のら猫の三文小説

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次平の挑戦 No.18

2012-12-08 11:15:36 | 次平の挑戦

次平一家は、福岡に到着した



福岡につくと、田宮は福岡医院で待っていた。挨拶して、暫く殿様の様子などを話していたが、次平をさらうように城につれていった。

黒田家は先君の道隆は隠居して、若君の黒田道直が後を継いでいた。「お殿様 お元気そうで、なりよりです。」
道直「次平先生に助けられました。田宮は、いつも側にいて守ってくれています。 それにお殿様はやめて下さい。 先生は従四位なんですよ。」
次平「いや 助けたのは、私ではなく、天命なんです。道直殿は天命によって、多くの民を救う運命だと思われます。ご自分だけの身体ではないのです。ご自愛下さい。」
道直「過分なるお言葉を頂きました。心して努めます。父上もお会いしたいと申しております。」
道隆が現れ「道直殿 失礼しますよ。次平先生、長い間お会いしていませんが、相変わらずお若いですね。道直殿 次平先生をお借りしますよ」
道直「お父上 私の悪口はご容赦ください。」



別室に案内して、道隆は言った。「次平先生は従四位なのに、あの時とまったく変わりませんね。道直はあの歳まで生きています。次平先生には感謝の言葉もありません。田宮に聞いてもよく分かりませんと言うばかりですが、道直は大丈夫しょうか。」
次平「田宮から最近のご様子を聞いております。もう異常は感じられないようです。道直殿には申し上げましたが、これは天が生かしているとしか申し上げられません。てもご注意は必要です。」
道隆「田宮にはいつも側にいてもらえるように、御殿医ではなく、家老格の用人になって貰っています。田宮は不満そうだが。 道直には少し早いが後を継いで貰ってたが、もう少し後でもよかったと思っています。」





福岡の医院に戻ると筆頭の福田から説明を受けた。

福田「医師志望の学生は藩命でくる事が多く、毎年多額の寄付を貰っています。郡部への巡回診察でも十分な報酬を頂いている。富裕な町人も一般の方も寄付してくれています。それに鉄平さんの薬種問屋だけでなく、お香さんの福岡事業も拡大していて、今は100人を超えてます。そして働いている人たちの分といって多額の寄付を頂いています。普通の店もそれを見て比べられるので、寄付をしてくれるようになりました。検診担当が二人、医師見習いをつれて検診に回ってます。診療にも十分な体制で望む事ができております。先生のお屋敷で、学生たちを教えています。」、

次平「私が診察した方がよい病人さんはおりますか?」

福田「今特に先生に診ていただくほどの病人はいません。ただ心の病の方がいらっしゃるので、診ていただければ私たちも勉強になります。先生どの程度滞在されますか?」、

次平「奥と子どもたちもまだ元気なようだ 1週間程度いる予定です。長崎へは船が早いかな。」、

福田「ここからならそれほど差はないようですが。奥様とお子さまには、山道よりも船がいいかもしれません。船は10日後に出ます。お疲れでしょうから暫くお休み下さい。3日後から何日か診察して頂けますか?私たちも勉強になります。」、

次平「私は宿にいてますので、何かあったら呼んでぐさい」、

福田「お屋敷は学校にしてしまいました。申し訳ありません。」、

次平「それは私からお願いした事です。」




翌日、福岡藩の家老の大元が宿を訪れた。



大元「次平先生には、始めてお目に掛かります。福岡藩の家老職を勤める大元と申します。お香さんからお手紙頂きまして」
次平「ご家老さんはお香さんをご存じなんですか?」
大元「普請奉行しておりました時にお香さんにお会いしまして、今福岡事業といっております計画の案をお聞きしまして、失礼な事を申し上げました。しかし今は織物縫製工場と鉄工作業場を抱え、100人を超す人が働いておりますし、福岡の産物も多数販売してもらっております。お香さんは季節毎に、ご丁寧な連絡を頂きます。次平先生にもしお時間がありましたら、お香さんの福岡事業を見て頂ければと思い、参上しました。実は、この事業には、私も多少お手伝いしました。私も自慢している事業でもあります。お香さんの福岡事業の責任者に案内させます。」

次平「これは楽しみです。そうだ。奥もお香さんとは友達なんです。つれていってもいいですか?」

大元「勿論構いません。いつが宜しいでしょうか?」

次平「明日でも結構です。」

大元「海岸付近なので、ここからは近くです、では明日の昼すぎにお伺いします。」

おゆきと話を聞いた功一が行くと言ったので、結局三人の子どもが全部付いていった。


大元が自慢するだけあって、大変立派な工場であった。大元は「しかしお香さんはすごい人ですね。十年たらずでこんな立派な工場を作り上げてしてしまうのですから。 私は始めてあった時に、こんな夢のような事は、お香さんのような綺麗な奥方が道楽でやる仕事じゃないと言ってしまいました。ここから福岡の産物や産業が育つと私は確信しています。」と言った。

福岡事業の責任者が説明した後も、「お香さんの指示で、お香さんがこのように変えた等」とお香を誉めていた。福岡事業の責任者は、丁寧で親切に説明して、最初は、誇らしげな顔つきだったが、最後の方ではあまり口を利かなくなっていた。



次平は大元に聞いた。
次平「私たちが来て、お邪魔だったのでしょうか?」
大元「いや 私がお香さん、お香さんと気安く言い過ぎるからでしょう。連中にとっては、大切な人で、お香様とか旦那様とか言っています。他の人が気安くいうと気に入らないのてしょう。私が殿のご命令で他藩の人を案内しても、お香さんと気安い言葉を言いすぎるといつもそうなります。お香さんとは言い過ぎないようにしているのですが、お香さんの夢の原点とも言える次平先生に、お香さんの成果を見せたくて、つい言いすぎてしまいました。」



功一は珍しく目を輝かせて時折、質問したりしていた。おゆきは洋介が走り回らないように気をつけて、みどりは次平の側にじっと付いていた。次平は、思った。「ここでもお香さんは多くの人の夢を私たちの夢に結びつけているのだ。功一はこんな事が好きなのだ。



福岡の医院では、次平が滞在していると聞いて、多くの病人がやってきていた。医師3人が事前に問診し、診断して、次平が診察した。あまり丁寧に診察するので時間が遅くなったが構わず診察した。明らかに軽い病気とか他の病気は筆頭の福田が私ではご不満でしょうがと言って診察した。福田も福岡では名医の評判が高く、病人は納得して帰った。次平は事前に診察した医師3人と診断結果について話あった。福田も同席して聞いていた。



みどりは、こっそり陰に隠れて聞いていた。こんな診察が5日間あった。事前診察する医師は福田が指名していた。



明日長崎行きの船に乗る前に、福田が挨拶に来た。「事前診察した医師には大変参考になったようです。長崎には長くご滞在でしょうか?」、
次平「まだよく分かりませんが、出来れば1年は居たいと思っています。」、
福田「それは石部さんも喜ぶでしょう。長崎に医師達を研修にいかせても宜しいですか?」
次平「結構ですよ」





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