夜への長い旅路…というよりは、夜への長い一日…、いや、眠りに就くまでの長い一日…と言った方が正しいのかもしれないね。
ということで、大阪公演初日ではなく、今日日曜日に観て来ました。
シェークスピア劇みたいに起承転結があるわけじゃない、一家族の、決して平凡ではない、各々一人一人の心の葛藤を描いた家族劇。起承転結があるわけでもない、オチがあるわけでもない家族の1日の物語。ほぼBGMもないのに、決して退屈することく最後まで魅入ってしまう、役者陣の演技力と存在感、そして熊林さんの独特な演出力には、毎度ながら素晴らしい!
ぶっちゃけのぶっちゃけ、やはり、ドラマシティのやや広めの小屋ではなく、PARCO劇場くらいのキャパで観たい作品ではありましたね…。
四人家族、一人一人が心に闇を抱え、そこに蓋を閉じて生きてきたことで生じる家族間の確執。その心の闇を打ち明けることで、ひょっとしたら家族が一つにまとまれたかもしれないが、時既に遅し。眠りから醒めた時には、この家族はバラバラになるであろう…を予見するラスト。
ひょっとしたら、ひょっとしたら、半年後、1年後、エドマンドの病気が治ったら、もう一度家族が再生するかもしれないとも予見できるが、きっとそれはないであろうと断言できる冒頭に語られたエドマンドの台詞(確か遺言だったはず…)。元々、砂で出来た城のような家族だったんだから、本物の城にはなれない。ただ風に吹かれて跡形もなく崩れるのみ…。たとえ砂でも、城が出来ていたのかすら怪しい関係…。
各々の抱える心の闇は、誰もが持ち合わせている二つの心の葛藤。いわば、天使の心と悪魔の心の葛藤みたなもの。
弟の才能に対する喜びと嫉妬心。
治るのか治らないのか、結核なのかそうでもないのかも分からない、生きたい気持ちと死ぬかもしれない不安な気持ちとの葛藤。これは違うか…。家族と一緒に暮らしたい気持ちとさっさとこの家から逃げ出したい気持ちとの葛藤の方が正しいのかも…。
家族に心配をかけないためにも麻薬とは縁を切らないといけないと分かっている自分と、過去のトラウマ(?)過去のつらい記憶のせいで麻薬と縁が切れない自分との葛藤。
そして、家族も大切なのも分かってる、息子の命も大切なのも分かっている。だが、土地を買うことだけに金を費やし、シェークスピア俳優としての名誉やプライドを捨て、妻の治療費や息子の療養費をケチってしまう守銭奴の自分との葛藤。
分かっちゃいるけどやめられない…、そんな二つの心の葛藤は誰にでもあるはず。
今現在の苦しみから逃げるために、過去の幸せなひと時に浸ることで現実逃避したり、逆に過去はなかったものとして目を逸らして同じ過ちを繰り返したり…。
この作品に登場する人物は、多少なりともキチガイじみてはいるけども、決して他人ごとではないと思う。
現実とも過去とも目を逸らさず、ちゃんと向き合う。家族なら会話やコミュニケーションは絶対大事。腹を割って話すことも尚更なこと。確かに、嘘も方便も必要な処世術ではあるけど、いざというときは、喧嘩をするくらいの覚悟で心を開いて相手と向き合ないといけないこともある。
過去から逃げるってなかなか出来ないんよね。必ず向き合う日が来るし、向き合わせる人物に出会う。逃げても逃げても追いかけてくる。これは私だけじゃないはず。
これは確信して言えるけど、嫌な過去とちゃんと向き合って、ちゃんと決着を付けるとそのカルマは消える。ま、次のカルマとは出会うけどね…。人生はその繰り返しだけど、それが本当の生きる力だと断言できる。偉そうに書いてますが、私の心は容易く折れるけどね…(汗)結局は、現実逃避してしまいますが…。←アカンやろ!?m(_ _)m
ということで、いつものごとく、わたくしのどうでもいい話はさておき、
何度書きますが、この作品、本当に起承転結がないんですよ。クライマックスも、オチもないんですよ。なのに、まったく退屈感がない!美術も光沢のある床で、美術のセンスも素晴らしい!やはり、熊林さんの演出好き!(笑)
妻役のターコさんの麻薬中毒ぶりというか、現実と過去に苛まれてる感が絶妙で、まるで、「欲望という名の電車」のブランチを観ているかのようでした。
彼女の過去のありとあらゆる要素が、麻薬中毒へと導く役柄なんですが、心の闇があからさまに分かる演技だっただけに、どんな過去なのか非常に興味津々でした。彼女の抱える闇の正体が分かるにつれて、旦那が最低に視えてくる。面白い。
その最低な旦那役の益岡徹さんも、リアルな守銭奴な役作りで、個人的には憎めない役でもありました。そりゃ役者だけでは食っていけないよ。ヒット作に恵まれて、お金がガッポリ入ってきたら普通は守りにはいるよ。土地でも株でも投資して財を蓄えたくなるわさ。貧乏経験があれば余計にね。
でもね、でもね、家族の病気に対してケチったらアカンわな。あれは身から出た錆やわな。でも、憎めないんよね。過去が過去なだけにね。っていう役柄でした。
その二人の息子たちを、田中圭君と満島君が演じているんですが、
ドラマではよく拝見してる田中君は、後半の酔っ払いの時の演技が素晴らしかった。兄貴としての葛藤が絶妙でした。弟に対する愛と嫉妬心。凄く共感できる演技だった。私自身、同じ気持ちを味わったことがあるだけに本当にリアルでした。愛もあるけど悔しさもあるんだよ。だから余計自分が惨めに見えてくるんよね…。誰よりも1番愛に飢えた役柄が好演でした。
その弟役の満島君。めちゃくちゃ普通の演技でびっくりした!今まで観てきた役が、声を張り上げる役柄が多かっただけに普通のお芝居が出来ることにマジで驚いた。この落ち着いた演技というか、結核で死を悟った演技というか、なんせ達観した演技が絶妙な匙加減でした。
ぶっちゃけ書くと、満島君の演技で田中君の演技がめちゃくちゃ際立って見えた。田中君的にはめちゃくちゃ役に入りやすかったと思う。満島君が導いたと言っても過言じゃないかもね。そういう意味では、満島君が姫川亜弓に視えた(笑)←あ、冗談じゃないです。
田中君の演技も素晴らしかったけど、満島君の成長ぶりには驚いた。「逆鱗」の満島君が観たい!松っちゃんもね(笑)あ、チケットの神様どうかどうか宜しくお願い致しますm(_ _)m
あ、関係者の方が読まれて、筋違いなことばかり書いていたら謝ります。あくまで、感じたままを書いているので悪しからず…m(_ _)m
今日のまとめ:益岡さんて、無名塾出身やったんや…。小道具に無名塾時代に演じたシェークスピア作品の舞台写真や仲代さんの写真もあるそうです。←なんで知っとんや!?←内緒(笑)
追記:今月の観た舞台のほとんどに、何故か“キチガイ”という単語が使われてた。めちゃ放送禁止用語やん!?(笑)
この舞台に関しては、“フランケンシュタイン”
“マクベス”もMYキーワードでした。観る必然性を感じさせるというか、最近観た作品と意外な接点が多くて不思議でした。
ということで、大阪公演初日ではなく、今日日曜日に観て来ました。
シェークスピア劇みたいに起承転結があるわけじゃない、一家族の、決して平凡ではない、各々一人一人の心の葛藤を描いた家族劇。起承転結があるわけでもない、オチがあるわけでもない家族の1日の物語。ほぼBGMもないのに、決して退屈することく最後まで魅入ってしまう、役者陣の演技力と存在感、そして熊林さんの独特な演出力には、毎度ながら素晴らしい!
ぶっちゃけのぶっちゃけ、やはり、ドラマシティのやや広めの小屋ではなく、PARCO劇場くらいのキャパで観たい作品ではありましたね…。
四人家族、一人一人が心に闇を抱え、そこに蓋を閉じて生きてきたことで生じる家族間の確執。その心の闇を打ち明けることで、ひょっとしたら家族が一つにまとまれたかもしれないが、時既に遅し。眠りから醒めた時には、この家族はバラバラになるであろう…を予見するラスト。
ひょっとしたら、ひょっとしたら、半年後、1年後、エドマンドの病気が治ったら、もう一度家族が再生するかもしれないとも予見できるが、きっとそれはないであろうと断言できる冒頭に語られたエドマンドの台詞(確か遺言だったはず…)。元々、砂で出来た城のような家族だったんだから、本物の城にはなれない。ただ風に吹かれて跡形もなく崩れるのみ…。たとえ砂でも、城が出来ていたのかすら怪しい関係…。
各々の抱える心の闇は、誰もが持ち合わせている二つの心の葛藤。いわば、天使の心と悪魔の心の葛藤みたなもの。
弟の才能に対する喜びと嫉妬心。
治るのか治らないのか、結核なのかそうでもないのかも分からない、生きたい気持ちと死ぬかもしれない不安な気持ちとの葛藤。これは違うか…。家族と一緒に暮らしたい気持ちとさっさとこの家から逃げ出したい気持ちとの葛藤の方が正しいのかも…。
家族に心配をかけないためにも麻薬とは縁を切らないといけないと分かっている自分と、過去のトラウマ(?)過去のつらい記憶のせいで麻薬と縁が切れない自分との葛藤。
そして、家族も大切なのも分かってる、息子の命も大切なのも分かっている。だが、土地を買うことだけに金を費やし、シェークスピア俳優としての名誉やプライドを捨て、妻の治療費や息子の療養費をケチってしまう守銭奴の自分との葛藤。
分かっちゃいるけどやめられない…、そんな二つの心の葛藤は誰にでもあるはず。
今現在の苦しみから逃げるために、過去の幸せなひと時に浸ることで現実逃避したり、逆に過去はなかったものとして目を逸らして同じ過ちを繰り返したり…。
この作品に登場する人物は、多少なりともキチガイじみてはいるけども、決して他人ごとではないと思う。
現実とも過去とも目を逸らさず、ちゃんと向き合う。家族なら会話やコミュニケーションは絶対大事。腹を割って話すことも尚更なこと。確かに、嘘も方便も必要な処世術ではあるけど、いざというときは、喧嘩をするくらいの覚悟で心を開いて相手と向き合ないといけないこともある。
過去から逃げるってなかなか出来ないんよね。必ず向き合う日が来るし、向き合わせる人物に出会う。逃げても逃げても追いかけてくる。これは私だけじゃないはず。
これは確信して言えるけど、嫌な過去とちゃんと向き合って、ちゃんと決着を付けるとそのカルマは消える。ま、次のカルマとは出会うけどね…。人生はその繰り返しだけど、それが本当の生きる力だと断言できる。偉そうに書いてますが、私の心は容易く折れるけどね…(汗)結局は、現実逃避してしまいますが…。←アカンやろ!?m(_ _)m
ということで、いつものごとく、わたくしのどうでもいい話はさておき、
何度書きますが、この作品、本当に起承転結がないんですよ。クライマックスも、オチもないんですよ。なのに、まったく退屈感がない!美術も光沢のある床で、美術のセンスも素晴らしい!やはり、熊林さんの演出好き!(笑)
妻役のターコさんの麻薬中毒ぶりというか、現実と過去に苛まれてる感が絶妙で、まるで、「欲望という名の電車」のブランチを観ているかのようでした。
彼女の過去のありとあらゆる要素が、麻薬中毒へと導く役柄なんですが、心の闇があからさまに分かる演技だっただけに、どんな過去なのか非常に興味津々でした。彼女の抱える闇の正体が分かるにつれて、旦那が最低に視えてくる。面白い。
その最低な旦那役の益岡徹さんも、リアルな守銭奴な役作りで、個人的には憎めない役でもありました。そりゃ役者だけでは食っていけないよ。ヒット作に恵まれて、お金がガッポリ入ってきたら普通は守りにはいるよ。土地でも株でも投資して財を蓄えたくなるわさ。貧乏経験があれば余計にね。
でもね、でもね、家族の病気に対してケチったらアカンわな。あれは身から出た錆やわな。でも、憎めないんよね。過去が過去なだけにね。っていう役柄でした。
その二人の息子たちを、田中圭君と満島君が演じているんですが、
ドラマではよく拝見してる田中君は、後半の酔っ払いの時の演技が素晴らしかった。兄貴としての葛藤が絶妙でした。弟に対する愛と嫉妬心。凄く共感できる演技だった。私自身、同じ気持ちを味わったことがあるだけに本当にリアルでした。愛もあるけど悔しさもあるんだよ。だから余計自分が惨めに見えてくるんよね…。誰よりも1番愛に飢えた役柄が好演でした。
その弟役の満島君。めちゃくちゃ普通の演技でびっくりした!今まで観てきた役が、声を張り上げる役柄が多かっただけに普通のお芝居が出来ることにマジで驚いた。この落ち着いた演技というか、結核で死を悟った演技というか、なんせ達観した演技が絶妙な匙加減でした。
ぶっちゃけ書くと、満島君の演技で田中君の演技がめちゃくちゃ際立って見えた。田中君的にはめちゃくちゃ役に入りやすかったと思う。満島君が導いたと言っても過言じゃないかもね。そういう意味では、満島君が姫川亜弓に視えた(笑)←あ、冗談じゃないです。
田中君の演技も素晴らしかったけど、満島君の成長ぶりには驚いた。「逆鱗」の満島君が観たい!松っちゃんもね(笑)あ、チケットの神様どうかどうか宜しくお願い致しますm(_ _)m
あ、関係者の方が読まれて、筋違いなことばかり書いていたら謝ります。あくまで、感じたままを書いているので悪しからず…m(_ _)m
今日のまとめ:益岡さんて、無名塾出身やったんや…。小道具に無名塾時代に演じたシェークスピア作品の舞台写真や仲代さんの写真もあるそうです。←なんで知っとんや!?←内緒(笑)
追記:今月の観た舞台のほとんどに、何故か“キチガイ”という単語が使われてた。めちゃ放送禁止用語やん!?(笑)
この舞台に関しては、“フランケンシュタイン”
“マクベス”もMYキーワードでした。観る必然性を感じさせるというか、最近観た作品と意外な接点が多くて不思議でした。