のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.579

2015-10-02 00:00:55 | 新しい子猫たち 

神三郎が送り出した、腹心の消化器外科の若い医者と事務局の奴は、帰ってきてから、神三郎に、アメリカのエンジェルホープ病院の内情を説明した







神三郎の懸念通り、エンジェルホープ病院は、アメリカでは救貧対策のための医療施設、金もとらず、親切に治療してくれる病院とみなされていたが、決して、高度の医療ができる病院とは見なされてはいなかった







医者も患者を治そうとする心がけは立派だが、優秀な奴よりも優秀とは言いかねる奴が多かった。報酬も決して高いとは言えず、研究の時間もなくて、みんな走り回っていた。心がけは立派でも、日本のエンジェルホープ病院とは大差があった。







事務局の奴も報告した。







集まってくる寄付は思ったより少なく、しかも少額の資金が多い。日本とは比べようもない、かヨコファイナンシャルからの寄付がメインだった。カヨコファイナンシャルの出資している企業でさえ、ほとんど寄付はない。病院経営は決して苦しいとはいえないものの、楽ではない、医師を増員して、高度な医療、研究もできる医療体制をつくれる状態ではない。







神三郎は愕然とした。







そんな病院になっていたとは思わなかった。







神三郎が、結局一回も行かなかった、エンジェルホープジャパン九州病院は、内科主体といいながら、本院から外科の医者も時には送り出し、九州では圧倒的な支配力を持ち、九州全域の開業医たちのネットワークも完備していて、本院とはニュアンスが違うが、立派な病院になっていた。







しかも加代子教からの寄付というか医療費相当額の支払いだけではなく、九州の各企業からの寄付、アジアの金持ち、支配階級からの寄付も多かった







なにしろアジアの偉いさんが定期健診にこの病院を使うのがもはや通説だった。







病院経営も本院と比較しても、劣っている所はなかった







みんな、そうなる筈だった。








神三郎にとっては意外だった。







神三郎は、父親の神太朗に、アメリカのジブ関連企業からの寄付をもらう事は可能ですかと聞きに行った時に少し、こぼした。







九州ではほっておいても上手くいっているのに。







神太朗は、付については、アメリカ代表に秘かにきいてやろうといったが、九州病院についてはこう言った。







神三郎、九州病院は、マチコジブ記念病院からの人が主体だろう、あの病院は、恵おばさんが経営については作ったような病院だよ。恵おばさんは、そんなに単純な人ではない、単に理想こねているだけの人では決してない。そんな、おばさんの薫陶を受けた人たちがする事が、普通の人が簡単にできる訳はない。恵おばさんの指導力はたいしたものだよ。しかもあの元院長は、病院を組織してきた。あの人も単なる名医ではなく、名院長でもある。比べる対象がそもそも間違っているのだよ。







アメリカでのエンジェルホープ病院をお前の考えているような病院にするにはそれなりの工夫と、相当の人間を育成していかないといけないのだよ。



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