日本の「政治」の〈可能性〉と〈方向性〉について考える。

「政治」についての感想なり思いを語りながら、21世紀の〈地域政党〉の〈可能性〉と〈方向性〉について考えたい。

太田竜氏、鬼塚英明氏による〈日本とそれを取り巻く世界〉の描き方から学ぶべきこと

2021-02-24 | 日記

太田竜氏、鬼塚英明氏による〈日本とそれを取り巻く世界〉の描き方から学ぶべきこと

もう〈阿修羅〉から太田竜氏を取り上げた記事が消えてしまった。「瞬間」だから致し方がないとしても、残念。

私からすれば、世の中を善・悪に二分して、自分たちが勝手に標榜するその「善」とされる立場から、社会の出来事に対して、悲憤慷慨するだけの、そしてそれで留飲を下げることができればもうそれで済んだことにしてしまう、あるいは、ひたすら批判だけで、自分たちのビジョンを何一つ示さないだけで終わってしまう記事ではなく、歴史を鳥瞰的に捉える内容の記事に接したいものだ。

今それを言った瞬間に、そのまま私自身に厳しく跳ね返ってくる。この歳になると、それはもうコタエル。何をしてきたんだろうか、と。それ以上に恥ずかしくなるばかり。まぁ、それはそれ、今さら仕方がない。

太田氏や鬼塚氏の歴史を捉える手法のすべてに対して、私は納得してはいない。とくに、ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティに関する話は、正直なところ、私にはまだまだ理解する能力はないし、これは誰かほかの人に頼むしかない。

それはそうだとしても、幕末と開国以降の日本が、明治から大正、昭和、平成、そして令和へと、どのような変遷をたどって北か、また辿らざるを得ない流れに関して、鳥瞰的に描いてくれていたように思われる。

その際、彼らは、歴史を動かす中心に、「ユダヤ金融勢力」を据えながら、その勢力がつくり出そうとする「歴史」の歩みの中で、役者としての日本の演じる、引き受けるべき役割を語っている。日本がその歴史の中に、どのように巻き込まれ、翻弄されてきたかを語っている。

私たちの歴史教育は、戦前と戦後は「断絶」しているとか、いや「連続」していたとか、GHQの占領政策は「冷戦」の開始とともに、「変質」したとか、さらには、戦後の日本政治を語る際に、「護憲・リベラル」の流れと「改憲・非リベラル」の流れ云々と言った具合に、わかりやすく、また都合のいいように、対立した歴史として「二分」して語ってきた。

これに対して、太田氏と鬼塚氏は、それらの対立や区分を論評する作業の前に、まずそうした内容を、すべて含みこんだ、善悪の二元論的な価値判断を回避して、一つの大きな「歴史」の流れを提示している。

たとえば、〈阿修羅〉「総合アクセスランキング瞬間」に掲載されていた〈政治の大変調と憲法軌道<本澤二郎の「日本の風景」(4003)〉において紹介されていた自民党政治を、「清和会」と、「護憲・リベラル」に区分して両者の違いをことさら強調する論に対して、太田氏や鬼塚氏は、日本国内だけに視野を限定すれば、なるほど見事に対立する、真逆に位置付けられる二つの自民党内の派閥グループであっても、ユダヤ金融勢力が創作したシナリオの歴史を演じることにおいては、両者仲良く協力関係にあったということを、教えてくれるのだ。

たとえば、護憲・リベラルに位置付けられている吉田茂や池田勇人と、改憲・非リベラルとされる岸信介、佐藤栄作は、「あの戦争」中に、満州帝国でアヘン取引に仲良く従事して、多くの人間を苦しめたのは「周知の事実?」ではなかったか。

換言すれば、護憲・リベラルは良くて、改憲・非リベラルは悪いといった単純な見方に対して、護憲であろうが改憲であろうが、リベラルだろうが、非リベラルだろうが、ともに相当に大きな問題を抱えているということに、私たちは目を向けるべきなのだ。

お二人の研究は歴史のいわゆる「密教」に関してのものだったのに対して、私のそれは歴史の「顕教」に関わるものであった。最初の頃、私はその「トンデモ」論に驚き、笑うしかなかったのだが、次第に学ぶにつれて、同時に、彼らのユダヤ色を取り除きながら、彼らが言わんとする歴史の見方に慣れるにつれて、私の「民主主義」や「普遍主義」に関する「トンデモ」論と、相通じる何かを感じることができるようになったのだ。(誤解のないように一言。「トンデモ」論と述べているが、そこは推して知るべし。

私は、50歳前後から、すぐ上で指摘した太田氏や鬼塚氏の日本近代に関する見解を、私の「システム」論に至る話とコラボさせながら、新たな歴史(論)を構想してきたのだが、今でもそれが懐かしく思えるのだ。

私は、「ユダヤ金融勢力」というのに替えて、例の〈私の語る「システム」論〉にあるように、「システム」を据えたのだ。

私のその「システム」の枠組みを前提として、その枠の中で、太田氏や鬼塚氏の歴史の描き方と「コラボ」してみれば、一つの大きな流れとその問題点というか宿痾について、さらに理解できるとみている。

付言すれば、私はその際、ユダヤ金融勢力とかフリーメーソン、イルミナティを強調しない、というかそこから直ちに歴史を語ることをしない、というか、そうした情報に関しては自分自身で検証していないので、なんとも言い難いところである。

それでは、こうした太田氏や鬼塚氏、そして私の研究を絡めて世の出来事を見渡すとき、以下に紹介する堤未果氏の最近の著作内容との「つながり」というか「歴史」の流れを理解する上で役立つかもしれない。

堤氏の著作については、ネットで紹介された内容を、そのまま張り付けておくので、すぐ上で指摘した歴史の流れに興味のある方は、目をとおしてほしい。

以下、ネットの紹介、始め)

国連本部・米国野村証券で働いた著者が
アメリカで見たもの

「不当な暴力をなくしたい」という思いから、国連やNGOで勤務。
その後、その思いをよりスムーズに実現するために、お金のルールを方法論として身につけようと、米国野村証券に務めるようになりました。
しかし、一生懸命働けば働くほど、見えてくるのは、マネーゲームに興じる浅ましい人々の姿と、株式会社に乗っ取られたアメリカの姿だったと言います。
そしてそれは、1980年代以降アメリカ型の資本主義に経済構造を変えられた日本にも大きな影響を与えているのです、、、

 日本で巨額のお金が動くところには、
アメリカの民間金融企業の影がある

事実・・・日本人の巨額の貯金に狙いをつけたアメリカの民間金融企業出身のある人物から、経済財政・郵政民営化担当大臣を務めていた竹中平蔵氏に手紙で細やかな指示が送られており、それに付き従う形で小泉政権は郵政民営化を達成した(日本の郵政事業は解体され、ゆうちょ銀行は安全な日本国債での運用を減らし、米系企業の債権や株式の比率をどんどん上げて、アメリカに貢献しています)

 事実・・・運用比率が1%上がると1兆円を超える資金が市場に流入すると言われるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式保有率の上限を撤廃した安倍政権は、運用委託先も大きく変更して、アメリカの民間金融企業を中心に据えた(政権支持率を株価に支えられている安倍政権と、運用受注で年間数億円の手数料が流れ込む外資系金融機関および海外投資家は、この政策に大喜びです)

 事実・・・アメリカの民間金融企業日本法人の元副社長が、15年6月、ゆうちょ銀行の副社長に就任し、今度はソフトバンクの副社長を務めている(ちなみに孫正義氏の二人の娘のうち、一人がアメリカの民間金融企業に勤務しているそうです)

 事実・・・輸入農産物に使われているモンサント社の危険な除草剤「グリホサート」は、ヨーロッパも、ロシアも、中国も買ってくれず、世界中で使用禁止が相次いでいるというのに、ただひとり日本だけは残留基準を現行の5倍から150倍に大幅緩和している(モンサントの親会社・バイエルには、当然のようにアメリカの民間金融企業が融資を行っています)

 事実・・・2018年12月に水道法が改正されたことにより、自治体所有の水道の運営権を企業が買いやすくなるようになった。その水道の運営権売却の規制緩和を決める会議のメンバーの一人は、なぜか利害関係者であるフランス最大手の水企業ヴェオリア・ウォーター社の社員だった(なお、2012年の段階で、アメリカの民間金融企業はヴェオリアを買収済みです)

 政府、企業、金融機関の
「お金」と「人事」を見れば世界が見える

これらは、私たち日本人の生活が、アメリカの企業たちに握られているという事例のほんの一部にすぎません。

こういう「事実」をマスコミが報じることはありませんが、安心してください。政府、企業、金融機関の「お金」と「人事」を丹念に追えば、きっと真実が見えてくるはずです…

詳細は以下の通りです…

株式会社アメリカの日本解体計画?

「お金」と「人事」で世界が見える

※本書は2020年1月に実施された講演内容に最新かつ詳細な情報を加筆修正しています。

はじめに

ウォール街から見た世界

※1.情報を掲載するにあたり、細心の注意を払っていますが、掲載されたすべての情報の内容の正確性,完全性及び安全性等を保証するものではありません。

この街には、ものすごい量の札束が毎年毎年降り注いでいる
ウォール街が世界を動かしている

第1章
アメリカのみならず世界を動かす“神々”

桁違いの年収を稼ぐ花形の職業「ロビイスト」
マスコミは人にフォーカスする
大恐慌前にアメリカを覆っていた狂気が再び息を吹き返した
政界と経済界を高速で行き来する「目に見えない回転ドア」
アメリカのみならず世界をも動かすウォール街の“神”
金融危機を引き起こしたウォール街を誰も取り締まれない
オバマは回転ドア人事を防ぐことができたのか
チェンジの裏舞台では、回転ドアが高速回転していた
メガバンクは税金で救済され、金融業界の責任は追及されなかった
お金の流れと人事を見れば、真の権力構造が見えてくる
アルファベット3文字の怪しい金融商品
多額の報酬に笑いが止まらない人、すべてを失った人

第2章
日本の四大VIP客

※1.情報を掲載するにあたり、細心の注意を払っていますが、掲載されたすべての情報の内容の正確性,完全性及び安全性等を保証するものではありません。

ウォール街が大事にする日本のVIP客とは
郵便貯金と簡保のマネーを開放するための民営化だった
私たちの年金の運用は、半分が株で運用されている
スタートアップ企業に投資するソフトバンクの巨大ファンド
WeWorkはテクノロジー企業か、不動産賃貸企業か
「真っ赤っかの大赤字」に陥ったソフトバンク
ソフトバンクの希望をつなぐ後継者の正体
巨額のお金が動くところには、ゴールドマン・サックスの影がある
日銀がソフトバンクの株を大量に買っている?
「今だけ金だけ自分だけ」が繰り返される
ソフトバンク問題に、アメリカの中枢が関わっている可能性

第3章
株式会社アメリカ

※1.情報を掲載するにあたり、細心の注意を払っていますが、掲載されたすべての情報の内容の正確性,完全性及び安全性等を保証するものではありません。

株式会社アメリカの国旗デザイン
ワシントンD.C.に降り注ぐ大量の札束が見えてきましたか
ウォール街は、共和党、民主党の両方にチップを置く
絶対にクリントンが勝つはずだった……
ヒラリーの本音が暴露された
トランプ政権になって、ウォール街は政治の中枢から離れたのか

第4章
「日本の宝」が売られていく

※1.情報を掲載するにあたり、細心の注意を払っていますが、掲載されたすべての情報の内容の正確性,完全性及び安全性等を保証するものではありません。

株式会社アメリカが狙う「宝の山」
日本の水道が、ハゲタカに狙われている
ウォール街が推す「これから有望になる投資商品」とは
邪魔な法律を取っ払うためには、圧力、交渉のみならず強硬手段も使う
アメリカがいつまでたってもイラクから出ていかない理由
17年前のマスコミの嘘が、トランプ大統領を誕生させた
戦争が、何よりも儲かるビジネスである理由
イラク戦争を始めたのは、石油資源だけが目的ではなかった
イラク戦争を始めた三つ目の理由は水だった
芸能人のスキャンダルの裏側で大変なことが起こっている!?
日本のロビイスト「有識者会議」の正体
日本の水を狙っているのは、アメリカだけではない
命の水を扱う企業が、核のごみビジネスをも手掛ける怖さ
水源だけじゃない、中国が爆買いする日本の土地
世界中で大問題になっている除草剤が日本で普通に売られている
外国企業が参入することは、日本の発展のためになるのか
マスコミを信じるランキングで日本は世界一位
社会の表と裏をしっかり見たいなら、お金の流れを見る
大手マスコミだけじゃない、SNSも大衆操作ツールである
SNSは思考より感情を捉え、冷静さを失いやすい
シリコンバレーの企業は、次第に政治的な存在になりつつある

第5章
ウォール街と対極の価値観を持つ

※1.情報を掲載するにあたり、細心の注意を払っていますが、掲載されたすべての情報の内容の正確性,完全性及び安全性等を保証するものではありません。

デジタル断食のススメ
NHKが何を報道したかではなく、何を報道していないかを見る
ニュースがある事件一色になったら、その裏で何かが起きている
自分の直感を信じる
ウォール街が一番怖がっているもの
助け合いの精神「お互いさま」が、日本人のDNAに刻まれている
「日本売り」を食い止めることは手遅れか
今私たちが心に刻むべき「国家百年の計」とは
「お互いさま」の精神を世界中に広げ、貴重な資産を次世代に残そう

内容を聴いた方の声

※本書は2020年1月に実施された講演内容に最新かつ詳細な情報を加筆修正しています

 「視聴代金以上の価値」

By 船橋キタロウ様

自宅で晩酌しながらのネット視聴でしたが、始まるとすぐに呑むのを止め聴き入りました。私には視聴代金以上の価値がありました。
若いころの私はアメリカの豊かさに憧れていましたが、実態を知れば知るほど、この国にベッタリと盲目的に追従していくことは日本にとってますます危険と考えるようになりました。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「マスコミはもちろん、YouTubeでも流せないのでは…」
By AK様

堤さんの書籍は読んでいますが、それでもかなり濃密でショッキングな内容でした。これは、マスコミはもちろんのことYoutubeですら流せないかなと思います。この講演を全国民が聞いたら、流石に無関心ではいられないと思います。政治もマスコミも一気にひっくり返るんじゃないでしょうか?日本やばい、何とかしないと思いつつ、そこに対して無力な自分。とりあえず、ネットや周りとの会話の中で拡げていくしかないかな。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「堤氏の話は現場で見たリアリティがある」
By funabow様

堤氏の勇気には感服しました。そしてウォール街で直接見聞きしたリアリティが素晴らしい。そこにはどんな人間がうごめいているのか、なかなか知る機会が有りませんでした。感謝します。有り難うございました。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「ショッキングな内容です」
By N.NAKA様

アメリカの主権の実体がウォール街にのっとられていたことが、とてもショックでした。日本の現政権がアメリカべったりでは、グローバル化が進むのは当然であり、日本的なものが失われるのも当然だと思いました。そして、アメリカに追従するために、新自由主義が蔓延し、日本の主権が財務省にのっとられるのも必然のように思います。デフレ脱却という大きな目標のためには、我々一人ひとりが周囲の人に話すなど、できることを行っていき、それを大きな潮流にもっていくことが大切だと思います。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「感激です」
By Kinncyan様

感激です。見事に世界を支配しようとする者が誰であるか? の問いに答えて頂いたと思いました。本当に世界の人々が、この様な視点を持つようになれば・・・と考えます。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「日本への熱い想いを感じました」
By 大石様

情報が凄いのはもちろんですが、クールな話し方の裏にある「日本を取り戻そうという。みんな立ち上がろう。」という思いが伝わりました。私も、もっとアクションを起こさなくてはと思いました。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「具体的な会社の名前があんなに出てくるとは…」
By ふっちゃん様

思った以上につっこんだお話が聞けたので、驚いてしまいました。あんなに具体的な会社の名前も出てくるとは思いませんでしたよ。 お話を聞いていると、もうかなりグローバリストの介入が進んでいるんだなと思いました。でも、各地でその危険に気づいた人たちが、頑張っているのも知っているので、私もできる限りのことをして、日本の国を守らなければいけないなと感じました。堤先生の著書も読ませていただきます。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「もうアメリカという国はない」
By トッポ様

「株式会社アメリカ」は、あまりにもショッキングだった。確かに身の回りを見渡せば、Apple、Amazon、Google、Adobe、Facebook…流行り、便利、カッコいいの代名詞のように近くにあり抵抗なく自分も好んで使っている。これからの近未来にインフラを多国籍企業に牛耳られたら、と考えると恐ろしくなる。水道民営化や種子法廃止による影響を少しでも止められるようにできないものか。日本に起死回生のチャンスはあるのか?頑張ろう日本!

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「情報収集の精密さに感服です」
By チャイヤ様

わずか1時間なのに、内容のすごさに お腹いっぱい。まさに国際ジャーナリストの鑑です。 こんな情報をよく手に入れましたね。未来にむけてとても深刻で・重要な問題です。以前から水道法や種子法の改正工作は三橋先生から伺っていましたが、ロスチャイルドの手下のゴールドマンサックスが日本の政・官に潜り込み法改正の工作をしている事までは知りませんでした。合衆国ももはや巨大国家などと考えていたら本質を見抜けませんね。 それにしても日本の中央はどんな弱みで売国奴的行為をやらされているのかもっと具体的に知りたいですね。 終戦後のドサクサに紛れてGHQが種まきでもしてたのでしょうか?マスコミなら絶対報道しない・国民が絶対知るべき深刻なテーマです。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

 「勇気ある行動、ありがとうございます」
By 鈴木和子様

自分の知識をはるかこえてました。 わかっているつもりでしたが、まだまだ知識不足を痛感しました。恐ろしい現実に69歳何ができるか、今は分かりません。これから探っていくつもりです。勇気ある行動、本当にありがとうございます。

※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。

著者紹介
NYで9.11を目の当たりにし、ジャーナリストになることを決意
国際ジャーナリスト

堤 未果 TSUTSUMI MIKA
2歳で渡米して以来、アメリカは憧れの存在だった。
自由の国で、貧乏でもマイノリティでも誰にでもチャンスがある。実際に住んでみると女性差別やアジア人差別もあったが、それでもチャンスだけは無限にある。そう信じていた。
ニューヨークの大学院では国際関係を専攻し、「不当な暴力をなくしたい」という思いから、国連やNGOで勤務。
米国野村証券に務めたのも、その思いをよりスムーズに実現するために、お金のルールを方法論として身につけたかったからだという。

転機は、9・11アメリカ同時多発テロ。
2001年9月11日。テロリストにハイジャックされたと言われる旅客機が世界貿易ビルに衝突。当時、米国野村証券に務めていて、そのオフィスが世界貿易センターの隣、世界金融センタービルの20階にあった。

テロを目の当たりにした心理的なショックはあったが、ただそれだけでなく、テロ直後にマンハッタンには2000台、アメリカ全体では3000万台の監視カメラが設置されるようになった。会話も盗聴され、インターネットも当局がチェックするように。

対テロ戦争が国の最優先事項になり、テロ対策という名のもとに警察の権限が拡大し、国の体制を批判するような記者やジャーナリストは次々に逮捕されていった。知り合いの大学教授も突然解雇されたという。
 
自由の国だったアメリカが一夜にして“全体主義”国家のようになってしまった。自身が大好きだったアメリカはどこに行ってしまったのか。私が信じていたものは何だったのか。突然起きた変貌に、パニックとなった。

それから日本へ帰国後、物を書くことを決めた。
目の前で私の大好きなアメリカが壊されていることが許せなかった。

そしていろいろなことを調べていると気づいたという。
これはアメリカだけの問題ではない、私のかけがえのない故郷である日本も同じように壊されていると。 

資本主義が進化した、アメリカ発の「強欲資本主義」が、いま自国アメリカだけでなく世界中を飲み込もうとしている。そして日本もそのターゲットのひとつになっている… 

そのことへの怒りとそれらの脅威から地域共同体を守ろうとする現地の人々の想いが、自身が取材を続ける原動力になっている。 

 

(最後に一言)

堤氏の著作は、以前に読んでいた堤氏の著作の内容と、切り口は変わっていない?ように思える。太田氏や鬼塚氏と私と、堤氏の違いは、一言で言えば、堤氏がかつては素晴らしい「自由の国」の米国が存在していたのに、それがある日、突然、醜い姿の「全体主義」の米国となったとみているところ。こうした見方は、あのシェルダン・ヲーリンの米国社会を、「逆さまの全体主義」社会として描く手法と類似している。

米国の自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値は、ある時期までは素晴らしく、それがいつの間にかおかしくなってしまった、もはや米国社会には、民主主義は有効に機能していない云々の見方である。

太田氏や鬼塚氏、私はそのようには決して理解していない。それでは、「9・11」以前の米国、たとえば、日本に開国を迫り、明治以降も日本やアジア諸国をはじめ、ラテンアメリカ諸地域に対する人権抑圧や蹂躙の歴史はどう理解すればいいのか。そのほか、言えば、それこそたくさんある。

そもそも、米国を造ったのは誰なのか、英国との関係は、建国以降の米国にどのような影響を与えてきたのか、等々。しかし、同時に、今日の米国社会で進行している、日本にも密接に関連する深刻な問題の存在を、具体的に教えてくれるのも事実だ。

堤氏の著作をもとに、そこから今度は逆に、太田氏や鬼塚氏そして私の見解を再考してもらえれば、そこから、日本に暮らす私たちが、ひょっとして、もっと深刻な、それこそ開国以降の、そして今日にまで続いている「問題」が見えてくるかもしれない。
 

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