教室では、自閉っ子たちが自分の内面にあるものを、外に伝えるための表現手段が
増えるよういろいろサポートしています。絵本作りもそのひとつ。
年長の自閉っ子のAちゃんは、『ピッケのつくるえほん』というアプリを使って
絵本作りを楽しんでいます。
最初の頃のAちゃんは、
毎回毎回「テーブルの前で椅子に座るピッケ」の絵を作る作業にこだわっていました。
そうして、他のことはいっさい受け入れない態度で、
同じ作業を繰り返していたかと思うと、ある時を境に、けっこう長い文章を打って
お話を作りだしました。
他の自閉っ子たちもこうした取り組みをさせていると、ある時を境に、
Aちゃんのような急激な変化が起こるので
いつもびっくりしてしまいます。取り組み方の面でも能力的な面でも
「劇的な」と表現していいような成長ぶりです。
強いこだわりを示している間も、さまざまな情報を取り入れたり、
内面で成長を遂げていたりするのでしょうか。
Aちゃんのお母さんは、
「Aは、まだ簡単な会話もスムーズにできないのに、文章になると
すらすら言葉が出てくるみだいて不思議です。テレビで自閉症の東田くんの出ている
番組を見たんですが、彼も、話をするのは難しそうなのに、文章なら上手に書くことが
できるんでしたよね。どうしてなんでしょうね」とうれしそうに首をかしげていました。