goo blog サービス終了のお知らせ 

虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもには子どもだけが持っている直観的な理解の仕方がある

2016-03-02 09:31:22 | 連絡事項

いつも読ませていただいているe-子育て.comのスタッフブログの

ちょっと複雑な文章題、4年生の場合という記事で、

「大人と子どもの感覚のずれ」を理解しないまま教える弊害が指摘されていました。

 

羊先生の

「子どもの算数の理解が止まってしまう原因と根っこが近い気がします」という

結びの言葉がとても腑に落ちるとともに、


ちょうど夕べ息子と話していた内容と重なっていたことを思いだしました。

(羊先生の記事おかげで、捨てかけていた会話のメモをゴミ箱から救い出して

この文章を書いています)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

昨夜、わたしは朝のレッスンのことを思い返しながら、

「おかしなことなんだけど、

お母さんが実感している言葉が出始める時期の子を飛躍的に伸ばすコツって、

その子のお父さんやお母さんに、

子どもの前でほんの数分黙っていてもらう練習をすることなのよ」と言いました。

 

母 「数分といわず、数秒でもいいわけだけど、子どもが幼いほどそれが難しいようでね、

お家でも子どもをまったく視界に入れずに用事をしているか、

子どもを絶え間なく構って言葉をかけてしまうか、どちらかになってしまうようよ。

幼いうちはインプットの時期だから、言葉をシャワーのようにたくさんかけるといいって

ステレオタイプに信じ込んでいる人がたくさんいるけど、

現実には子どもがしゃべる間のようなものがなくなってしまうし、自分の頭で考えたり、

自分の意志を使うのを絶え間なく邪魔されているようにしか見えないことが多いのよ。

まだ言葉が自由に話せない子たちとの距離感って難しいのよ。

ある面、子どもと自分の区別が全くないかのように 間主観的にわかるって

言葉で表わされるような関係のなかで子どもは成長していくものなのよ。

 

でも、それと似ているのに子どもの意志や感情から離れたところで

大人の目線上で子どもと一体化するような状態があってね、

むしろ乳幼児の子育てであたり前になっているようなところがあるのよね……

そうした関係の上で言葉が大量の注がれているようなところがあるの。

 

でも、1、2分だけ、何もしゃべらずに子どもを眺めるのって、簡単なようで

かなり難しいみたいでね、

そうしてちょっとの間、黙っていて、子どもが何を見ていて、何に興味を抱いているのか、

どんな時に嫌な表情をして、どんな時に顔が輝いているのか気づいてもらうように

お願いしていても、

たいていの親御さんが、不安でたまらなくなって教えたり指示したりしてしまうのよ。

 

そりゃ、何か『する』のは、大事なことに思えるけど、

何かを『しない』のは、わざわざする価値があるように思えない……と

いうのもあるんでしょうね」

 

息子 「言葉が多すぎて問題が起こることってよくあるよね。

ぼくは、毎日一定の時間は、原始的な言葉のない状態で過ごすのっているなって

思ってんだけど……

自分の心のなかの言葉もないような状態!

言葉使えば使うほど、言葉という装飾品のせいで、

現実が見えなくなっていることがよくあるからね。

そうして言葉なしに、色や形や状況を見ていると、人間って外から学ぶだけでなく

自分の内から学ぶことができる存在なんだってわかってくるよ。

そうしたことを一番強く感じるのは、ピアノを弾いている時とか絵を描いている時とか、

本を読だり映画を見たりしている時でさ。

 

たとえば、絵を練習する時に、いろんな資料があるけど、一番すばらしい資料は

自分の右手と左手を見て、感じた通りに描くことだったりするんだ。

自分で感じとることが、一番の先生ってわけ。

映画を見てて腹が立ったら、どうして自分は怒ったんだろうって自分の感情の変化を

分析していくことで学べることは多いよ。

素直に世界を観察して、自分の内側で気づいたことを正確に受け取るには、一度、

勝手に漏れ出す言葉を外にも内にもなにもない状態にしてみるといいのかもしれないね。

お母さんが、

親に子どもの前でちょっとの間、言葉を発しないでいることを学んでもらうだけで、

不思議なくらい子どもの成長がよくなるって思っているのは、

そういうことと関係があるのかも。

言葉が多すぎる問題ってさ、最近、ネットで小学生の算数の教え方が話題になってるのを

読んでいろいろ考えていたところだったんだ」

 

母 「小学生の算数の教え方って?」

 

息子 「かけ算の文章題を教える時に、『かける数』『かけられる数』って

言葉を使って教えるよね。

それが、わかりにくいんじゃないかって議論をネットでやっててさ。

 

それを見てて、言葉を多用し過ぎる弊害というか、確実性を高めようとして

言語化できない概念まで言葉で表現しようとすることで、

子どもの学習能力を落としているよなぁと思ってさ。

言語はある意味、記号に過ぎないんだから、

言語化できない直観で捉えるようなものまで言語化しようとすれば、

自然に発展するものを、小さな枠に押し込めてしまうことにも起こるんだなって

感じたんだ」

 

母 「言語化できない直観で捉えるもの……?」

 

息子 「そう、さっきの『かける数』『かけられる数』にしても、

もし子どもの目の前に皿やかごに同じ数ずついちごを入れたものを見せたとするよね。

子どもはそれを目にするだけで、

直観的に『かける数』にあたるものと、『かけられる数』にあたるものの違いを

感じとって、自分に求められていることを直観的に理解することができるはずだよ。

それを『かける数』『かけられる数』という言葉に言いなおして、

伝え間違いが起こらないように確実性を高める時、

実際には、子どもが自分で目で見て感じとっているものと、

その言葉をつなげることができないまま、そこが切断された状態で

学習が進みがちなんじゃないかな。

 

子どもには子どもだけが持っている直観的な理解の仕方があるように思うよ。

それは学習の根っこの部分とつながってる。

大人の考え方の多くは、より確実にしようとするあまり、

言語化した時点で、大きな樹の葉っぱの部分になってしまう。

そうして葉っぱの部分を繰り返し教えて定着させることが教育だと思われているけれど、

やっぱり何度も根っこに立ちかえることだって必要なんじゃないかな?」


ブロック遊び。子どもの興味に合わせて、基本を発展させたり、応用させたり。

2016-03-01 09:20:48 | 連絡事項

↑ 穴の奥からおばけがあかんべ~としています。

 

今日は3歳9ヶ月の☆ちゃん、4歳2ヶ月の●ちゃん、

4歳8ヶ月の◆ちゃんのグループレッスンだったのですが、

希望があったので、ブロック講座の内容を学んでいただくことにしました。

3人とも数ヶ月の1度ずつレッスンに通ってくれている子なので、

自分の手で何かを作ったり、工夫したりするのが得意です。

ですから、基礎をさっと学んだら、それを発展させたり応用させたりするコツを

学んでもらうことにしました。

 

ストローを使った巻き上げる道具の作り方を学んだ後、

お母さんといっしょにお人形の救出劇を演じてくれた●ちゃん。

地下を掘る作業中の事故でしょうか?

救出のドラマをみんなで見させてもらいました。

 

基本の壁のパーツをたくさん作って、

それを組み合わせることで、自分好みのドールハウスを作ります。

 

ブロックを組むのが上手な●ちゃん。

自分でお家を作り上げた後で、どんどん改良していきます。

 

◆ちゃんは、2階を作ることに興味がありました。

2階を作って車を上にあげてから、「エレベーターが作りたい」と

言い出しました。車が乗るサイズのエレベーターを作るにはどうすればいいものか……

と話しあっていると、◆ちゃんが、いいことを思いつきました。

「それならさ、車は坂道(スロープ)を降りるようにして、

人間だけが乗れるエレベーターを作ったらいいんじゃない?」とのこと。

お見事!

階段での上がり降りもできるようにした◆ちゃん。

無事、エレベーターを取り付けて、部屋の中をお店のように飾り付けていました。

 

●ちゃん、◆ちゃんのお家が完成に近づく中、☆ちゃんに

「どんな風なお家を作ろうか?」と相談すると、大好きだという落語に出てくるおばけが

たくさん出てくるお家にしたいとか……。

↑ は☆ちゃんとわたしの合作のおばけが出てくる通路(鏡をななめにして取り付けて

います)。ふすまを作って引き戸のお家にしました。

 

横にスライドさせる動きを学んで、UFOキャッチャーの作り方なども

みんなで考えました。

 

1歳6ヶ月の弟くんも、興味しんしんでいろいろな活動に参加していました。


広汎性発達障がいの子 と ごっこ遊び (いったん、拒否して、受け入れる)

2016-02-29 22:07:46 | 連絡事項

今日は、自閉症スペクトラムの子と工作 で

2010年12月~2011年7月までのレッスンの様子を記事にしている

広汎性発達障がいの4歳半★くんのレッスン日でした。

幼稚園を一日お休みして通ってくれています。

ささいなことなのですが、上の文の「レッスンの様子」という言葉は、

最初、「成長」という言葉にしていたものを書きなおしたものです。

こうして、レッスンの記事を時間で整理して眺めると、

「★くん、すごく成長したな~。あんなこともできるようになった。

こんなこともできるようになった」と感激するのです。

でも、どうして「成長」という言葉を避けて、書きなおしたのかというと、

「成長」とか「発達」といった目に見える成果にこだわりはじめると、

結果的には、むしろ子どもの育ちを妨害することにしかならないからです。

なら、わざわざ教室に通ってもらって何を目指しているのかというと、

「子どもの世界を広げる」ということ、つまり縦に上方に「伸ばす」のではなくて、

その子を中心に球形のボールが膨張していくようなイメージで、

「広がる」ことを大事にしているのです。

 

ですから、

「わがままが言えなかった子が自分の要求をはっきり出すようになる」とか、

「隣のおばあちゃんに声をかけられると微笑むようになった」とか、

「散歩中、観察する動物や虫の数が増えた」とか、

能力アップとは無関係に思われるようなものも、「広がり」のひとつひとつとして

大切に育んでいるのです。

 

そうする中で、「あれっ?いつの間に?」という縦の上方向の伸びも確認できるのは

うれしいことです。

でも、最初から、それを意識して子どもと関わり始めたり、子どもを観察し始めると、

大きく丸く成長しようとしている畑の野菜を、いびつな型に押し込めて引き延ばそうと

するような不毛な努力に終わってしまう気がするのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

お父さんとお母さんといっしょに虹色教室に来た★くんは、

プラズマプレイトというプラズマ光が指先にそって動く科学グッズと

お茶犬のドールハウスで、遊び始めました。

カミナリがピカピカ光っているとき、お人形がトイレに行くという設定で

ごっこ遊び(もどき)を始めました。

今日の★くんは、レッスン開始時から、私と目が合うたびに、

顔いっぱいに笑顔を浮かべて今からすることが楽しみでたまらないという様子でした。

よほど、前回会った時のユースホステルでの体験が楽しかったようなのです。

これまで★くんは、一本調子の、

ちょっと相手を責めるような口調で話をする癖がありました。

「何か嫌なことが起こりそうで怖いので、先に怒っておく」と言ったらいいような

防御が行き過ぎた身構えた物の言い方です。

それが、今日の★くんは、ちょっとおませな女の子がしなを作って笑顔を振りまくように、

小首をかしげた格好で、何ともいえないかわいらしい笑顔を、

何度も何度も、私や両親に向けていました。

 

★くんは、トイレネタが大好きで、

お母さんにも「便器を描いて!」とねだることが多いそうで、

お茶犬のドールハウスを取ってきたときも、遊ぶ前から、人形たちをトイレに

行かせる気満々、私がいっしょにトイレ遊びで盛り上がってくれるだろうという

期待でいっぱい……という様子でした。

 

前回までは、お茶犬ドールハウスといえば、

「トイレ、トイレ」と、あわただしくトイレにかけこむストーリーが

延々と続いていたのですが、

今回の★くんは、プラズマプレイトを持ってきてちょっとだけ新しい趣向を

取り入れる気らしく、

「カミナリだよ。ひとりでトイレに行ったらねぇ、怖いかもしれないよぉ!」と

怪談話でもするような口調で遊びをスタートしました。

私がマイメロディーの人形をトイレに入れると、

「じゃぁ、ぼくは、階段のぼろう」と、先生だけトイレの話で遊んでてね……

とでも言うように、アンパンマンやミニーちゃんの人形を2階に上げだしました。

そこで、私が、「私も2階に行きたいわ。上でいっしょに遊ぼ」と言うと、

「いいよ~」と調子がいい返事が返ってきました。

 

これまで★くんは、人形に会話をさせる形で遊びが続いたことはなかったのですが、

「でも、はしごがないから上に上がれない」と言うと、

手のひらをエレベーターのようにして降ろしてきて、

「さっ、これに乗って!上に行かせてあげる」と言いました。

その後、はしごを取ってきてかけたり、上の階で遊ぶなどのストーリーが展開しました。

 

広汎性発達障がいの子たちとお人形遊びを楽しむようにしていると、

遊びの幅が広がることはもちろん、ソーシャルスキルを教えたり、

双方向の会話のより自然で豊かなものに変えたりするときも、

とても伝えやすいツールになります。

ただ、シルバニアファミリーのお家やシンプルな木製のドールハウスは、

自閉症スペクトラムの子に、白い画用紙を与えたときのような不安を与えることが

多いようです。

トイレ、台所、玄関、階段、お風呂……など、具体的な何をすればよいのかわかる

閉ざされた空間があるもので、ひとつは、子どもがこだわっている好きなものが

含まれているようにすると、遊びがスタートしやすいように思います。

たとえば、子どもが玄関の靴箱を開け閉めするのが好きなら、

ドールハウスの玄関に、開け閉めできる靴箱(手作りOK)を置きます。

電気をつけたり消したりするのが好きなら、プッシュライトを天井に貼り付けます。

最初は、「もう夜だね。暗いから電気つけよ。パチ。」

「まぶしいまぶしい!電気消してー!電気消してー!パチ」の繰り返しで

遊びは、十分だと思います。

子どもは今の状態をしっかり受容していると、それを踏み台にして

自分から次のステップに進みます。

私のマイメロ人形をトイレに残して、自分の人形たちを2階に上げ出した★くんのように。

 

 

★くん、広汎性発達障がいの多くの子どもたちと同じように

他人の指示に従うのが苦手です。

でも、私の誘う遊びに、これまで面白かった体験からか信頼は寄せてくれているようで、

「★くん、見て!こんなのどう?」というと、気乗りしない様子で、

「それはいいんだよ」と、即座に却下することはよくあるものの、

少しすると★くんが、私の提案に似た遊び方をしてみせて、

「見て、見て。面白いよ。奈緒美先生も遊ぼうよ」と

自分発信の案に変えて、こちらを遊びに誘うということがよくありました。

 

私は、こうした広汎性発達障がいの子の対応を、

「いったん、拒否して、受け入れる」態度として大切に扱っていて、

その微妙な差異を調節して、バリエーションを豊かにすることで、

困った行動が減って、お友だちと遊ぶのもずいぶん上手になってくるな、と

感じています。

広汎性発達障がいのの子というのは、たいてい新しい展開を嫌がります。

でも、

そこに、いったん拒否することをOKとする受容的なまなざしがあって、

それを周囲にサラッと流してもらっていて、

(広汎性発達障がいのの子は他人の感情の変化に敏感なので、

子どもの拒否におろおろする大人の態度や、「やりなさい」と強制したり、

「やったら?」としつこく誘う態度で接すると、

頑なに拒否にしがみつくようになる子が多いです)

自分の気もちを新しい展開にならしていく静かな時間があると、

少し前の提案を受け入れたんだな……とわかる自分発信の提案が返ってくるのです。

 

そうやって、「いったん、拒否して、受け入れる」ことを何度も体験するうちに、

だんだん切り替えがうまくなって、拒否の言葉を口にせずに、

少しの間、首をかしげて考えている態度を取る程度で、

「じゃぁ、する」と取り組めるようにもなってきます。

広汎性発達障がいの子と心と心が通じ合う人間関係を作っていくことで、

「人への信頼感」が、「新しい挑戦への不安」を超えて、

素直に場に自分をゆだねることができるようになってくるのを実感しています。

 

広汎性発達障がいの子がそのように一度パターンとして形を学ぶと、

きちんと指示や提案に従えるようになってくる能力を利用して、

大人が次々と自分のさせたいカリキュラムや指導に子どもを乗せる目的で

大人の望む形に態度を変化させることを続けるとしたら、

一時期はうまくいっていたとしても、最終的には、破綻するように感じています。

 

それは、広汎性発達障がいの子が「いや」を乗り越えて指示に従えているのではなく、

「いや」を感じられないよう、「いや」が言えないように

しつけているだけの場合があるからです。

 

広汎性発達障がいの子が自分の好きなことを自由に繰り返し行うことを認めて、

その子の世界に大人の側が降りていって

いっしょにその子のファンタジーの庭で戯れる時間がたっぷりあってはじめて、

苦手なこちら側の指示に従ったり、提案に乗ったりすることも、

本人の達成感や満足感を満たす行動になっていくのだと思っています。

 

上の写真は、ユースホステルで「エレベーター作りが楽しかった」という★くんと、

教室内でエレベーターということにしたかごを

天井に付けているフックに引っかけて、吊りあげる遊びをしているところです。

 

←ユースホステルでエレベーター遊びをする★くん。

 

私はエレベーターの一方の端を椅子に引っ掛けて、その先を車のおもちゃに結びました。

こうすると、車を移動させる力で、エレベーターを上に上げることができるのです。

これを見た★くんは、「ダメだよ。そんなの取って!」と繰り返し、しまいにひもを

工作で使っていたはさみで切ってしまいました。

そうして、しばらく手動で引っぱりあげたり、降ろしたりして遊んでいた★くん。

 

先ほどまで遊んでいたドールハウス(こうしたシンプルなドールハウスは、

取ってもらいたがっただけで遊んでいません)にひもを引っ掛けて、

後ろずさりしながら、「見て、見て。奈緒美先生。

こうすると、エレベーターがあがるんだよ」と得意満面で言いました。

★くんは、自分で運動の方向が変えられたことがうれしくてたまらない様子で、

引っぱったり、手を緩めたりして、満面の笑顔でした。

 

また、こんなこともありました。

★くんは、お片付けがきらいです。

さあ、「自分で出したものを片付けてね」と言っても、聞こえないふりをして

遊んでいます。

その態度そのものが、「いったん、拒否して」という態度なのですが、

そこで、少しすれば「受け入れるだろう」と捉えつつ、

指示は出しつつも、こちらの要求する態度を★くんの呼吸に合わせていって、

ちょっと気持ちが切り替わるような声かけをして、

外側から、そっと包み込んでこちらが望んでいる活動の流れに乗せるようにしていくと

ちゃんと最初の指示に従って片付けをしはじめるようになってきました。

「えっ? 外側から、そっと包み込んでこちらが望んでいる活動の流れに

乗せるようにしていくってどういうこと?」と感じた方もいらっしゃいますよね。

 

★くんは、いったんひとつの考えにこだわりだすと、

なかなか頭を切り替えることができないところがあります。

先日も、こんなことがあったそうです。

 

★くんのお父さんが、★くんを幼稚園に送っていく途中、

ちょうど駅の階段を下りかけたところで、突然、「幼稚園、行かない」と

言い始めたのだとか。どんな理由があるのかはわからないけれど、

★くんが「行かない」と構えた物言いになるときは、

無理強いしたり、説得したり、なだめたりすると、火に油を注ぐようなもので、

かえって頑なに「行かない」と言い張るようになります。

 

そこでお父さんは、これまでもだいたい20分もあれば、興奮状態が鎮まってきて、

気持ちを切り替えることができていた……と考えて、

★くんのイライラした表情が少しなごむを待って、

「ふみきりを見に行こうか?」と誘いました。

 

★くんは、ふみきりが上がったり下がったりするところと、

電車の往来を眺めるのが大好きなのです。

その誘いに素直に従った★くんは、ふみきりを見ているうちに優しい表情に

なっていきました。

 

お父さんが、「ふみきりを見たら、幼稚園に行こう」と誘うと、

★くんは納得した様子で園に向かうことができたそうです。

 

大人の誘いというより、当然の日々の行為である幼稚園に向かうということに、

「いったん、拒否する」をしてみた★くんが、「幼稚園に行く」という行為を

受け入れて、再び幼稚園に向い出したという出来事。

このエピソードからは、終始、無声映画のような静けさが伝わってきます。

 

いったんは拒否してみたものの、

★くんの中には幼稚園に行きたい思いや、行ってあれもこれも楽しかったという

記憶があって、お父さんもそれがわかっていて、

★くんの気持ちが切り替わるのを信頼して待っています。

 

すると、★くんの心は静けさの中で、

自分に求められていることを受容する方向に向かっていったのです。

 

前回の記事のお片付けでは、「★くん、自分で出したものを片付けてね」と言っても、

「ほら、このおもちゃをこの箱に入れて」と言っても、

「イージーチター(楽器)を戸棚にしまってきてね」と言っても

聞く耳持たなかった★くん。

 

けれども、知らんふりしてこちらに背を向けている態度で、

「いったん、拒否して」いるのを、そっとしておいて、それでいて無視したり、

あきらめるのではなく、

★くんの周囲の物が、黙って静かに、少しずつ片付けられていき、

(少し、オーバーに★くんに見せるように片付けています)

★くんの目にも自分に期待されていることが身体でわかるような雰囲気を作りました。

 

ひとつひとつの物がかっちりと元の場所に収まっていく様子に

惹きつけられていた★くんは、私が楽しそうだけど小さなつぶやくような口調で

「こうして、こうして入れるのよ」とおもちゃをひとつひとつ入れながら言うと、

決心したようにイージーチターを手にすると、戸棚に片付けに行きました。

 

  

★くんが比較的、短い時間で、「片付けはいやだ」という気持ちを克服して、

私の指示に従いだしたのは、

この日私が、「手動のえんぴつけずりを使ってみたい」

「えんぴつけずりのけずりかすがどうやって落ちるのか興味がある」

「ベイブレードを自分で回したい」「レストランのメニューを読み取る機械が作りたい」

という★くんの思いが思った通りの形で実現するように、

ゆっくり付き合っていたからでもあります。

 

そのように自分の気持ちを十二分に受け止めてもらっていると、

シングルフォーカスに陥って頑なになっていても、

自分の力でそれを乗り越えようとする意志がみえてきます。

 

期待されていることをわかりやすく目に見える形で提示してもらって、

後は静かに待っていてもらうか、少し落ち着いて、別の切り口から声をかけてもらうと、

自分から「する!」という決意を固めるようです。

 

帰り際、★くんは、ヘリコプターの羽根の部分を回しながら、

「奈緒美先生、ヘリコプターが行くよ。奈緒美先生のところに来たよ」と言いながら、

私の近くにあった箱の上に着陸させました。

この言葉は、★くんなりの私への親愛の情の表現のようです。

 

「はい、バナナと牛丼を届けてくれたんですか?ありがとう」と言うと、

「待っててください。また届けます」と言って、ヘリコプターを飛び立たせると、

今度は2台で戻ってきて、「はい、バナナ。はい、牛丼」とニコニコしながら

何かを差し出す真似をします。

 

★くんは、こうしたおもちゃを介して会話を継続させていくのが

うれしくてたまらないようでした。

 

★くんは、虹色教室で工作をするようになってから、

物のしくみについて説明したり、うまくいかない原因について、ていねいに観察しながら

解説したり、どんなことがしてみたいのか順序立てて表現することなどは

とても上手になっていました。

 

ひとりで一方的にしゃべるのなら、4歳の子とは思えないほど

しっかりした物言いをするようになっていたのです。

しかし、自然な会話のキャッチボールはかなり苦手で、

途中で会話が途切れてしまうことがほとんどでした。

 

が、今回は、ごっこ遊びを通して、会話のキャッチボールを自分から望んでくる

★くんの姿があって、とてもうれしく感じました。

 


「真田丸」は、子どもたちの間でも流行しているらしいです♪

2016-02-28 18:43:20 | 連絡事項

教室の子たち。「真田丸」を見ているという子がかなりいます。

録画して何度も見るという子も。

芸人の「本能寺の変」という替え歌も流行っているそうで、幼稚園の子らも

たいてい歌えます。

今日は、「えー?本能寺の歌~?お兄ちゃんが歌っているけど、わたし嫌い~」と

言っていた1年生の女の子が、結局、最初から最後まで歌っていました。

部屋にいた親御さんから、「歌えるんかい~!!」と突っ込む声が……。

 

そんなこんなで歴史がちょっとしたブームです。

ドラえもんの日本歴史ゲームで遊んでいます。

 

兜も制作しています。

 

 


恐竜の体の中はどうなっているの?

2016-02-27 17:03:28 | 連絡事項

教室で人気の恐竜の解剖図作り。

大まかな作り方は同じですが、子どもによってこだわりどころは千差万別です。

『21世紀こども百科』のティラノサウルスの体内の図解をカラーコピーし、

恐竜の部分を切って糊で色画用紙に貼っています。

風船に綿を詰めて心臓などの臓器を作ったり、細長い風船にモールを通して

腸を作ったりしています。

骨は綿棒で。

こういう作業、どの子も本当に大好きです。

あごの骨をねじでとめて口が開閉するようにしています。

几帳面なAくんは、ねじであごの骨をとめるだけだと口が開き過ぎるのが

気にいらないようでした。

そこでゴムを顔の筋肉の代わりにして、口が一定の幅しか開かないようにしました。

たちまち子どもたちに飛び火した

「中身が見える胃」作り。

風船にビーズ類を詰めています。

 

詰めるのって楽しい、面白い……。

ちゃんと肛門と尿道を分けています。そういうところ、大事みたいです。

足の骨が動くようにしたり、脚の骨を白いモールで作って

工夫しています。

 

 

 


事務Kよりお願い

2016-02-27 12:18:57 | 連絡事項

こんにちは、虹色教室事務担当の『事務K』です。

そろそろ新学期ですので、きちんと名乗ってみました。

 

宜しくお願い致します(^_^)/

 

 ----------


※注意※ 【2016年3月追記】

こちらの記事はレッスン募集の記事では御座いません。

分かりにくい内容となっておりましたこと、お詫び申し上げます。

申し訳御座いませんでした。

 

---------- 

 

さて、本日はレッスンご参加者さまにお願いがあり、ブログを書かせて頂いております。

レッスンへご参加頂くには、現在このブログでの募集からのみとなっております。

(様々にお問い合わせを頂いておりますが、ご希望に副うことが難しい状況です。ご理解くださいますようお願い申し上げます。)

 

 

ブログでの募集→参加コメント投稿→ブログでの発表→連絡先のコメント投稿→事務Kからの連絡という流れがレッスン参加までに必要な手順となります。

この際、注意が必要な事が幾つかあり、それについて再度ご説明しておきます。

 

まずは、【連絡先のコメント投稿】です。

保護者氏名・電話番号・メールアドレスの3点は確実にご記載ください。

このうち、メールアドレスを書いたコメント投稿した場合に、ブロックがかかり投稿出来ない事が御座います。

その場合には、@を☆に変えるなど文字を変えて頂き、再度投稿してくださいませ。おおよそ、@を☆変えることで投稿は問題なくなさるかと思います。

 

 

続いて、【事務Kからの連絡】について。

こちらは2点あり、1点目…連絡先のミス。

これに関しましては、電話番号がきちんと記載されておりましたら、届かなった旨を事務Kからお電話にてお伝えいたします。

ですので、出来るだけ連絡が着きやすい連絡先をご記載くださいませ。

 

2点目…事務Kからのメールが受信できない。

此方に関しては、アドレスのミスではなく、迷惑メールとしてブロックされてしまい自動削除などされてしまうということです。

事務Kは、Yahoo!のフリーメールアドレスを使用しております。

 

最近、Hotmailとの相性が悪くほぼブロックされている状況です。

その他のプロバイダでも初期設定から迷惑メールとしてフリーメールをブロックするようになっているようです。

 

ですので、現在レッスンに通っている方、これからイベント等に参加予定の方。

受信出来るように一度設定を確認下さいますようお願い申し上げます。

ご参考になるか分かりませんが、解決策をご提示させて頂きます。

 

 

 

1.受信拒否の設定をしている内容を確認する。

その中にドメイン(@yahoo.co.jp)が含まれている場合、すべてのYahoo!メールを受信できません。

ですので、一度この拒否設定を解除してください。事務Kからの連絡が着きましたら、事務Kのメールアドレスをアドレス帳に登録するか振り分け登録などして個別に受信許可設定後、ドメインでの受信拒否をして頂ければ事務Kのメールは届くようになると思います。

 

2.フリーメールアドレスを作る。

事務Kと同じYahoo!やGmail、Hotmailなどのフリー(無料)のアドレスを一から作ってしまうのもよろしいかと思います。

Yahoo!も簡単に作れるので良いかと思いますが、スマホ(android)の方でしたらGmailなどもご活用できるかと思います。

 

3.振り分け登録をする。

これは、迷惑メールBOXへの振り分け対策ですので、前提として事務Kのアドレスを知っている必要があります。

各社、おおよそ手順は似たようなもので、メールの設定画面に振り分け登録の機能が御座います。

そちらに事務Kのアドレスを登録し、迷惑メール以外のBOXに入るように設定すれば自動でそのBOXに入るようになります。

迷惑メールはプロバイダによっては数日で削除される場合もあるようです。ですので、出来れば振り分け登録などして頂けると有難いです。

この場合は事務Kにメールが返送されないため、未着ということに気付かないので…(^_^;)

 

4.携帯で受信したい場合はその旨ご連絡をください。

特に従来の携帯会社のメールシステムの場合はPCからのメールが容量の都合で全文受信出来ないことがあります。

事務Kからのメールの最後には必ず『事務K』という文字をいれております。

そこまで入っていない場合は、再度分割して再送致しますのでご連絡下さいませ。

 

以上が事務Kからのお願いとなります。

現在も連絡が取れない方が数名おられます。

 

ですので、一度皆様、メールの受信設定のご確認を宜しくお願い致します。

 

それでは、仕事に戻りまーす。

皆様、良い一日をお過ごしくださいませ~

 

(@^^)/~~~☆


子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 

2016-02-21 19:37:35 | 連絡事項

レッスンにいらしていた年中のAくんのお母さんから、

こんな相談をいただきました。

 

レッスンにいらしていた年中のAくんのお母さんから、

こんな相談をいただきました。

 ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- -------

 「子育てで気をつけていたこと

という記事にあった先生のお母さんと妹さんのように、息子との関係がしょっちゅう

力のゲームになっていると思います。

ちょっとしたことがきっかけで、私は息子をコントロールしようとし、

息子は私をコントロールしようとして、争いがどんどんエスカレートしていきます。

私自身、子ども時代を通して、いつも父とこうした力のゲームをしていました。

今、息子との関係が、私と父との関係とそっくりになっているのが嫌で、

何とかそれを避けたいのですが、エスカレートしだしたら私がその場を離れる……

くらいしか解決のレパートリーが自分にないのです」

 ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- 


私はAくんのお母さんに、どのような場面で、どんな理由で、どんなふうに

Aくんとの揉め事がエスカレートしやすいのか詳しくたずねました。

Aくんは寝しなにお母さんから本を読んでもらって眠りにつく習慣があるそうです。

普段は読み聞かせを心待ちにしているAくんが、

時々「今日は、読まなくていい。今日は本を読んでほしくない」 と言うときが

あるそうです。

それなら……と、「お母さんは夕食の後片付けをしてくるわね」と告げると、

「それは嫌だ、やっぱり本を読んでほしい」と言い出し、

本を読もうとすると、「今日は本を読まないで」と騒ぐのだとか。

そうした優柔不断さにぶつかると、Aくんのお母さんは、

「とにかく早く読むのか読まないのか決めてちょうだい」とイライラが募り、

Aくんの方はお母さんのイライラを感じ取って、さらに頑固に、こうでもない

ああでもないと、どちらにも決めない態度を押し通します。

 

そうなるとAくんもお母さんも、本を読むか読まないかということは二の次となって、

とにかく相手を自分の意のままに動かしたいという気持ちに

駆り立てられていくのだとか。

そんな時にお母さんは、父と自分がずっと続けていた力のゲームを、

今度は息子とやっているのを強く感じるというお話でした。

 

 

レッスンにいらしていた年中のAくんのお母さんから、

こんな相談をいただきました。

 ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- -------

 「子育てで気をつけていたこと

という記事にあった先生のお母さんと妹さんのように、息子との関係がしょっちゅう

力のゲームになっていると思います。

ちょっとしたことがきっかけで、私は息子をコントロールしようとし、

息子は私をコントロールしようとして、争いがどんどんエスカレートしていきます。

私自身、子ども時代を通して、いつも父とこうした力のゲームをしていました。

今、息子との関係が、私と父との関係とそっくりになっているのが嫌で、

何とかそれを避けたいのですが、エスカレートしだしたら私がその場を離れる……

くらいしか解決のレパートリーが自分にないのです」

 ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- 


私はAくんのお母さんに、どのような場面で、どんな理由で、どんなふうに

Aくんとの揉め事がエスカレートしやすいのか詳しくたずねました。

Aくんは寝しなにお母さんから本を読んでもらって眠りにつく習慣があるそうです。

普段は読み聞かせを心待ちにしているAくんが、

時々「今日は、読まなくていい。今日は本を読んでほしくない」 と言うときが

あるそうです。

それなら……と、「お母さんは夕食の後片付けをしてくるわね」と告げると、

「それは嫌だ、やっぱり本を読んでほしい」と言い出し、

本を読もうとすると、「今日は本を読まないで」と騒ぐのだとか。

そうした優柔不断さにぶつかると、Aくんのお母さんは、

「とにかく早く読むのか読まないのか決めてちょうだい」とイライラが募り、

Aくんの方はお母さんのイライラを感じ取って、さらに頑固に、こうでもない

ああでもないと、どちらにも決めない態度を押し通します。

 

そうなるとAくんもお母さんも、本を読むか読まないかということは二の次となって、

とにかく相手を自分の意のままに動かしたいという気持ちに

駆り立てられていくのだとか。

そんな時にお母さんは、父と自分がずっと続けていた力のゲームを、

今度は息子とやっているのを強く感じるというお話でした。

子どもの問題で、「こんな場合どうすればいいか?」と考える時、

どんな育児書も教育書もしつけ本も、

読み物として子育てについての最低限の知識を得て、

子どもに関する想像力を広げる分にはよくても、

実際、現実の子どもとの関係を改善するにはあまり役立たないものです。

子どもはそれぞれ個性的で、その子の問題は、

他の不特定多数の子どもの問題とちがうのはあたり前。

ましてや、親も環境も子どもの状態をどのように読みとるのかという

感受のあり様(ある親には「わがまま」と映る子がある親には「子どもらしく

いきいきした子」と映ります)もまちまちなのですから、

マニュアル的な対応がうまくいくはずがありません。

それならいったい何を頼りに解決すればいいのかというと、

その子との間に生じている問題をなら、答えは、「その子」にあると考えています。

 

話題をAくんに戻して、Aくんがどのような子か、

優柔不断な態度を取る理由は何か、ぐずる時のAくんの目的は何か、

解決の糸口となるものはないかを探ることにしました。

 

Aくんは争いごとを好まない温和なおっとりした性質の年中さんです。

Aくんのお母さんが私にAくんについて相談をしていた間も、

傍らで静かに遊んでいて、

話がひと息ついたところで、遠慮がちに笑みを浮かべながら、

「そろそろさぁ、いい?もう……」とだけ口にしました。

「そうね。ごめんごめん。Bくん(いっしょにレッスンをしている子)が

お休みだからお母さんとつい話こんじゃっちゃったわね。

もう話はお終いにして、レッスンにするね」と言うと、

うれしそうに大きくこっくりしました。

 

「Aくん。今日はどんなことがしたい?このところ、ほかのお友だちはどんなことを

していたかな……。そうそう、海賊船を作ったり、迷路を作ったり、光の実験を

したりしていたけれど……」。

私が言い終えるのを待っているようだったAくんは、控えめな口調で、

「あのね、先生、ぼくの話をきいて」と言いました。

Aくんの控えめな頼み方にあわせて、こちらも気持ちを落ち着けて、

「ちゃんと聞くよ。なあに?」と答えると、

Aくんはかばんの中からプラスチックの廃材を取りだして、

「これで、潜水艦が作りたいんだよ」と言いました。

「このところが、くるくる回るようにして、

本当に水の中に潜る潜水艦にするんだ」とのこと。

 

私が、

「潜水艦の見本がいるよね。これに潜水艦の絵が載っていたんじゃないかな……」

と言いつつ何冊か図鑑を引き出すと、

Aくんは、遠慮がちに、「先生、ぼくに選ばせて。自分で探したい」と言いました。

といっても、ピンポイントで潜水艦を探している風ではなく、

科学の図鑑をめくりながら、興味がわいた場面を指さしてはあれこれおしゃべりを

していて、最終的に私が差し出した『大図解21世紀大百科』の

『しんかい6500』を目にして、「それにする」と言いました。

マニピュレーターという深海生物などを採集するためのリモコンの腕の部分に

強く心を引かれたようです。

 

 

工作を始める前、Aくんは、

「あのね、先生。水に入るようにするから、プラスチックじゃないとダメだよ。

紙はダメなんだよ」と言いました。

「ペットボトルやプリンの容器があるよ。そうそう、油の空き容器も

水に濡れても大丈夫な潜水艦が作れるよ。作ったら、お風呂で遊べるね」と言うと、

「ダメだよ。無理だよ。だって、ぼくはまだ咳が出てるからお風呂に入れないから」

とAくん。そういえばマスクをしています。

「それなら、風邪が治ったら、お風呂で遊べるよ。だって、ずっとずっと

風邪引きのままで、ずっとお風呂に入れないわけじゃないでしょう?」

「うん。ずっとじゃないと思う。たぶん」

 

 

Aくんは普段は一から十まで自分で工作する子で、形やサイズなどは気にもとめずに

箱や紙をザクザクと切って思いを形にしています。

今回の潜水艦作りは、子どもには扱いにくい素材ばかりでかなり私が手伝うことに

なりました。

それでも一部始終、自分でやりたいAくんは、

穴を開けたり、ビニールテープで固定したりする部分は私に任せているものの、

どこにどんな形のものをつけるのか、マニュピュレーターはどうやって動かすのか、

スクリューをどうやって回転させるのか、細かいところまでこだわっていました。

途中で、Aくんは母体部分の油の空き容器に小石を入れたがりました。

「石を入れたら水に潜るから」と言うのです。

でも、教室にある小石は空き容器の口より大きくて、苦心して押し込もうとしても

ひとつも入りませんでした。

そこで前回のレッスンで色水を作ってペットボトルに入れた話をして、

「水を入れてみたらどう?口をしっかり封するなら、色つきの水を入れるのも

きれいだし」と言うと、

「水も石と同じみたいに重くなるね」と言ってとても喜んでいました。

 

 子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 3

 

 

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 4

 

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 5

 

観察していると面白いペット(生き物?)

2016-02-18 18:19:08 | 連絡事項
お家で観察するためのちょっとしたペットについて質問をいただいていたので、
オカヤドカリについての過去記事をアップします。観察用に買うペットとして、
熱帯魚等を扱っている店で100円くらいで売っているタニシもおすすめです。
アカハライモリも飼いやすかったです。
 
 
虹色教室に陸やどかり(地上で生活するやどかりです)が来て以来、
たちまち No.1の人気者になりました。
 
なかなか目的を持った作品を作ろうとしない子も、
やどかりハウス作りや、やどかりの公園作りには大喜びで取り組みます。
 
ザリガニとタニシの話はこちらです
 
たった380円のペットですが、その頭の良さと、動きの面白さ、
生態の不思議にどの子も目を丸くして驚きます。

やどかりの数倍の高さの囲いを作って閉じ込めると、
仲間のやどかりの背中に乗った後で、貝殻からできる限り身体を出して
グーンと伸びをして、爪を塀に引っかけて登るのです。

また、一度、そこは登れなかったと学習すると、他を探索しはじめ、
次のチャレンジ時には、その記憶を活用して逃げ出そうとします。

見ている間中、子どもたちは大フィーバー!!
「スゴイ!スゴイ!」
「そうだ!迷路を作ってみたらどうだろう?」
とアイデアが次々浮かびます。

きちんとデーターを取って、生態についてもっとくわしく調べてみたいです。

やどかりは手の平に乗せると、貝からにゅっと出てきて
とても可愛らしいのですが、手の平の熱で低温やけどしてしまうそうです。
ヤドカリを飼う方は、気をつけてくださいね。

すごく面白いのはセンサー付きのロボットみたいに、
少し離れた場所で手をかざすだけで、
方向を変えたり、貝のなかにもぐりこんだりすることです。

男の子はもちろん女の子たちにもとっても人気です♪

小3の★くん、☆くんと、おかやどかりの能力を測るための実験方法について

話あいました。

生き物ですから、できるだけ負担がない形で、

どんな能力を持っているのか調べる方法はないかと意見を出し合っていたら、

★くんが「迷路を作って、脱出できるか調べてみたい」と言いました。

わたしはやどかりと光の関係を調べたかったのですが、それはまたの機会に。

 

★くん、☆くんのふたりで写真のような迷路を、こしらえていました。

入り口から出口までぐるっとひとまわりしなくてはならない上、だんだん状の障害物も

ありますから、「これはいくらなんでも無理じゃないの?」と

まさか完走するやどかりがいるとは誰も思わないまま、

3匹のやどかりを入り口に置いて、外からふさぎました。

 

すると、しばらく丸まっていたやどかりは、次第に活発に動き出して、

迷路の中へと入っていきました。

そして曲がり角も障害物も何のその、数分で出口に現れました。

途中で引き返したやどかりは1匹だけで、後の2匹はらくらく完走。

 

やどかりたち、高い壁に上るときは、何段かに重なってお互いを踏み台にして

乗り越えるんですよ。能力、高いですね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回、やどかり迷路を作っていた小3の男の子たちが

広さや障害物(暗闇をくぐるトンネルなども増えました)をレベルアップさせて

新しいやどかり用迷路を作っていました。

 

入り口から出口までは上の迷路をくねくね曲がりながらぐるっと一周しています。

「いくらなんでも、これだとやどかりは途中で戻ってしまうのでは?」と

思っていたのですが、やどかり3匹は慣れたのか(??)

すべて、短い時間でクリアー。迷ったり、戻ったり、とまってしまうやどかりも

いませんでした。

 

やどかりの能力、本当に高いですね。

子どもたちが、やどかりが赤いライトにどんな反応をするか

確かめていました。


量子力学について 息子とおしゃべり

2016-02-17 08:49:52 | 連絡事項

春休み中で読書とプログラミングに明け暮れている息子。

昨日の夕食後、こんな会話をしました。

(娘とはあいかわらず人間関係についての会話ばかりで、プライバシー上、

記事にできず残念……。)

 

息子 「量子力学って、シュレーディンガーの猫とか二重スリット実験の話を聞くと、

これまでの考えがくつがえされるような発見を扱っているように見えるけど、

いろいろ本を読んでみると、新しいものさし、解釈を手に入れたという感じなんだな。

発見したのはあくまでも道具だから、何でも測ろうとしたらいけないっていうかさ。」

 

わたし「お母さんも量子力学について書かれた本……数式の部分は抜かしながら

読んだことがあるけど、理解するには能力的にしんどいものがあるみたい。

摩訶不思議な印象だけが残ってよくわからなかったわ」

 

息子 「わからないって状態でいいんじゃないかな、これについては。

大学で勉強するまで、どうして高校以降の勉強はもっと比喩を用いて噛み砕いて

説明しないのか、わざと小難しい用語を使ってわかりにくくしているんじゃないかと

思っていたんだけど、いざ学んでみると、そうするのが妥当って理由が見えてくるんだ。

大学で扱うような最先端の学習内容になるほど、学んだあるひとつの物事が、

何にでも通用するわけじゃなくなるから。

大学数学は、『真』と確信できる正しさがあって、それを理解しようとするんじゃなくて、

これこれこういう仮説を当てはめてみたらうまくいくから、

このことについてはこの計算式を使って考えていけばいいんじゃないかっていう

逆説的な考え方で成り立っている部分がずいぶんあるんだ」

 

わたし 「それじゃ、比喩を使って異質なもの同士を結び付けるのはまずいわよね。

それにしても、二重スリットの実験の話を考えると、わからないながらに、どうして

そんな結果が生じるのかとキツネにつままれたような気持ちになるのわ」

 

息子 「光は粒子なのか波なのかって考えていくと、

確かに摩訶不思議な気分を味わうわけだけど、そもそも粒子や波の概念に勘違いが

あったとしたら、話は別だよね。

量子力学の世界に伴う不思議さは、もともと自然に潜在していたプリミティブなものの

側にある。

この何年かの量子力学の話題で、スゴイ、新しい、って話題を目にすると、

どれも学者にとってスゴイのであって、一般人が感動するような新しい事実の発見とは

別もので、新しいものさしを作ったという種類のものだよ」

 

わたし 「知った結果が、手品の種を明かされたようなものでも、

誰にも想像がつかないとされていた未知のものが明かされていくのは

わくわくするわ。ここのところ、今の仕事に関連する本しか読んでなかったけど、

量子力学の本、わからないながらに、わかるところまで本を読んでおきたいわ」

 

息子 「それもいいけど……。

前まで、学んでるものの先端に向かうほど価値があるように思っていたんだけど、

いろいろ学ぶほど、難しそうに思える量子力学にしても、

プリミティブなもともとのものの組み合わせであることがわかってきて、

単純なもの……すごくプリミティブなもののすごさを再確認することになるんだ。

そうした『もとのもの』を軽んじていると、よくわからない方向に

考えていっちゃうんだろうなと思うようになったよ」 

 


折り紙の帯を1とすると……ブロックの塊を1とすると…… 2

2016-02-11 19:01:06 | 連絡事項

小学2、3年生のグループレッスンで。

ブロックで作った1のカステラについての切り方を考えています。

 

10個ブロックがつながった塊が1つのカステラだったときに、

0.1とは、どれだけにあたるでしょう?

 

20個のブロックがつながった塊が1つのカステラだったときの

0.1は、どれだけでしょう?

 

どうして、0.1という数は同じなのに、

ブロックの数が変化するのか、子どもたちとの話しあいを通して

考えを深めていっています。

 

5分の1、10分の1といった分数についても

包丁で切る動作をしてみながら意味を探っています。

 

物差しの目盛りについてもいろいろな意見がでました。

1センチメートルを1とすると、1ミリメートルはその1に対して、

0.1にあたるということは、大発見。