虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

立ち歩きや破壊行為が、自立した行動になるまで 2

2010-12-20 17:19:02 | 教育論 読者の方からのQ&A
近辺の小学校に図書のボランティアに出かけると、
どの子もリラックスして自然にお友だちと関わることが苦手なのを
感じます。
いっしょに絵本を読もうという流れになると、ひとりの指示役の子が、いっしょにいる子たちに「1ページずつ読もう。ここは、Aちゃん、次はBちゃん、それから私~」と大人のような口調ですることを決めて、
後の子たちは無言のままそれに従っています。
気がかりなのは、それぞれの表情から、友だち同士のいきいきとした気持ちのやりとりが感じられないことです。

他のグループやペアも先生やお母さん役の子ひとりと、
まったく自分の意見を言わずに従う子たちという関わりで過しています。

いっしょにいるから友だちだとは思うのですが、緊張した様子か、疲れたようなだるそうな顔をして何十分も引っ付いています。
高学年の子たちはいっしょにいるのに、それぞれ相手がいないかのように無視していたり、一風変わっている子を指差してコソコソ耳打ちしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
虹色教室ではじめてグループにする小学生たちも最初のうちはこの子たちとあまり変わりがなく
「人と関わるのが不器用だな~」と感じるシーンが多いです。

いっしょに何かして遊ぶということはしないで、いきなりお笑い芸人の真似をして、ぎゃははは~と大爆笑したり、
それぞれ自分ひとりで勝手な遊びをしたりして(といってもひとり遊びなので、1,2分で飽きては次の遊びを繰り返し)
けんかもしないけれど仲良くもないという様子なのです。

どの遊びに誘っても、「え~そんなのつまんない」「そんなの知ってるし」
「え、先生、そんなことも知らないの? ばかじゃないの?」「そんなのやりたくな~い」とぐだぐだ~。
遊びたがらない子どもたちは、勉強にしても、
お家で学習しているそうでよくできる子でも、「勉強きら~い」「勉強いや~」とやる気がありません。

そうした小学生たちが一番喜ぶのは、片栗粉を水で溶いてベタベタのしたものを手で触り続けたり、絵の具の中に何でもかんでもつけてどろどろにしたりすることです。
こうした遊びは感覚受容系を構造化すると言われていて、2歳~3歳の子が非常に熱中するのですが、最近では小学校高学年の子たちも
こうした遊びで長い時間遊びたがる子が多いです。

しばらくそうした遊びをした後は、
子どもたちの遊びは『破壊』や『死』をテーマにした遊びに変わっていくことがよくあります。
積み木で棺おけを作ってハムスターのお葬式遊びをしたり、
物を壊したり、らくがきしたりします。

不思議なのですが、子どもはそうした遊びをしはじめると、だんだん友だちと親しくなっていきます。秘密や隠し事を好んで、宝を部屋の奥に隠して帰ったりします。魔女も好きです。

ちょっとだけタブーの世界で遊んだ子たちは、
いつの間にか、大量の赤ちゃんたちといったイメージを遊びに取り入れます。
ドールハウスの小学校の机は全てひっくり返し、巨大なお母さんの動物に甘えるように人形を配置します。

そうして遊びに誕生や甘えることがテーマとして見えてくる頃には、
子ども同士、本当に打ち解けて幸せそのものといった表情です。
大人の私にもいつも優しい言葉をかけてくれます。
子どもたちはきょうだいのようによくけんかするし、あっという間に仲直りして楽しくてたまらないという様子で笑いあいます。

友だちとリラックスして遊べるようになると、
私が厳しい注意をしても、子どもたちはへっちゃらで、きちんと反省できるようになります。
学習時間にも、集中して実力を出し切ろうとする姿が見られます。

次回に続きます。



web拍手を送る

立ち歩きや破壊行為が、自立した行動になるまで 1

2010-12-20 09:25:23 | 教育論 読者の方からのQ&A
教室の3~5人グループの遊び方や学び方を見守っていると、
ひとつの面白い特徴があります。
幼稚園入園、小学校入学の時期に
共通した子どもたちの遊びや態度のきまった展開の仕方があります。

あるとき子どもたちがとても自立した責任感のある学習者になって、
勉強で自分の力をしっかり発揮するし、
遊びでは友だちと協調して遊べるようになるときがあるのですが、
(もちろん完璧というわけでなくその子の育ちを基準にした成長です)
その前にたどる一連の遊び方の流れがあるのです。

幼稚園の子たちの場合、次のような流れです。
最初、親御さんのしつけ通りの良い子良い子した遊び方をしていた子が、
あるときを境に、おふざけの度が過ぎてきて、
私をポカポカ叩いたり、汚い言葉を使ったり、
物を壊したりしはじめ、遊んでいたかと思ったら、そこらじゅうのものを放り投げて大騒ぎしたり、わざと生き物をいじめる真似をしたりします。
限度を超えて、残酷なほどめちゃくちゃにしてしまうのは、
幼いときからいつもきちんとした洋服を着て、習い事に通い、しつけを徹底されている子が多いです。
お友だちを仲間はずれにしたり、
わざといじわるをする姿もあります。

そうしたとき、注意はしつつも、そうした行動を完全に押さえ込んでしまわず、
子どもがそうした悪い一面を私の前で徹底的に出し尽くすのを待っていると、
今度は、私が座れば、ひざに乗り、
ごっこでは赤ちゃんやペットになって抱っこを求めることが増えてきます。

それを十分に受け入れていると、
友だち同士で遊びはじめますが、
遊びというより、わざと声高に「あははは~」と笑い合って
楽しいんだよという気もちを盛り上げるような様子があります。

そのうち、何かというと、友だちに文句をつけて、けんかをするようになります。そのとき、
私に、「誰々ちゃんはこんなに悪いんだよ~叱ってよ」と訴えたり、
お友だちがこんな悪さをしているとひたすら言いつけにきます。
私に、けんかの成敗をしてもらいたい、友だちを叱ってほしいと頼ってくる感じです。
そこで、私が、「え、★ちゃんが、●●したの。そう~それは大変ね。☆ちゃんはどう思ったの?」「あのね~こんなことがあったんだって。どうしよう?」と子どもたちに問いを返して、
後は子どもたちに解決させていると、子どもたちはお友だちに対して寛容で、
徹底攻撃をすることなく
自分たちで解決するようになってきます。

そうしてけんかの時期を越えると、急速に子ども同士仲良くなっていきます。
上手にけんかができない子は、
お母さんや先生の代役を自分がやって、友だちに注意ばかりしているので、
懸命にがんばっているのに、なかなか友だちと打ち解けて遊べません。

その後は、協力し合って、本当に楽しそうに創造的に遊ぶようになっていきます。
そうなると、私に対しての暴力や甘えはすっかり姿を消して、おやつを「先生もどうぞ」と分けてくれたり、
「さあ、話をきいて。このお勉強をしてみたい子はいる?」と言うと、
「はいはい!」と積極的に手を挙げて参加するようになります。
ちょっとした揉め事は、お友だちの助言でみんなで考えて解決するようになります。

次回は小学生のグループの遊びの展開について書きますね。



分数と小数を学んで(小1の算数クラブから)

2010-12-19 22:46:49 | 算数
分数と小数の学習の様子です。
まず子どもたちに、
「折り紙を8等分できる? 8つの同じ大きさの形になるように折るのよ」
と告げました。
それぞれの子が折れたところで、8分の1がどれだけにあたるのか、8分の3がどれだけにあたるのかを教えて、
折り紙の表に8分の1+8分の4とか、
8分の3+8分の2などの問題を書いて、
裏に答えの分量の色を塗るように言いました。
その後、いろんな数で分数の足し算を練習しました。

(子どもに分数を教えるとき、私は、子どもたちの遊ぶ様子から、分数の意味を正確に理解できるだけの知恵を持っているかをよく観察してから教えています。
たとえば、1本と半分のカステラがあったとして、1本を4分の1ずつスライスしたサイズで3人に配るときどのようになるかを感覚的に理解して遊べるかといったことです。子どもが「4分の1ずつだと半分だと3人分足りないので、1本の方を4つに切るべきだ」といった問題解決に至るようなら分数を教えています)


分数や分数の足し算の理解は直感的にすぐわかるようになった子どもたちですが、
次に、「それでは、折り紙を10等分する形に折れる?」の質問には、ああでもないこうでもないと迷っていました。
ひとりだけ、自分で考えて折れました。
どうして10等分するのがそれほど難しいかというと、
適当に半分ずつに折っていくと、2等分、4等分、8等分、16等分……となって、何度折りなおしても10等分にはならないのです。
折り紙の面を見つめて、どのように切れば10になるか補助線をイメージして
折っていく必要があるのです。

こうした問題が自分で考えられる子というのは、
普段、大人に解き方を教えてもらっている子ではなく、
お手伝いや遊びの環境が豊かで、知識としての学習では他の子よりもできないことが多い場合があります。
けれど、どんなに遅れがあったとしても、自分で考える力がある子の
伸びしろは大きく、
あっという間に数学年分の学習も理解してしまいます。
こうした姿からも、子どもをしっかり自由に遊ばせることの大切さを実感しています。

10等分した折り紙では、「10分の1は0.1でもあるのよ」と教えました。
小数の説明をしていると、ひとりの子が、
「私の身長は128.5cmよ」と言いました。
「そう、そう、小数を知っていると身長や体重のことがよくわかるようになるわよ。みんなは自分の身長や体重がわかる?」
とたずねました。
すると、身長について知っていた子だけ体重について知っていて、他の子はわかりませんでした。
そこで、128.5cmの子と背くらべをして、それぞれの子の身長の予測をたてました。

そんなことをしながら、「12.6と12.58と12.5のうちどれが一番大きいでしょう?」
というクイズに出すと、全員、12.58という答え。
小数第2位は難しかった様子。
それで、ものさしの目盛りを描いて、小数に当たる位置をしるしながら、
1つの幅を10に分けて、そのうちのひとつをさらに10に分けて……
「あ~おしいあとちょっとで……12.6になる!!
という残念な数たちのメンバーについて、子どもたちとおしゃべりしていたら
あいまいにですがわかったようです。

子どもたちがわからないとき、目で見て理解にいたる見本は見せるけど、
自分で気づくまでは解き方は教えず、
そのとき理解しなくても気にせずそっとしています。
大人の早くわからせたいという気持ちは、「わかっているつもり」で
理解する子や、できるかどうか緊張しながら解く子を作るからです。

子どもたち、背くらべが楽しくてたまらなかったらしく、大はしゃぎでした。


web拍手を送る





言い争いから考える(小1の算数クラブから)

2010-12-19 17:25:56 | はじめに
小1の女の子たちの算数クラブでのこと。
「工作でハムスターの学校や幼稚園が作りたい」と言うので、材料の入っている箱から選ばせると、「私これ!」「私これ」と包装紙を何枚も取って床に敷き詰めました。
それから空き箱で学校や滑り台などを作りはじめました。

月1回している算数クラブでは、最初の1時間10分ほどは工作やボードゲームなどで遊んで、
残りの50分は算数の学習をしています。

遊びの内容は子どもたちに決めさせているので、
4人グループのうち、3人は工作を始めたものの、1人の子は積み木のお城作りをしていました。

最初、積み木のお城は部屋の中央で作っていたため、
工作をしている子たちが何度か足を引っかけて、積み木を崩してしまい、
軽い小競り合いになっていました。

「先生~せっかく作ったのに壊される~」
「先生~だって、作ろうと思って後ろに下がったら、積み木があるんだもん」と双方がぶつくさ言うので、

「よく見てよ。積み木を作っている子のスペースと、工作をしている子のスペースは、部屋を半分に分けたところで、半分ずつだから、1対1の比なのよ。
でね、面積は約1対1だというのに、人間の比はどうなの?」とたずねました。

すると、ふくれっつらでけんかしていた子たちが、「1対3!!」と笑いながら答えました。
「面積が1対1のところに、人が1対3で遊んでいたら、そりゃぁ、狭い~ぶつかる~とか言う人が出てくるよね」と言うと、
「じゃ、引っ越ししよう!」と、積み木をしていた子が移動しはじめ、それを手伝う子も出てすっかり仲良しに。それからは部屋を四分割にして、遊んでいました。
少しすると、生まれたばかりのハムスターを大量に箱に入れている誕生コーナー。
ウサギのぬいぐるみのおっぱいを吸ったり、背中に乗っているハムスターたちがいるベビーコーナー。
学校、公園なども作っていき、積み木のお城の子も遊びに参加して、
最終的にセレブになったハムスターベビーたちがお城で過しているというストーリーが展開していました。

教室で学習前に遊ばせているのは、1時間以上創造的に遊んで遊びこむと
学習意欲や集中力や考える力が増すからですが、
それとは別にいろいろと良い効果があります。

遊びの場面で、「ずるい」「おもしろい」「うれしい」「くやしい」といった感情を通して考えた算数の概念は、
子どもが本当の意味で「わかる」からなのです。

それから、遊びの場面で、「こうしよう」「ああしよう」と自由に思いつきを遊びに移す体験をすると、
立体の図や線分などをラフに描いて、自分で考えていくことが上手になってくるからです。

最近の子たちは、問題を読みながら、ラフな図を描いてみるというのが苦手です。どんなに簡単なものもゼロから自分で何かしなくてはならないものに
尻込みしがちなのです。
もし、そうした図を訓練で教えたとしても、ちょっと問い方が変わって
変形した図となると手も足も出ません。

子どもたちに必要なのは、訓練ではなくて、
問題をよく見て、自分の力でイメージして解決していける創造的な力なのです。
それは机に座ってする勉強よりも、友だちと遊び、協力しあい、ぶつかりあい、自分たちで問題を解決するときに身についてきます。

たくさん遊ぶと、より高い視点から物事を眺めて理解する力がつくので、学習効率もずいぶんちがいます。

この小1生たちも、遊んだあとで、2桁かける1桁のかけ算の筆算、割り算の筆算、分数の足し算、小数の大小について教えたところ、自分たちのしていることの意味をきちんと理解して、
すぐにマスターして解けるようになっていました。

この子たち、遊び時間があと10分で終わるというとき、「あ~あと1時間、遊び時間があればいいのに!」「あ~3時間だったらいい」「もう、ここに泊まっちゃおうよ。遊び時間、24時間だよ。ねぇ先生いいでしょ!」と冗談を言いながら、笑っていました。


web拍手を送る

創造力と成長と

2010-12-18 08:14:06 | 教育論 読者の方からのQ&A

先日、小1の★くんのお母さんから、次のような報告をいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近 テレビを購入しました。
いろいろな機能がついているのですが、取扱説明書は厚く読むのも抵抗があり設置された状態でいます。
★はテレビの機能が気になりますが
母がほっておくので、いっきに300pを超える
取扱説明書を読み教えてくれました。

「テレビにUSBでハードディスクを繋ぐと録画できるよ・無線ランのUSBをテレビにつけるとインターネットもできるんだよ・テレビチューナーを使い録画するとデッキにデジタル録画できるよ」と。

エレキットの工作を一人で完成させ、
キロボを作りそのプログラムを書き換え
自分の思うままに動作させたい・ボールを
追いかけさせたい等、
取扱説明書と常に向かい合ってきたことで
300Pを超える取扱説明書も抵抗が無いのでしょうね。
母がずぼらな事も役立っているのかも……。

1年生で読める漢字が限られている中で分厚い取扱説明書に立ち向かうことが
できるのは、簡単に答えを求める学習をしてこなかったことが作用していると
考えています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

★くんのお母さんは、教えたり強制したりせず、本人がやりたがることを適度な枠組みを設けながらやらせてきました。

好奇心旺盛で何でも自分の目で見て触れて考えたい★くんのために、何よりもまず体験を重視して育ててきました。
(年長さんの半ばくらいからは、本人の能力に適したワークの学習も
責任を持ってやらせていました。)

ものづくりに目覚めた★くん。
ブロックの大作作りや電子工作に燃えに燃えて、
説明書を覗き込んで必死に熱中し製作を続けていました。

★くんは、とにかく遊ぶことが大好きです。
放課後はほぼ毎日いっぱいいっぱいまで外で遊んでいます。
外で遊ぶことで、たくましさ、集中力、根気、機転、リスクを背負って立ち向かう心などが育ってきています。
とにかくエネルギッシュなのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
教室では科学クラブの子たちが、毎月、理科工作を楽しんでいます。
ものづくりを通して、高い思考力と観察力、ねばり強さ、知恵などが
身についてきました。
新しいメンバーが加わると、最初の1,2回は、その子だけが、「えー自分で作るの?」「何もしたくなーい」「めんどくさーい」とぶつぶつぼやいては友だちにちょっかいを出しているのですが、
見守っていると、友だちと親しくなるにつれ、お互いの知恵をしぼって
「あーでもない、こうでもない」と自分の手で作っていく作業に夢中になっていきます。
そして、3ヶ月目には、その子らしい個性的な好奇心や長所が、
はっきりあらわれてきて、「自分はこれがしたい」「こんなことがしたい」という気持ちで、製作や実験を楽しみはじめます。
4~5人のグループで親しさが増していく様子を見守っていると、
「子どもって、どんなおもちゃより、旅行よりも、友だちなんだな」
「子どもが好きな遊びは自分で知恵をしぼって、自分でやってみることなんだな」と感じます。



web拍手を送る


幼児の思考力を伸ばす方法  ガイドライン 2

2010-12-17 14:36:38 | はじめに
前回の記事の 就学前の「学習」環境の設定する研究にもとづいたガイドラインの続きです。
この本は、「脳の発達と子どもの行動や学習との関連を調べている発達神経心理学の研究」したもので、
著者のジェーン ハーリーは、神経心理学・認知心理学の研究と臨床に携わっている方です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★心的パターンは感覚連合のネットワークの上に作られる。
感覚的な世界のパターンに注意を向かせるように子どもたちを仕向ける。
たとえば、「これはどんな味がする?」「それは何の形に似てる?」など。

★視覚的なパターンはどこにでもある。「空に映っている木の枝をみてごらん。
まるで木が腕を伸ばしているように見えないかい。絵に描くと面白いかもしれないね」

★順序づける技能を教える。ものを大きい順位並べたり、出来事や単語を覚えたりすることを教える。
因果関係のような抽象的なつながり(たとえば、もしXをすればYが起きる)について話すことも役に立つ。
しかし、就学前の子どもたちは彼らが期待したとおりの順番になるかどうかにこだわるはずである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
教室で子どもたちが遊んでいるとき、自由でリラックスした雰囲気を作ると同時に、感覚的な世界のパターンに注意を向かせる質問や、視覚的パターンに興味を抱かせる言葉をかけます。

また、子どもが興味を持った素材を、順序づけたり、因果関係について冗談を言ったりして、遊びを盛り上げます。

こんな風に私が子どもと遊んでいるとき、
ほとんどの親御さんは、子どもが何をして遊んでいるか、どんな新しい技術をマスターできそうかだけを気にしています。

そのため、子どもがお家でいつもしている遊びを教室でもしたがり、
大好きな遊びですから、
ちょっとした言葉かけで、感覚的なパターンや視覚的なパターンについて
見つけ方や分析の仕方に気づいたり、順序や因果関係に興味を抱くようになっていたとしても、
「それは家に帰ってからできるから、
別のもので遊んだら?」とせかしてしまいがちです。

子どもにいつも知的な目に見える成長を望んでいる親御さんというのは、
「もう字が読めるの?」「もう、~できるの?」
と周囲が感心するような課題には注目するのですが、
もうできていることややっても成長しないように思える遊びは
できるだけ早く切り上げさせようとしています。

その結果、できるようになったことが、ただできるだけに終わってしまって、
頭の中で、より抽象的な概念に情報をまとめていく作業がおろそかになっているのをよく見かけます。

子どもは同じことを繰り返したり、できるようになった体験を横に広げて、同じレベルで「もういい」と自分が納得するまで遊びます。

それは大人の目からすると赤ちゃんぽく映るものもたくさんあります。
でも、それは無駄な時間ではなくて、
作業が子どもの中で統合されていく過程でもあるのです。

子どもが何度も同じことをして、余裕でその遊びに没頭するときには、
感覚的なパターンに注意を向けさせたり、視覚的なパターンに注意を向けさせると、
子どもは頭を使いながらおしゃべりするのを喜ぶようになります。

虹色教室では、2歳くらいから工作もどきの遊びを楽しんでいます。
そうした子たちの育ちを見ると、はさみを切ったり、
粘土をこねたりする活動に熱中したあとで、それまでできなかった課題が急にできるようになるという
成長が見られます。
知的な課題の訓練はほとんどしていないのに、工作遊びの期間に
飛躍的に知性の伸びが見られるのです。
子どもがやりたがることを存分にやらせるとき、子どもの能力は急速に伸びていきます。また、そのとき、大人の適度な言葉かけも大切です。

ペロ嫁の 工作 de 知育な日記NEW! のペロ嫁さんが、
★工作で、親の力の入れどころ & 子供に与える物って難しい・・・
という記事の中で、ひなのちゃんが、工作遊びするうちに、いつの間にかいろんなことができるようになったことを書いておられます。

また、工作をするようになるためのヒント↓も。
★我が家の、子供を工作に誘うコツ & 進化・・・変化?・・・する工作 ^^


maple family の記録のお姫ちゃん(3歳3ヶ月)の工作の様子
の記事も幼児の工作環境を作る参考になるかと思います。
★まちの工作

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少し前に記事に書いたオンライン教材についてご質問をいただいています。
オンライン教材はただいま製作中で、来年の春ごろ発売予定です。



web拍手を送る

幼児の思考力を伸ばす方法  ガイドライン 1

2010-12-16 12:32:43 | 教育論 読者の方からのQ&A
『よみがえれ思考力』ジェーン・ハーリー  大修館書店
の中には、
「就学前の「学習」環境の設定する研究にもとづいたガイドラインをしるしてあります。
たくさんあるので、書き連ねていくだけでは、
どう活かせばいいのかわかりにくいでしょうから、虹色教室での取り組みなどを補いながら紹介していきますね。
(★印です)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★ 六歳以前の子どもの仕事は、
周りの世界を理解する方法を学習することであり、
学習に関わる神経構造が関与しない意味のない教材を丸暗記させることではない。

★ 数や文字などの作業的レベルの学習課題を「教える」ようなワークブック、あるいはそれに類似した市販の「学習教材」を避ける。

★ 遊びの感覚的な側面は言葉でつなぎとめることができる。
それはどんなに見え、聞こえ、嗅い、味がし、感じがするのかたずねる。

★黒板や塗り絵、粘土や砂、フィンガーペインティング、水、折り紙、のり、どろんこが子どもの感覚受容系を構造化し、
さらに成功にさせる助けとなる遊びの素材である。
目を閉じて子どもの混沌とした頭の中で、ニューロンの樹状突起が枝を広げていくさまを思い浮かべてほしい。
              (『よみがえれ思考力』から)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幼児期の脳は急速に発達しています。

その時期に高速に計算や文字情報の処理ができるように訓練したり、
たくさんの知識を覚えこませたりしても、
それは結局、脳に自然に仕組まれたプログラムが作動しにくくなる原因を作るようです。

子どもは自己統合的な遊びを通して身体的そして心的な連結を、
自分のプログラムに従って作り上げていきます。

身近な大人ができるのは、
子どものそうした内側から始まる成長の仕事のサポートです。
幼児期には、見たこと、聞いたこと、触ったこと、身体の感覚などを結びつける前頭葉の機能がまだ成熟していないとされています。

将来役立つという訓練を、この時期に、無理にさせるのは、
道路工事の最中にあせってトラックに荷を乗せて道路を横断するようなものです。
そうして、他より少しでも早く仕事を始めて安心しようとしても、
それに忙しくて、道路工事を放り出していては、後々問題が起こるのは目に見えていますよね。

まったく子どもを放っておくとよいわけではなく、
子どもが自分の道路工事にかかっていたら、
仕事しやすいように環境を整えたり、仕事をする意欲が湧くよう年上の子たちと楽しい活動をさせたりといった大人の援助は不可欠です。

赤ちゃんでも条件付けされて2つの刺激を繰り返されたら、
それをマスターしていきます。

でも、この種の学習は真の意味が欠落していて、
課題に最も適している
皮質領域ではなく、課題の処理に適した不適切な部位を使うことになるそうです。

この問題、幼児だけでなく、小学生の
読み書き計算の徹底反復はよいことかどうか……という問題と
かぶる部分。
確かに、徹底反復で、計算式だけ見たら、
反射的に答えが浮かぶ状態の子が増えたら、全国学力テストの成績は上がるでしょう。
でも、いつもスローステップで、やり方を提示してもらったものしか
やったことがないという頭の使い方はどんなものなのか……?
それって、マニュアルがないと何もできない性質に育たないのか……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★ 日常的な出来事の中で、子どもが関係や意味を理解できるように助けること。
たとえば、子どもがくどくど聞き続ける「なぜ」という質問は、
出来事のつながりをつけたいニードの表現法のひとつである。

★パズルや市販されている教材が視覚のパターン化に役立つだろう。
寄木細工のブロックやドミノ、万華鏡もよいだろう。
「この絵はどこがおかしいんだろう」といった質問は視覚と認知の技能を結びつけることになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
虹色教室では、子どもたちが簡単な実験をしたり、さまざまな積み木やパズルで遊べるようにしています。
そんなとき、ただそれをやらせて上手にするのではなく、
いろいろな問いを投げかけたり、子どもの疑問をいっしょに探求していく中で、視覚と認知の技能が結びつくようにしています。

すると、子どもたちは、ごく普通の遊びの中から
それはさまざまな気づきを得ます。

写真は3歳の男の子と3目並べで遊んでいるところです。
ルールがわかってきて、うれしくてたまらない☆くん。いろんなゲームを次々催促します。

抽象的な思考の段階に達しているのは大人の3分の2?

2010-12-15 21:03:11 | 教育論 読者の方からのQ&A
『よみがえる思考力』ジェーン・ハーリー 大修館書店

に次のような文が載っていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
11歳前後に劇的な心の変化が起きはじめる。
物の世界の習熟を終えて、抽象的な考えの操作へ進まなくてはならない。
具体的な決まり切った枠組みから抜け出し、無限の可能性と多様な視点
へ移行することである。
ある人は、ピアジェのいう「形式操作の思考」である
抽象的な思考の段階に達しているのは大人の3分の2だけだと考えている。
おそらく、抽象的な問題に対して、創造的な答えを生み出すことが要求される「課題発見」と呼ばれる究極の段階に到達する者は、きわめてわずかであろう。
われわれの社会が、そうした能力をもつ人々をもっと必要としていることは誰も異存はないだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うちの子たちも、中学生くらいから急に本格的に
抽象的な思考をするようになりました。

そうしたことを教え込んだわけでも、
そういう読書をうながしたわけでもなく、
思春期に入るくらいから、使う言葉や考える筋道や好みが大きく変わってきたのです。

数学の問題を解くとき、急に大人のようにより高い地点から問題を眺めて、イメージを数式であらわして、自在に操作していけるようになっていきました。
また、高校生になるころには、自分から哲学書やいろんな人の思想に触れたがるようになりました。
受験のために読む現代文の評論に意見したり、それを契機に自分の考えを
深めていく姿がありました。

子どもが抽象的な思考の段階に入っていくのは自然なことで、
脳にあらかじめプログラムされていることなんだな~と感心しました。

抽象的な思考に移行していくには、紙の上で訓練する学習ではなく、
さまざまな遊びや体験や人との出会いといった具体的な活動が重要です。

大人の指示のもとで、
義務や勉強をこなしているときではなく、
日々のありきたりの体験に自分の心でしっかり向き合ってきたかが、脳に仕組まれた自然のプログラムが作動するかどうかを左右するようです。

学校の成績は良くても、抽象的な思考の段階にきちんと移行しないまま、訓練によって成績を維持している子もいるし、
抽象的に思考できるように成長していても、テストの点はかんばしくないという子もいます。

テストや成績や受験の結果は、必ずしもその子の思考力をそのまま表すものではなくて、試験を意識して、
どれだけそのための準備を完璧にしたかが問われることも否めないのです。

でもだからって、幼いうちから、テストで良い成績を取るためだけに生きているような生活をさせるのは、
途中で挫折して自暴自棄になるのは目もあてられないけど、
たとえうまくいったって、その後の人生、何を頼りに生きていくんだろうと疑問に感じるのです。

先日、息子がこんなことを話していました。

「テストはいわば思考力のある面を測る計測器にすぎないものだよ。
その計測器を目標に人生を作っていったら、
他に何が残る?
社会に出て、いざ勉強以外の部分で勝負する段になったら、
ふんばらなきゃいけないところで、本気になれないんじゃないかな?

日本のつまらなさは、勉強以外の楽しみとか精神的な生活が
ひどすぎることだよ。
もちろん勉強にしたって、重要視されているだけで、質はパッとしないんだろうけど。

よく友だちとも話しているんだけどさ、
感動するところも考えさせられる部分もない
単に時間つぶしの気晴らしにすぎない娯楽が多すぎるよ。
だから、
ぼくが将来したいことっていうのは、
娯楽の質を上げることなんだけどさ。」

次回は、『よみがえれ思考力』ジェーン・ハリー 大修館書店
から幼児~小学生の抽象的思考への移行(物理的特徴から離れて、具体的操作の段階へ)について書きますね。


web拍手を送る

息子とおしゃべり

2010-12-15 07:18:57 | 教育論 読者の方からのQ&A
お金を入れるとカードが出てくるという機械(ベビー向け)の作り方
の質問をお受けしています。
レッスンにいらした方がお家に帰ってから同じ物を作って記事にしてくださっているのでリンクさせていただきますね。

レゴの券売機
昨日の記事に次のようなコメントをいただきました。ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>よく「はやくはやく」とせかさない……ということを
繰り返しています。

何度も繰り返してくださってありがとうございます。
何度も目にして肝に銘じているはずなのに
毎日毎日、親の都合でせかしてしまっています。

昨日も園からの帰りに「早く!」とせかして泣かせてしまいました。
記事を読み、夜寝るときに息子に聞いてみました。
「もしかしてあのとき何か面白いこと考えてたの?」

すると出るは出るは
「なんで木って色々なものに使われてるの?
なんで障子って紙でできてるの?etc…」
極めつけは「なんでタンバリンって紙と鈴でできてるの?
あれ?なんで紙たたくと鈴が鳴るの?? もしかして小人さんが鈴鳴らしてるの?」
傍目にはボーっとしてるようにしか見えないのに
彼をとりまく世界は不思議がいっぱいで
それを一生懸命考えていたのですね。

少々登園が遅れたり、寝るのが遅くなったって構わないですよね。
「早く」とせかす言葉を「今度はどんな面白いこと考えてるの」と言い替えて
彼の世界を一緒に味わってあげたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どんなに幼くてもその子その子の世界がありますよね。

昨夜、幼い子でも2,3の手順で作れるペダル式のゴミ箱を
ティッシュ箱で作って、それに改良を加える作業をしていました。

ペダル式のゴミ箱は、「どうして、足で踏むとフタが開くの?」という疑問を持つ子が多いので、2~4歳の子でも見れば仕組みがわかるし、作れるという作品見本を作りたいと考えていたのです。(作り方はオンライン教材に載せました)
すると、息子がおもしろそうに試作品を手に取って、
「うまくできているね。そうそう、ぼくが作ってみたいと思っているトークRPGの世界を新しい形で作り直したもので求めたいのも、
こういう面白さなんだ。
ゼロから自分のアイデアで作る面白さなんだけど……
ほら、ブログを書く面白さって
簡単に自分の世界が作り出せる土壌を提供してもらって、
そこにゼロから作り出す楽しさを乗せていけるところじゃん。」
と話かけてきました。

「トークアールピージーって何?」とたずねると、
ちょっとゲームをしない私にはわかりづらい答え。

「トークアールピージーって、今のRPGのもとになったようなゲームだけど、
遊ぶ人に高いクリエイティブな能力や理解力や言葉の力を求めすぎていて、
結局マイナーな人の間にしか受け入れられなかったものなんだ。
お母さんと前にレインってアニメ見たじゃん。
あのレインの世界観って、人間の共通無意識がテーマになっていたけど、
このトークアールピージーの場合、
ゲームするプレイヤーの各個人がその共通の無意識世界を
共有して、世界を体験するだけでなく、そうした世界を作っている共通無意識を作り出している存在でもあるんだよ。
ほら、児童文学のファンタジーのナルニア国物語なんかにしても、
作者が自分で全く新しい世界を作ってく面白さがあるし、
読者はその未知の世界を体験する面白さがあるわけじゃん。
トークアールピージーの場合、プレイヤーがその未知の世界を作っている作者でもあるんだよ。
まあ、そこがトークアールピージーのたまらなく面白いところだけど、同時に欠陥でもあるんだ。
つまり、創造力や想像力の弱いプレイヤーばかりだと、ゲームが少しも楽しめなくなるからね。
ぼくは、みんなが自分が世界を作り出す喜びを味わいつつ、
それぞれの人の能力にゲームの楽しみが左右されない形を考えていてさ。
従来のゲーム機でするゲームというイメージを払拭して、
ビジネスの世界と融合して、仕事としての便利さやお得感と、
自分を表現する楽しみを合わせたり、
トークアールピージーの人間が商品って部分の一部を人間役のコンピューターに任せて、人が夢を語る夢語りの楽しみのレベルで、新しい世界が次々生まれてくるようなシステムができないか考えているところなんだ」

「ビジネスとゲームと融合させるのは、ビジネスにとっても、ゲームにとっても今後大事な展開よね。
この間テレビで見たんだけど、出かけた先でちょっとした合間の時間を持て余している側と、ちょうど忙しい今だけ人手が欲しいと思っている居酒屋などの店を携帯サイトで結びつける新サービスを見たわ。
ああいうのも、ゲームの世界がビジネスの世界に溶け込んできているようなものよね。
これからは、ゲームだけ、従来のビジネス形態だけでは、発展は難しいでしょうから、そのふたつの良いところが融合した形のアイデアを探っていくのも
面白いわね。」

「そうだと思うよ。トークアールピージーの世界も今のままでは、
それが復活して流行するってのは難しいはずだよ。
でも、このゲームの構造は、
人生の面白さの本質をついているところと、いくつものSF実験を作り出していくというところがあってさ。

それを全く別のものの中に組み込んでいったり、
新しい視点で作り直すことで
きっと生きてくるはずなんだ。
ぼくは本当に人が楽しめるものを作りたいんだよ」

受験の準備にばてつつも、自分の近い将来してみたいことは熱く語る息子……
自分の「好き!」の世界でいっぱい遊んで、感じて、考えて、夢を膨らませて生きているんだな~と感じました。




web拍手を送る

もうすぐ小学生 迷うこと悩むこと 4

2010-12-14 14:39:03 | 幼児教育の基本
少し前の記事で、
『音読や読み書き計算の徹底反復』の賛成派と反対派について、

私の考えは、

どちらもごもっともと思うけれど、
子どもに何かする前に、(どっちが正しいか情報だけで○×つけるのはやめて)子どもの姿をよく見た方がいい、その子を知る努力が必要

という何と煮え切らない答えでした。

どちらも大切と思っているとはいえ、
どちらかというと反対派寄りの意見かも……。

というのも、
『音読や読み書き計算の徹底反復』は、基礎だから絶対大事!そんなの当たり前……
という考えはもっともなようで、
みんなが納得するもっともさゆえに危険をはらんでいる気もしているからです。

それを実行するとしたら、

徹底ってどれくらいなのか、
音読や読み書き計算の徹底反復以外にどんなことをしているのか、
遊び時間や休憩時間はどうか、
自発性は育っているか、
独特の強迫観念を持っていないか、(ストレスフルな性質になっていないか)
親は子離れについてどんな考えを持っているのか、
想像力豊かに考えることができるか、
子どもは自分の気持ちを自由に表現できているのか、
じっくり考える姿勢は育ってきているか(問題にしっかりコミットメントできるか)

といったことを、子どもを客観的に眺めて、よく考えてから実行する必要があると思っているのです。

おそらく最初に『音読や読み書き計算の徹底反復』の大切さを唱えている方は、徹底といったって、
小学生並みの義務をしっかり果たす程度の意味でおっしゃっているのだと思います。

でも、今、どんどん早期教育や小学生向けの学習が過熱する中で、
どんな情報も、
ひとり歩きして、とても危険な使われ方をしています。


高速計算にしても、「これは絶対!計算できないと、将来どうなるか……!!」と、
スローガンのように唱えられている親御さんたちの集まりの場では、

○○も入試に必要、○○も絶対必要!と

つらつらと子どもにインプットして装備しておきたい項目が連ねられています。

子どもが「自分で今日は何をしようか」と決められる日なんて
一日たりとないし、
友だちと自由に行き来して遊ぶことも月1回あるかないか……。

「みんなそうだから」で、片付けてしまっていいのでしょうか……。
そこに悩みもバランスを取ろうとするもがきもなく、
どんどん「良いよ~」という情報を足していくのってどうなのか……。

話を★くんの受験に戻すと、
★くんの親御さんたちと★くんが、今後どの道を選ぶにしても、
子どもの心や自発性の成長や気持ちに
ていねいに向き合っていく限り、それはそれで良い選択肢になるんだろうなと感じています。

それでも、私は子どもにはゆったりした遊び時間が必要だという
思いは譲れないのですけど……。


web拍手を送る