ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

永遠の0

2014-02-07 20:20:18 | 本のレビュー

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文庫300万部を売り上げたという超ベストセラーであります。もっと早く読むべきだったのだけれど、芥川賞取った小説も、直木賞取った小説も面白いと思うことがほとんどなくて、賞が発表されても、本屋で買うことはない私・・・だから、この「永遠の0」もなかなか手がのびなかったんです。

でも、とうとう読むことに。そして、激しく後悔したのは、言うまでもありません。だって、この小説、無類に面白いことはいうまでもなく、素晴らしく感動的なんだもの! 太平洋戦争当時の零戦のパイロットを描いた物語・・・平成の現代に生きる司法浪人生の健太郎が、ふとしたきっかけで実の祖父の軌跡を追うことに。 祖父は航空兵で、零戦で戦ったパイロット。けれど、祖父の戦友を訪ねて回る間、彼が命を惜しむ臆病者であったといううれしくない風聞を聞くことに・・・だが、祖父はそれだけの男だったのでしょうか?

この本を読んでいる間じゅう、太平洋戦争について、ほとんど知らなかったことに気づきました。原爆だとか、東京大空襲だとか、沖縄戦については一般的な知識はあったのだけれど、零戦という最高の戦闘機についても、ラバウルやガダルカナルの戦いについてもほとんど知らなかった・・・恥ずかしい。

「永遠の0」でも、繰り返し描かれていますが、かつての軍部は兵や零戦の搭乗員の命を消耗品として駒のように使いました。 

学校を出たエリートの将官たちは、拙劣な作戦を繰り返し、太平洋の利権と兵の命を失ったのです。 そうした人命軽視の発想が「特攻」に結びついたという作者の主張には、深い説得力が。 「特攻」について描かれた章は、心を深く揺さぶられずには、読めません。 この筆力、説得力、物語性--百田尚樹の才能のなせるわざ!

物語の後半、健太郎の前に、祖父の真の姿が浮かび出てきます。 戦時という時代に、一個の人間として強いヒューマニズムと意志を持ち、家族を愛する半面、天才的な腕を持つパイロットとして――ラバウルの大空での激戦や、特攻でのシーンには、日本のために、愛する家族のために戦った男たちの世界が、存分に描かれ、深い感動と悲しみが感じられるでしょう。「新たな国民文学の誕生」という形容も、うなずける傑作。


お茶の時間

2014-02-07 11:37:28 | ある日の日記

   

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春めいて暖かい日が数日続いたかと思うと、ガタッと冷えて粉雪の舞う寒い日。たまには、音楽を聴きながら、ティータイム。辻井伸行さんの、美しい音楽とその名も「モーツァルト」(色々なところのお菓子を食べたけれど、この岡山のお店のクッキーが一番好きです)のクッキーを楽しみつつ、窓の外の雪を眺めています。

考えてみたら、こんな風にセッティングしてゆったり、家でお茶を楽しむこともあまりなくなりました。 でも、お茶というのは、昔から生活の中で一番時間が優雅に流れていく場面だったはず。 いにしえの大英帝国のアフタヌーンティーは無理だとしても、好みのティーカップに、好きな銘柄の紅茶を楽しみたいな。(日本の茶道みたいな、ややこしい作法もいらないですしね)