今現在の世界情勢を鑑みると、いかにも先進国至上主義的な作品やなと思ってしまった。
シャム国の妃たちが着慣れないドレスを着るシーンを見て、ついつい、欧米文化が正しいお手本なのか?と穿って観てしまった。
30年前まではお金を持たなかった土着民族も今では資本主義経済の渦に飲み込まれ、お金を使って経済を行っている姿を見ると、本当に資本主義や拝金主義は人類を幸せにするのか?甚だ疑問に思う。
もちろん、奴隷制度や一夫多妻制なんてナンセンスだとは思うが、本当にナンセンスなのか?日本人だからこその発想ではないのか?ひょっとしたら、奴隷であること、沢山の妻たちの1人でいることを幸せだと思っている人がいるかもしれないと思うと、複雑な心境になる。
小さい頃にユル・ブリナーの映画版を観た時には、まさか、こんなこと思う作品だとは思わなかった。
ということで、
作品発表された時は、何故にこんな古い作品をするん?何故に北村一輝さんが王様なん??
制作発表を見て、え゙っ北村さん、坊主にしないの???
と、疑問符だらけで、ぶっちゃけ、全く!全く!期待していなかった。
元々、7日前楽のB席を買っていましたが、さゆみ氏贔屓ではあるけど、S席にしなくて良かったと思ってた。
だけど、ポスターデザインのなんとまあ美しいことか!?
GUYS&DOLLS並にセンスが良い!
そして、初日の幕が開いてからのすこぶる評判の良さ。
なにより、ファンの方の贔屓寄りの感想じゃなく、作品を細かい点までちゃんと評価されていたので心が揺らいだ。7日マチネの戻りチケット、高いS席を観るべきか否か?
さゆみ氏ファンの方々の感想を信じて、めちゃくちゃ良い席のS席をゲットして観させもらったら、
これがまあー、
めちゃくちゃ良かった!!!
結局、マチソワW観劇してきました。
皆さんの感想通り、
さゆみ氏女優史上(宝塚時代を除く)、1番素晴らしい役作りでした!
アンナは、自由主義と男女平等主義の象徴の人物だけあって、さゆみ氏本人がアンナに強く共感したであろう部分が大きかった思う。コケティッシュさも含め、めちゃくちゃ説得力があるアンナ像だった。
ハッピー度MAXのシャル・ウィ・ダンスからの、シャム王がタプティムを鞭打ちするのを制止する時の感情の出し方がめちゃくちゃ素晴らしかった!
さゆみ氏とアンナが完全に同化してた!
そして何より、ソプラノも含め歌がめちゃくちゃ良くなってる!もちろん技術面だけでなく、芝居歌として歌に感情がこもっている!めちゃくちゃ素晴らしかった!
これなら、さゆみ氏でサウンド・オブ・ミュージックが観たくなった!絶対可能!
シャム国王の北村一輝さん、
いやいやいやいやいやいやいやいや、
あれだけ歌えたら、絶対、エンジニア演るべき!間違いなくピッタリ!
ミス・サイゴン再演の時はご検討を!
それはさておき、
北村さんの国王のアプローチが、私の予想を裏切るくらいめちゃくちゃ素晴らしかった!
王様=丸坊主は、完全に偏見だったね。ユル・ブリナーの伝統を引き継ぎ過ぎやね。全く丸坊主である必要性がなかった。全然違和感なし。むしろ、あの髪型の方色気がある。
それから、やはり、ミュージカル畑出身でない俳優さんがミュージカルを初挑戦となると、色々障壁が付き物ですが、北村さんは、難なくクリアされていて本当に素晴らしかった!
吉田鋼太郎さんのリュークを彷彿させるくらい、役のアプローチだけでなく、歌もちゃんと台詞の如く気持ちを込めて歌われていたので、何度も何度もエレキが走った。
シャム王のヘンコで頑固さ。子供がそのまま大人になったようなお茶目さ。
だけど、隣国が列強国の植民地になっていく中、シャム国だけは列強国に支配されず、国家の存続を目指そうとする国王としての威厳と列強国の文化(アンナの理想を含む)を取り入れなくてはいけない苦悩。野蛮人だとは思われたくないが、国王としてのプライドが故に野蛮人にならざるを得ない葛藤をリアルに演じられてめちゃくちゃ素晴らしかった!
北村さんのシャム国王を見ると、欧米文化に染まることが正しいお導きだったのかと疑問に思ってしまった。
いずれにせよ、国王が真実の愛を学ぶというプロットは大変素晴らしい!
ビルマからシャム国王への貢ぎ者という、なんとも非人道的に扱われているタプティム役の希和ちゃんは、やはり芝居が上手い!安定してる!
東京公演では後半休演された希和ちゃんが大阪公演では復帰され、さゆみ氏と希和ちゃんのお芝居が観れて嬉しかった。
タプティムと恋人のルンタは、この作品の悲劇要素となる登場人物なので、ラストは切ない。
「南太平洋」もそうだけど、一見、明るいミュージカルと見せかけておいて、悲劇性もしっかり描かれているので、なんとも言えない現実味を感じてしまう。
ルンタ役の竹内將人君は、地味な役柄ではあるが歌が素晴らしかった!
歌と言えば、第一夫人のチャン王妃役の木村花代さんも素晴らしかった!聞き惚れた!
チャン王妃がもっとも人間観察に優れており、国王のことを一番よく理解している人。だけど、王は第一夫人にはほぼ無関心。チャン王妃は、今の国王に必要なのは自分ではなくアンナであることを理解している。女性としてもっとも辛い役割。もちろん第一夫人以外の妻たちもそうだけど。チャン王妃の唯一の救いは、息子が次期国王であること。
国王の側近のクララホム首相役の小西遼生君が、以外と三枚目な役を自然にこなしていてビックリした!紫のバラの人含め、2枚目の役しか観てなかったから、三枚目も出来ることに驚いた!
マチネとソワレを観させもらって、二幕目の王様との絡みがアドリブだったなんて!マチネはダンス。ソワレはイギリス式手にキス。どちらも、小西君のアドリブに対して北村さんの容赦無いツッコミが、マジ、いい関係性!藁
中河内雅貴君と今拓哉さんは、出番が少ないけど、存在感が半端なかったね。めちゃくちゃ贅沢なキャスティング。
そして、マチネを観させてもらって、ドラゴンチームの子役たちがめちゃくちゃ素晴らしい!
子役たちの存在に癒やされ、まさか子役たちに泣かされるとは思わなかった。
とくに、チュラロンコン王子役の前田武蔵君がめちゃくちゃ良かった!
ちょうど変声期を迎えた年頃だけあって、前田君の存在自体が、王子が大人への、そして国王への第一歩を歩む様とめちゃくちゃリンクしていて、王子としての学びと成長がリアル過ぎて本当に素晴らしかった。ラストの宣誓?はマジ説得力があった!
ドラゴンチームがキュートさも含め役者なら、ソワレのエレファントチームは、台詞を発することに一生懸命感な子供たちの印象。THE子役って感じかな。
これは本当に申し分ないけど、圧倒的にドラゴンチームが素晴らしかった。
ぶっちゃけね、マドモアゼル・ モーツァルトの小林香さんの演出がイマイチだったのもあったので、本作を期待しなった理由の1つでもあったのですがm(__)m
本作は、演出もめちゃくちゃ素晴らしかった!全く文句なし!
まさかの銀橋には驚き!めちゃくちゃ良かった!やはり、銀橋芝居はそれだけで別空間を創り出すから効果てきめん!銀橋を渡るだけでお得感がある!
GUYSもそうだけど、本来めちゃくちゃレトロな作品なのに、全く微塵も古臭さを感じさせない演出が本当に最高に素晴らしい!
是非とも、サウンド・オブ・ミュージックを、小林さん演出&さゆみ氏マリアで実現して頂きたい!北村さんのトラップ大佐も大歓迎!
そして、なんてたって美術の松井るみさんも素晴らしい仕事をされてた!
あの、お金をかけた豪華絢爛の舞台セットだけでも1万5千円の価値あり!
世界観がめちゃくちゃ広がる舞台美術だった!
マチネは、完全にミーハー気分で感情移入して観ていましたが、ソワレは2回目で3階席だったこともあり、めちゃくちゃ俯瞰して観ていた。最初に書いた感想は、もちろんソワレを観た直後に感じたこと。
マチネとソワレで、子役が違うだけで、受ける印象が全く異なるのも初めての経験でした。
前楽でエレファントチームの子役たちが大千秋楽ということで、1人ずつ自己紹介挨拶がありました。勉強と稽古と本番の両立、本当にお疲れ様でした!
そして、北村さんとさゆみ氏からの挨拶もありました。マチネは挨拶すらなかったからね。マチソワW観劇するだけの価値はあった。
本当に本当に素晴らしい王様と私でした。