「JBpress」の小松 秀樹氏の『貧困化と医療・介護』に接して、「社会保障と税の一体改革」の前に日本社会の変革が先決と思いますね。
硬直化した日本社会の変革は、統治機構の改革しかなく、野田首相の手順重視の政治手法による消費税増税は、現行体制ありきでの個人的な野心の成就でしかないですね。
小松 秀樹氏の『貧困化と医療・介護』で、冒頭部に、
”「国民健康保険(国保)実態調査を見ると、貧困化が進行していることが分かる。2010年度被保険者3920万人の前年(2009年)の平均世帯所得、1人当たり平均所得はそれぞれ145万円、83万7000円だった。
被保険者の平均世帯所得は2008年、2009年、それぞれ、前年より6%、8.2%減少した。2008年9月のリーマン・ショックが弱者を直撃したのである。
1994年度の被保険者の前年の平均世帯所得、1人当たり平均所得はそれぞれ240万円、109万円だった。以後減少傾向が続いた。
1993年の値を100とすると、2009年の人口、名目GDP がそれぞれ102、97とほとんど変化していないにもかかわらず、世帯平均所得、1人当たり平均所得はそれぞれ60、77だった。」”
と、国民の貧困化が進行と記述し、国保被保険者の中には、生活保護受給者より所得の少ない人たちが相当数存在する矛盾を提起し、「高齢化と孤独化」の社会の歪を問題視し、厚労省が推進の特別養護老人ホームの個室化(ユニット型)を現実と遊離していると問題提起しています。
当方は、当初から「社会保障と税の一体改革」に疑問を持ち、本ブログ「社会保障と税の改革は分離すべき・・・その前に、国家の計を」(2011-01-20 )、「野田政権:本題を語らず、副題で「国家の計」を問う未熟さ・・・消費増税は副題に過ぎず」(2012-01-28 )、「消費増税問題:高齢少子化社会が最大の課題・・・「社会保障と税の一体改革」は副次問題」(2012-02-13)で、「社会保障と税の一体改革」の前に、将来の「国家の計」を明示すべきとし、日本社会の課題は、「高齢少子社会」とし、硬直化した日本社会の変革が不可避と書いてきました。
小松 秀樹氏は、現場体験で、”「自己負担分のお金が用意できないので、入院できないという患者が珍しくないのである。」”と社会の貧困化の進行を警鐘しており、野田首相のいう「消費税増税が日本の最大の急務」の社会保障の財源の恒久安定化ではなく、日本社会の変革・統治機構の変革による国民の生活を守る社会変革が最大の急務なのです。
健康保険料については、本ブログ『[週刊現代] 健康保険料の官民格差・・・まずは、保険料率の一元化』で健康保険料の官民格差を問題を提起し、本ブログ「消費税増税の前に、国民の健康体への改革が先決」で、
”「当方の「国家の計」が先決という考えは、現在もかわりません。
ただ、老母の介護の世話をしながら年金生活をしていると、社会保障分野の介護保険のありがたさと国民健康保険料の高額さは辛いという印象をもち、特に、健康体を意識します。
まずは、社会保障分野の医療の改革が先決と実感しています。」”
と、健康保険料の負担が家計には厳しくなると書きましたが、消費税増税も辛いが健康保険料の高額はより辛くなります。
消費税増税を決定する前に、健康保険料の官民格差の解消ぐらいは自公民で決定すべきですね。
野田首相の「政治生命をかける」という「社会保障と税の一体改革」は、長年政権与党であった自民党の失政で日本社会が赤字体質の瀕死状態に陥った自戒が発端で、要は、社会保障を犠牲にする消費税増税による財政健全化案であり、政権交代後に、菅前首相が消費税増税を安請負し参院選で大敗させネジレ国会にさせ、野田首相が財政健全化を錦の御旗と引き継ぎしたにすぎず、自公政権時の社会環境を前提とした「社会保障と税の一体改革」であり、社会の変革も統治機構の改革もない増税に過ぎないのです。
振り返れば、参院大敗と「政治とカネ」の問題が民主党を政権与党病を発症させてのでしょうね。
今日の民主党は自家中毒を発病した幼稚体質を顕在化しているのです。
本ブログ「消費増税:大義は、野田首相の「手順」「必要性第一」か、小沢一郎氏の「国民との約束」か?(追記)」で、野田首相の政治生命をかける「消費税増税」は、手順優先で、なし崩しに必要性第一の論法で、過去を否定せず過去を是認した中庸的な姿勢と批判しましたが、大飯原発再稼動と同質の手順重視の必要性第一であり、社会変革・統治機構の改革もない増税ですね。
昨日の19日の自公との消費増税関連法案に関する修正合意についての民主党の党内手続きを、前原政調会長が政策については一任されていると打ち切り、手続きに瑕疵はないと強弁していますが、野田首相の手続きありき政治手法と同一ですね。
自公政権の失政のツケを手順ありきで消費税増税の盲進は、自公に擦り寄っても個人的な心情の成就に過ぎず、周辺に既得権益の悪智恵者がいるのでしょうね。
小松 秀樹氏の「貧困化と医療・介護」ではないが、社会の現場(介護・看護・医療)では貧困化が進行しており、野田首相の手順ありきの政治手法は政治の貧困化を見る思いです。
もう、国民は、政治に期待せず、我が身第一で耐乏生活するしかないですね。