自閉症の子たちの通常レッスンで、
『ピッケのつくるえほん』というアイパッドのアプリで絵本作りを楽しんでいます。
『ピッケのつくるえほん』を使うとソーシャルストーリーブックを
簡単に作ることがでます。日記を書いたり、算数の文章問題を学んだりする際も
活躍します。
キャラクターに人間の絵がないのが残念なのですが、
文字を打つ時、アイコンを選べば、写真のような子どもの絵を使うこともできます。
絵本作りを始める前に、知能やコミュニュケーションを育む遊びをして、
ついでに操作を覚えてもらっています。
最初、幼い子や自閉っ子の多くは、手あたり次第に動物や食べ物を
画面にドラッグしたがります。
反対にいったん画面に置いた絵をどんどん外に出して消すことに熱中する子もいます。
こうした遊びを満足するまで繰り返すと、操作が上手になるし、
このアプリに親しみが湧くはずです。
もし、そうした遊びがこだわりになって、次の活動につながらないようなら、
「がまんがまん。今は、○○がするところを見る時間。」と言って、
自分は手を出さずに新しいお手本を見る時間を作るようにしています。
といっても、それまで楽しんでいたことを止められると、激しく抵抗して、
それまでやっていたことを続けようとしたり、
ふらふらとどこかに行ってしまう子もいることと思います。
少しの間、身体をギュッと抱えられて一定の圧力がかかっていると、
落ち着いて提示するものを見られるようになる子もいます。
興味を持ってやりたがるようなお手本を見せることと
真似したがるようなリズミカルな言葉をつけると喜びます。
<ピッケの絵本の操作を覚えるためのお手本と遊び>
◎泣いている顔 怒っている顔
キャラクターを選んでから、顔の表情を泣いている顔や怒っている顔に
変える遊びが大好きな自閉っ子は多いです。
他の人のすることを真似たがらない子も、これにはすぐに乗ってきます。
たくさんのキャラクターを画面に出して、
次々と笑っている顔に変えてから、ひとりだけ泣いている顔にして、
「あれ?ひとりだけ泣いているよ。」といった展開が大好き。
子どもが自分でさまざまな表情のキャラクターが作れるようになったら、
「どうして泣いているの?」「足がいたいからだよ」
「どうして泣いているの?」「ジュースがこぼれちゃったの」
といった物語をいっしょに作ります。
◎どーれにしようかな?チョココロネ!
「パンのイラストをドラッグした後で、何種類かあらわれたパンの中から
チョココロネを選ぶ」という遊びに、
「どーれにしようかな?チョココロネ!」とふしをつけると
自閉っ子のAくんがとても喜んでいました。
それ以来、他の自閉っ子たちも
このふしでチョココロネ選びをすると、ピッケに無関心だった子も
大乗り気で遊びだします。
時々間違えて「クリームコロネ」を選ぶと、さらに大喜び。
そうして遊ぶうちに、自然に絵を変換させる方法をマスターして
丸いりんごを切ったりんごに変えたり、
乗り物を好きな形に変えたりできるようになっています。
<連結電車>
絵を変換する方法をマスターしたら、連結電車を作って遊びます。
何回か絵を連結させる車両に変えないといけませんが、
子どもたちにはちょうどよい難易度のようです。
◎「おんなじ、おんなじ」と、「仲間外れはどれ?」
交互に食べ物を画面においては、「同じ」や「仲間外れ」を作って遊びます。
問題を出して遊ぶこともあります。
<海を作ってみる>
◎鍵を開けたり閉めたりしてかさねじゅんをマスターする
上の鍵のアイコンをクリックすると、
指で触れた絵が手前になる状態になります。
この鍵のアイコンを開けたり閉めたりしながら、
カレーをカレー皿に乗せたり、
キャラクターをかくれんぼさせたりする遊びをします。
◎「テーブルの上のみかん」「テーブルの下のみかん」
「テーブルの上のみかん」「テーブルの下のみかん」といった
指示を出して、指示通りの場所におく遊びをします。
内容はまだまだ。。。ですが、登場する動物に園のお友達の名前をつけたりして遊んでいます。また、文章を打つうちに『とんかつやさんの「や」は大きい「や」?小さい「や」?「〇〇ちゃんの「や」は小さい「や」?』といった風に文字の大きさも意識するようになりました。
娘はピッケが大好きなので、これを使って娘の世界が広がるように工夫していければと思います。また、ご指導お願いします。