虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

クラッシュ(2004/アメリカ)

2006年11月29日 | 映画感想か行
CRASH
監督: ポール・ハギス
出演: サンドラ・ブロック     ジーン
   ドン・チードル      グラハム
   マット・ディロン   ライアン巡査
   ジェニファー・エスポジート   リア
    ウィリアム・フィクトナー   フラナガン
   ブレンダン・フレイザー    リック
   テレンス・ハワード    キャメロン
   クリス・“リュダクリス”・ブリッジス   アンソニー
   タンディ・ニュートン    クリスティン
   ライアン・フィリップ    ハンセン巡査

 クリスマスを間近に控えたロサンジェルス。黒人刑事グラハムとその同僚でヒスパニックの恋人リア。拳銃を買うペルシャ人の雑貨店経営者ファハドとその娘。黒人青年アンソニーとピーター。地方検事のリックとその妻ジーン。差別主義者の白人警官ライアンと同僚のハンセン。黒人夫婦キャメロンとクリスティン。彼らの人生は思いがけない形で交錯する。

 アカデミー作品賞、脚本賞も納得してしまいました。
 人種差別とか、不法入国、人身売買、殺人…ごっそり詰め込まれていますが、結局は「クラッシュ」(ぶつかり合い)というタイトルの示すものをものすごく感じさせられました。
 一つの事故にかかわる人間たちの、その時点に至るまでの1日を追い、ぎすぎすした社会で人とぶつかり合い、怒り、主張しつつ、それでも人とのつながりを求めてしまう「人間」というものを見せられる。
 教養も財産もありそうな黒人に対して、屈辱的な嫌がらせをする白人警官と、それを嫌ってペアを解消する若い警官のエピソードが端的に示すとおり、人って一つの側面のみで生きる存在ではありえないし、自身でも思っても見ない結果を起こしてしまったりする。
 単に人種だの宗教だけでなく、いたるところで、家族の中でさえ、人は自分の考える枠に当てはめて他者を振り分けていくが実に痛い。
 あくまで誠実なヒスパニックの修理屋はどこでも理不尽な疑いに付きまとわれ、被害者意識に捉われたペルシャ人はちょっとしたことでそれを爆発させる。しかしこの2人にとって双方の娘が共に彼らにとってのエンジェルだったエピソードは、救いだった。本当にほっとした。

 ライアン・フィリップは「リース・ウィザースプーンの夫」という記憶の仕方でしたが、「ゴスフォード・パーク」「17歳の処方箋」「父親たちの星条旗」…素直に評価して注目したいと思います。