古墳:探訪

全国の前方後円墳を中心に訊ね歩いています。

和歌山市・将軍塚古墳

2013-06-22 08:46:42 | Weblog


和歌山市岩橋、標高約150mの紀伊風土記の丘公園・岩橋前山山頂にあります。
「前山B53号墳」とも呼ばれています。

全長42.5m、 後円部径21.7m・高さ4m、 前方部先端幅21m・高さ?m の前方後円墳です。

墳丘に葺き石は施されていなかったようです。
埴輪の出土がなく、墳丘に埴輪の配列はなされていませんでした。

前方部と後円部に石室があります。

後円部中央にある石室は、南に開口する結晶片岩で造られた両袖型横穴式石室で、組合式石棺が収められていました。



全長3.32m、幅2.23m、玄室の高さが4.3mあります。
石室は盗掘を受けていましたが、ガラス製小玉・水晶製平玉・銀環・梔子(くちなし)玉・須恵器・土師器・鉄刀 などが出土しています。
石室は公開されていて、自由に見学することができます。
まず驚くのは、天井が非常に高いことです。
石室内には、1枚の板石による石棚や、石梁1本があります。
石棚や石梁があるのが、ここ千塚古墳群の石室の特徴でもあります。
石梁のおかげで、高い天井が可能になったものと思われます。
玄室の床には、河原石が敷き詰められていて、たまった水を石室外に排水するための溝が廻っています。
公開されている石室の中では最大のものです。

前方部にある石室は、横穴式石室で現在は公開されていません。
結晶片岩で造られ、全長2.4m、幅1.9m、玄室の高さ2.6mあります。
環状の板鏡・ガラス製小玉・須恵器・馬具の破片 などが出土しています。

6世紀後半ころの築造と推定されています。


岩橋(いわせ)千塚古墳群

2013-06-22 08:04:50 | Weblog


和歌山市岩橋、JR和歌山市駅の東約2Kmの標高20m~150mの丘陵上にあります。
紀ノ川下流の南側です。
5世紀から7世紀にかけて造られた円墳を中心とする前方後円墳、方墳などの古墳群です。
前方後円墳は、標高150mの稜線上に並んでいます。


穀倉地帯だった紀ノ川平野一帯に勢力を持っていた「紀氏」とのかかわりが深いとされています。

昭和6年国の史跡に、昭和27年に国の「特別史跡」に指定されています。
国の「特別史跡」の指定を受けている古墳群は、全国でもここと宮崎県西都市にある「西都原古墳群」だけです。
奈良県広陵町にある「巣山古墳」も特別史跡に指定されています。

この古墳群の特徴の一つとして、「石棚」や「石梁」をもつ独特の横穴式石室が挙げられます。
そのほか 竪穴式石室や箱式石棺(石室は造らず板石を立てる)、粘土槨等もあります。
   箱式石棺

昭和46年(1971年)8月、和歌山県立「紀伊風土記の丘」博物館が、岩橋千塚古墳群の保存・活用・研究・公開 を目的に開館しています。
総面積約65万㎡に及ぶ広大な敷地が博物館の施設になっています。
博物館の外観は、弥生時代の高床式倉庫を模して創られていて、外壁には古墳の石室に使われる青石(緑泥片岩)が貼ってあります。


園内に約430基、周辺の花山地区・大谷山地区・寺内地区・井辺(いんべ)地区 など3Km四方にわたる周辺地域を含めると700基以上になり、その数の多さは全国でも最大規模を誇っています。