてないんだけど』
って言いながら入ってくる人の多いこと
『ケーキでしょ』
って返すと、
『今日はピザ
みたいな

ホント、1つひとつのケーキ、みんなオススメポイントがあるんですよね
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