「夜への長い旅路」

2015-09-27 23:31:40 | 舞台
夜への長い旅路…というよりは、夜への長い一日…、いや、眠りに就くまでの長い一日…と言った方が正しいのかもしれないね。

ということで、大阪公演初日ではなく、今日日曜日に観て来ました。

シェークスピア劇みたいに起承転結があるわけじゃない、一家族の、決して平凡ではない、各々一人一人の心の葛藤を描いた家族劇。起承転結があるわけでもない、オチがあるわけでもない家族の1日の物語。ほぼBGMもないのに、決して退屈することく最後まで魅入ってしまう、役者陣の演技力と存在感、そして熊林さんの独特な演出力には、毎度ながら素晴らしい!

ぶっちゃけのぶっちゃけ、やはり、ドラマシティのやや広めの小屋ではなく、PARCO劇場くらいのキャパで観たい作品ではありましたね…。

四人家族、一人一人が心に闇を抱え、そこに蓋を閉じて生きてきたことで生じる家族間の確執。その心の闇を打ち明けることで、ひょっとしたら家族が一つにまとまれたかもしれないが、時既に遅し。眠りから醒めた時には、この家族はバラバラになるであろう…を予見するラスト。

ひょっとしたら、ひょっとしたら、半年後、1年後、エドマンドの病気が治ったら、もう一度家族が再生するかもしれないとも予見できるが、きっとそれはないであろうと断言できる冒頭に語られたエドマンドの台詞(確か遺言だったはず…)。元々、砂で出来た城のような家族だったんだから、本物の城にはなれない。ただ風に吹かれて跡形もなく崩れるのみ…。たとえ砂でも、城が出来ていたのかすら怪しい関係…。


各々の抱える心の闇は、誰もが持ち合わせている二つの心の葛藤。いわば、天使の心と悪魔の心の葛藤みたなもの。

弟の才能に対する喜びと嫉妬心。

治るのか治らないのか、結核なのかそうでもないのかも分からない、生きたい気持ちと死ぬかもしれない不安な気持ちとの葛藤。これは違うか…。家族と一緒に暮らしたい気持ちとさっさとこの家から逃げ出したい気持ちとの葛藤の方が正しいのかも…。

家族に心配をかけないためにも麻薬とは縁を切らないといけないと分かっている自分と、過去のトラウマ(?)過去のつらい記憶のせいで麻薬と縁が切れない自分との葛藤。

そして、家族も大切なのも分かってる、息子の命も大切なのも分かっている。だが、土地を買うことだけに金を費やし、シェークスピア俳優としての名誉やプライドを捨て、妻の治療費や息子の療養費をケチってしまう守銭奴の自分との葛藤。

分かっちゃいるけどやめられない…、そんな二つの心の葛藤は誰にでもあるはず。

今現在の苦しみから逃げるために、過去の幸せなひと時に浸ることで現実逃避したり、逆に過去はなかったものとして目を逸らして同じ過ちを繰り返したり…。

この作品に登場する人物は、多少なりともキチガイじみてはいるけども、決して他人ごとではないと思う。

現実とも過去とも目を逸らさず、ちゃんと向き合う。家族なら会話やコミュニケーションは絶対大事。腹を割って話すことも尚更なこと。確かに、嘘も方便も必要な処世術ではあるけど、いざというときは、喧嘩をするくらいの覚悟で心を開いて相手と向き合ないといけないこともある。

過去から逃げるってなかなか出来ないんよね。必ず向き合う日が来るし、向き合わせる人物に出会う。逃げても逃げても追いかけてくる。これは私だけじゃないはず。

これは確信して言えるけど、嫌な過去とちゃんと向き合って、ちゃんと決着を付けるとそのカルマは消える。ま、次のカルマとは出会うけどね…。人生はその繰り返しだけど、それが本当の生きる力だと断言できる。偉そうに書いてますが、私の心は容易く折れるけどね…(汗)結局は、現実逃避してしまいますが…。←アカンやろ!?m(_ _)m

ということで、いつものごとく、わたくしのどうでもいい話はさておき、

何度書きますが、この作品、本当に起承転結がないんですよ。クライマックスも、オチもないんですよ。なのに、まったく退屈感がない!美術も光沢のある床で、美術のセンスも素晴らしい!やはり、熊林さんの演出好き!(笑)

妻役のターコさんの麻薬中毒ぶりというか、現実と過去に苛まれてる感が絶妙で、まるで、「欲望という名の電車」のブランチを観ているかのようでした。

彼女の過去のありとあらゆる要素が、麻薬中毒へと導く役柄なんですが、心の闇があからさまに分かる演技だっただけに、どんな過去なのか非常に興味津々でした。彼女の抱える闇の正体が分かるにつれて、旦那が最低に視えてくる。面白い。

その最低な旦那役の益岡徹さんも、リアルな守銭奴な役作りで、個人的には憎めない役でもありました。そりゃ役者だけでは食っていけないよ。ヒット作に恵まれて、お金がガッポリ入ってきたら普通は守りにはいるよ。土地でも株でも投資して財を蓄えたくなるわさ。貧乏経験があれば余計にね。

でもね、でもね、家族の病気に対してケチったらアカンわな。あれは身から出た錆やわな。でも、憎めないんよね。過去が過去なだけにね。っていう役柄でした。

その二人の息子たちを、田中圭君と満島君が演じているんですが、

ドラマではよく拝見してる田中君は、後半の酔っ払いの時の演技が素晴らしかった。兄貴としての葛藤が絶妙でした。弟に対する愛と嫉妬心。凄く共感できる演技だった。私自身、同じ気持ちを味わったことがあるだけに本当にリアルでした。愛もあるけど悔しさもあるんだよ。だから余計自分が惨めに見えてくるんよね…。誰よりも1番愛に飢えた役柄が好演でした。

その弟役の満島君。めちゃくちゃ普通の演技でびっくりした!今まで観てきた役が、声を張り上げる役柄が多かっただけに普通のお芝居が出来ることにマジで驚いた。この落ち着いた演技というか、結核で死を悟った演技というか、なんせ達観した演技が絶妙な匙加減でした。

ぶっちゃけ書くと、満島君の演技で田中君の演技がめちゃくちゃ際立って見えた。田中君的にはめちゃくちゃ役に入りやすかったと思う。満島君が導いたと言っても過言じゃないかもね。そういう意味では、満島君が姫川亜弓に視えた(笑)←あ、冗談じゃないです。

田中君の演技も素晴らしかったけど、満島君の成長ぶりには驚いた。「逆鱗」の満島君が観たい!松っちゃんもね(笑)あ、チケットの神様どうかどうか宜しくお願い致しますm(_ _)m

あ、関係者の方が読まれて、筋違いなことばかり書いていたら謝ります。あくまで、感じたままを書いているので悪しからず…m(_ _)m

今日のまとめ:益岡さんて、無名塾出身やったんや…。小道具に無名塾時代に演じたシェークスピア作品の舞台写真や仲代さんの写真もあるそうです。←なんで知っとんや!?←内緒(笑)

追記:今月の観た舞台のほとんどに、何故か“キチガイ”という単語が使われてた。めちゃ放送禁止用語やん!?(笑)

この舞台に関しては、“フランケンシュタイン”
“マクベス”もMYキーワードでした。観る必然性を感じさせるというか、最近観た作品と意外な接点が多くて不思議でした。


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「仏壇マクベス」

2015-09-19 10:05:52 | 舞台
いえいえ、「NINAGAWAマクベス」です。

といことで、いつもは、夜行バスでその日の内に帰宅するんですが、今回は、どうしても!じゃないけど、当たりでもハズレでも「NINAGAWAマクベス」は観たかったので、東京泊まりで観てきました。

実は、この公演が今やってるのを知ったのは、つい最近、初日が開けてからで、MYブロガーさんの記事を見て知たったのであります。なので、元々「タンゴ~」を観てから夜行バスで帰ろうとバスの予約をしていたんですが、キャンセルして、急遽ホテルに泊まって翌日に観てその日の内に新幹線で帰ってきました。はい、それが昨日でございます。

もし、昨日の夜の夜行バスの予約が出来たら、評価が高かった「海辺のカフカ」を観たかったのですが、あいにく、どのバスも満席だったため、新幹線で帰ってきました。さすがに連泊して新幹線で帰るお金の余裕もないし、もし泊まるなら何か観て帰りたくなるから、これは、さっさと帰れ!と神様からのご随意と察し、さっさと帰ってブログを書いてました。蜷川作品に出る杏ちゃんを観たかったですが、これは次回やね。ま、実は、今日はやらないといけないことが山積みだったので、このブログをUP次第出掛けます。

ということで、私のどうでもいい前置きはさておき、本題に入ります。

ぶっちゃけの感想を書くと、

最高に良かった!!!!!

これなんですよ、私が役者を目指していた頃に憧れた蜷川演出の魅力は!!!

もうね、泣けて仕方なかった。今回は良席ではなかったのですが、これが良席なら私の涙腺は完全崩壊してたと思うくらい素晴らしい作品でした!

今回の東京への導きは、まさにこの作品を観るためだと言ってもいいくらい感動しまくりで、まさか蜷川作品で涙する日が来るなんて予想もしてなかったので、帰りの電車の中でも思い返す度に涙が出てきて、変な奴になってました(笑)

ぶっちゃけ、藤原ハムレットではスタンディングしませんでしたがm(_ _)m、この作品は絶対立つ!と決めてました。ありがたいことに、良席じゃなかったから立ちやすかった(笑)

ぶっちゃけのぶっちゃけのことを書くと、市村正親さんのマクベスと田中裕子さんのマクベス夫人は任が合わないと思っていたので、初めてのシアターコクーンにさえ来られればそれだけでいいと、最初からハズレ作品を観るつもりで臨んだら、本当に素晴らしい作品だったのでビックリしました!

和物「マクベス」。劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎が商業演劇の歌舞伎として世間で罷り通るなら、この「NINAGAWAマクベス」こそ本物の商業演劇の歌舞伎です!

和テイストをふんだんに盛り込み、舞台美術は仏壇。BGMはレクイエムとお経のコラボ。蜷川さんの音楽センスは大好き!満開の桜の木。時代は戦国時代。もう世界観があまりにもシェークスピアが描く「マクベス」とはまりまくりで、素晴らしい!

洋風顔の市村マクベスと和風顔の田中マクベス夫人の夫婦の絆を表現するのに、着物が一役買っていて、着物なら柄を揃えられるだけに洋装より着物の方が夫婦の関係性を表現するのにしっくりくる。洋装だと喪服になっちゃうもんね。

この夫婦は、「タンゴ~」の三上さん演じる主人公と神野さん演じる妻との関係性と同じで、歪んだ絆ではあるけど、お互いがお互いを必要としている。マクベス夫婦の方が客観的に見たら残虐極まりない関係だけど、夫婦間では愛で結ばれてるんよ。だから着物が超効果的。

三人の魔女も歌舞伎の女形を配役したのも説得力がある。男か女か分からない両性具有的存在にピッタリ!

美術を仏壇にすることと、BGMをレクイエムとお経のコラボにすることで、あの世で神様が、地上で争いばかりして殺しあい、そして死んでいった者たちや死んでいく者たちを憐れんでいる鎮魂歌に思えてならなかった。常に上手下手に座っている二人のお婆ちゃんは、まさしく、過去の出来事や過ちを繰り返さないために次の代に伝える伝言者のような存在に私は見えました。いずれも蜷川さんの意図はわからないけどね。

そして何より蜷川演出で要になる大事な要素は、役者の魂の叫び声です!

市村さんは大病を患って復帰して間もないから声が出るのか心配だったし、そもそもマクベスを演じるには市村さんの存在は優しくないかい?田中さんは腹から声が出るのか大丈夫かい?そもそも田中さんに悪妻が演じられるのか?最初から二人とも任が合わないと決めつけてましたが、結果杞憂でした。

先ず、お二人とも演じるにマイナスな個性が蜷川演出によって活かされていてビックリ!

市村さんの優しさは、マクベスの小心を表現するのにピッタリ。田中さんの和風顔は、まるで能面のように無表情。なのに、マクベス夫人の冷酷さが仕草と声だけで遠い客席まで伝わってくる。まさに能の世界観。

小心者のマクベスが魔女の二枚舌によって狂気化していく様が、かつてリチャード三世を演じた市村さんとリンクしてくる。大病だったのが嘘なくらい怒りの狂気に陥る市村マクベスは本当に素晴らしかった!最後赤ちゃんのように丸くうずくまる様は、まさに「2001年宇宙の旅」のスターチャイルドと同じで、輪廻転生の象徴だと思った。多分、これは死んで純粋な子供に戻ったと解釈した方が正しいのかもしれないけどね。

そして、マクベスの怒りの狂気とは逆に、鬱的な狂気に陥る田中マクベス夫人も、静かな狂気として表現されていて圧巻!腹からの声ではないけど、声もちゃんと遠くまで聞こえてきたから問題なし。派手な悪妻ぶりでない静かな悪妻ぶりはなかなか新鮮でした。

他のキャスト陣に関して書くと、もうなんせシェークスピア俳優ばかり集め、しかも藤原君のような若いスターがいない。蜷川さんが純粋に自分の演劇に勝負してるのがキャスト陣の声で分かる。「ハムレット」のような囁き声の登場人物はいない。

蜷川作品は二度目で、今回初めてのシェークスピア作品に登場するという柳楽優弥君の声がめちゃくちゃ素晴らしい!最近になって再びドラマなどで活躍してきているだけに、存在が、

映画「Wの悲劇」の劇中劇のマコのようだった。これは決して馬鹿にしているのではなく、映画と同じクラシック音楽を使用していたせいもあるんだけど、大女優を目指す主人公のヒロインと柳楽君の再起復活がダブって見えてくるものがあったから。柳楽君はこれから本物の役者になると確信している。泥水を飲んだことのある人間にしか分からない秘めたる狂気を持ってるからね。

出番が少ないけど、素晴らしい存在感だった橋本さとしさん。殺されるシーンのさとしさんはめちゃくちゃインパクト大でした!このシーンめちゃくちゃ美しく演出されてたね。

この作品のキーパーソンの吉田鋼太郎さんも素晴らしかった!後半のキーパーソンなだけに柳楽王子とのやり取りはウルッときました。声は完璧やね!

ワンシーンだけど、吉田マグダフの妻を演じた長内映里香さんもめちゃくちゃインパクト大な存在でした。声が素晴らしい!これは特筆すべき女優さんです。

もう蜷川作品の常連の嵯川哲朗さんの存在も素晴らしかった!

藤原君や小栗君のような客を呼ぶスターを選ばなかった蜷川さんの今回は采配は、私は成功だと思う。ま、個人的な思入れとダブらせて観ていたせいもあるけど、本当に素晴らしい作品でした。本当に泣けて仕方なかった。桜の森の表現は素晴らしかった。ぶっちゃけ、桜の森の下でマクベスが死んだら更に最高でしたが、あれもアリだと思ってます。

MYブロガーさんが記事にしてくれなければ観ることのなかった「NINAGAWAマクベス」。ブロガーさんにも感謝ですm(_ _)m

そして、若い頃の懐かし記憶を蘇らせてくれた蜷川さんを含め、キャスト陣や製作スタッフさんにも感謝ですm(_ _)m

あんなに狂気のマクベスを演じたばかりなのに、カーテンコールではお茶目な市村さんが見れて、ファンサービスを忘れない市村さんは最高に素敵でした!

今日のまとめ:東京2日間、本当に幸せな時間を過ごせて演劇の神様にも感謝ですm(_ _)m

ほぼ2日間、渋谷にいましたが、スクランブル交差点の雑踏と騒音は、こっちが気が狂いそうでした。「タンゴ~」と「NINAGAWAマクベス」にピッタリな場所だと思った(笑)

そうそう、初めてのシアターコクーンの空間は、なかなか良かったです。ただ客席の椅子が、立ち上がっても座席が下りたままで上に閉じないのは、ちょっとね…m(_ _)m

最後に、今回メモをとってないので、記憶を辿りながら書いているため、いつもの如く長々と意味不明な文章になってることをお許し下さいm(_ _)m
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「タンゴ・冬の終わりに」

2015-09-19 09:21:04 | 舞台
東京に行くからには、翌日が仕事じゃない限り、1作品だけ観て帰らないよ(笑)

ということで、翌日も休みなのでこれを観て来ました。本当はね、「黒蜥蜴」が13時から始まったら、ソワレは宝塚OG公演か、ソニンちゃんが出る「RENT」を観たかったんですよ。OG公演も「RENT」も大阪公演はあるけど、一つ
は完売だし、一つは希望休が取れないからいつ観れるか分からない。

いずれにせよ、OG公演も「RENT」も始まるのも18時30分。「黒蜥蜴」が終わるのが18時過ぎ。これは事前に調べていたから、池袋から有楽町の劇場まで、どうあがいても開演前に間に合わない。開演して遅れて客席に入るのだけは避けたかったので、必然的に観れる作品が19時から始まる「タンゴ~」しかなかったんですよ。

「タンゴ~」も大阪公演があるけど、こちらも希望休がオーバーで観れるかどうかOG公演より難しい。

今、私の中では、清水邦夫ブームが始まっているのでこれも外せない。しかも、今では、小劇場公演の聖地となってるPARCO劇場だから尚更外せない。

なにを考えても、結局これしか観るものがない。

こちらも池袋から渋谷の劇場まで開演前までに間に合うか分からないので、当日券で観てきました。

G2さん演出「人間風車」の初演以来のPARCO劇場だったのですが、やはり聖地だけあってこの劇場も魅力的でしたね。

やはり、地方公演で観る東京発の作品は、舞台美術が小屋のサイズに合わないことが多いから、空間負けしてるのがリアルに分かって残念なことがよくある。

でも、ちゃんと小屋に合わせて作られた舞台美術で観る作品は、小屋も美術も役者も生きているのがめちゃくちゃリアルに伝わってくる。

だから、めちゃくちゃ良かったです!

本当は、スタンディングしたいくらい素晴らしかったのに、五人以上立たれたら、私も立つ気でいたんですが、勇気あるお一人しか立たれてなかったため、勇気のない私は立てませんでした。当日券にしてはこれまた良席だったので、位置的に恥ずかしくて余計立てなかった。ゴメンなさいm(_ _)m

なんせ、主人公の三上博史さんの狂気ぷっりが半端ない!

祐飛さんの「天守物語」がナマ三上さんの拝見で、その時は地味な存在でしたが、今回は、ドラマでも狂気な役が多かっただけに、やはり、元祖アングラ俳優さんだけあって、三上さんの表現力の高さにシビレまくりでした!

「THE BEE」の野田さんの狂気も凄かったけど、三上さんの狂気は野田さん以上でした!顔から溢れ出す汗が更に狂気に輝きを与えていて、もう目が離せない!

大阪公演は、PARCO劇場の倍の広さの森ノ宮ピロティホールだから、それこそ空間負けしないか、三上さんの体力が保つか心配になったので、やはりこれは、PARCO劇場で観て正解でした!

「タンゴ~」は、「火のようにさみしい姉がいて」に通ずるものがたくさんあって、シェークスピア作の数々の主人公だけでなく、すみ花の「ライムライト」、「ラ・マンチャの男」と、意外な作品とも通ずるものがあって、「黒蜥蜴」が14時30分から始まるのは、これを私に観せるための神様のイタズラとしか思えないくらい、観る必然性を感じました。


三上さん演じる主人公は、まさにシェークスピアのハムレットであり、オセロ、マクベスにリア王、まさに狂気の主人公。孔雀と姉がこの作品のキーワードだと思いながら観てたけど、主人公以外に二つに全く繋がりを感じなくて、そしたらラストで私の中で三つが一つに繋がった瞬間に、清水邦夫戯曲は面白いっ!そうきたか!?と思いました。

元舞台俳優が突然引退宣言して、公から姿を消す。今は、弟が後継として運営している(していた)映画館兼実家に戻り、狂人または廃人となって生活している。そこに、妻が追いかけてきて一緒に生活する。そして、ある日、主人公が書いた手紙を読んで愛人がやってくる…。めちゃくちゃドロドロな愛憎劇。そこに、孔雀の剥製と主人公の過去が絡んでくる。もちろん、タンゴも冬も。

もうね、三上さんに何某の賞をあげたい!作品自体も何某の賞のノミネートはアリアリだと思う。

この役は本当にキチガイな役なので、体力勝負ですね。台詞の量や内容もそうですが、シェークスピア四大悲劇の主人公をひとまとめにした役柄を見事に演じていて本当に素晴らしかった!

元名役者の異名を持つ主人公としての名演技ぶり。過去を忘れたキチガイ沙汰な演技だけでなく、過去の断片のピースが一つ一つ蘇ってきて、やがて一つの記憶に結びついた時の本当の狂気の演技。ありとあらゆる狂気ぷりにもう目が釘付け!三上さんの体中から溢れ出す汗すらも私には勲章に見えた!

主人公の奥さん役の神野三鈴さんも素晴らしい!まさにマクベス夫人的な役どころ。夫への愛は一途だけど、歪んでいる。夫のためならなんだってする女。一見貞淑な妻を装いながら、実は、めちゃくちゃしたたかな女性。その演じ分けがお見事でした!極端な演じ分けじゃないから、余計素晴らしい!内なる狂気がジワジワ滲み出る感じ。女って怖い!と思わす存在感でした。

たとえ自分の名前や存在を忘れ去られても、夫に対して献身的かつ、病的なまでの一途さ。その一途さを支えてきた唯一の糸が切れた瞬間の演技も見応えありました。



愛人役の倉科カナさんも好演。ドラマでは大活躍だけど、舞台は大丈夫か心配でしたが、舞台の発声に挑んでるのが良く伝わってきたので、それだけでOK!まさにデズデモーナ的存在。ただ一つ言わせて頂くと、三上さんとタンゴを踊るシーンで、もう少しエロスがあれば尚良かったかな。


今のままだと、三上さんにリードされたただの小娘感が強くて、確かにそれも全然アリアリなんだよ。中年の名役者が、芽が出たばかりかのうぶな若い女優に手を出したんだから。でもね、身も心も主人公に委ねてた時代もあった訳なんだから、ただリードされるだけじゃなく、どれだけ愛していたかが伝わるような、身も心も委ねているように踊って欲しかった。わざとエロティックに踊るんじゃなくて、もう少し水尾役としての心が欲しい。ダンスが上手い下手とかじゃないねん。歌と同じで心やねんな。それがエロティックに見えたらもう完璧!


その愛人の旦那役のユースケ・サンタマリアさんが、私の予想を裏切る素晴らしさ!バラエティーのユースケさんしか見たことないから、カナさんより心配でしたが、めちゃくちゃ上手い!めちゃ自然!ダメ男だけど、カナさん演じる妻への愛がひしひしと伝わってきて、こっちは神野さんと違って純粋な愛でした。いい意味でユースケさんに裏切られまくりでした。

弟役の岡田義徳さんの真面目ぷりも良かった!ユースケさんもそうですが、役柄的に三枚目の要素を持っているので、お二人ともドロドロな人間模様の中の一種の清涼剤的な存在感があって作品のメリハリに一役買っていてとても良かった。岡田さんの一人「カサブランカ」、一人「ライムライト」は、私には超お馴染み作品なだけにとっても良かった!後、両手壁ドンも!(笑)


全員のキャスト評はかけませんが、皆さん個性的な存在感でとっても良かったです。

演出に関しては、行定勲さんの空間の使い方が上手い!蜷川版を観たことないから比較はできませんが、先ず、舞台セットがいい!廃虚と化した映画館の客席にしたのはリアルで良かった。PARCO劇場の箱に合わせた舞台セットだから尚更良かった。他人の人生を裏側から見てる感じだったね。

それから役者陣の動きが良かった。主人公の過去の亡霊達?妄想達?の見せ方も自然で良かった。三上さんは、完全に主人公と同化した動きだったから、台詞のない動きにも目が離せられなかった。

PARCO劇場の空間は、客席はさておき、神がかってるね!そんじょそこらの劇場にはない空気感が最高!

作品の初演がPARCO劇場だっただけに、なんか精霊達が戻ってきた感じがあったね。本当に素晴らしい作品でした!

今日のまとめ:まだ続く…。

ジャニーズの中で私が1番尊敬する人からのお花があったので写メしました。

あ、キムタクです(笑)草𦿶君、ゴメンなさいm(_ _)m

「黒蜥蜴」2015

2015-09-18 21:58:09 | 舞台
野田さん、めちゃくちゃ素敵な劇場の芸術監督に就任しはったんやね!?←おいっ、タメ口かいっ!?m(_ _)m本当にとても心地よい空間でした!客席も素晴らしい!この空間の良さは、新国立より上かも…。なんかヨーロッパの劇場に来たような心地よさでした。ま、私が知る限り、ヨーロッパの客席は、そんなに良くはない。

芸劇の客席は、前の席との間隔が広い。設計した方のセンスが非常に素晴らしい!地下の劇場は、毎年とんちゃんのお芝居を観に来てますが、実は、建て替え前も小ホールだけ来たことがある。上のプレイハウスは、今回初めて来ましたが、エントランスやロビーを含めこんなに素敵な劇場だとは思わなかった。かなりレベルの高い劇場です!

ということで、「黒蜥蜴」に関係ないことばかり書いて申し訳ありませんが、今年二回目の東京に来ました。

本当は、この舞台、行く決心をしたのは8月中旬。実は、前売り抽選にも参加しませんでした。大阪公演は、チケットを購入してたのに空席にしてしまい、東京追加公演は、美輪さんの最後の「黒蜥蜴」を観るチャンスなのに、心の中ではまさかの花ちゃんの「エリザベート」のチケットが取れたからもう東京に行かなくていいか…と、心が「黒蜥蜴」から離れてしまったんです。

で、一般発売の時には、チケットが完売してたので素直に諦めることが出来たんですが…、そしたら完売してたはずなのに、まさかの戻りチケットが販売されており、しかもそれなりに良席!これは、私に観ろ!と神様からの御達しだと解釈しチケット即買いした訳であります。

実際は、本当に来て良かった!と思うくらい素晴らしい劇場で「黒蜥蜴」観ることが出来て本当に幸せでした!

「黒蜥蜴」は、梅芸とかフェスティバルホールで観るような大作だと思っていたのに、規模的には、その半分の広さの空間のプレイハウスでの公演だったので、もう贅沢過ぎ!同じ値段でも大阪公演よりはるかに良席だったので更に幸せ過ぎ!本当にチケットの神様に感謝です!!!神奈川公演の中止&延期や大阪公演が観れなかったことは、劇場フェチの私にこのプレイハウスへと導くための神様のイタズラかとも思ったくらい(笑)

あ、長々と私のどうでもいい話ばかり書いて申し訳ありませんm(_ _)m

ということで、やはり「黒蜥蜴」は美輪さんのレパートリーの中では最高傑作やね!と改めて思った。やはりラストの黒蜥蜴の台詞は泣ける!

小道具でスマホとかコードレスフォンとか現代アイテムが登場してくると、時代背景的にツッコミたい所がたくさん出てくるんですが…。陸がダメで海なら大丈夫って…、空ならすぐ追跡出来るやん!?とか…。

そんなツッコミ処はどうでもいいくらい、三島戯曲の言葉の美しさや純粋さや、美輪さんの美的センスの良さが引き立てられる演出やキャスト陣だったので、それはそれはもう、眼福・耳福・幸福でした!!!(すみません、美輪さんを呼び捨てしてましたm(_ _)m


もう、それはそれは、木村明智が、髭を生やしてコ洒落て登場したのにはビックリした!(笑)なんですか、この、オレっ、なかなかイケてるだろ!?アピールは???(笑)なかなか渋かったです!←褒めてるんか、けなしてるんか、どっちや!?(笑)

もちろん、褒めてます!とても新鮮でした。

やはり、木村君の明智は本当に素晴らしい!2013年版と同じ感想になりますが、違うかもしれませんが、美輪さんの黒蜥蜴が表情豊かに表現されているのに対し、木村明智はほぼ能面の表情。顔の表情では明智の本心は分からない。そこが大事なんですよ!声と存在感が勝負になってくるんですよ。

明智の本心を探る手立ては、目の動きや台詞の抑揚の付け方でもなく、声とオーラなんですよ。観客は、黒蜥蜴の気持ちになって、心の目で明智の人間性を見抜かないといけない。明智は、ただの木偶の坊じゃダメ。棒読みでもダメなんですよ。その点は、木村明智はもう完璧な役作りでした!黒蜥蜴の気持ちを理解するように仕向ける役作りじゃないと、三島戯曲の素晴らしさが引き立ってこない。そんなに簡単に明智の心が視えたら、戯曲の良さが伝わらない。

ダイヤモンドを盗む、と、心を盗む。ダイヤモンドのように透けて見える、と、透けて見えない心。ダイヤモンドのように堅いバリヤ、と、今にも粉々に砕け散りそうな心。同じ美しいダイヤモンドと心を上手く対比して表現している点に、三島戯曲の純度が現れていると思う。

美輪さんの黒蜥蜴も完璧!年齢なんて関係ない。黒蜥蜴を演じるのに、最低限必要なこと、それは、品と解釈。正しく解釈するには、三島由紀夫という人物をちゃんと理解してないといけない。交流が深ければ深いほど、理解が高まる。となると、今では美輪さんしかいないんですよ!一回は、他の演出家と女優さんで観てみたいけどね…。

ぶっちゃけ、戯曲を読むより、美輪さんの舞台を観る方が理解が早いと思う。

明智の存在に嫉妬する雨宮と早苗の替え玉という偽りカップルの中に芽生える本当の愛。今は偽りでも、あの世では本当かもしれない。出会うべくして出会った二人。黒蜥蜴と明智には大破局で終わるが、雨宮と早苗の替え玉には現世にまだ未来がある。まさにスピの世界観。素晴らしい戯曲だと思う。

三島由紀夫から三島版「黒蜥蜴」が生まれ、美輪さんが演じることは必然的な流れなんですよ。美輪さん以外に黒蜥蜴役に説得力がある女優さんがいるなら観たい!個人的には、祐飛さんで観てみたい。早苗役は、もちろん、すみ花で。祐飛さんは、木村君みたいに和風顔なので、美輪さんと逆のアプローチが可能やね。明智役は対照的に洋風顔がいいね。だとしたら…、ふと城田君が浮かんだ(笑)全然アリアリだと思うよ。

それはいいとして、美輪さんの黒蜥蜴、まだまだ大丈夫だと思うんだけどな~と思った。なんか勿体無い。

本当にこれで見納めなら、私自身は美輪さんの最後の黒蜥蜴をあんな素晴らしい劇場で観ることが出来て本当に幸せでした!本当にお疲れ様でした。

来年は、「毛皮のマリー」。とうとう来た!って感じです。誰が欣也を演じるか興味ありますが、麿さんの醜女のマリーだけは外さないで頂きたいですm(_ _)m

今日のまとめ:ロビーには、有名人や関係者からたくさんのお花があって写メしまくりでした。江原さん、尾木ママ、IKKOさん、假屋崎さん、仲間由紀江さん、なんと美内先生からも。もっともっとたくさんの方からのお花がありました。

その中で一つだけ写メを貼り付けます。

やはり、このお二人が小さい頃から好きだったので。


「ラ・マンチャの男」

2015-09-14 22:26:07 | ミュージカル
こんな物語やったんや~。もう一歩で涙腺崩壊するとこやった。マジ、ヤバかった(涙)

ということで、全く観る予定になかったのですが、これこそ神様のお導きにより観て参りました(笑)

キリヤンのアルドンサ役には興味あったけど、たとえアルドンサが松っちゃんでもな…。チケット代がな…。と思ってた矢先に舞い込んできたお得情報に、ついつい乗っかっちゃいました。実は、「貴婦人の訪問」もお得情報に乗っかっちゃったのであります(笑)

結果的には、どちらも神様のお導きとしか思えない素晴らしい作品だったので、チケットの神様に感謝ですm(_ _)mちなみに、チケットの神様にも色々いますので…(笑)

もう一つ、実は、ワタクシ、初めての海外旅行でウィーンに訪れた時に「ラ・マンチャの男」を観ています。で、その時、あまり面白いとは思わなかったので、それ以来日本版を観るのがめちゃくちゃ躊躇いがありました。いくら松本幸四郎さんのライフワーク作品でも、たとえ松っちゃんがアルドンサ役でも、チケット代が私のネックでした。梅芸で3階席5千円なら間違いなく観てましたが…m(_ _)m

でも、これだけは言えるね。やはり、第一印象は大事だと思う。人間もそうですが、第一印象が悪いと、損してることが多々あると思う。

私のどうでもいい話はさておき、

ウィーンで観たときは、言葉が分からなかったので、観た印象でしか良し悪しを判断出来ませんでしたが、今回、神様のお導きで観たら、こんなに哲学的な言葉が散りばめられているとは想像もしてませんでした。

ぶっちゃけ書いて申し訳ないですが、やはりお歳のせいもあって幸四郎さんの滑舌が悪くて聞き取れなかった言葉もありましたが、聞き取れた言葉群の中に今の私にドンピシャな言葉がたくさんあって、もう涙が止まりませんでした。

もし、幸四郎さんの滑舌が完璧だったら完全に涙腺崩壊してたと思う。それくらい、私に響いてきた言葉群がリアル過ぎた。これが2009年版の大阪公演だったら間違いなく響いてこなかったと思う。今だからこそ響いてくる言葉群だったので、本当にヤバかったです。

滑舌の問題はさておき、今のお歳の幸四郎さんが演じてこそリアルに伝わってくる言葉群でもあると断言出来るので、この巡り合わせに神様に感謝でしかないです。

ウィーンで観た時も、階段(梯子)が天井から降りてくる演出で、それはちゃんと記憶してるんですが、ラストはてっきり、ドンキホーテが天国に召されて階段を上っていくんだと思ってた。実は、セルバンテスが裁判所に向かう設定だったんですね。ドンキホーテとセルバンテスが二役だったことは理解してましたが、実は
二役だけじゃなかったとは今日まで知りませんでした。

このセルバンテス役は、幸四郎さん自身が、生と死、老いと年齢とちゃんと向き合っているからこそ、よりリアルになって生まれている部分も多々あると思うので、セルバンテスの言葉、ドンキホーテの言葉、脚本家のデール・ワッサーマン氏の言葉が、私にはめちゃくちゃ説得力がありました。もちろん、翻訳を担当された方の功績も大きいです。

言葉というものは、想いと同じで、ちゃんと必要な人に、絶妙なタイミングで、届くようになっているんだとつくづく思います。言霊は凄い!

本当は、もう置き場所がなくて買う予定になかったパンフレットでしたが、感動したので結局購入しましたが、私が一番響いた言葉がちゃんと掲載されていたのでもう宝物です!

全く、作品の内容に関係ないことばかり書いて申し訳ないですが…。

人生とは?狂気とは?正義とは?夢とは?そして、愛とは?

欧米の騎士道も日本の武士道も含め、華道も茶道も沢山ありますが、どれも人間の本来あるべき魂の姿を説いていると思うんですよ。悪魔は、死をもって成敗すべし!なんて何処にも説いてないと思うんよね。

悪魔なら殺してもいい!なんて発想する宗教家が一番信じられない。実際いるからね、そんな人。そんな人には、是非とのこのミュージカルを観て考えを改めて欲しい!

見果てぬ夢…、確かに叶ってしまったら夢でなくなってしまうけど、ドンキホーテみたいに夢の中で生きることも十分幸せなことだと思う。認知症になることはある意味幸せだと思う。周りは迷惑するけど、本人は現実を直視しない分幸せだと思う。夢の中でも、認知症であっても、愛する気持ちが残っているなら、それこそ真実の愛だと思う。認知症になって、本来のその人の人間性が現れてくると私は思う。夢の中の自分の行動も本来の自分の姿だと思う。

キチガイになることが狂気なのか?逆に、キチガイにならないことも同じくらい狂気ではないのか?という説は大賛成!

日本の世間一般の常識が世界共通の常識でないのと同じで、当たり前のことが、実は当たり前でないことは大いにあり得るはず。1+1=2は、あくまでルールであって常識でないと思うんよね。1+1=田、も大いにあり得ると思うし、そういう発想力こそ、人間には必要じゃないのかと思う。

目に見えることだけが真実ではないと思うし、目に見えないことの中に真実が隠されているのではないのか?と疑う気持ちも大事だと思うし、お金だけが人生ではないことも若いうちから学ぶべきだと思う。他人の芝が青く見えるのは錯覚であると疑ってかかることも必要だと思う。自分の芝の方がもっと青いと自惚れてもいいときもあると思う。

固定概念や偏見がホント質が悪いと思う。ま、私もその傾向がありますが…(汗)

やはり作品に関係ないことばかりついつい書いてしまいますが、それくらい、私には刺激的な作品でした。

ということで、長々とワタクシの意味不明論に付き合って頂き感謝します。ひょしたら、もう途中で断念されてい方がほとんどだと思われますが…。

幸四郎さんの三役は素晴らしかった!滑舌に問題がありましたが、ドンキホーテは、そういう役柄でもあるので、周りが十分フォローされていたので、ストーリー的には問題ないと思います。台詞はアレでしたが、歌は最高でした!やはり歌舞伎役者さんだけあって腹から声がでていてカッコ良かった&聞き応えがありました!ま、全体的に、マイクの音量が小さかったと思う。まるで、マイクなしで歌ってた感じだった。それでも、腹から声が出ているかは直ぐ分かるので、幸四郎さんの歌は本当にお歳を感じさせない素晴らしさがありました!

キリヤンのアルドンサ。そのままやね!(笑)
キリヤンは、第二のツレちゃんだと思っていたので、ツレちゃんが演じたアルドンサをキリヤンが演じることに対しては全く違和感を感じませんでした。

実際、想像通りのアルドンサではありましたが、まさか裏声で歌うとは全く予想してませんでした。確か、宝塚現役時代、発声練習で(?)舞台の袖で(?)出ないけど裏声で歌ってたと言ってた記憶があるんですが、まさかここで活かされとは思ってませんでした。っていうか、裏声を使う必要があったのか疑問はありましたが、キリヤンなりに頑張っている姿を観てもらいたかったんだと推察しました。頑張って裏声で歌ってた。もちろん、地声でも歌ってたましたよ。

セルバンテスも難しい役ですが、アルドンサも難しい役だと思った。アバズレだった女がドンキホーテのキチガイ沙汰によって改心する過程を的確に演じないといけないし、突然改心しても変だし、徐々にドンキホーテに惹かれる(?)導かれていかないといけない役柄だから役作りは大変だったと思う。

そういう意味では、稽古前にスペインに行ったのは正解だったと思う。情熱的なアルドンサ、肌の色と眼力と元男役の勇ましさも相まって見事に作り上げたと思う。ただ裏声で歌う必要があったのか??今でも疑問。果たして、シアターBRAVAの何倍も大きい帝劇で通用するのか…?

パンチョ役の駒田さんは安定していて安心して観れた。幸四郎さんといいコンビでした!来年のクコールが楽しみ!

宮川浩さんも、上条恒彦さんも、ええ声の方々なので、耳の保養になります。宮川さんの役は意地悪な役でしたが、ピッタリでした。宮川さ
んの奥さんは、ネッシーさんフェルゼンでオスカル役をされた大輝ゆうさんなので、パンフレットに書かれているご家族への想いに感動しました。

幸四郎さんは、まさに自分に課せられた使命を全うしようとする発言にウルッときました。

キリヤンは、wow、サグラダファミリアの完成を見届けたいんやね!私も同感!(笑)

この作品、私だけでなく、何人か啜り泣きされていた方がいらっしゃって、ついつい類魂さんだ!と嬉しくなった(笑)冷房が効いて鼻をすすっているだけだったら、マジ悲しい…。

このミュージカル、BRAVAのキャパでちょうどいいと思ったんだけど、帝劇だと空間負けしないか心配。

キャスト評が、少なくて期待されていた方ごめんなさいm(_ _)m

最後に、パンフレットにも載ってる、私の心に一番響いた言葉を書きます。

「狂気とは、あるがままの人生にただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わない事だ。」

今日のまとめ:今日は仕事終わりで劇場に直行しました。いつもは、サービス残業しているのに、今日に限ってスムーズに事が運び、まさかの定時退社でした。なのでタクシー拾わなくてすみました。

全てが本当にこの作品を観るために導かられていると実感したくらい、ある意味不思議現象が起こったみたいだった(笑)

カーテンコールのラストで、幸四郎さんが♪見果てぬ夢♪を英語で歌ってくださいました!かなりウルッときました。

MBS放送局の回し者ではありませんが、写真を貼り付けます。