のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.315

2014-11-27 00:00:17 | 新しい子猫たち 
冶部ホテルの支配人

は、小石をもっていってもいいと、文書を出す時には、一応本部に報告していた。

俊子は、冶部ホテルの運営本部にはそんなに行かないが、この時にはいた。ジブトラストの本部がある建物は、ジブトラストだけの建物ではなくて、冶部ホテルの運営本部、毛利貴金属の会長室もあった。昔からあった。

俊子は、文書を出すことには難色は示さなかったが、ある条件を付けた。ダイヤでもルビーでも単に石ころでもいいが、ナニカ見つかった時は、報告してくれ、所有権云々はなにもいわないが情報提供してもらう事を約束してもらえ、文書で出せとは言わない、あくまでも人間としての約束でいいと言っていた。

リトルチャが気に入った小石がエメラルドだったので、もってかえった小石を全て、調査する事になった。法律ゴロみたいな奴も、冶部ホテルとの約束でもあったし、全部、宝石ならば、コイツの付加給にも大きく影響を与えたので、リトルキャットファイナンシャルの社長、リトルチャにも嘆願していた。

リトルチャも約束ならばと言って、ほとんどの小石をオランダの子会社に分析と研磨を依頼する事になった。プーチンは、回りの土砂が欲しいとリトルチャに言っていたので、土砂も送り返す事にした。

従来土砂よりも研磨の時に出るクズのような宝石が必要だったが、全部返せとは建前でクズのような宝石だけが欲しいので、土砂部分はテキトーに処理していたが、今度は完全に全て送り返すように厳命していた。

宝石の研磨は実は時間の掛かる作業だった。もってかえった小石は相当量あったので、全て研磨は出来ないが、できる分だけする事になった。それにある程度大きなものは、オークションにかけたいとも子会社は言った。全ての小石がエメラルドではなかった。8割程度の高い比率でエメラルドだったが、本当に単なる石のものあった。



リトルチャは完全休養の間は、取ってきた小石を集めて眺めていた。なぜか心が暖かくなる感じがしていた。一番気に入った小石を研磨に出したが、それ以外の小石を眺めていた。

チャタロウも完全休養していたので、チャタロウも不思議な事をするなと云った目で眺めていた。リトルチャはチャタロウにも一つ上げようかと言うので、いいよいいよと断ったがあんまり強くリトルチャが言うので、チャタロウの方に跳ねてきた小石を貰う事にした。


香奈もリトルチャとチャタロウが完全休養していて、香奈の家の猫の部屋にいるので、リトルチャとチャタロウと話するいい機会だったし、面談する人もいない日にはゆっくりとお話していて、リトルチャは、香奈にも大きな小石を上げると言った。リトルチャは、宝石の原石かもしれないと冗談を言って、香奈もそうだねといいながら、大きな小石を貰った。

チャもココも同じように、小石を貰った。リトルチャはナゼカ気前よく、小石を周囲の猫たちに分けてあげていた。約束だから、研磨に出す時も、この小石は香奈の分、チャタロウの分などと区別して出していた。


ただ研磨に出さなかった猫もいた。プーチンはむしろ回りの土砂の研究がしたいので、出さなかった。ラッセルは、レンズが本職なので、相当違う分野だったが、自分でナントカしたかった。

ラッセルは、ノリトを小さいビットタロウだと可愛がったので、タマミもラッセルがナントカしたいと思っていたのを知っていて、出さなかった。

ビットタロウもラッセルの孫なので、気を使って、ラッセルに任せた。ラッセルやプーチンに近い、何人、いや何匹かの猫は、ラッセルの気持ちを考えて、ラッセルに頼んだ。

ただ多くの猫たちは、リトルチャが研磨に出すといわれて、出した。元々無理やり、リトルチャから押し付けられたような小石だった。

リトルチャは、香奈の猫の部屋のスーパースターだった。香奈の家の猫たちは、スーパー猫だったが、人間と交渉するのは苦手だった。人間に負けるものかと頑張っていた、リトルチャは、リトルチャグループの人間には命令したし、正人程度とは堂々と交渉できた。


こんな猫はいなかった。リトルチャの三人の子供は、人間相手に相談もし、助言もしたけど、リトルチャみたいに強い命令はしなかった。猫は人間にお願いしたり、相談したり助言できても、命令は出来にくいのだったが、リトルチャはそれが出来た。

ゼニ儲けている事ではなくて、それが、リトルチャが香奈の家の猫の部屋で、みんなから頼られていた本当の理由だった。

例えば、リトルチャグループもチャタロウグループも法的には、リトルキャット運用会社の100%子会社だったが、正人に運営にはまったくタッチしないと約束させたのは、リトルチャだったし、配当として長い間大金を掠め取られていたのを、配当は利益の5%にすると正人と話し合いをつけたのも、リトルチャだった。


リトルチャは出資した金の何倍ももう払っているぜ、いつまで掠め取る積もりと交渉した。しかも受け取った配当の半分は、香奈の家の猫財団基金はもう一杯なので、猫特別基金として、リトルキャット運用会社に貯めておく事にさせた。

この基金は膨大になって、海外の資産会社に貯めていた基金の一部を正人は時々こっそりと、香奈オーバーシーズからの海外向けの融資や出資に回しているとやんわりと、元に戻せと言っていたのも、リトルチャだった。


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