虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

スパニッシュ・アパートメント (2002/仏・西)

2005年01月09日 | 映画感想さ行
L' AUBERGE ESPAGNOLE

監督: セドリック・クラピッシュ
出演: ロマン・デュリス ジュディット・ゴドレーシュ オドレイ・トトゥ セシル・ドゥ・フランス

 パリの学生グザヴィエは、エリート官僚から就職に有利になると勧められ1年間バルセロナへ留学することに。そして恋人マルティーヌと別れを惜しみながら現地へ旅立った。バルセロナに着いたグザヴィエは、当てにしていた住まいが駄目で、機内で知り合った同国人の医者の世話になったり、住居探しに苦労するが、学生たちのハウスシェアに加わる。そこにはスペイン、イギリス、ドイツ、イタリア、デンマーク、ベルギーという国籍の違う男女6人の学生が暮らしていた。

 この、おじさんに見えたり、少年に見えたりするどこかヒヨヒヨした主役、ガッジョ・ディーロの彼だったんですね。これまた映画としてはドカンと来るようなのではなくて、最後まで映像についても、構成でも「雑然」感が抜けませんでしたが、それがこの映画なのかも。コメディでしょうけど、クスクス笑うようなのでもなくて、「ふふ」っと出る程度の笑い。あ、「ミッションクレオパトラ」見てなかったらわからなかったセリフも一つ見っけ。ヨーロッパのことなんて、やっぱり教科書的なこと以外は、私は何にも知ってないです。
 ヨーロッパの統合と、それぞれのアイデンティティのこともちょっと触れられてるけど、あくまでちょっと。お互い集団生活でイライラさせられても、それなりにかばい合い、声を掛け合う、うらやましい集団。
 それ以前がずっとぬるま湯であっただろうと思わせるような主人公グザヴィエは、親切な医者をうるさがり、しかしこの若い(と言っても20代半ば)集団の喧騒に入りたい、と思う。この自分で自分が歯がゆい青年みたいなのが、どこにもいるのね。こういうタイプは自己主張苛烈な欧米では決して流行らないと、まだどっかで思ってました。真面目だけど、恋人とのこともいざというときまで何とかなると思ってたり、甘さ全開な世間の認識も、気が弱いくせに妙に大胆だったり危なっかしい。
 でも最後には好感持ってました。あのラストで「がんばってね」と肩たたきたくなるもの。一歩踏み出すために、ほんとに旅立たなくちゃいけなかったのね。