虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『未来のだるまちゃんへ』メッセージ 

2019-04-26 10:52:31 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

 『だるまちゃんとてんぐちゃん』などの人気絵本を世に送り出してきた

かこさとしさんの『未来のだるまちゃんへ』で先生方に向けて書いたメッセージを

読んで、考えさせられました。

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今は学校の先生方も忙しくてそれどころではないかもしれませんが、

本当は生徒さんたちがひとりひとり、どんなものが好きで何に関心を抱いているのか、

その生態を見極めて、先達としてうまいこと導いてあげられないものか。

型にはまった目標を掲げて、

 お尻をひっぱたくだけでは才能があっても埋もれたままになってしまっている気がする。

 「君が持っている、ものすごい鉱脈はそれだよ」

そう気づかせてやることさえできれば、

子どもは、大人が叱咤激励なんかしなくたって自分からぐんぐん成長していけるのだ。

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 このメッセージは先生方だけでなく親や身近な大人たちみなが

大切に受け止めていく必要があるな、と感じました。

 

子どもたちが自分で自発的に花開いていく糸口をつかむ前に、

外注して解決していく手立てがあふれるほどあって、

子どもが自分で見つけるのを待っていられない風潮がありますから。

 

 『未来のだるまちゃんへ』にこんなエピソードがありました。

あるとき、かこさとしさんは、とにかく子どもたちと遊ばなきゃと、材料がなかったので、新聞を人数分に

破いて、「この中に数字があるのを見つけて、多い人が勝ちだぞ。さぁ、用意ドン!」と言ったそうです。

そんなたわいのない遊びでも、子どもは「僕が一番!」「ちっともないや」と

はしゃいで探していたそうです。

そうしたら「自分の方がもっと多い」という子がいて、のぞくと株式欄だったそうです。

「なるほど株式か。これが一番だな」と褒めたら、「株式って、なんだ?」と聞かれたそう。

その子のお父さんは日立造船に勤めていたらしく「お前のお父ちゃんは

ここに勤めているんだから、これを毎日調べてみろ」と言ったら、

その子も自分の父親のことだから、グラフなんてかけと言った覚えはないのに、

ちゃんと株やみたいにグラフまで書くようになって、そのまま続けていたそうです。

 

どちらかと言えば、学校の勉強はあまり熱心じゃない子でも

「これだ」と思うものを見つけさえすれば、そういうことが起きるわけです。

そんな例はいくらでもありました。

とかこさんはおっしゃっています。また、

本人に興味がない時に、大人がちぎれるまで手をひっぱったってどうしようもない。

 とも。

 

(「昆虫好き」という子でも、「昆虫全般が好き」という子は

まずいなくて、「バッタが好き」とか「セミが好き」とか昆虫好きになったきっかけになった何かがあり、

それについてはピンポイントで大人顔負けにくわしかったりします。)

「なんで好きなの?」と聞けば、そこにはきっとその子だけの物語が浮かび上がってくるはずです。

子どもにはそうした秘めた力があって、糸口さえぱっとつかまえたら、あとは自分自身の

力で伸ばしていく、

自分で探求し伸びてい行くことができるのだと思います。

 

自分から興味を抱いたものを調べて、どんどん深めていく時の充実感というのは、

その子の生きる喜びにもつながっているのでしょう。

子どもの顔が急にいきいきと輝きだすのがわかります。

 

といった言葉は、虹色教室でも、何度も何度も、目にして感動してきたことでもあります。

 

少し前に

成長とは自発的に花開くこと

というかこさんの言葉を強く感じた出来事がありました。

教室に小学校にあがるまで、1語文か2語文を話すのが

やっとだった重い自閉症のAくんという男の子がいるんです。

その子のお母さんの子育てがまさに、

かこさとしさんがおっしゃるような視点によるものでした。

小学校中学年になったAくんは、3ケタの計算をしたり、みんなの前で歌を歌ったり、

さまざまなゲームや頭脳パズルを楽しんだり、ブロックですごい作品を作ったりするように

なり、人と関わることを心から楽しんでいるのがわかります。

その成長のひとつひとつには、ささいな見落としてしまいそうなきっかけがありました。

たとえば、Aくんは地理に興味を持つようになったのですが、

そのきっかけは「北海道」の地図の絵が描いてある大好きな蒸しパンだったそうです。

Aくんは特性のせいで、興味の対象がどうしても狭くなりがちなのです。

それで、Aくんが、いつも北海道の地図の絵がついている蒸しパンが好きなことから

親御さんたちは思いきって北海道旅行を計画しました。

といっても初めてのことにパニックを起こしがちなAくんを連れての旅行は、

それは大変なものだったようです。同時に、準備をし、工夫をし、問題にぶつかったら家族で解決しながら

乗り越えて、旅行がうまくいった後で、Aくんの興味関心と自信は大きく広がっていました。

Aくんは学校や虹色教室でのさまざまな新しい課題に積極的に取り組むようになってきました。

以前はむずかしすぎてすぐにあきらめていた

グラビティ―・メイズという頭脳パズルの問題を

次々と課題を解く形でクリアーしていきました。


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