和歌山市岩橋、標高約150mの紀伊風土記の丘公園・岩橋前山山頂にあります。
「前山B53号墳」とも呼ばれています。
全長42.5m、 後円部径21.7m・高さ4m、 前方部先端幅21m・高さ?m の前方後円墳です。
墳丘に葺き石は施されていなかったようです。
埴輪の出土がなく、墳丘に埴輪の配列はなされていませんでした。
前方部と後円部に石室があります。
後円部中央にある石室は、南に開口する結晶片岩で造られた両袖型横穴式石室で、組合式石棺が収められていました。
全長3.32m、幅2.23m、玄室の高さが4.3mあります。
石室は盗掘を受けていましたが、ガラス製小玉・水晶製平玉・銀環・梔子(くちなし)玉・須恵器・土師器・鉄刀 などが出土しています。
石室は公開されていて、自由に見学することができます。
まず驚くのは、天井が非常に高いことです。
石室内には、1枚の板石による石棚や、石梁1本があります。
石棚や石梁があるのが、ここ千塚古墳群の石室の特徴でもあります。
石梁のおかげで、高い天井が可能になったものと思われます。
玄室の床には、河原石が敷き詰められていて、たまった水を石室外に排水するための溝が廻っています。
公開されている石室の中では最大のものです。
前方部にある石室は、横穴式石室で現在は公開されていません。
結晶片岩で造られ、全長2.4m、幅1.9m、玄室の高さ2.6mあります。
環状の板鏡・ガラス製小玉・須恵器・馬具の破片 などが出土しています。
6世紀後半ころの築造と推定されています。