虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

番外 白い紙と えんぴつと…

2007-10-01 15:01:58 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
「うちの子ネタ」に登場することの多い…息子。

では 娘は…?
とお思いの方もいますよね。
それが 女の子って 男の子の何倍も鋭いので
へたなことを書けないんですよ。

幼稚園の時から
「この香りつきティッシュ お友達のと交換したいけど
ちょっと当たり前の柄だから (ノリで)交換した後でがっかりされたら困るし…。」
とプチ大人な 悩みを口にしていた娘。

そんな娘のプライバシー…(恐ろしくて)軽々しく侵害できません

なら 息子なら良いのか…?と疑問は残りますが
おそらく「ウィニー女!」と文句をつけつつ 笑って許してくれるでしょう。

息子が小3の時 とても印象に残る母息子バトルをしたことがあります。
その出来事 今日の私にまで大きく影響しています。

息子は 小さい時から あまり手のかからない子で
私がしつけを手抜きしていたこともあって
小3のそれまで「強く叱る」とか「親子でぶつかり合う」ということは
ほとんどありませんでした。

当時 我が家には 近所の紙工場からいただいた
コピー用紙より薄いB5サイズくらいの紙が
大量にありました。
学校から帰ったら その紙で工作をするのが
息子の日課でした。
息子は その紙を使って 作らないものはないほど何でも作っていて
遊園地に行けば 見てきたジェットコースターを作り
ボードゲーム(人生ゲーム)を買えば それ真似てオリジナルの
人生ゲームをつくっていました。

学校で作って来た作品も
紙製のたこやきやさん。
お店の前のガチャポンが レバーをひねれば中身が出てくる仕掛けまで
紙でこしらえていてびっくり

そんな息子の 文化発表会での出来事です。

講堂いっぱいに 各学年の絵や工作物が飾られる日とあって
数日前から 息子のテンションは上がり気味でした。

「ぼくは 海賊船を作ったんだ。」息子はうれしそうに
その舟に取り付けた仕掛けの説明をしてから
「ぼくが 海賊船を作っていたら 他の子たちも作り始めたんだよ。」と誇らしそうに付け足していました。

文化発表会当日。
 私は 一番に 息子の海賊船が飾られている……というコーナーに
向かいました。
とても楽しみにしていたのです。

が 息子の作品を 一目見た私は
いささか拍子抜けしてしましました
息子の海賊船は 他の何台かの海賊船といっしょに
飾られていました。
どの子の作品も きれいな色画用紙やカラーテープで装飾され
絵の具でていねいに塗られていました。

そして息子の自信作は…というと
家で毎日作る工作と同じで
白い紙で 雑に作られていて
(おそらく各所に工夫は凝らされているのでしょうが)
パッと見たところ かなり見劣りするのです。
娘ならば 見る人のことも頭に描いて 
適切な素材選びをしただろうに
…とも考えました。

その晩
私は 息子にちょっとしたアドバイスをするつもりでした。
作品を作るときは
第三者の目で眺めてみること
より良い作品に仕上げるためには材料選びも大事であること
の2点を説明しました。

が その日は
日ごろ素直な息子から
妙に反抗的で 頑固な態度がかえってきました。
そこで 私も ついしつこく
「いつも白い紙でばかり作っているけど
壊れやすいし 見た目がもうひとつでしょ。
めんどくさがらずに 
いろんな材料を試してみたらどう?」
と言い足しました。

とそのとたん 息子がこれまで見たことないほど
激しく感情を高ぶらせて 叫んだのです。
「ぼくは ぼくは…機械みたいなものも
本もゲームも建物も…
同じ1枚の紙から作っていくところが
すごく好きなんだ!
おんなじ<ひとつ>から
たくさんのものができること…
白い紙で 何でも作るからこそ すごい!!って
思っているんだよ!」

その言葉をぶつけられて
私も かつては「白い紙とえんぴつ」さえあれば
詩を書き 文章を書き 絵を描いて楽しめていたことに
気がつきました。
それが いつの間にか 情報過多になり
道具や物にこだわって 
かえって不自由な暮らしを送るようになっていたのです。

私は その日以来 自分の暮らしを
シンプルで創造的なものになるように
工夫し始めました。

が 息子はというと…
それ以来 吹っ切れたように
いろんな素材や色にチャレンジするようになったのです。

現在 中3の息子は
白い紙と向かい合った日々のおかげか
頭の中で図形を自由自在に動かして 数学を解いたり
物理の問題を直感で解いたりします
もし芸術としての良さに
ポイントを合わせて 物づくりをしていたら
そうした能力を身につけることは 難しかったでしょう。

親のアドバイスはたいしたことはない…という話でした  

写真は 息子のコレクションしている「ポップアップ絵本」です。
見ているだけで 創造力が涌いてきます。
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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごい…。 (ほのぼのmama)
2007-10-01 23:52:21
息子さん、すごいですねぇ…。
小3にしてそれだけの信念とこだわりを持ってたなんて。
娘さんの大人っぽい発言にもかなりびっくりしましたけど(笑)、“白い紙”から生まれる想像力、視点、直感を大事にしてる息子さんには感動しちゃいました。・゜・(ノ∀`)・゜・。

さすがなおみ先生のお子さん、頭の構造が違いますね(*´∀`)♪
うちの子もこれから虹色教室通信を読んで少しでもかしこく育てたいなぁ(^^)
返信する
息子さんも娘さんも・・・ (なのたんぱぱ)
2007-10-02 01:15:35
とても素晴らしいお子さんですね。
やっぱりなおみ先生の育て方が凄いのでしょう^^

息子さんは学校でも中心的存在なのですね。
みんなが真似してしたくなることを先頭をきって突き進んで行ってるんですね。
そしてそれにはかなりのこだわりを持って・・・

そういえばクラスに一人ぐらいいました。
物理を直感で解いてしまう凄い子が・・・
息子さんの個性を上手く伸ばされたのがいい結果に結びついたんですねヾ(@~▽~@)ノ
返信する
すごいです! (みい子ヽ(*’-^*)。)
2007-10-02 06:06:52
息子さんは、小3でそこまでしっかりした考えを持っていたんですね!
一つの物から、色んな形を作り上げる事に
こだわりや、誇りを持っていたんだなぁ~・・・
創造性も素晴しいな!って思いました!
息子さんの人生にとっても、
このお母さんとのぶつかり?は、
生涯、忘れられないものになってるのかもしれないですね。。

返信する
涙がこぼれました・・・ (くまママ)
2007-10-02 11:01:47
「ぼくは ぼくは…機械みたいなものも
本もゲームも建物も…
同じ1枚の紙から作っていくところが
すごく好きなんだ!
おんなじ<ひとつ>から
たくさんのものができること…
白い紙で 何でも作るからこそ すごい!!って
思っているんだよ!」

胸がいっぱになって涙がこぼれました。
言葉で上手に表現できません。
光輝く 真っ白な 息子さんの言葉に
どんな褒め称える言葉も うそのようになってしまいそうで・・・

ただただ、涙がこぼれて
喉からこみ上げてくる感情と共に
胸の中に入っていきました。

わたしの 生涯大切なことばとして
胸に刻みつけたいです。
返信する
息子さんの言葉 (せいママ)
2007-10-02 16:42:51
もしなおみ先生が息子さんの日常で文化発表会の作品を妙に「理解して」大人目線からのアドバイスの言葉を息子さんに言わなかったら、この息子さんのすばらしい哲学的な言葉を聞くことはできなかったと思います。やはり日々の対話って大切だなあ(少々のバトルがあったとしても・・)と感動しました。ところで先生はこの感動的な言葉の後どのような言葉を返されましたか?時々子供の言葉にはっとさせられるのですが(ココまで感動的な言葉はありませんが・・・)返答に困るときがあります。
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ほのぼのmamaさんへ (なおみ)
2007-10-02 21:23:57
ありがたいお言葉…うれしいです。かなりうっかり屋でマイペースな息子です。普段はおとなしくて平和主義なんですが 自分の意見はズバリ言う!!ちょっと手ごわいお方に 成長しました。  
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なのたんぱぱさんへ (なおみ)
2007-10-02 21:29:35
ありがとうございます。クラスの中心的存在…?ではないでしょうが 遊ぶことに関しては天才的なので 友だちに不自由はしていないようです。いたずらやおふざけは年中です。
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みい子ヽ(*’-^*)。さんへ (なおみ)
2007-10-02 21:32:17
このぶつかり合い…親の私への影響の方が 大きかったようです。いろいろと 反省することがありました。ぶつからないと 分かり合えないものもありますね。親子でも…。
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くまママさんへ (なおみ)
2007-10-02 21:38:30
そんなに感動していただけるなんて すごくうれしいです。でも 息子のこうした気質は 学校などの「評価」というフィルターがかかると 単なる「頑固」…
よく注意されています。
それでも ケロッとしてわが道を行く息子を 陰ながら応援したいと思っています。
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せいママさんへ (なおみ)
2007-10-02 21:42:52
コメントありがとうございます。どのような言葉を返したのか…はっきり覚えていないんですよ。でも それからの私の考え方や暮し方の変化が 息子への返答だったんじゃないかと思います。
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