のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.114

2014-05-07 00:00:05 | 新しい子猫たち 

香奈、引退撤回





香奈は、引退を撤回して、正子もマリアも引退を撤回した。ジプトラストの基礎を支えた人は、のんびりでもまだ自分のペースで取引していく事になった。



正子もマリアも香奈の影のようにして、自分たちの手法で運用していく事を拒否しているものではなかった。正子には、大きくなったカミカミと云う自分の財産管理会社があり、マリアにも、それぞれ大きくなっていた香奈海外と本当に自分達の財産管理会社のようなマリアホープがあった。



何も運用手数料だけをもらい、利益の大部分を取られるジブトラストでの仕事を積極的にする必要もなかった。香奈が、香奈国内と言う大きな組織を持っていながら、ジブトラストの仕事をしているので、それに従っていた。神子や神之助も密かにそんな事を考えていた。



もうジブトラストを支えてきた多くのメンバーには、自分たちが自由に取引できる自分達だけの会社があり、それぞれ資金力も持っていた。潜在的な遠心力がいつも存在していたのが、ジブトラストであった。香奈という存在が、その遠心力を押さえていた。神太朗が、香奈に引退を撤回する事を願ったのも、そんな事も考えていたのもしれない。香奈はジブが統合している一種のシンボルだけでなく、大きな接着剤のような存在でもあったのも知れない。


正子は、よく知っていた日本の先物を、マリアはヨーロッパ先物を自分のペースで続けていった。売りの正子は日本の先物の売りの時期を模索して、マリアはヨーロッパ先物を変幻自在に売り買いをしていく事になった。



香奈は、来客と面談して、ジブトラストとしての方針を神太朗たちと相談したと香奈は思っていたが、実際には香奈が判断して、神太朗たちに伝えていた。神太朗が会長代理になり、通常の業務などの対応をしていく事になったが、基本的なジブトラストの体制は維持されていた。



香奈は半世紀を超え、世紀に近づく、ジブトラストの指導者であり、香奈の判断に異を唱える人は、ジブトラストにはいなかった。よくも悪くも香奈の了解が、大きくなったジブトラスト全体の判断である事には、変化はなかった。




神太朗の判断も、香奈の了解があって初めて権威づけられる事になった。中国の偉いおっさんを含めて、色々な人が香奈に会いにきた。香奈は、のんびりと冗談をいいながら、面談していたが、面会希望は増えていた。香奈に会って、香奈の了解を得られれば、それはジブトラスト全体の決定となった。何も井戸端会議をするために、香奈に会いに来るのではなかった。



古くからの知り合いでは、香奈の元気な姿を見て、安心していた。香奈の冗談で笑っているだけのような会談でも、香奈はナンダカンダと業界の状況を聞き、意見を求めたり、新しい分野への大きな出資話とか、合併話にまで発展する事もあった。



チビ助は、スケジュール管理して、色々な資料をまとめ、時には、企業分析所の報告なども取りまとめて、香奈への参考資料としていた。チビ助は、ジブトラスト社内では、会長側近と見られていた。そして、無理しないようにも香奈に言っていた。