雪組「パルムの僧院」

2014-10-29 02:31:41 | TAKARAZUKA
野口先生は、わたくしの大好物のテーマの調理方法を大変よくご存じでいらして、それはそれは大変美味しく頂戴させて頂きました!(笑)

それくらいよく出来た脚本演出でした!

所々穴ぼこが空いてましたが、そんなの全然怪我にならない程度だったし、逆に、あまりに完璧過ぎたら次回作のハードルを高く上げることになってしまうので、バウ作品としてはこれで十分です。っていうか、ぶっちゃけ、大劇場でも通用するくらいの完成度の高さはありました。

ぶっちゃけ書くと、泣けました。上手く“真実の愛”を描いていてました。台詞として“真実の愛”を多用し過ぎな面はありましたが、ま、いいでしょう…。

ミュージカルとしての完成度も非常に高くて、文芸モノはストーリーが出来上がっているから、どうしてもストーリー重視になって楽曲が付けにくい(と思われる)のに、台詞や感情が自然に音楽に乗っていたので本当に素晴らしかった。見せ方も上手った。

美術もとても良くて、てっきり松井るみさんだと思ったら違う方でしたね。るみさんに似た舞台美術で、照明映えもして、シンプルなんだけどとても効果的で効率的な場面転換になっていて見応えがありました。

特に第一部は、テンポのいい場面転換とストーリー展開だったので、しかも音楽も良かったし、もちろん出演者の演技力も見応えがあった前提で、舞台作品としては東京で観た「ガラスの仮面」に次ぐ面白さがありました。

しかも、雪組のバウ出演者のパワーに最後まで圧倒されっぱなしで、今の月組にも参考にしてもらいたいくらいの勢いがあって、本当に素晴らしかったです。

「パルムの僧院」はジェラルド・フィリップ主演の映画版しか観たことないので、原作本も読んでないし、大劇場で上演された「情熱のバルセロナ」も観たことないから、どこまでが原作に忠実なのかは分かりませんが、とにかく、映画を観た時に感じた、スタンダールは愛の伝道師、の印象はこの野口作品にも感じました。ぶっちゃけ、映画より良かったよ。

何が良かったって、真実の愛を描きつつも、ちゃんと“命こそ愛”を描いていたこと。宇宙の愛までの広がりはなかったけど、無償の愛、自己犠牲の愛も描いていたので、本当にわたくしには堪らない脚本演出でした!

第一部の、ジーナを狙っての権力者達の醜い駆け引きや陰謀、ファブリスへの嫉妬もちゃんと描いていて、男社会も女性社会と同様、妬みと恨みで渦巻いているんですよ。男社会は、体育会系でサバサバしていると思っていたら大間違いやで。女性社会より酷いと思う。それが証拠に、男性の方が圧倒的に自殺率が高い。これ、社会の大問題です。

スタンダールの着眼点は本当に素晴らしい!それを描いた野口先生も素晴らしい!

もう1つ、野口先生の素晴らしさは、副題。“美しき愛の囚人”のタイトルがまさにこの作品のテーマになっている。ぶっちゃけ、これをメインタイトルにした方が良かったと思う。

そう、愛し合う者同士が離ればなれで生きていくことほど、牢獄の暮らしはない。いくら自由の身でもね。ファブリスにとっては牢獄にいた時の方が本当に幸せだったと思う。でも、牢獄にいることは死と隣り合わせだった。ファブリスを生かしたい想い、生きていて欲しいを願う人達の愛が、ファブリスがより深い真実の愛へと導く結果になった。真実の愛を学ぶには必ずなんらかの犠牲が伴うもんなんだよ。

だからこそ、ファブリスは聖職者になれた。真の聖職者になるためには、大きな犠牲を払ってまでも真実の愛を学ばないといけない。

いくら、大学で宗教の知識を学んでも、実践が伴わなければ、知識はただの知識に過ぎない。リアルな経験が多くの人を救うのである。美輪さんのようにね。

ファブリスは真の聖職者になるために、真実の愛を学んだ。彼の命は多くの犠牲によって生かされ、その多くの犠牲によって、彼をより深く真実の愛へと導いたのである。ほんま、良く出来たストーリー!

野口先生は本当に、わたくしの大好物を私好みに仕上げて頂き、本当に感動してます!

ファブリスを演じた彩風君。ファブリスが持つイタリア青年独特の楽観性を備えつつ、次第に本当の意味での真実の愛を学ぶ過程の演技が素晴らしかったです。牢獄にいた時より、自由の身の方が彼にとっては何百倍も辛い。大人へと成長する過程がとても丁寧で良かったです。

ジーナ役のせしる嬢は「春雷」のヒロインに次ぐヒロイン役で非常に美味しい役でしたね。ぶっちゃけ、ジーナのファブリスへの愛は現代社会では異常です。でも、ジーナの中には、ファブリスに対する無償の愛がある。自分では気付いてないけど、ファブリスへの執着は結果的には母の愛、無償の愛に変わっていった。これも脚本が良かったけど、せしる嬢も上手く演じて魅せた!今回も女優の演技でした!

ジーナとファブリスは叔母と甥の関係で血のつながりがある。ヨーロッパの歴史上、昔は近親間での結婚は多かったから、この二人が実際に恋愛関係にあっても不思議ではない。あのエリザベートとフランツも血は繋がっている。

でも、ジーナの取り巻きがジーナに首ったけだから、ジーナのファブリスへの愛はことごとく握り潰される。でも、そうじゃないとジーナは無償の愛を実践することは出来なかったんだけどね。何度となく苦渋の決断を迫られるジーナ。せしる嬢の熱演に感動!

ジーナがファブリスにあげたロザリオ。ジーナは素晴らしい導き手になりましたね。泣けた。見事な脚本でした!

ファブリスに本当の愛を学ばせるもう一人のヒロイン・クレリア役のあんりちゃんも好演でした。敬虔なカトリック信者で、ピュアな心の持ち主のクレリア。クレリアのファブリスを生かしたい想いにも涙しました。

クレリアはあまりにも敬虔すぎて、マリア様に誓いを立て自らの背中に十字架を背負う選択をするんだけど、最後の選択は、私には非常に人間らしい選択だと思いました。

もちろん、不倫はダメ。平穏な生活も必要。でも、自分の中でケジメをつけないと前に進めないことはある。最後の過ちは、本当に最後だから許されると思う。これ、二度目は天罰下るよ。あんりちゃんの敬虔なクリスチャンぶり、本当に好演でした。

ガオリ君のモスカ伯爵も好演でした。ファブリスへの嫉妬度も見応えありました。これは脚本的に肉付けが足りませんでしたが、あれだけ嫉妬させるなら、もう少しジーナへの深い愛を見せるシーンがあればラストが生きると思う。流れ的に唐突に善い人になってたのが気になる…。でも、ガオリ君は良かった。

エルネスト4世の一樹さんは、見事な悪役ぶりが様になっておりました。権力者のやらしさが際立っていて素晴らしかったです。

もう一人の悪役のホタテ氏。いや~、この中間管理職的な役柄がとても良かった。一樹さんほど悪役じゃないその現代社会にもいる腹黒い人間像を上手く表現してた。ああいう中途半端な悪人いるいる(笑)

今回、一番ビックリしたのが、月城君。めちゃくちゃ良かった!「Shall we ダンス!」の新公主役からは想像出来ないくらいの圧倒的な存在感。いや、アピール度に目が釘付けでした。めちゃカッコいい!ぶっちゃけ、主役を喰う勢いがあった。どうしたん、月城君???って訊きたくなった(笑)それくらい良かった。早く君の主演作が観たい!

あ、月城君が演じるフェランテも、ぶっちゃけ、もう少し肉付けして欲しかった。ファブリスとの友情色もいいけど、私は、映画のようにジーナへの忠誠心をもっと強調して欲しかった。最期の死はファブリスのためでなくジーナのためであって欲しかった。

いや~、野口先生の次回作も期待期待!ぶっちゃけ、私の中では次回作の期待度、ハードルはかなり上がってますよ(笑)ま、観れるかどうか分からないけど…。今日のチケットは、運良く抽選に当たったからラッキーだったけど、次回はホント分からない…。


今日のまとめ:ぶっちゃけ、野口先生の方が植田先生より真実の愛が分かってるよ。実は、この作品を観ていたら、フェルゼンとマリー・アントワネット編、風共がフラッシュバックされました。最近の植田先生の愛は、なんか押し付けと見返りを感じるんよね…。昔の方が本当の愛があったm(__)m


現代能「安倍晴明」

2014-10-28 02:43:43 | 古典芸能
我が青春時代の宝塚トップスターのカリンチョさんと、今年人間国宝に認定された梅若玄祥さん(おめでとうごさいます!)の共演の能作品を観てきました。

最初の演目は、カリンチョさんが出ない「橋弁慶」という作品で、いわゆる牛若丸と弁慶の有名な橋の上の戦を題材にした内容でした。

まさか本物の子役君が出てくるとは思ってなかったので驚きましたが、その子役君の初々しさがとても印象的で、個人的にはほのぼのとした気持ちで観させてもらいました。

牛若丸と弁慶の小太刀と長刀の戦のシーンが見所になっているんですが、相手が子供だから本当にほのぼのとしていて笑みがこぼれまくりでした。子役君が台詞の出だしを忘れてか、または分からなくてか、まさかのプロンプターさんが出だしを合図されていたのも微笑ましかった。

これは完全に偶然に決まった演目だとは思うけど、この牛若丸と弁慶のやりとりが、かつてカリンチョさんが宝塚現役時代に「この恋は雲の涯まで」で演じられた(牛若丸が成長した後の)源義経の替玉と弁慶のシーンを思いだしました。あれは替玉と弁慶の戦のシーンではなかったけども、あの替玉は子役チックだったからなんとなしに雰囲気が似ていた。懐かしい記憶。あ、そういえば、バウ作品でユキちゃんとトドちゃんで牛若丸と弁慶ものがあったはず…。ま、どうでもいい…m(__)m


休憩の後に上演された、カリンチョさんが登場する「安倍晴明」では、カリンチョさんは晴明の生みの親で、白狐の化身を演じられていて、一種の「鶴の恩返し」的な展開なんですが…、

さすが、カリンチョさん!!!

やはり日舞の名取さんだけあって、所作や声の出し方がお上手でした。歩き方や腰の据え方も素晴らしくて、所作が美しかった。

能面を被らない、でも、能面を被ったかのように始終無表情で、しかも瞬きもせず役に集中されていてとても素晴らしかったです。

偉そうなことを書くと、カリンチョさんが宝塚を卒業されてから最近までは一切舞台を拝見していなかったのですが、カリンチョさんの宝塚現役時代は歌だけでなく演技力もとても素晴らしかった。自分の見せ方やアピールの仕方も心得ているし、お芝居の勘も冴えているから、どんな役も説得力がありました。

カリンチョさんは北島マヤと姫川亜弓のどちらの要素も持っているのでホント化ける化ける。当時は男役としては珍しく素がめちゃくちゃ女性的な方で、喋り方も男役らしくなかったんですが、男役の仮面を被ったら完全に男になりきってしまう方だったので、そのギャップが好きでした。ファンの間ではその女性的な部分が苦手な方もいたと思いますが、私は好きでした。ギャツビーはマジのマジ最高傑作です!!!(笑)

は、さておき、今回のカリンチョさんの役は安倍晴明の母親役で、白狐の化身。愛する我が子に自分の正体がバレて隠れ去る役柄を、それはそれは本当に能役者さんのように演じられていて、所作が本当に綺麗で見惚れてしまいました(笑)

同じ元タカラジェンヌで、息子役として登場された初姫さんには申し訳ないですが、雲泥の差でしたねm(__)m

所作だけでなく見せ方が本当にお上手でした。

玄祥さんと一緒に舞うシーンがあるんですが、玄祥さんとは、全く見劣りすることなく互角に見えました。それくらい貫禄もあって、お二人の舞いは本当に素晴らしかったです。

カリンチョさん贔屓だから特別にヨイショしているわけではないので悪しからず…。

この「安倍晴明」のストーリーは、晴明の末裔が旅先の宿探しの折りに、先祖晴明の生い立ちの夢を見るという流れで、夢を見たことで、生みの母親を大切にせなアカンことを学ぶんです。ストーリー展開としては霊能者とは関係ない結末ではあるんですが、カリンチョさんの役は一応結果的には重要な役割を担っているわけです。

ストーリーの中ではちゃんと、安倍晴明の霊媒師としての活躍のシーンもあります。玄祥さん演じる悪魔(?)の化身・蜘蛛の精と戦うシーンはそれはそれは見応えがありました。

私が初めて玄祥さんの舞台を観た、とんちゃんが客演で玄祥さんと息子さんの勘十郎さんが共演した「蜘蛛伝」に通じる見せ場があって、私は未見の歌舞伎の「土蜘蛛」とも同じらしいのですが、蜘蛛の糸を模写した演出が最高に素晴らしかったです。

あの演出、現代劇で使用したら、単純に子供騙しの演出になってしまうと思うんですよね。でも、歌舞伎とか能のように型が重要視される古典ものにおいては、あの蜘蛛の糸の演出は、手から蜘蛛の糸が花火のように綺麗な弧を描く様も一つの型になっているので、私には白い花火が舞っているようにしか見えず、本当にアッパレ!でした。あの演出大好き!

それから、「橋弁慶」では能面は使用されてなかったのですが、「安倍晴明」では素顔と能面を使った演出が効果的でした。

晴明とその末裔の二役。カリンチョさんが演じた人間・葛葉姫と本性の狐の二役。あと、ここでも子役君が活躍するんですが、葛葉姫が恋に落ちる玄祥さん演じる安倍益機(晴明の父親)が助けた狐を子役君が素顔と狐面で表現してます。演じ分けるのに効果的でした。子役君に関しては、人間の心を持った狐を表現するのに役立ってましたね。

ぶっちゃけ、いつも偉そうなことを書いてますが、私は能や歌舞伎は、ほとんど初心者です。

前もってあらすじを読んでないと何を言っているのか分からない古語台詞。なんせ、わたくし、国語力ゼロ。すなわち古語理解力ゼロだから、歌舞伎鑑賞の時もそうですが、絶対あらすじを前もって読みます。じゃないと理解できない。有難いことにあらすじは結末までちゃんと書いているので、ある程度ストーリーを理解したら、当てはめて観るだけでいい。あとは感性の問題。

で、いつも感じたままを書いているだけなんですが、今回の能を観させてもらって、所作を含めた型の重要性を非常に感じました。

古典芸能の所作は、モダンダンスに通じるものあって、キレッキレッのダンスってかっこいいじゃないですか?バレーのように滑らか流れるダンスと違って、ちょっとロボットダンス的なキレのあるダンスって格好良くないですか?

同じことが能や歌舞伎にも通じるものがあって、振り向く動作にキレがあるとめちゃかっこいい!緩急な動作にメリハリがあるとめちゃ綺麗に見える。特に子役君たちと大人たちが演じるのを観るだけでも違いが明白。あのキレのある動きはやはり熟練の技だと思う。

それから、能や狂言は歌舞伎と違って舞台装置はほとんどないに等しいから、想像力がすごく大事になる。

今回の「橋弁慶」は、能楽堂のフォルムが想像力の助けになって、袖道?花道?が五条橋に見えた。牛若丸と弁慶が橋の上で戦う有名なシーンが脳裏に浮かぶ。上手く演出されていると思った。

能なんて基本無表情だから所作で感情を見抜かないと、本当に想像力がなかったら面白味のない退屈な演劇になってしまう。心の表現は鳴物も助けてくれるけど、基本、感性と想像力が大事だと思う。

特に今回は、何もない舞台装置からイメージを膨らませる作業が非常に面白く感じました。実は、今日は寝不足だったから途中で寝てしまうと思ったけど、全く眠たくならなかった。ま、あんな間近で、カリンチョさんや玄祥さんを見たら眠れないわな(笑)脳ミソは麻痺して記憶が消えると思っていたけど、寝不足の割にはよく働いていたと思う(笑)

今日は、我が青春時代のトップさんと玄祥さんの共演作品の鑑賞。

私の人生においては、ほとんど能鑑賞とは縁がなかったのに、とんちゃんの客演作品をきっかけに、「道成寺」、祐飛さんの「天守物語」、そして今回のカリンチョさんとの「安倍晴明」と、不思議なことに玄祥さんの作品や能を観る機会が増えました。あ、美輪さんのコンサートでもお見かけしました(笑)なんせ共演が、私にはピンポイントな方たちだから観ないわけにはいかない。

こんなこと書いて申し訳ないですが、玄祥さんって何者なんですか???m(__)m

しかも、ガラカメの「紅天女」も新作能として上演されているではないですか!?めちゃくちゃ観たい!!!次は広島か…、う~ん、悩む…。

今日のまとめ:ホント、玄祥さんも私には不思議な方である。

そうそう、今日の客席に、某劇団の演出家さんとおぼしき方が来られてました。その方かどうか確信がないので名前は伏せます。似てるんだよね…。

追記:訪問して下さった方、ありがとうございますm(_ _)mやっと、“清”から“晴”に修正できました!記事が過去になればなるほど遡って修正し直すのが面倒くさかったんですよ(笑)

月組「PUCK」「CRYSTAL TAKARAZUKA」

2014-10-24 00:46:35 | TAKARAZUKA
実にもったいない。

せっかく素晴らしい作品が回ってきたのに、そのチャンスをものにしないなんて…。

これが、運動会で2位をとった組の団結力なのかいささか疑問。いや、かなり疑問。

ということで、クソ生意気発言をお許し願いたいのですが、それくらい、

元気がないっ!

お芝居もショーもパワー不足をめちゃくちゃ感じました。

お芝居は、まさに今の月組にピッタリな作品だし、配役も申し分ないのに、テンポは悪い、間延びしすぎ、コーラス弱い、アドリブ中途半端…。いかんせん、全体的に元気がないのが一番の問題。

どうした月組???

って言いたくなった。

花組もそうだったけど、コーラスだけでもパワーが出れば、作品は何十倍も良くなるので、元気を出して欲しい。めちゃくちゃ遊べる作品だから、組子の皆が作品をもっと楽しめたら、それだけで本来の「PUCK」の良さが引き立つはずだから、もっと元気を出してもっと団結して作品を盛り上げて欲しい!

今日のミヤルリのダニーの台詞じゃないけど、ホント微妙でした。「PUCK」は、私の中では、再演して“欲しい”作品じゃなくて、再演“すべき”作品の一つだったので、今日の出来は残念でならない。

ま、元気はなかったけど、やはり作品の力があったので、ラストはウルッときました。だから本当にもったいない。

パックは今ではマサオにしか演じられないと言っても過言でないくらい、マサオにハマリ役で、パック誕生はそれはそれはカワイイ誕生でした。声音を工夫していて初演の涼風パックよりカワイかった。

森の中でウッドペッカー達にイタズラをするシーンでは、素のマサオも垣間見れたのも面白かった。声音を工夫していたからメリハリがあって本当に良かった。マサオを筆頭にもっと元気よく遊んでくれたら、もっと作品的にもメリハリが出たと思う。特に前半ね。

チャピのハーミアはそのままやね。イメージのまんま。妥当かつ無難で、決して面白味がないという意味ではなく、ちゃんと自分の役割を理解していたので及第点です。あれがベストだろうね。問題は周りやな。

初演では、二番手のユリちゃんが演じていたボビー役のタマキチ君はよく頑張ってた。役的にはボビーが一番の元気頭じゃないとダメなんだけど、元気は十分あった。あれ以上元気を出すのはしんどいと思う。周りが元気になればボビーも変わるとは思うけど…。

ぶっちゃけ書いて申し訳ないけど、涼風月組時代は、ユリちゃんが二番手だったけど、美味しい役はほとんど3番手の久世のノンちゃんが頂いてたんだよ。確かに、当時はユリちゃんは華はあった。でも演技力は遥かにノンちゃんの方が上でした。

だから、ミヤルリがダニー役に決まった時はめちゃくちゃ嬉しかった!本当にダニーは美味しい役。

ミヤルリのダニーも及第点。後半の悪役ぶりは、目力があって良かった。後半はよく頑張ってた。パックが歌うラストで、ハーミアの愛を勝ち取れなかったダニーの無言の演技は素晴らしかった!←これは贔屓発言ですm(__)m

ミヤルリだけじゃないけど、大人に成長してからは皆マシだったけど、前半の森のシーンまでが本当に良くない。テンポと元気が欲しい。

ライオネルのカチャはお坊ちゃまが良く似合う。でも、元気が足りない。もっとボケまくって欲しい。わたくし、ミヤルリ贔屓だけど、カチャが元気出してくれないと全然面白くない。自分で地味な役にしたらアカン!

コマちゃんのヘレンももっと元気が欲しい。決してブサイクじゃないヘレンだったけど、走り方がオバチャン。それがめちゃウケました(笑)確かに心ブスな役柄ではあるけど、決して悪い役じゃないし、この役も美味しい役だからコマちゃんももっと遊んで欲しい。

オベロンのマギーさんは存在感に迫力があって素晴らしかった。でも、オベロンも遊べる役なので前半はもっと遊んで欲しい。

タイテーニアのスーさんは赤の衣装が良く似合う!この役は、初演の羽根知里さんのイメージが強くて声が特徴的だっただけに、私には地味に感じてしまいましたが、やはり、マギーさんとの同期コンビは月組では鉄板なので、初演を知らない方には全く問題ないと思う。ま、初演を知っていても問題ないと思う。これは単純に私だけの問題。

そう、配役はピッタリなんだよ。後半はあれでいい。でも、前半、メインだけでなく、妖精たちや学生組たちも含め皆の元気があればもっと面白くなると思う。せめて、コーラスだけでも頑張って欲しい。

頑張れ、月組!!!

ショーも元気が欲しいな。退屈はしないけど、もっと組子パワーが欲しい。

中村A先生とは音楽の趣味が合うのか、♪ミザルー♪♪美しき生命♪、ジプシーキングスメドレー…、中詰めは私には堪らん曲でしたが、ぶっちゃけ、元気がないから面白くない。っていうか、チャピが人形になって踊るシーンの曲、コールドプレイの♪美しき生命♪(←間違えてました…。いつも適当でスミマセン…)のアレンジですよね???著作権取れたことにビックリ。最近の曲ってショーでは使われないから驚きました。

それはさておき、ショーもタマキチ君が頑張ってたね。それこそ、2番手扱い的ではありましたが、ま、それだけのオーラはあったけど、ぶっちゃけ、持ち上げるには早くないかい?と言わざるを得ない。ミヤルリもカチャも持ち上げてよ!と言いたい。ま、あの中詰めの並び、タマキチ君の方が…。

あ、ミヤルリ、まさかのトサカヘアーに目が釘付け!あの髪型好き(笑)←どうでもいいことでしたm(__)m

ショーは、チャピの人形のシーンと、ブルーの衣装で雨(水)の雫をイメージしたシーンが良かった。振り付けが良かった。

ジプシーキングスメドレー、あそこはホンマ元気を出して!あ、チャピのフラメンコの衣装がよく似合っていてめちゃカッコ良かった!背筋も伸びていてめちゃ衣装映えしてました。なんだかんだでチャピも男前なダンスをする人やな。カッコ良かった!

ショーは印象的だったことを書きましたが、何度も書きますが、ホント、お芝居もショーも元気を出して欲しい。特にコーラスね。それだけがお願いです。

今日のまとめ:再演して欲しい作品はたくさんあるけど、私の中では「PUCK」と「戦争と平和」は、メッセージ性が普遍的で良く出来た作品なので、この2つは再演すべき作品だとずっと思ってました。役者が揃えば、全国ツアーで再演したり、海外公演にも持っていっていい作品だと思ってます。それくらい宝塚が誇れる作品だと思ってます。

でも、今日観る限りではダメ。

確かに初演を越えることは出来ないけど、今の月組なら今の月組ならではの「PUCK」を創ることが出来る!あの「ロミジュリ」のパワーをもう一度見せて欲しい!



「火のようにさみしい姉がいて」

2014-10-13 18:44:57 | 舞台
大千秋楽より、無事帰宅しました。関西のJRは16時で全線運休のため。

台風が接近しているから、行くか行こまいか、非常に悩みました、中止発表もないし。主催者側も悩まれたと思いますが、行って良かったです。そして無事帰宅出来て尚良かったです。

本当に観れて良かったです。

ぶっちゃけ書くと、過去の自分を投影するような登場人物にウルッときました。

現役の役者さんや、かつて役者さんなら、絶対の絶対、鏡の前で演技の練習をしていたと思うんよね。私にもそんな時代もあった(笑)
段田さん演じる男や、りえちゃん演じる妻なんて、たくさんの方が共感できる部分があったと思う。少なくとも私にはリアリティーがありました。

清水邦夫さんの作品は過去に一作品しか観てなくて、しかも記憶にない(汗;)きっと難解なんだろうな~と思っていたら、意外と笑いの要素が多くて、非常識にもめちゃ笑いまくってしまいましたm(__)m

笑いの要素を除けても、非常に良く出来た脚本で、段田さん演じる男とシェークスピアのオセロが非常にリンクする設定になっていて、オセロの台詞が男の本心の言葉になったり、オセロを真似がそのまま自分自身と同化してまう瞬間があったりと、観ていて本当に面白かった。笑えたという意味でなく、良く出来たという意味で面白かった。

大千秋楽を迎えたからはっきり書くと、完全に男は精神疾患者ですね。妻も姉もその気(け)はあるけど、まだ精神安定している。でも男は、平常心を失っている。そこが、まさに嫉妬に狂い妻の言葉すらもう信じられなくなっているオセロと被る脚本になっていて、本当に上手い脚本でした。

私が想像するには、戦後の貧しい環境で、夢を見ることだけが、現実逃避する手段だったと思うんよね。それが結果的には、演技の道へと導かれていることになったけども、同時に、自分自身の平衡感覚を失う、夢か現実か分からない状態に陥る原因になったと思うんよね。

男の子供時代は、まるで狼少年みたいに大嘘つきに思われていたけども、彼の目には本当に人間の死体に映っていたと思う。それくらい精神を病んでいたと思う。でも実は、本当に人間の死体であって、赤ちゃんでなく老人であった。男の言葉を信じて確かめに行った“みをたらし”のおばちゃん(?)も実はちょっとした精神疾患者で、人間の死体がウサギに見えたのかもしれない。結局は、どっちも正しいんだよ。だって本人にはそう見えたんだから。実際とは違っていてもね…。

この作品を観ながら、唐さんの「仮面少女」を思い出した。こっちも精神疾患者の話だったから、これらの戯曲が書かれた時代を思うと、今の時代と何も変わらないことが想像できる。

逆に昔の方が、臭いものにはフタをしていた時代だと思うから、アングラ作品って、暗黙の了解で見て見ぬふりをしていたものに対して公にあからさまにした作品が多いんだと思った。当時は、ハンセン病みたいに精神疾患者は隠されるべき存在だったんだと思う。

役者っていう仕事は、本当に精神が強くないと出来ない仕事だと思う。噂や誹謗中傷でイチイチ傷つくようじゃ続かない職業だと思う。これは役者に限ったことじゃないけど。

役を演じると自分とリアルにリンクすることも大いにありうることだから、切り替えは凄く大事だし、睡眠と食事は絶対不可欠やね。この作品を観ると、才能があることと、向き不向きはホント別物だと思う。

一年ぶりのしのぶさんとりえちゃん。今回は、段田さんが主役で、その次がりえちゃん、その次がしのぶさんって感じの内容でしたが、久しぶりだったからとても良かったです。

特にりえちゃんは、デズデモーナになったり、マクベス夫人みたいな役柄だったのでメリハリがあって良かったです。

しのぶさんの役は…、「マクベス」の魔女?(笑)m(__)mあ、魔女は三婆さんですねm(__)m

段田さんの狂気は初めてだったので新鮮でした。素晴らしい存在感でした。

満島君はまさかのチョイ役だったけど、最初のアシスタントと、ラストのオセロの恰好での台詞回しは、なんか、下積みの青年が主役を勝ち取った様にも見えて蜷川さんの愛情を感じた。声の出し方も工夫していて良かったです。いつか満島君でオセロをする日がくるかもね。あ、「ハムレット」観ます。楽しみにしてます!

そうそう、今日の満島君、益々若き日の勝村さんに似てきたね。将来が楽しみ。

最初のお婆さん達を見て、さいたまゴールドシアターの方たちって才能あるな~と思ったら、市川さん、立石さん、新橋さんでビックリしました。めちゃくちゃ上手いやん!?と思ってたら当たり前やったね(笑)っていうかめちや可愛いかった(笑)

っていうか、あの鼻から芋虫さん、あれって澤魁士さんだけの特権じゃなかったこともビックリ(笑)

実際のさいたまゴールドシアターの方たちも愛嬌があって良かったです。そうそう、もう1つのさいたまネクストシアターの舞台って関西では上演してくれないんですか???めちゃ評判いいから一度は観てみたい!是非関西に来て頂きたいm(__)m

今日は本当に上演して頂きありがとうございましたm(__)m

りえちゃんの台詞が私にはとてもタイムリーだっただけに、今日は運を天に任せただけはありました。本当にタイムリーだったんですよ。まさにブログネタにしようと思ってた矢先の言葉だったからマジでビックリした。そのネタはいつか書きます。

今日は、絶対蜷川さんは来てるはず!と思ってたから、カーテンコールで登場された時は思わず手を振ってしまうくらい嬉しかったです(笑)「ハムレット」の新演出楽しみにしてます!古い演出は、真田さん&松っちゃん版をTVで観ました。だからそれ以降の藤原君版は知らないので、ハムレットは嫌いなので期待はしませんが楽しみだけはします。

今日のまとめ:今年2月のとんちゃんの舞台といい、9月の浦井氏の舞台といい、今日の舞台といい、悪天候でギリギリまで苦渋の決断を迫られる(涙)結局は観れたからいいけど…。最近、人生におけるお試しが多い(涙)

「NYMPH()MANIAC」vol.1

2014-10-13 02:01:34 | 映画
う~ん、イマイチ…。

なんというか、今までのラースの作風とはなんか違うんよね…。特にカメラワークが。

ラース作品の独特の手ぶれ感があるシーンもあるにはあるねんけど、基本的には、ラース以外の別のカメラマンが撮っている感じがしてならなかった。ぶっちゃけ書くと上手いねん!カメラワークが自然やねん!だから独特の映像美がないねん。演出自体も映像美にこだわってない印象。

ラースのカメラ目線って、もっと感覚的なものがあって、アングルがめちゃ独特でそこがめちゃ好きだったのに、今作はラース以外の誰かが撮ったとしか思えないくらい普通のカメラワークで、ぶっちゃけそれがつまらなかった。

カメラワークだけでなく、内容もイマイチなんよね…。あ、でも、今までの作品の中で一番笑えた。特にユマが…。

これ、元々ニコールにオファーが来てた役だったんですよね。撮影中の作品が延びたか何かの理由で、ユマに役が回ったんだけど、ぶっちゃけニコールでも見たかったくらいめちゃ面白くて美味しい役だった!「ブルー・ジャスミン」のジャスミンを彷彿させる役柄で、ユマがめちゃ良かった!これだけは見る価値があった。あ、ぶっちゃけ書いて申し訳ないけど…。

それ以外は…う~ん…って感じ。っていうか今一つパンチが足りない。これ、ラースも確かに関わってるのは分かるけど、ラースの作品じゃない…。しつこく書くけど、私には別の監督作品としか思えてならない。

ぶっちゃけ書きまくると、シャルロットとステランの会話要らん。

二人の会話が、まるで「アンチクライスト」の延長線?延長戦?のような、いや回帰的な役割を担っていて、まさに患者とカウンセラーの会話なんよね。

色情狂の話なのに、ステラン演じるセリグマンがいちいちチャチャ入れるから、シャルロット演じるジョーが色情狂でなくなってくるねん。

セリグマンは完全にカウンセラーになっていて、ジョーの悲観的な訴えを全て肯定的に受け止めるねん。ぶっちゃけ作品的に面白くない。男の落し方を魚釣りに例えるあたりも滑稽でしかなくて、この二人の会話本当に要らない。

しかも、わたくし数字が苦手なので、数字で例えるあたりも、私の心も作品から離れていった原因かもね。

早い話が、私がイメージしてた色情狂の話と微妙に、いや、かなりズレが生じていて、あの二人の会話がなかったらまだマシかなと思った。シャルロットとステランの会話を排除したら、回想シーンには全くシャルロットは登場しないんだけど、それはそれでいいと思う。vol.2のお楽しみということにして…。

あ、決して、色情狂の話なのにエロシーンが足りないとか言ってるんじゃないので誤解のないように(汗;)

ま、確かに思ったほどはエロくない。ジョーの若い頃の役を演じられたステイシーは体当たりの演技ではあったけど、「アンチクライスト」ほどの過激さはない。あ、過激さも求めてないからね(汗;)ステイシーを見てたら、亡くなったシルヴィア・クリステルを思い出した。なんか似てた。実は小学生の頃から「エマニエル夫人」観ていて、シルヴィアのグラマー(←もはや死語。文法の意味じゃないからね)じゃない官能的な美しさが好きでした。実はませたガキでした(笑)

何度も書いてしまいますが、セリグマンがいちいち肯定するから、ジョーが全く色情狂に見えない。私もついつい、別に人を殺した訳じゃないし、確かに不倫はよくないけど、若気の至りってこともあるし、孤独をセックスで穴埋めしたい気持ちも分からなくないから、何も悲観的にならんと過去の出来事として忘れたらええんとちゃう?って私もカウンセラーの一人になって見てしまった。そこもつまらなかった理由やな。

せやな、ジョーの心の闇があからさまだったのもイマイチの原因だったね。

哲学的な台詞がちりばめられていたけど、心に残らない。夕陽の件(くだり)ってたしか「アンチクライスト」でも使われてなかったけ…?精神的表現、ちょっと私には理解出来なかった。

あ、日本語字幕、大好きな松浦美奈さんでした!観る前から美奈さんの字幕であることは分かったいたので、めちゃくちゃ嬉しかったんだけど、今回ばかりは日本語表現云々以前に、作品がイマイチでした。

あ、パンフレットに“愛は教わっていない”って名台詞のように書いているんですが、今作に関しては、あまり愛は重要だとは思わなかった。ジョーは十分愛を貰っている。愛に飢えてはない。親からも愛人?セフレ?からも何某の愛は貰っている。ただ不感症になってるのが問題かな。これも淋しさに繋がるね。

今作は、むしろ、“孤独”がテーマかと思う。死の恐怖からくる孤独感も描かれていたしね。ジョーのお父さん役を演じたクリスチャン・スレーターも名演でした。まさに孤独の象徴となる存在でした。このお父さんが木と対話しているようなシーンが好き。vol.1に関しては、やはりテーマは愛でないと思う。

あ、最近ではハリウッドではお騒がせのジャイア・ラブーフは、めちゃエロスが全身から漂っていたね。シャルロット同様、vol.2でも大活躍しそうやね。

あ、過激的なエロスを期待してる訳じゃないですからね(大汗;;)

思い出しながら書いているので、相変わらずまとまりのない文章になってますが、「アンチクライスト」だけでなく、「メランコリア」「奇跡の海」「マンダレイ」の要素もあり、「ドッグヴィル」の要素はvol.2かな…?なんとなしに、過去作品のオマージュを感じました。が、映像はラースらしくない!←しつこい。

あ、相変わらず、ラースはアメリカを揶揄してたね。直接的ではないけど、私には直感で伝わりました。今回はどさくさ紛れでしたがそれも印象的でした。違ってたらごめんなさいm(__)m

ネタバレしまくってますが、私のBlog、読んでる人少ないから書きたい放題(笑)多分、配給会社さんには迷惑はかからないと思ってます。「アンチクライスト」の時もそうだったけど、今作も客席の八割は男性客だったし、しかも満員。皆…。だから迷惑はかからないと思います(笑)

今日のまとめ:編集もラースがしたのかな…?本当にラース作品らしくないんよね…。誰か確かめて!m(__)m

イマイチ、つまらないと書きながら、最後には楽しんで書いてました(笑)意味不明な文章書いてスミマセンm(__)m