(右が後円部で、左が前方部です)
和歌山市木ノ本の平地にあります。
和歌山市の北西部、和泉山脈のふもとです。
「しゃかのこし」古墳と呼びます。
全長86m、 後円部径51m・高さ4m、前方部先端幅41m・高さ4m 二段構築の前方後円墳です。
前方部を西に向けています。
昭和63年、この地で宅地開発計画がたてられたため、平成元年から和歌山市文化体育振興事業団による発掘調査が行われました。
第1次調査で南斜面の葺き石が確認され、後円部周辺からはガラス玉が出土しました。
埋葬施設は確認されませんでした。
平成2年9月の第2次調査では墳丘上を広く調べました。
墳丘南側で段築(2段の葺き石)が、前方部南側では造り出しが見つかり、多数の埴輪が出土しました。
円筒埴輪や家形埴輪・蓋形埴輪・囲形埴輪 等がありました。
円筒埴輪は、大阪府岬町の「西陵古墳」出土のものと似ており、同じ工人が造ったものとみられています。
さらに多数のガラス玉や管玉とともに、後円部南側斜面からは「金の勾玉」が見つかりました。
国内唯一の出土例です。(朝鮮半島南部の古墳などからはいくつか出土しているそうです。一新羅の皇南大塚、伽耶の玉田M4号墳など)
長さ1.8cm、頭部径8mm、重さ1.57g、金63~64%、銀35~36%、それに微量の銅の合金製(16金)だそうです。
平成5年4月、和歌山市の文化財に指定されています。
翌、平成6年4月20日には古墳と共に、主な出土品が和歌山県の文化財に指定されています。
調査は、平成3年から平成4年にかけて、第3次から6次にわたって継続され、墳長や周濠、その外側に葺き石や埴輪の立つ外堤が見つかっています。
平成4年5月には、古墳の中心部一帯を和歌山市土地開発公社が買収し、平成17年~18年度にかけて整備工事が実施され、翌平成19年6月、「車駕之古址古墳公園」として開園しています。
調査前までは、人の背丈ほどもあるササ竹や樹木に覆われていたそうです。
現在の墳丘は実際の墳高ではなく、調査で確認された墳丘全体に土を入れその上に芝生を張って保護してあります。
芝生の上には、古墳の形をイメージした石が置かれています。
将来的には、もとの形に復元される予定だそうです。
古墳時代中期・5世紀後半ころの築造と推定されています。
(前方部から後円部をみています)
(後円部から前方部をみています)
なおこの古墳の西側すぐ近くに前方後円墳「茶臼山古墳」があったそうですが、今は消滅していて「木ノ本児童公園」になっています。