虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

バッド・マザーの神話

2006年02月02日 | 
ジェーン・スウィガート
斉藤学監訳  橘由子・青島淳子訳
誠信書房

 この本も軽々に感想を書くのは難しい。
 ジェンダー論のレポートの参考資料を教えて、と言われて未読のものも発掘しようと思って読んでみたのだが、これも腹の立つ本であった。
 内容にではなくて、なんとなく読んで腹の立つ本なのだ。
 女であるのはたいへんだ、と思う。真面目に母をするのも一大困難事である。世の中、子供について母親に押し付けすぎてることを訴えているのだが、母ってこんなに報われないものなら、少子化もいたし方ありませんです。
 母親をする…見返りを求めずただ与える、すべてを犠牲にして子どもに捧げる、そして成長したら上手に手放す…これを本能で女性みんなに備わっているのが当然なんてみなされているのはやりきれない。
 それをすべて備えていないことに罪悪感を持たねばならないこともやりきれない。
 映画「遠き落日」で、野口英世の背中のシカさんを見て、「日本の母とはかくなるものか」と涙する人と「ひえ~~~」と呻く人と両方いて、私は時代が違うから仕方ないけど、そこまで子どもにしがみつかんでも…と思う人間なのだ。

 結局女はダブルスタンダードが何時までも付きまとっていて、どんなに職場で有能であっても、母となる以上は自分のすべてを捧げることを当然だとみなされます。そしてそういう能力は社会的評価の対象外です。
 子どもが少なくなるのも当然といえば当然でしょうねえ。だって、今のほとんどの女の子たち、自分の野心をもつことはあたりまえだと思っています。子どもを持って自分の満足以上に得るものを、現在誰が提示できているでしょうか。