のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.118

2014-05-11 00:00:15 | 新しい子猫たち 

神幸は




結構二枚目であったので、付き合う女の子もコロコロと替えて、フラフラ遊んでいた、所謂女たらしと云うタイプだった。それでも愛がなければ、結婚しないとかほざいていた。






それは冶部一族では普通の事だったので、みんなは結構、寛容だった。相手の女も女子アナだったり、女優だったり、玄人筋だったり、普通の女の子だったりした。






ところが、三人の女と同時に付き合い、手玉に取っていた事が、神一の情報網に引っかかった。玄人筋と旦那がいる女優と旦那のいる女子アナだった。これは冶部一族では大問題となる筈だった。




冶部一族は、女系一族で、女中心に考える癖もあり、相手の女に幸せを与えようと思わない愛、相手の行く末を考えない愛、当座の欲望の解消しか考えない愛は、愛とは言えない、むしろ暴力としか言えないと考えられていた。、






それを知っていた神一は慌てて、なんとか穏便に収めた。結構金も使った。金で解決のつく女だったので、神一が丸く修めた。神太朗やそれ以上の高齢者たちに知れると大変だった。






洋太郎は、すっかり愛の人になっていた。勘当は古い表現だが、冶部一族からは放りだされてしまう。神子は忙しく、神代もしきりに海外に行っていたので、灯台もと暗しでバレなかった。




神幸は懲りずに、まだフラフラとしていたが、突然、関西財界の大物と言われた、松本幸之助の一人娘の令嬢珠子と結婚すると言った。






家電業界は、ジブではあまり関係の少ない業界だった。有村が、松本電産として南アメリカ、インド、アフリカなどに進出する時に相談にのり、それぞれの国の合弁会社に、ジブの資本が入っていた程度だった。そんな合弁会社は、快適の現地法人の力を借りて、大きな会社に育った。それも大分昔の話だった。






松本幸之助は一代で、世界的に有名な、大きな家電会社を築いていた。神幸はそんな資産よりも、純愛だと、ほざいた。神一はそんな事は信じなかったが、松本幸之助の作った松本電産は、一族の銀行にとっても大きな取引先でもあった。珠子は、資産家の令嬢にしては、穏やかなで純情な女の子だった。






神一は、神幸みたいな女たらしと一緒になって大丈夫かと聞きたかった位だったが、ぐっと抑えた神一は、松本幸之助夫妻にも挨拶した。






神幸は、冶部一族の実質的な長男筋でもあり、松本家にも異論はなかった。松本幸之助は、財界の会合で神太朗と会い、神太朗の見識に心酔しており、神一の人間ばなれした天才ぶりには、やや警戒していたが、神太朗の孫でもある神幸と珠子の結婚には喜んでいた






松本幸之助も、独自の情報ネットワークを持っていた。神幸の女癖はちゃんと、知っていた。それでも一応整理しようとしている事も知っていた。リスポンスは早いと云うか、普通の情報網だった。神幸はどうしようもないが、珠子の子を松本電産に入れてなどと取らぬタヌキの皮算用もしていた。






冶部一族と繋がりが出来る事にもなり、早速冶部の里に来て、神一とは簡単に挨拶して、神太朗には丁寧に挨拶した。なかなか会えないと言われる香奈にも会った。松本幸之助は、世間的には初老であって、相当な歳でやっと出来た珠子を可愛がり、松本家は、大資産家ではあったのに、珠子の行く末を案じて、香奈をはじめ、冶部の超高齢の長老たちも出席できるジブホームホテルでわざわざ結婚式を挙げた。






香奈に頼んで、神一の家に近い、豪華高層マンションに、5LDKの大きな部屋を自分たちの部屋として借りたり、ジブシティーにも松本電産のサテライトオフィスを作り、会長室を作ったりした。奥さんの淳子も連れて、よく遊びにきた。段々元気になった。淳子が特に気に入った。






香奈の家の近くのマンションは豪華なマンションの上に、レストラン直属で、ニコニコサービスが、ハウスクリーニングしていた。ほとんど何でもあるジブシティーにも香奈専用のケープルで簡単に行けた。水も美味しかった。それに居るだけで、元気になった。ただ淳子には不満があった。関西の家には、大きな洋蘭用の温室を持っていた。カトレアの栽培に凝っていた。それが気がかりだった。



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