野田首相が政治生命をかける消費増税法案の成立に、民主党の「中興の祖」の小沢一郎氏は採決に反対票を明言しており、報道には離党・新党成立を示唆し、民主党分裂の可能性を報道。
世論調査によれば民主党は解散できる環境下でなく、民主党は、三党合意もあり、党内に反対意見があっても消費増税法案の成立は確実であり、今後の国政運営を鑑みすれば、野田首相が採決に党議拘束を外す勇断あるかどうかですね。
野田首相の政治生命をかける消費増税法案が小沢一郎氏が反対を明言し、反対票が54名になれば今後の国会運営に支障なり、政局になるとメディアを喧騒していますね。
NHKニュースの記事『民主 離党届けの動きで党分裂不可避か』(6月22日 4時6分)は、
”「民主党の小沢元代表は、消費税率引き上げ法案の衆議院での採決で反対したうえで、離党することも検討する考えを示しました。
小沢氏も出席して21日に開かれた会合にはおよそ50人の議員が参加し、これらの議員の間では新党結成も視野に離党届を準備する動きも広がっており、党の分裂は避けられないという見方が強まっています。
国会は、会期末の21日、衆議院本会議で会期を9月8日まで79日間延長することが、民主党などの賛成多数で議決されました。
そして民主党は、消費税率引き上げ法案などを審議する衆議院の特別委員会の理事会で、来週26日に締めくくりの質疑と採決を行いたいという考えを示しました。
民主党は、委員会で法案を可決したあと、その日のうちに、衆議院本会議で採決する方針で、自民・公明両党もこれを受け入れるとしていることから、法案は、来週26日の衆議院本会議で採決が行われる方向となっており、可決される見通しです。
こうしたなか、民主党の小沢元代表は、21日に輿石幹事長と会談し、衆議院本会議での採決への対応について、「増税先行を認めることはできない」と述べ、反対する意向を伝えました。
そして小沢氏は、みずからに近い衆議院議員およそ50人との会合で、「次善の策として、民主党の外に出ることも考えておかなければならない」と述べ、法案に反対したうえで、新党の結成もにらんで、民主党を離党することも検討する考えを示しました。
小沢氏に近い議員の中には、法案に賛成する考えを示す議員もいますが、21日の会合に出席した議員からは、「法案に反対したうえで、直ちに離党して、新党を結成すべきだ」という声も出ており、離党届を準備する動きも広がっています。
これに対し、輿石幹事長は、「小沢氏の法案についての考えが変わらなくても、今後も一緒にやっていこうということだ」と述べ、採決への対応にかかわらず、党の結束に努める考えを示しました。
執行部側は、離党者が53人以上に上れば、衆議院で与党が過半数を失い、政権運営にも深刻な影響を与えることになるとして、法案に反対したり、離党したりする動きを抑えるため、働きかけを強めるとともに、厳しい処分は見送ることも検討しています。
ただ野田総理大臣に近い政権幹部からは、「採決で反対した議員は当然、除籍だ」という意見や「小沢氏らの意向は固く、説得にかかわらず離党するだろう」という見方も出ており、党の分裂は避けられないという見方が強まっています。」
と、小沢グループは離党、新党結成の民主党分裂が不可避と報道。
当方は、小沢・輿石会談後、小沢一郎氏は、「次善の策として、民主党の外に出ることも考えておかなければならない」と述べたに過ぎず、輿石幹事長は、”「小沢氏の法案についての考えが変わらなくても、今後も一緒にやっていこうということだ」”と述べ、採決への対応にかかわらず、党の結束に努める考えを示したと採決の賛否に関わらず挙党態勢堅持に注力するという発言に注目しますね。
特に、輿石幹事長は、小沢一郎氏は民主党の最高の貢献者とし、採決への対応にかかわらず、党の結束に努めるとは意味深ですね。
野田首相は、消費増税に政治生命をかけると明言しており、小沢一郎氏は、消費増税反対は「我々の主張が正義であり大義である」と確信しており、もう、どちらかが降りることはできないですね。
問題は、党議拘束があるから、除籍処分、離党・新党の民主党の分裂が不可避とメディアが喧騒しているのでしょうね。
世論調査では、野田内閣の支持は20%台の程度で、消費増税の賛否は反対が多く、政党支持率は、民主党は自民党より低支持であり、常識的に考えれば、野田首相が解散できる環境にはありませんね。
早期解散すれば、民主党が第一党になることはありえず、野田代表が次期首相に選出されない状況下では早期解散はないですね。
早期解散を画策した自民党は野田首相に消費税増税の助け船をだし、三党合意したが自民党も読み間違えしましたね。
小沢一郎氏の「増税する前にやるべきことがある」などとして、消費税率引き上げ法案に反対する考えには、世論は好感しているが圧倒的な多数意見ではなく、マアー、小沢一郎氏への生理的な嫌悪観が潜在しているのでしょうね。
先の2009年総選挙で、「国民の生活が第一」を期待し政権交代を実現させたのは事実であり、次期選挙では、民主党は大敗北するのは確実であり、更に、消費増税賛成議員には大飯原発再稼動賛成派と同質と見なされ苦戦するでしょうね。
野田首相は、11日の衆院の特別委員会で、「自公民の修正協議が整い、衆院で法案採決の段階になれば、民主党は当然、党議拘束がかかる」と発言しており、採決への党議拘束は既成事実とし、メディアは論評していますが、当方は現下の環境を考えれば、野田首相・輿石幹事長・小沢一郎氏との三者会談で党議拘束は看板だけでお咎めなしもしくは軽微で合意したのではないかと邪推しますね。
確か、野田首相と小沢一郎氏との会談では、小沢一郎氏は野田首相が野党と事前協議は当然と了解しており、21日の民主党両院議員懇談会で、野田首相は、”「昨年の代表選後に、私は「ノーサイドにしましょう、もう」”、”「一つ一つみんなで力を合わせて乗り越えていきたい。それが私の思いだ。今日も闊達の議論をいただき、真摯に皆さんの声を聞かせていただき、一定の時期には結論を出して、力を合わせて乗り越えていく、そういう政党をぜひ作りたいと思っている」”と発言し、懇談会は最終的には「野田代表(首相)と輿石幹事長に対応を一任したい」と宣言し、終了した。
そして、昨日、輿石幹事長・小沢一郎氏が会談し、小沢一郎氏は、「次善の策として、民主党の外に出ることも考えておかなければならない」と発言し、小沢一郎氏にとっての最善策は、ここに至っては、消費増税関連法案が採決は反対票を投じてもお咎めなし程度の軽微な処罰と読み、”「我々の主張が正義であり大義である」”と強調したのでしょうね。
輿石幹事長の”「小沢一郎氏は政権交代の最高の貢献者」”とし、”「採決への対応にかかわらず、党の結束に努める」”の発言は、党方針として消費増税法案の採決は賛成とするが、反対票を投じても寛容に対応するという意味でしょうね。
要は、野田首相が政治生命をかける消費増税法案を成立させ、民主党の中興の祖の小沢一郎氏をたてるには、党議拘束を外すことがベターであるが、現時点では党議拘束を外すことは修正協議案の三党合意した自公に疑心暗鬼を与え、党議拘束をかけるとしたまま採決するのが賢明で、小沢一郎氏の離党・新党などは虚像でしょうね。
マアー、小沢グループが反対票を投じると明言している40数名の議員の数が影響力をもっている現実も大きいのです。
自民党は、「小沢を切ったら協議のテーブルにつく」とか、社会保障を国民会議で検討しようとか、小細工の策に溺れ、野田首相の延命に助け舟を出したことになりますね。
政権という最大パワーゲームに、小細工は通用しないのです。
常識的に考えれば、野田首相にとって消費増税法案が成立できれば良く、早期解散で元も子も失う馬鹿な決断などしないのです。
問題は、ネジレ国会運営で残余の重要法案の成立をどうするかであり、21日の議員懇談会で発言した挙党態勢堅持に注力するしかないのです。
本ブログ「野田首相が消費税増税を実現には、小沢無罪で小沢重用しかない(雑感)」(2012-03-03)で、野田首相が消費税増税を実現させ野田政権を安定化させるのは、小沢一郎氏の無罪と重用の策しかないと書き、本ブログ「野田首相:自己矛盾しても消費増税を強行覚悟は理解不能?・・・別計算があるのか?(邪推)」で、
”「一国の総理大臣が、政権交代前後で税金の問題を、何ら弁明もなく言っている話が真逆であるのは、厚顔無恥であり、貞操観念・政治理念なき人物と酷評されるのは当然ですね。
とはいえ、余りにも真逆が露骨であり、何か、別の深層心理が働いているのでは無いかと邪推します。
「ジバン、カンバン、カバン」も無く、政治家になれるのは、何らかの素養なり、人間的な魅力があったからと考えるの自然で、世間から酷評されても真逆の消費増税に固執するのは、別の計算が働いているとしか思えないのです。
世間では、財務官僚に洗脳されたと短絡的に酷評しているが、それでは、余りにも単純思考と思えるのです。」”
と書き、当方の考えに近いのが、ブログ「世相を斬る あいば達也」様のエントリー『消費税増税に潜んでいるかもしれない裏事情 野田と小沢の互助感応』であり、あいば達也」様のエントリー『まだまだ続く永田町政局 3党合意の“消費増税法案”は本当に採決できるのか』で、「党議拘束はかけない」と云う落とし処があるような気がしていると書いておりますね。
当方も、党議拘束は表面的に掲げるが、実体は、軽微な処分という野田首相・輿石幹事長・小沢一郎氏との三者会談で暗黙の刷り合わせが出来ていると思いますね。
世論調査で、野田内閣が不支持が支持の倍あり、消費増税は賛否が拮抗しており、野田首相が小沢一郎氏に怨念を持っていても、小沢切りして次期総選挙で大敗北し、第一党の座を失うことは確実の現下に、元も子も失う短絡的な決断しないでしょうね。
小沢一郎氏にとっても、政権交代を実現させたのに、自ら離党・新党設立など本意でないのです。
マアー、党議拘束なく各議員の自らの政治理念で自由投票が理想だが、ここに至っては、表面的には出来ず、結果論として軽微な処罰が野田政権の安定化につながるのです。