奈津美が社長になって 奨学金に出していた金額に驚いた。社長になって初めて判る巨大な金額だった。香奈オフィスは瑠璃が大きくしていたのに、利益比率は香奈時代よりむしろ少し上げていた。瑠璃はそのままに比率を維持していた。
奈津美は勿体ないとは思ったが、瑠璃のハゲタカが有名になって、公明正大と知られていた奈津美が急遽 社長に 取締役就任と同時に社長、この抜擢劇の裏側には 瑠璃への非難が急速に業界に強まり、香奈が瑠璃を説得して行われたのは、奈津美も知っていた。香奈も瑠璃もまだまだ元気だった。
奈津美には、この比率を変えたり、奨学金を減らす選択枝はなかった。精々この奨学金を渡す相手の選考とその後の指導と相談する財団を各地で作る事にした。それまでは奨学金の給付は、行き当たりばったりのような運営だった。奈津美は組織運営のブロなので、やるなら効率的に思っただけだった。奈津美は常識人ではあるが山師の孫、山師の子なので、その組織維持に必要なゼニは気にならなかった。香奈オフィスは儲けていた。
その後、奈津美は レアメタルの発見とその使用法の発展が進み、それに忙殺されて、山師の子もやっぱり山師になって、奨学金どころの話ではなかった。
レアメタルの香奈オフィスのシェア拡大と他の資源との生産調整などなどがあった。レアメタル事業本部のトップは瑠璃の子飼いで頭が切れた、ソイツとの話も気を抜けなかった
レアメタルでは世界を圧倒している香奈オフィスになって気がつくと、奨学金の額は膨大になっていた。各国の教育システムの中で重要な位置を占めていた。
ただ香奈オフィスは別に国でも公共団体でもなかったし、各地域の香奈オフィスの支社や支店、鉱山などの所縁のものがある地域から先行していたので、各国とも地域毎のアンバランスが生じ、教育システムの運営にも影響が出てきた。
巨額の奨学金が行き渡り、十分な地域とそうではない地域が出来ていた。香奈オフィスは巨大になったが、その影響力について、資源ビジネス以外の奨学金程度で各国に影響があるとの自覚もなかった。
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