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「あん」

2015-06-30 00:04:57 | 映画
はい、樹木希林さん、日本アカデミー賞ノミネート確定!!!

私に権限があればね(笑)

ということで、「二つ目の窓」の河瀬監督作品を観てきました。日にち的にもう観れないかと思った…。

もう、とっても良かったです!ラストはマジ泣けた(涙)

ハンセン病がテーマになっているからスピ要素はないだろうな~と思っていたら、とんでもないっ!

スピ要素だらけでした。希林さん演じる徳江さんは、まさに桜の精のような存在でしたね。そう、希林さんの女優魂に感動いたしました!

希林さんにこの役で主演女優賞あげなかったら、日本映画界終わってるで!と言っても過言でないくらい本当に素晴らしかった!

希林さんこそ、神様に生かされていると言っても過言じゃないかもね。

この作品はハンセン病がキーワードになっていて、以前NHKで、ハンセン病患者が隔離された島で生まれ育った(?)少年が、その島で生活を余儀なくされた方々の生活状況や隔離島としての歴史を伝えるべく少年なりに奮闘している姿を映し出したドキュメンタリー番組を観ていたし、ハンセン病がキーワードとなっている映画「砂の器」も観ていたから、私にはタイムリーな内容ではありましたが、隔離島とまではいかなくても、今もまだ療養地区があることにビックリしました。

ハンセン病は今では伝染病ではないにせよ、まだまだ風評被害のように差別される存在なんだと思うと、東北の震災後の作物や地域の風評被害と同じような差別を感じました。

知り合いが、風評を気にして東北には旅行したくない!でも、東京には遊びに行く!と言っていたので、「東京も変わらんで…。今食べてる料理だって、原材料がどこの産地か分かったもんじゃないで」とついつい脅かしてしまいましたが、そんな私だって差別心がないわけではない。ぶっちゃけ、ブログで依怙贔屓発言をしている時点で差別と一緒だと自分でも分かってる。

そういう意味では、私自身も永瀬正敏さん演じる千太郎でもあり、浅田美代子さん演じるオーナーであったりする。無意識に差別していたり、いつの間にか差別される側になっていたり…、そんなこと日常でも多々ある。

ハンセン病患者の方たちは、犯罪者じゃないのに隔離され、一生をそこで生きていかなくてはならない。自由のない牢獄と同じ。筐の中のカナリアと同じ。結婚は出来ても、子供が出来たら産むことが許されない。ホント筐の中の一羽のカナリアと同じ。

そりゃ、ひと昔に比べたら、日本国内の差別はかなり緩和されていると思う。差別も含め、まだまた生きにくい世の中なのかもしれないけど、私が関わったことのある人達は差別に関係なく自由に生活しているように見えた…。何処何処の出身だからといって負い目や引け目を感じている人はいなかった。堂々と生きていたよ。ただ、今分かるのは、職種は限られていたな…。それは言ってた。あ、私の目線はあくまで客観視であって差別視ではないので誤解なきように。

与えられた環境でどう生きていくかが大事で、辛い環境であっても、自分らしく楽しく生きていくことがとても大事だと思う。

誰かを恨んだり、疎んだり、蔑んだり、怒りを生きるエネルギーにするのは間違っていると私は思う。マイナスの感情を如何にプラス思考に変換して生きていくか?が、そっちの方が断然生きやすくなると私は経験から思う。

何度も書きますが、過去の過ちや失敗はタイムマシーンがない限り覆せない。過去の出来事は事実なんです。どんな過去を背負っても幸せに生きる権利は誰にでもある。ただ、罪があるからそれは償わないといけない。それはルール。相手を不幸に陥れておいて、自分だけ幸せになることは神様が許さないと思う。世の中はなんでもかんでも自由ではない。不自由の中から少しの自由や、小さな幸せや希望を持つことが生きる術だと私は思う。

いつもながら宗教チックなこと書いてますが、決して洗脳とか勧誘とかしてる訳ではないので誤解なきようにm(__)m

ま、ぶっちゃけ書くと、私のオカンは、私が小さい頃は、宗教にはまっていたのに、差別心は人一倍だった。○○人とは結婚したダメ!って平気で言ってたからね。親を見ながら宗教とは何かを小さいながらにも考えさせられたから今があるんだと思ってる。

ハンセン病を背景に河瀬監督が描く「あん」の世界観には、目には見えない力が人を引き寄せたり引き離したりと、まさにスピ要素が描かれていて、誰かへの想いは愛があれば必ず相手に届くことを監督は伝えたかったんだと思いました。

過去の事という心の束縛から、誰にも束縛されない自由ではなく、如何に魂の自由を得るか?それを丁寧に表現された素晴らしい作品だと思います。徳江さんが作るドラ焼きが食べたいっ!

希林さんは本当に素晴らしい表現者さんですね。女優魂を感じる役作りでした。必見です!

私にとっては実はお初かもしれないくらい久々(私にとって永瀬さんは映画「みゆき」から止まってる)の永瀬さんは、寡黙ながらも地味ながらも過去を背負う男を好演してました。なんか、希林さんとのやり取りが素に思えてならなかったので、地に近い役どころなのかな…?と思った。

そうそう、これは私の推測ですが、ワカナとのやり取りは台本に台詞がない自由設定の演出なのかな~と思った。前回の村上親子の会話に近い独特の間がありました。この演出好き!

で、ワカナ役の希林さんのお孫さんでもある内田伽羅ちゃんは、めちゃくちゃ自然体でめちゃくちゃ良かった!素人ぽさもありつつ、自分の役割をちゃんと分かっていてなかなか勘がいいと思った。目線・目配せが良かった!あれはプロでも難しいと思う。ちゃんと受けの芝居も出来ていてさすがモックンの娘さんだけはある。希林さんとは違う。希林さんは、どっちかというと西田敏行さんタイプで攻め上手やね。希林さんの永瀬さんを手のひらで転がす様は面白かった!

は、いいとして、おばあちゃんの希林さんの演技を間近で見た伽羅ちゃんは、おばあちゃんからの最高のプレゼントを貰ったと思う。あの希林さんの演技は、素の希林さんを知っている間柄なだけに刺激的だったと思う。伽羅ちゃんは、将来斎藤由貴さんみたいにのんびりタイプと思わせつつしっかりした芯がある女優さんになりそうな予感。もし女優さんになるならね。あ、なんか結婚も早そうなイメージ(笑)

この作品、素敵な台詞が沢山あって、脚色も担当した河瀬監督のチョイスが光ってました!私にとって“月”は人生のキーワードなだけに最高の使われ方でした!徳江さんの台詞は本当に素敵ですよ!

「二つ目の窓」を含めそれまでの河瀬監督作品は、お客を選ぶ内容ではありましたが、今回は原作があるだけに誰が見ても感動する内容に仕上がっていると思っているので、超オススメします!スピ要素があるのと宗教色が強いのとでは全く意味が異なるので安心してご覧下さい。“ナウシカ”ファンは超オススメ!

今日のまとめ:河瀬監督のスピ要素、わたくし大変大好物でございます!

どなたか、希林さんに賞をあげて下さい!!!



「TABU」

2015-06-27 23:59:45 | 舞台
現実と真実は違うのか?

罪とは何か?

がテーマの作品ですかね…?

難しい内容だったので、原作者、演出家の意図と違うかもしれないけど…を前提に感じたこと書きます。

ぶっちゃけ、最初はなんのこっちゃ???の導入部だったのですが、ラストに向かうにつれてストーリーの核心が見えてきた…って感じですね。

私には、ケビン・スペイシー主演映画「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」がフラッシュバックされました。

結局は同じことが言いたかったんだと思うんですよ。現実と真実は違う、ということを。

「ライフ~」では、デビッドは、婦女助暴行拉致殺人罪の罪で今まさに死刑が執行されようとしていて、真実が明らかになった時にはもう死刑は執行されてしまった…というストーリーで…。真実は、婦女暴行拉致殺人は自作自演でデビッドは殺人を行っていない。現実は冤罪で死刑が執行されてしまったということ。この映画は、死刑制度反対派の主人公が自分の命をもって、死刑制度の盲点を世に知らしめようとした秀作です

そう、全く同じようなことが、この「TABU」でも描かれている。真田佑馬君演じる主人公ゼバスティアンも殺人罪で捕まり、裁判で罪状が決ろうとしてる。そんな中、橋爪功さん演じる主人公の弁護士ビーグラーが真実を突き止めようと奮闘する。

ネタバレすると、結局はゼバスティアンは無罪になる。でも、どう無罪になるのかがこの作品の面白さとなっている。で、この作品でも、現実と真実の違いが問われている。

この「TABU」では、裁判制度の盲点と取り調べを行う警察側の問題点を突いていて、「ライフ~」と同じことが言いたかったんだと思うんですよ。

お前らちゃんと真実を突き止めてるんか!?状況証拠だけで、無実なのに冤罪にしてないか!?ちゃんと調べてるんか!?って言いたかったんだと思うんですよ。

司法制度に対して喧嘩を売っているという点で、タイトルが“タブー(御法度)”なんだろうな~と思いました。

ホント最初は、ゼバスティアンは何の罪に問われているのかすら分からないくらいちんぷんかんぷんだったんですが、橋爪さんが良い意味で笑いを交えたメリハリのある演技をしてくれたお蔭でだんだん内容が見えてきた…って感じでした。

シリアスな内容なんだけど、橋爪さん演じる弁護士が、まるで刑事コロンボとか金田一耕助とか名探偵ポアロみたいな愛嬌のある存在感だったので、ストーリーに置いてきぼりにされなくてすみました。橋爪さん演じるビーグラーはいいキャラでした。

ということで、トークショーの祐飛さん見たさでただのミーハー心で観たんですが、結局はストーリーに入り込んでしまうくらいなかなか面白い内容&展開でした。てっきり祐飛さんが主役だと思ったら違いましたね。そう、なんでソフィア役に祐飛さんをチョイスしたんだろうね…?その理由が知りたい。決して悪い訳じゃないよ。ま、あの役は祐飛さんじゃなくても…とは思ったのは事実ですm(__)m

そう、一年ぶりの祐飛さん。すっかり女性の声になっていてビックリしました!「唐版滝の白糸」「天守物語」では舞台俳優的な声の出し方だったんですが、今回は完全に女性らしさが全面に出た女優の声でした。あまりの変わり様に驚きました(笑)m(__)m

トークショーでは大人気だった橋爪さんの役者魂は本当に素晴らしかった。ぶっちゃけ、橋爪さんのユーモアセンスがなければ、ワタクシ完全に寝てたと思います(笑)それくらい最初はちんぷんかんぷんでしたからね。

それが、橋爪さんのアドリブも含めユーモアのセンスがビーグラーの個性に繋がってストーリーに入っていくことが出来ました。シリアスな作品だからこそ余計、ユーモアのセンスは、作品にメリハリを付けるだけでなく、観客を作品に引き付ける役目になっているんだと改めて感じました。

野田さんの「エッグ」の時も感じましたが、やはり、橋爪はなかなかの舞台俳優さんです。←はい、上から目線ですm(__)m祐飛さんも、橋爪さんに対しては上から目線だそうです。背が高いから(笑)

そうなんだよね、真面目な話をただ真面目に演じるだけでは観てる側としてはつまらないんよね…。

佑馬君は、最初は演技が上手いのかどうかすら分からない存在感だったのですが、結果的には上手かったです。いくらゼバスティアンは無罪でも、あれは十分罪やと思うで。的な役柄が上手かったです。現実は無罪やけど、真実は罪だと思うよ。

トークショーは、キャスト&スタッフの皆さん、橋爪さん大好き!!!をアピールしただけの内容の印象しかない(笑)ほぼ内容に触れてないトークでした。でも、とっても笑える楽しいトークショーでした。

個人的には祐飛さんの話が聞きたかったですが、全て佑馬君と橋爪さんと司会者さんが持っていっちゃいましたね(笑)演出家の深作さんが、緊張してかお茶目キャラで可愛かったです(笑)祐飛さんの上から目線見たかったな~(笑)

今回の兵庫公演では、東京より意外と笑いが多くてビックリされた様子でしたが、関西はお笑いの文化なので、どんな小さなことでも拾いまっせぇ~(笑)

今日のまとめ:この作品を観て面白いと思われた方は、是非とも「ライフ~」も観て欲しい!

「五右衛門vs轟天」

2015-06-20 01:45:49 | 舞台
凄いっ、凄いっ、凄いっ!!!!!

ソフマップ!!!

えっ?

ソフマップ???

いやいや、劇団☆新感線が!(笑)特に中島さんの脚本が素晴らしい!!!パンフレットを読む限りでは、いのうえさんがかなり脚本にテコ入れした様子やね!?

ということで、劇団☆新感線35周年オールスターチャンピオンまつりに参加してきました!

もうね、下ネタオンパレードで、おバカキャラしか登場してないのに、トリプルアクセル、または、ムーンサルコウ超えの捻りを加えた脚本演出に大爆笑&大感動しました!!!

中島さんが凄すぎる━━━━ぅ!!!(笑)

めちゃくちゃくだらないのに、めちゃくちゃよく練られた脚本!

いつも練りに練った脚本だけど、日本史が絡むと分かりづらいものはありますが、今回は下ネタ&ギャグオンリーでただただ観客を楽しませるに徹するだけの脚本ではなくて、内容が二転三転それ以上の展開になっていて中島さんの発想力に感心しまくりでした。五右衛門の○○○がキーワードになっていて、さすがに下ネタ大好き人間の私でも書けんわ!(笑)

まだ東京公演が9月まであるから、ネタバレしないように書きますが、

あの中島脚本に、あのいのうえ演出、そして、首尾一貫おバカキャラに徹する出演者の皆さんのエンターテイメントぶりにもう感動しまくりでした!!!

私は、「薔薇とサムライ」からしか新感線の舞台を観たことないから、たった五年の新参モノですが、過去キャラも全く知らなくても十分楽しめる内容になって大いに笑わせて頂きました!

今回は、タイトルロールの古田五右衛門とじゅんさん轟天だけでなく、看板女優の高田聖子姐さんも大活躍する内容になっていて、いろんな意味で脚本家&演出家の愛を感じました。

本当に聖子姐さんが大活躍で格好良かった!だけど、最後はちゃんと古田五右衛門が美味しいとこ取りになっていて、ホンマにトリプルアクセス以上の捻りが利いた脚本でした。もちろん、轟天のじゅんさんも大活躍で、あの女性下着ネタはここから生まれたのか~と大爆笑しながら感心して観てました(笑)

35周年を祝うにはシアターBRAVAでは箱が小さすぎるんじゃないか?梅芸でもいいんじゃない?と思いましたが、結果的には、梅芸より一回りも二回りも小さいBRAVAの方がアットホーム感が漂っていてとても心地よかった!

梅芸だと、劇場が大きいから、東京公演を含む約3ヶ月間体力が保たないかもしれないね…。か、あんなお下品ネタオンパレードでは逆に梅芸側が許可しなかったのかもね…(笑)m(__)m

そう、いつもは梅芸の3階席で観てたから、舞台までがとても遠い存在でしたが、今回はオペラグラスが要らない席だったから、キャストの皆さんがとっても近い存在だったので大興奮モンでした!(笑)空間が狭いから余計アットホーム感を味わえたと思う。本当に楽しかった!

あ、ただ一つ後悔が…、成志さん演じるばってん不知火のシーンで“ばってん風車”をうっかり床に落としてしまって回せなかったこと…(涙)懺悔懺悔懺悔ですm(__)m感じ悪い観客がいたらそれはワタクシでございます。本当に申し訳ありませんでしたm(__)m

成志さんのあのキャラは、野田さんの「MIWA」で免疫力がついたので驚きはしませんでしたが、なんせ体力が凄い!不知火ならぬ、疲れ知らずの不知疲やね!←上手いっ!(笑)

そう、キャストの皆さん、そんな若い方ばかりじゃないのに、あの体力は凄い!本当にお疲れ様です。9月の大千秋楽までお身体を大事にして下さいね!

お下品ネタに加えて、老若男女が楽しめるネタというか、老中年男女が楽しめる限定ネタが超面白かった!○○○ボカーンは今の若い子は知らんやろ!?(笑)

っていうか、間違いなく客層も高かったから皆同級生って感じやね(笑)

あ、同級生ネタ!!!まさかの展開やった!ホンマのホンマ、脚本が捻りまくっていて面白かった!

前回の「キレイ」では大人し目な役柄でしたが、今回は男勝り且つ色気勝負の役どころの松雪さんもなかなかの捨て身ぷりでした。最初から最後までとっても綺麗でした!

ひょっとしたら、大千秋楽までには浦井シャルルを越えるかもしれない、こちらも捨て身なキャラを見せ付けてくれた賀来君も素晴らしかった!あれが浦井氏やったらファンやめるわ(笑)ウソウソ。逆に尊敬する!賀来君ファンさん、ごめんなさいm(__)m

キャストの皆さん、プライドを捨てた捨て身なキャラを惜しみなく披露して下さり、本当に笑い過ぎて楽しかったです!

これからご覧になる方は、決して期待値を上げずにご観劇下さいね。その方が絶対楽しめるから!

あ、今回も「エリザベート」楽曲アレンジありましたね、短めだったけど。「サウンド・オブ・ミュージック」アレンジもあったね。あと、♪エンドレス・ラブ♪も。めちゃ老中年男女世代やん!?(笑)

ネタバレしているようで、核心的なことは書いてないので安心してご観劇下さい!

今日のまとめ:お下品ネタオンパレードだけど、実はちゃんとスピ要素も盛り込んだ脚本でした。これはめちゃどさくさ紛れだったけど…(笑)

劇団☆新感幹のエンターテイメント性は、ブロードウェイやウエストエンドの舞台じゃなく、ラスベガスのショーとして通用するものがあるのではなかろうか???って観劇後思いました。

実は、あと1回行きます。今度はちゃんとばってん風車回します!今日より遠い席だけど…。

実は、もう一つ書きたいことがあって、今日は観劇前に梅田のソフマップに寄りました。

日本では公演や奇跡がない限り手に入らない「ミュージカル・ルートヴィヒ2」のCDが擦り傷で音飛びしてこの五年間全く聴けず仕舞いで嘆いていたんですよ。

研磨器も買ったけどダメだったし、同僚が旅行でドイツに行くから新しいのを買ってきて欲しいとお願いしたけどCDショップがなくて結局手に入らず仕舞い…。いつ行けるか分からないドイツに行くまでは二度と聴けないと諦めていたら!!!なんと奇跡の情報が舞い込んで来て早速ソフマップに行って来ました!

そしたら、そしたら、奇跡が起こりました!!!帰宅してデッキに入れたら全曲音飛びすることなく見事に復活してました!!!本当に涙モンでした!(大粒涙)

ソフマップ様様です!本当に本当にありがとうございましたm(__)m

「地獄のオルフェウス」

2015-06-13 02:28:51 | 舞台
ぶっちゃけ、全く期待してなかったけど、ラストはウルッときた。確かに第一幕の長い2時間は、う~ん???とは思ったが、第二幕で物語の根っこが見えてきたって感じやね。なかなかの問題作だと思いました。そう、この不条理な世の中が地獄なんだよ…。

ということで、大竹しのぶ×テネシー・ウィリアムズ、蜷川さん演出の「欲望という名の電車」のリベンジになるか!?は、全く期待せず、ただ東京公演の評判で観てきました。

結果的には、評判通り良かった。今、今年上演して正解!と思ったくらいとてもタイムリーな内容だったので、ラストはウルッときたと同時に怒りも込み上げてきました。

NTLの「二十日鼠と人間」と同様、黒人差別が色濃く残っていた時代背景で、「二十日鼠~」よりもっと悲惨な状況下で、何十年も魂が死んでいる状態と変わらず生きてきた年増の主人公レイディ(しのぶさん演じる)が、春馬君演じる若者ヴァルに出会ったことで、生きることに一筋の光が射し込んだのに…、っていう大雑把な粗筋ですが、

ぶっちゃけ、単純に、不倫はよくない!っていう物語ではなかったね。もっと根っこが深いと感じた。テネシー・ウィリアムズが生きていた当時のアメリカの現状を描きだした問題作だと私は解釈しました。

私は、この戯曲を読んだことも存在も知らなかったのですが、本当に本当にラストは怒りが込み上げてきた。ウィリアムズが描きだした現実は、今と全く変わりはしない。ついこの前、同じようなことが何処かの国で行われてましたよね!?散々話題になっていたのに、数ヶ月経つともう遠い過去の出来事になって忘れさられてしまうなんて…。

今も、テネシー・ウィリアムズが生きていた時代となんら変わりもせず不条理な時代です。そりゃ、自国は平和になったけど、他国はそうはいかない。まだまだ不安定だよ。

レイディやヴァルの生き様・死に様が、ある中東諸国の出来事を思い出す。

テネシー・ウィリアムズも言いたかったんだと思うよ、復讐からは何の明るい希望がないことを。本当の不条理がなんなのか分かってるんか!?って問い掛けていたんだと思う。

そう、戦争と同じなんだよ。差別で人を殺しておいて、それを正当な理由付けをしてノコノコ生きていていいわけ???レイディの抱えるバックグラウンドがあまりにも悲惨過ぎて、怒りしか湧いてこない。結局は、やられたらそのままやり返されるだけ。歴史はその繰り返し。マジで虚しすぎる…。

10年と実を付けなかった枯れかけた木と同じように、自分は年増で枯れた人間だと思っていたら、そうではないことをヴァルが教えてくれた。生きる希望をもっともっと明るい未来をヴァルがレイディに与えた。なのに…。

そのまま、レイディとヴァルが街を出て一緒に生活すればまだ幸せになっていたかもしれないけど、レイディが夫に復讐しようとしたことで、歯車が大きくズレてしまったんよね。

レイディの復讐心はよく分かる。当然の成り行きだと思う。

ヴァルもレイディに出会ったことで、本当の愛に目覚めた矢先だったのに、不倫という不条理が、更なる不条理を生む結果になってしまった。

ぶっちゃけ書くと、本当に二人が街から逃げてしまったら、作品の意味がなくなるんよね。あの結末だからこそ、ウィリアムズが伝えたいメッセージがリアルに浮き彫りにされるし、今現在にも通じる訳なんよ。結果的には、ウィリアムズ、よく書いた!と言いたくなる内容でした。ホンマ、悲しみと怒りが湧く結末でした。

レイディを演じたしのぶさんは、今回は普通に良かったです。出だしの夫と愛のない日常がひしひしと伝わってくる荒んだ表現から、ヴァルと出会ったこてで、ある意味若さを取り戻した表現が良かったです。ぶっちゃけ、第一幕はよく分からないレイディ像でしたが、第二幕でレイディの人物像が明確になったので、いろんな意味で第二幕が良かった。

春馬君のヴァルは、レイディの店に来るまでは、本当に女たらしな生活をしてたんだうな~、ギターだけが唯一の恋人だったんだろうな~という過去が見える役作りで、声は弱かったけど、雰囲気はピカイチでした。ただ、レイディへの愛はホンマかどうか疑わしかったけどね。でも、世の中、男女関係なくああいう人いるよね~。夢も希望もない日常にふと現れる神秘なる人物が!そりゃ、気持ちも揺らぐわさっていう人物がね。大概、そういう人物は皆のアイドルになってしまうから独り占め出来ない、残念なことに…。

で、この作品で一番良かったのが、水川あさみさんのキャロルでした。完全にいっちゃった狂気の役どころが素晴らしかった!ドラマの水川さんしか知らないから、あんな狂気の演技が出来るなんてビックリしました。とても良かったです。精神病の人って、本当に神様と交信してるんじゃないかと思ってしまう時があるんですが、このキャロルもそんな役どころでもあったので、違う意味でリアルな存在でした。ああいう人は、すぐ病院送りになるはずなのに、そうはならないのも時代背景やね。

ぶっちゃけ、この作品に登場する人物皆、何某の精神疾患者に私は見えた。噂好きだし、お金は盗まなくてもサンドイッチは盗むし、人間を生殺ししたり、まともな人間なんていりゃしない。

その中で、一番狂っているのが目に見えて明らかなのがキャロルなんだけど、実は、ヴァルにとっては天使だったのかもしれない役どころにも見えた。もし、キャロルの言う通りにしてたら、あの結末は回避できたかも…。キャロルが預言者的な存在だったのが魅力的でした。水川さんのキャロルは、声が舞台の声だったので、声フェチには堪らん発声でした。水川さんは舞台向きの女優さんだと思う。

三田和代さんの画家(?)役も魅力的でした。めちゃスピ要素の役どころで、“インスピレーション”を使うならまだ分かるけど、“ヴィジョン”の単語を使うところがまさにスピだなと思った。イエス・キリストの映画もそうだし、「ノア」もそうだったけど、神様の啓示は言葉でなくて“ヴィジョン”なんだよね…。なんか不思議な役どころでした。

演出的には、戯曲を読んでないので分からないですが、暗転の度に、さっき店から出て行った人物が、なんでそこにいるの!?と言いたいくらいにもう店の中にいたりと、あまりにも自然じゃない登場の仕方だったのが非常に気になった。普通は、出て行ったら、入ってくるシーンがあるのが自然なんだけど、めちゃくちゃ違和感を感じる演出?脚本?でした。

舞台が始まる前から雷を鳴らしたり、雨を降らしていたり(ガラス戸に水が滴り落ちる演出)、美術もそれなりに凝ってました。ラストは悲しいけど月の光が印象的な綺麗な演出だった。

今日はカーテンコールで、春馬君の挨拶があって、カミカミだったのがとっても愛嬌があって良かった。ファンの方から春馬人形を貰ってた。

しのぶさんも、舞台のシリアスな表情から打って変わって、水川さんと腕を組んだりとお茶目な雰囲気がしのぶさんらしいな~と思った。この切り替えの早さはさすがプロ!

今回の、大竹しのぶ×テネシー・ウィリアムズは、独りよがりの演技ではなく調和があって良かった。どっちかというと、水川さんの狂気っぷりが強烈だったから、しのぶさんの演技が良い意味で霞んだ感じだった。

今日のまとめ:春馬君は、「五右衛門×轟天」にサプライズゲストに出るのかな…?っていうか、出たのかな…?

「海の夫人」

2015-06-07 23:21:38 | 舞台
佐藤オリエさんがエリーダを演じたの1994年やったんや…(プログラムより)。私はNHK教育で観た。あのオリエさんのエリーダは私には衝撃的でした。あの頃からtptの舞台に興味を持ち始め、ベニサンピットは私には演劇の聖地になった。取り壊しになる前に1度は行きたかった…。

ということで、「聖地X」の前に、tptの常連さんでもあった麻実れいさん(ターコさん)のエリーダを観てきました。

新国立劇場作品の関西公演。しかも私が学生時代に超はまっていたイプセンの作品。ヨットをイメージしたかのような巨大簀の子(すのこ)風な舞台美術が非常に斬新でした。たった一回きりの公演なのになんか贅沢な気分を味わわせてもらいました。

ただ、作品自体は、ぶっちゃけ、イプセン作品の中では最も奇をてらった作品というか、難解というか、イプセンらしくない作品だと私は思ってます。

戯曲を読んでも、オリエさんが演じても不思議な作品だと思ってましたが、ターコさんが演じてもやはり不思議な作品でした。

ただ、今だから分かることは、イプセンなりに“ウーマンリブ”“女性の社会的自立”を描きたかったんだろうな…っていうのが視えた。「人形の家」ノーラなんてまさにウーマンリブを象徴した女性だもんね。

実は、チェーホフもウーマンリブを描いているんよね。チェーホフの作品に登場する女性の方がちゃんとしたヴィジョンを持ってるけど、イプセンに登場する女性は具体的なヴィジョンがないんよね。男性や家族から自立して何がしたいのか明確なヴィジョンを持ってないから結局経済力がある男性に依存しないといけないんじゃないの?ってついつい思ってしまう。

ま、イプセン作品で視えてくるのは、登場する男性は情けない人物が多いってことやね。

エリーダなんて特に何を考えているのか分からない存在だから、本当に抽象的な存在なんよね。

ただ彼女は、“自由意志”を獲得することで、“精神的自己解放”を果たすんやけど、ぶっちゃけ、何が精神的自己解放なのか意味不明。どういうこと???って思う。まだノーラの方が分かりやすい。

エリーダの自由意志の獲得も意味不明なんだけど、更に意味不明なのが、エリーダの心の闇の原因となる“見知らぬ男”の存在なんよね。

この“見知らぬ男”は、「エリザベート」のトートみたいな、死神でも、エリーダのもう一人の自分でも、妄想の人物でもないよね。登場人物皆の目に見える存在だから余計意味不明な存在になる。何かの具体的な象徴なら理解出来るけど、なんの象徴なのかすら分からないから理解に苦しむ。

確かにエリーダは精神的に病んでいるのは分かる。鬱であるに間違いない。ノーラみたいに、旦那にとって可愛い人形のように振る舞うことを自分に課すと益々鬱症状がひどくなるのは明白。ただ、実際のノーラは可愛い人形を演じているだけであって本当の自分はちゃんと心の片隅に隠していたから、実は強かな女性なんよね…。逆にエリーダは可愛い奥さんすら演じることが出来ないくらい心の闇に苦しんでる。そこからの精神的自己解放、自由意志の獲得だから本当にエリーダは本当に魂の自由を獲得したのか理解できんのよね…。

鬱病の人に“責任”を課すことは絶対的御法度だから、エリーダが獲得した自由意志は、まさに“自己責任”を自分に課すことになる訳だから、エリーダは本当に精神的自由になれるのかめちゃくちゃ疑問なんよね。エリーダが欲しかった自由意志って本当は何なん???っていうのが私の正直な疑問。ノーラは強かだからなんとでもやっていけるとは想像出来るけど、エリーダこそ旦那ヴァンゲルに守ってもらいなよ!って言いたくなるよね。結局はヴァンゲルの元に戻るけど…。なんか腑に落ちないラストなんよな…。

ただなんとなくイメージ出来るのは、エリーダが獲得した自由意志で本来の自分を取り戻したのは、「奇跡の人」でヘレンが水汲みの水に触れた時のショック、または覚醒と同じような気がする。一種の閃きのようなショックね…。

なんか意味不明なことばかり書いて申し訳ありませんm(__)m「海の夫人」は難解ということが言いたかっただけなので悪しからず…。

そもそも、私がイプセンにはまったのは、イプセンの人間観察力の鋭さに感動したからです。学生時代は演劇や宝塚だけでなく心理学にも興味があったから、人間観察しまくってたからね。での、イプセンとの出会いだったのでドンピシャだったんですよ。

イプセンの作品に出てくる登場人物が、まさに私の身近にいる人物と同じだったりするので、とても百年前に書かれた作品とは思えないくらいリアリティーがあって、年代だけでなく国境すらも越えてしまう人物描写の共通性に感動して、イプセン戯曲集買っちゃうくらいはまった(笑)

やはり、文庫化された作品はそれなりに普遍性はあるけど、「海の夫人」を含め文庫化されてない作品は特殊性があると思った。

ちなみに私のお気に入りは「野鴨」。人の幸せを無責任にかき回す人っているやん!?放っといてくれたらいいのに、後始末出来ないのに無責任にお節介焼いてくる人いない?ちょうどタイムリーに同じような人物が私の周りにいて、めちゃくちゃこの本を読ませたかった(笑)

は、いいとして、最近では大地真央さんの「ヘッダ・ガーブレル」、瞳子さんで「幽霊」で上演してたけど、どちらも関西には来てくれなかったんよね…。観たかった…。

そうそう、無名塾のレパートリー作品でもある「小さなエイヨルフ」はテレビ中継で観たことがある。

「人形の家」だけ生の舞台で観た。そういえば、「ヘッダ・ガーブレル」はウィーンで観た。←プチ自慢(笑)

7月に関西で「ペール・ギュント」上演されますが、チケット完売なので諦めました。その前に希望休オーバーなんですが…。


そうだ!是非ともケラさんに、チェーホフシリーズが終わったら、イプセンシリーズやって欲しい!!!きっと、学生時代では気付かなかった発見があるはず!←だったら戯曲読み直せ!m(__)m

局、どうでもいいことばかり書いてごめんなさいm(__)m

今日のまとめ:文句ばかり書いていると思われそうですが、ターコさんエリーダ版「海の夫人」は、決してつまらない作品ではなかったですからね!あの美術と使い方は良かった!もちろん役者さんも素晴らしかったです。少し過剰な表現はあったかもしれないけど、戯曲に忠実に表現されていたと思う。←うわ~、マジ、お前何様!?

追記:myブロガーさんの記事を読んで分かりました。エリーダの自由意志の獲得とは、ヴァンゲルからの真実の愛ということを!これで腑に落ちた!そうなんだよ、イプセンの作品に登場する男は真実の愛が分かってないねん!←やっぱ、お前何様!?
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