傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

新幹線問題:中国の破綻まで傍観するか、危険覚悟で商売か?

2010-12-12 10:59:49 | ビジネス

「JB-press」が転載の英フィナンシャル・タイムズ紙の記事『技術的優位を得るために「近道」する中国』で、中国の高速鉄道政策を例に、先進技術を持つ大企業が苦々しく思いながらも商売ありきで中国への追随を批判しています。
中国は超大国化への成長が宿命であり、中国の破綻を待つのか、覚悟を持って商売をするのか現場は難しい判断ですね。

記事『技術的優位を得るために「近道」する中国』では、高速車両を製造した中国南車(CSR)は、フロリダ、カリフォルニア両州向け高速鉄道サービスに米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同入札で合意したとし、この高速鉄道は、世界の工場から高度な技術を持つ革新的な経済への転換を図る中国の輝かしいシンボルと。

フィナンシャル・タイムズ紙は中国の政策に先行の大企業の危険性として、

”「だが、高速鉄道は、また別のもののシンボルでもある。すなわち、どんな手段を使ってでも技術的な優位を獲得しようとする中国の決意だ。ここには、西側の技術を手に入れ、ぎりぎり自社技術だと主張できる程度に作り直すことも含まれる。CSRがこの戦略を使ったことで、同社の元提携相手である新幹線の車両メーカー、川崎重工業は痛い目に遭った。

 西側の企業は契約を獲得するために自社技術の詳細を明かさなければならず、後に、そっくりの製品を売る中国国営企業と競う羽目になった。米国の原子力大手ウエスチングハウス・エレクトリックはつい先日、中国に次世代原子炉を4基建設する契約の一環として、7万5000件の文書を提出した。

 これは、中国が追いついてくるまでには数十年間かかるというハイテク企業や産業機器メーカーが抱いていた古い確信を覆すものだ。もし中国がエアコンや冷蔵庫を作る能力と同じくらい簡単に原子力や輸送技術の図面を手に入れられるのであれば、世界中のGEやシーメンスのような企業が危険にさらされる。
」”

と書き、

”「こうした展開は決して偶然ではなく、また、熱心すぎる国営企業が一線を越えたという話でもない。中国は世界の工場から脱皮して経済先進国になりたいと考えており、他者の知的財産を「消化」して近道するために、市場支配力を利用しているのである。国務院のある報告書は「輸入した技術の吸収、同化、再革新」を提唱していた。」”

と、「中国は何の罰を受けることもなく「再革新」をやりおおせるということだ」と報道しています。

フィナンシャル・タイムズ紙は、「イノベーションが外部からもたらされている場合、その国の成長には限界がある」という意見を紹介するが、”「外国企業が団結し、国営企業が技術を手にしたらやはり損害を被る中国民間企業の協力を得ない限り、各社はバラバラのまま征服され続けることになるのだ」”と総括しています。

現場で競争している人間にとっては、中国と何処まで付き合うか留意しながらでも、競合他社には負けたくないという思いがあるでしょうね。
結果的に、中国の「再革新」を増長することになりますね。
中国の「再革新」政策を遂行できるのは、潜在的な国内市場規模もあるが、国家の意思でしょうね。
国家の意思で、注視しなければいけないのは、国家ファンドもありますね。

当方は、本ブログ「国家ファンドは「ハゲタカ」か?、「国策」か?」で、古森 義久氏のコラム「政治的な猛威を振るう中国の国家ファンド」の「中国共産党首脳は、この保有外貨を国家戦略目的に使おうと意図して、発足させたのがCICのような主権国家ファンドなのだ。」と紹介しました。

そして、当時の麻生政府を、

”「世界は、保護主義が台頭してき、国策の国家ファンドで、食料・資源の確保や、経済活動に注視しているのに、日本は、海外には気前良く支援し、製造業は海外生産シフトで国内が空洞化が始まっているのに、麻生政府は、「景気回復」を「錦の御旗」とし、「景気回復」という「免罪符」があるがごとし、15兆弱も景気回復に予算化が政権担当責務とは、日本の社会は、崩壊にむけて駆け足にしている思いですね。」”

と批判しました。

高速鉄道に関しては、本ブログ「中国の新幹線、世界最高の時速486キロ」報道・・・日本の技術立国には何が不足か」で、日本は技術立国が宿命であれば、「ビジネスモデルと標準化を含めた知財マネジメントを促進する政策」が必要と書き、成功者、常識人でなく、異色・異端の人間に日本再生を賭けたいと書きました。

一方、中国の将来不安の論考もありますね。
「WEDGE Infinity」に、石 平氏のコラム『物価急騰の中国 今年の「流行語」はこれ 』では、

”「中国発展改革委員会マクロ経済学会の王建事務局長は中国新聞社のインタビューを受け、「中国国民はさらなる物価上昇に耐える必要がある」と発言して、政府の経済運営の無策のツケを国民に押し付けようとしているが、インフレの亢進=物価の上昇がいずれかの時点で国民の忍耐を超えたところまでエスカレートしてしまえば、その時こそ、中国の経済と社会は未曾有の深刻な局面に直面することとなろう。
少なくともその結果として、今まで31年、貨幣の過剰供給によって支えられてきた中国の高度経済成長が終焉を迎えることは確実であろう
。」”

と総括しています。

当方は、中国の将来不安を感じている人間です。
尖閣沖事件について、本ブログで、

”「尖閣事件は、中国の中華思想か、覇権主義か、民族性かわかりませんが、13億の国民を抱える中国の歪ではないかと思いますね。
中国が、経済成長し、生活レベルが向上するほど、13億の国民を食わせてゆくには、外需で稼ぎ、内需拡充させるほど、格差が拡大し、国民の不満が蓄積されてゆきますね。。
」”

と書きました。

中国13億の国民の生活水準が向上するほど、中国の暴食が地球環境の破壊を加速し、中国政府は、高齢少子化でも超大国化を目指せなければならず、果たして順調に推移するのか疑問なのです。
極論すれば、経済成長が早過ぎたのであり、円熟した超大国になれるか、早熟による破綻するのかでしょうが、判断が難しいですね。

とはいえ、現場の人間は、中国との付き合い方は、悩ましい問題を抱えながら、競争には敗戦はできず邁進するしかないでしょうね。

「追記」

① 大西宏様のコラム『官民で海外からの技術移転を踏み台に成長する中国






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