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ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

思い出のマーニー

2015-04-11 09:10:57 | 映画のレビュー

ついに、「思い出のマーニー」をみることができました。
あのジブリが映画化するって、どんなだろう? と思っていたのだけれど英国児童文学の原作を、ちゃんと「和製」のものにしていることに感嘆。

「思い出のマーニー」は大好きで、原作の本については2度も、このブログで取りあげているので細かいことは書きませんが、ジブリでは、舞台が北海道の田舎町になっているのですね。原作の湿地なんて、日本には似た土地柄なんてないだろうと思っていたけれど……。

ジブリアニメを見て、感心するのは細かい小道具にいたるまで、現実世界のものを忠実に模倣していること。たとえば、主人公の杏奈は絵が上手な少女、というように脚色されているのですが、彼女が使う鉛筆や消しゴムも、ふだんわたしたちが使っている一般的なメーカーのものを、そのままなぞっているのです。 杏奈の札幌の部屋にある、コルクボードも私の部屋にあるものにそっくりで、思わず笑いだしたくなったくらい。 
 
杏奈がお世話になる大岩家のインテリアも、その家の前に広がる野菜畑も、いかにもこんな家ってありそう、と近親感が。そして、マーニーは原作通り、金髪に青い目の少女で、神秘的な感じもそのまま生かされています。原作をよく噛み砕いて消化しているなあ、と思わされたのですが、やっぱり原作の児童文学の香り立つような雰囲気までは再現できなかったよう。マーニーと杏奈という二人の少女の孤独や、ひと夏の交流の夢のようなはかなさが、今ひとつ感じられないのです。

でも、マーニーの住む屋敷や自然描写の巧みさは、やはりジブリならでは! 私は全然、乗り鉄ではないので、本当に札幌から「スーパー特急おおぞら」という列車が出ていて、「岸崎別駅」に止まるかも知らないのですが、本当にあったら行ってみたいです。ここに降りたったら、湿地の中に本当に、マーニーの住む雰囲気ある洋館があって、潮は満ち引きを繰り返しているかもしれません。

思うですが、マーニーの幻(?)が時を越えて、杏奈の前に現れたのも、魅力ある古い洋館という場所があったからでは? 古い建物は、時として不思議な魔法を見せてくれるものではないだしょうか。

大人のヨーロッパ街歩き

2015-04-11 08:48:22 | テレビ番組
衛星放送で、放映されている「大人のヨーロッパ街歩き」という番組が好きである。欠かさず見るというファンではないけれど、新聞の番組欄で目についた日は大体観ている。

題名だけ見たら、お洒落な番組だと思うでしょう? でも、あにはからんや、出てくるリポーターも、あちらの街を紹介する現地在住の日本女性も、ややもったりした格好であんまりファッショナブルといえなかったりする。そして、紹介される街もパリとかローマとかゴージャスな都会でなく、「えっ、名前知らなかった」というくらいの小さな田舎町が多め。

でも、このゆるい感じが何だかいい。人間若いうちは、華やかな外国文学が好きだったりしても、中高年以降は、郷土の歴史とか、お寺巡りに興味を持ったりするようになるなど、しぶ~い趣味になるものである(だから、原則として年寄りと若者は、話があわないことが多いんじゃないかしら)。それと同じで、そんなにパリパリに格好よくなくとも、風光明媚な場所という訳でなくとも、等身大のヨーロッパの田舎町が紹介されていたりして、「あっ、こういう感じってなかなかいいな」と思うのだろう。
それが、大人というもの?(なんか意味違うような……)

紹介される土産店、レストラン――皆訪れたくなるような場所。今も覚えているのだけれど、フィンランドのお店でキャンドルを売っていたのだが、それが絶妙に素敵なキャンドルなのである。北欧の澄みきった空気の中、キャンドルの炎は清らかな輝きさえたたえていた。 

ヨーロッパの街を紹介する地元に住む日本女性の「普通っぽい」感じもグ~。異国に住む人生を選び取り、淡々と日常を生きていく裏側には、どんなドラマが秘められているのかな? と想像も働いたりする。

私も、若い日とは違う旅を、心ゆくまで楽しみたくなった。