ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

夢のサーカス

2014-09-04 17:23:11 | アート・文化

   007

私たちの街にやってきた木下サーカス。そのショーが今日限りで、サーカスが新しい街へ旅立ってしまうという8月の終わり、やっと行ってまいりました。

サーカスに行くなんて10年ぶりではないかしら? でも、赤いテントにタイガーマスクを思わせる大きな看板(このサーカスのショーには、虎なんてでてはこないのですが)があるのも、赤と黄色、青の色彩が楽しくカラフルな感じがする入り口のエントランスも、記憶にある通り。

そして、これがエントランスのそばにあったショーウインドー。ガラスの向こうには、ショーにもお見えするキリンやホワイトライオンのぬいぐるみも顔をのぞかせていて、ショーへの期待がいやでもふくらむというもの。 夢と非日常の世界へ誘われそうな、ショーウンドー!

動物が大好きなせいか、空中ブランコもマジックも、それなりに面白かったのだけれど、印象に残ったのは、動物たちの曲芸。4頭のシマウマが、きちんと整列して、舞台をくるりと回ったり(黒白のゼブラ柄の体に真っ赤なリードがとても綺麗でした)、背たかキリンが、長い首をもたげて、お客さんからおやつを受け取ったり・・・。 思わず微笑んでしまうくらい愛らしい動物たちのポーズ。

でも、サーカス最大の呼び物と言えるホワイトライオンたちの芸を見ている時、何とも言えない悲しさが・・・。 猫のおねだりのようなポーズをしたり、言われる通り、台座を移動したりするライオンを見ていると、故郷を遠く離れ、人間たちの前で、芸をするということが、動物の自然からいかにへだたったものであるかを考えさせられたのです。 私もライオンやシマウマ目当てで、サーカスに来ているのですから、大きなことは言えないのですが――。

2時間のショーが終わり、テントから出たのですが、以前サーカスにやってきた時、白いトレーラーが空き地の向こうに列車のように一直線に並んでいたのを思い出しました。 サーカスの団員さんや動物たちが暮らすトレーラーハウス。 そういえば、その光景が印象に残っていて、サーカスを題材にした短編を書いたこともあったんでしたっけ(「ノエルの本棚」所収の「納屋とシマウマ」より)・・・。 実際に見たことはないのだけれど、白いトレーラーハウスが動物たちを乗せて、新しい街へ運んでゆくさまを想像するのも、楽しいものです。 夕暮れの空の下、淡く輝くテントとトレーラーハウス--それは、夢の国への招待状。