宙組「ロバート・キャパ~魂の記録」

2012-01-31 20:30:48 | TAKARAZUKA
地味に良かった。涙を誘うシーンもあったし、第一幕コメディタッチ、第二幕悲劇寄りな演出もオーソドックスかもしれないけど、破綻してないから問題ないと思う。

「ミス・サイゴン」や「マルグリッド」の脚本みたいに、キャパの代表的な写真「崩れ落ちる兵士」やピカソの「ゲルニカ」といったモチーフから話が膨らんだ感があって、個人的には好きな脚本。

原田先生の演出は本当地味なんですが、テーマ、きっかけ、膨らませ方にちゃんとしたヴィジョンを持った演出家さんだと思った。

この地味さはバウホールという箱だから通用するわけであって、果たして大劇場デビュー作ではどう見せてくれるのか非常に楽しみです。

戦争を背景にした作品をこの時期に上演するにはいささか季節外れな気もしましたが、「クラシコ・イタリアーノ」のスピンオフだと思えば違和感ないかな…?

ちなみに、私の視点では震災とは結び付き難かったです。

写真に込めたロバート・キャパの魂の記録は、未来への平和な祈りが込められている設定(と感じた)にとても感動しました。スピ的な要素やメッセージ性もあって脚本が本当に良かったです。

キャパを演じたテル君は華はあるんだけど、演技は地味だね。でもそこがテル君の魅力であって、宙組の演技派陣に引き立てられてこそ光るタイプだから、そのままでいいと思う。

テル君のトップは間違いないかな…?ま、えりたん&みりおんコンビが宙組に来る確率の方が高いけど、もし、テル君がトップなら相手役は星組のれみちゃんしかいないと思った。

伶美うららちゃんは落ち着いた演技で、声質も大人な感じで、お芝居に関しては問題ないんだけど、ただ歌が大課題。このままテル君と組んだら叩かれることが目に見えるから、もしテル君が次期トップなら、相手役はれみちゃんがピッタリだと思った。

テル&れみコンビが実現したら、お披露目は悲劇とかダーク系より「ミー&マイガール」のようなコメディの方がいいな。と思った。

もう1つテル君の魅力は…、

それは、癒しの笑顔。

これ、めちゃ大事っ!やっぱりテル君の笑顔が見れる作品がいいと思う。

作品を観ながら、宙組の今後が気になって仕方なかったですが、きっと劇団は劇団で決めていると思うので、結果は首を長くして待ちます。(小さく)テル君&れみちゃんコンビ希望します…。まだ祐飛さんもすみ花も退団してないのに不謹慎だねm(__)m

さあ次は中日だ!キャトルレーブでポスター売ってるんかな…?

今日のまとめ:これから「ロバート・キャパ」をご覧になる方へ。ちょっとだけでもロバート・キャパについて情報があった方がいいかもですよ。私は大正解でした。正直泣くとこじゃないのに想像で先走りで泣いてました(笑)やはり想像通りの展開にまたまた涙でしたが…。

同じ題材の「NEVER SAY~」より好き。今思えば、あれは詰め込み過ぎやな。たくさん役を与えようとした小池先生の愛情だったとも思えるけど、花ちゃんに対しては愛を感じなかった。ま、スカステでも未だに最後まで観たことないから、二幕目では愛情が注がれていたのかもしれないけど…。

いずれにせよ、「ロバート・キャパ~」は期待を裏切らないと思いますよ。

コーラスは宙組が一番いい!若手も中堅も皆頑張ってる!ゆうちゃんさん、光あけみさん、風莉さん、みーちゃん、ちーちゃん、皆良かった!

何度も書きますが、地味だったけど、全体的には本当良かったです!

この作品、チケット即完売だったのに、まさかの後日余りチケットをゲット。魂の記録だけに、やはり導かれたのかな…?

追記:結局、歌舞伎を優先にしたので花組は観てません。蘭ちゃんは東宝でも高く評価されると思うので何の心配もしてません。これから花組をご覧になる方、蘭ちゃんの演技、篤とご覧下され!

花組 新人公演

2012-01-18 11:19:42 | TAKARAZUKA
「ヒミズ」の感想を書いた後なので、なんか変な気分ですが…忘れないうちに書きます。

率直な感想…、

めちゃくちゃ良かった!レベルが高い!

鳳真由さん上手い!本役のマユさんとは違う役作りがとても良かった。「小さな~」を観たときに芸達者やな~と密かに注目してたんですが、これほどまでネフリュードフを自分のものにするとは想像もしてませんでした。あなたに泣かされました。本当に良かった。

本役のマユさんは、贖罪と愛の狭間で苦しみ、自分でもどちらか分からないような曖昧さを見事なさじ加減で演じていましたが、鳳真由はひたすら真っ直ぐに一途に演じていてこれはこれでとても良かった。逆にマユさんが熱血に演じるとウザいキャラになりそうなので、マユさんの演じ方はあれはあれで正解だと思った。

カチューシャを演じたミリオンちゃんは、演技は上手いんだけど、やはりカチューシャは本役の蘭ちゃんが演じたような乙女の部分と荒んだ部分のギャップが一つの見所的な役なので、ミリオンちゃんにはそれがなかったのが残念。声質の問題だけやと思うけど、本役さんの上手さを改めて感じる役でしたね。

シェンボックの大河凜さんは後半の演技が冴えてた。

正直どの役が誰なのか役名が分からないのですが、カチューシャに罪を着せた女役の方がとてもいい目をしてた。眼力があった。

天真みちるさんも芸達者で笑いをとってたね。

ネフリュードフのお姉さん役も力演されてた。

訂正:お姉さんじゃないんや…。じゃあ、誰っ、結婚観を語ってる方は!?

書ききれないですが、芸達者な方が多くて、チョイ役なのにとても演技に説得力もあって、改めて石田先生の脚本の良さを感じました。でも、やはり石田テイスト的な台詞は新人公演にはちょっと毒が強いように思えた。

いずれにせよ、本当にレベルの高い新人公演だったと思います。

今日のまとめ:改めて蘭ちゃんのカチューシャがもう一度観たいと思った。やはり音楽がいい!私の前世はロシア人かな…?って思った(笑)


マジっすか!?:「サンセット大通り」大阪でもやってくれるんですか!!!???

絶対行きます!

正直演出は期待してません。ロンドンで観た時もイマイチだったから。セリ上がりならぬ床上がりには驚いたけど…。

そんなことより、瞳子さんで「As If We Never Say Goodbye」が聴けたらそれでいいのです。可能なら生オケで、サロメはオリジナルのキンキラキンの衣装なら嬉しんだけど…。

「ヒミズ」

2012-01-18 03:50:51 | 映画
17年前に阪神淡路大震災が起きた昨日観てきました。東北の被災地で撮影された作品。

この映画を観て感じたことは…、

自分が一番不幸だと思うな!自分が一番不幸だと思うなら、一番幸せな人間になってみろ、自分の力で!

大丈夫、お前を分かってる奴はいる。分かる奴には分かるねん。ちゃんとお前を見てる奴もいる。同じ痛みを持つ人間にしか分からない匂いがあるねん。ちゃんとお前のSOSに気付いてくれる人間もいるから、死ぬな!自殺するなよ!

です。

映像的に間違いなく賛否が分かれる作品だと思いますが、私は好きです。正直、感動しました。主役二人がマジ体当たりで熱演されていてラストは涙が止まりませんでした。

確かに暴力描写は多いですが、私には許せる範囲です。許せる理由は、決して暴力がテーマじゃないから。決して悲惨なラストではありません。暴力描写が多いから怖い映画だと思われていたら、それは間違ってますと断言して言えます。

マンガの「めぞん一刻」に出てくるようなアパート(荘)の住民みたいな浮浪者が癒しの存在となっていたりと(神楽坂さんの笑顔がとても輝いて見えた)、園子温監督の「恋の罪」「冷たい熱帯魚」のようなエロさが全くなかったのが好感が持てました。

正直、自分と重なる部分もあって昔を思い出しました。

こんなこと書くのもなんですが、私自身が中学の時に父親に対して大反抗期があり、映画ほどではないですが、恨んだ時期がありました。母親に対しては「産んでくれなんて頼んでないっ!」って言って反抗してましたね。

暴力が絶えない家庭に育ったので、ホント主人公・彼の気持ちがよく分かる。今なら主人公・彼女の気持ちも痛いほど分かる。普段笑ってる人ほど、実は笑顔の仮面の裏では泣いている人が多いもんね。

青春感動作のようで実はそれだけでない、分かる人には分かる見えない絆と生きる勇気や希望を与えてくれる大人のための映画でもあり、被災者の方へのエールでもありました。頑張れ!は時には酷い言葉になるけど、あれだけ頑張れ!言われたら励みになる。

我々はヒミズではなく、太陽の光が必要な生き物だから、明るい未来を想像して生きて行きましょう!

園監督の前作の「恋の罪」同様、この作品でも詩が大きな役割を果たしていたし、バーバーの弦楽のためのアダージョも効果的だったし(もう1つクラシックがあったんですが、モーツァルトだったかな…?誰の曲か忘れた。モーツァルトの「レクイエム」でした。←忘れるなんて最低!)、主人公二人のガチ演技には本当感動したし、これで園監督のスタイル確立ならば次回作も無条件で観たいです。っていうか観ます。

今日のまとめ:大好きな時もあったけど大嫌いだった時が多かった親父。親父の入院生活で立場が逆転し、自分が子供の世話をしてる感覚でした。この父親じゃないと学べなかったことも多々ありましたが、亡くなる最期の一年間、親父の生き様に過去の全てを許せる気持ちが持てました。そして、こんなダメ息子を育てるためにたくさん苦労かけてごめんなさい、そしてありがとう!本心で親父・オカンの子供で良かったとはまだ思えないけど、その日がくるまでは頑張って生きるよ!←来なくても生きますよ。寿命を全うします。

実は、花組の新人公演を観た後の映画鑑賞でした。

全く別の世界だけど、どちらもメッセージ色が強い作品でしたね。

今、注文した「サンセット大通り」のCDを聴いているんですが、やっぱキャストがイマイチ(涙)


「TDV」

2012-01-12 20:58:16 | うらけん
めちゃくちゃエエやん!

なんで今まで大阪でやってくれんかったん!?

簡単に言えば、ミイラ取りがミイラになってしまう話ですが、そこには哲学が埋め込められており、またそれが的を射てるんだよね~。

クロロック伯爵が欲望の象徴ならば、プロフェッサーが理性の象徴な訳なんですが、その理性の象徴のプロフェッサーが実は一番腹黒い欲望の塊だったというオチがめちゃ気に入りました。

噂ではアルフレートが主役みたいなことを聞いていたので、そう思って観てましたが…、いやいや、プロフェッサーが主役やん!って言わんばかりのヒーローぷりで、プロフェッサーが最高!なのか、禅さんが最高!なのか分からないくらいの存在感だったのに、ラストのオチで最高~!から最低っ!に変わりました(笑)

皆、欲望のために自己犠牲してるのに、プロフェッサーは弟子を犠牲にして自分の欲望を満たそうとしてたのか!ってオチがとても良かった。

訂正:どちらかというと、理性ですら欲望には勝てないってオチですね。

ラストは皆ヴァンパイアになって大祭典で終わるとこは間違ってない。なんの違和感なし。はっきり言うと、ヴァンパイアになった皆を応援したくなるよ。

もう一つ正解と思った演出はクコールが狼に殺されるシーン。これは絶対必要。欲望と本能は違うからね。人間は動物じゃないから、本能のまま生きる生き物じゃないんだよ。ちゃんとそこを表現していたから余計気に入った。

欲望欲望って言ってるから、欲望のまま生きろ!って言ってるミュージカルだと勘違いしてしまいそうなメッセージではありますが、人類の歴史上、欲望なくして人類は生存しないと言ってるだけで、本当のメッセージは…

なんやろな…?

いかに欲望を満たすかってことかな…?

欲望だけなら争いは絶えないしね。理性だけだとストレス溜まるし…みたいな…。私自身よく分かっておりませんm(__)m

少なくとも欲望と本能は違うと言ってるのは間違いないと…思います…←かなり自信なさげ。

浦井君のアルフレートはまるでPUCKみたいな中性的な役でしたね。アルフレートはヘタレな役って言うけど、本当にヘタレだったらお城に行かない。相変わらずの顔芸はお手のもんやね。

化けたかというとそれほどでもないけど、「サラへ」とラストの知念サラとのデュエットがめちゃ良かった。あの歌声はアルフレートじゃなかったね。デュエットでは何故か涙がこぼれました。ベンヴォーリオの時のギャップはイマイチやったけど、このギャップは胸を打たれた!この私に涙を流させるとは…ええ役者になった!

知念さんとのデュエットを聞いていたら、めちゃ二人の「ミス・サイゴン」が観たくなった。今年は叶わないですが、いつか観たいですね。

で、知念さんはというと…、初知念さんなんですが、テレビでは何度も歌声は聞かせてもらってましたが、やはり本田美奈子さんの歌声に似ていてビックリ!テレビで聞いた時は違和感がありましたが、生で聞くとやはり知念さんでキムが観たくなりました。美奈子さんと似ているのは知念さん自身にとっては決してプラスではないですが、歌声は聞いていて心地よかったです。無理のない高音の伸びがホント心地よかった。

マジこの二人の「ミス・サイゴン」が観たい!

山口さんのクロロック伯爵…完全にプロフェッサーに喰われてましたね。でも、クロロック伯爵は欲望の象徴だったのでその役割は務められていたと思います。

正直、意外と良かった。歌い方も変えていたように思ったし、クロロック伯爵の孤独感がとても伝わった。何百年も欲望が絶えないって辛いと思う。死があるから欲望が尽きないのは分かるけど、生きたままだったら辛いはず。

こんなこと書いたらなんですが、「TDV」の世界観ってやはり「エリザベート」の世界観と似てると思った。扱っているものが同じやもんね。

それはさておき、プロフェッサーの禅さん、めちゃ絶好調やね。プロフェッサーが一番化けてた。

この作品、再演は間違いないでしょう。生オケで、今日みたいにダンスやアンサンブルのクオリティーの高さが維持されていたら問題ないと思う。正直、「ロミ&ジュリ」よりはるかに良かった!

まだまだ書き足りないのでまた追記していきます。

今日のまとめ:生オケでロックは堪らんね。しかも「ヤヌスの鏡」世代には堪らん。ちなみに「この子誰の子」の主題歌もジム・スタインマン作曲です。

クコールさん、クコール劇場お疲れ様でした。


追記(全然関係な話):「SOM」を観る前にタワーレコードで買ったロイド=ウェバー集のCDにはまってます。やはり「サンセット・ブールヴァード」はめちゃカッケぇ~!イントロがゾクゾクする。「サンセット大通り」のCD持ってないのでネットで注文しました。グレン・クローズがノーマ役のCDではないですが、我慢します。

なんか大阪公演は期待できなさそうですね。いつか大阪でもやって下さい!老け役が続きますが、瞳子さんの見事にノーマに化けた姿が想像できるので、大阪で観れる日を期待して首を長くして待ちたいと思います。それまでノーマ役頑張ってください!



「サウンド・オブ・ミュージック」

2012-01-12 00:02:20 | ミュージカル
劇団四季の発声法は超苦手だけど、それを許せるくらいやはり作品が持つ力と音楽の力には負けてしまいました。あ~泣けた、泣けた(涙)

こんなこと言ったらなんですが、「サウンド・オブ・ミュージック」は私の原点なんですよ。

その昔、小学生だった頃、市の合唱コンクールで歌ったのがこのタイトルソングと「ひとりぼっちの羊飼い」でした。

これでも一応選抜メンバーだったんですよ(笑)声変わり前だったので歌が上手かった←自分で言うのもなんですが…。今はダメですけどね…。

当時、そのメンバーの中でも一部の生徒だけが、映画版のビデオを観せてもらえたんですが、当時は正直好きな作品ではありませんでした。その頃は自分が特別扱いされていたのが嬉しかったね(笑)

この作品がきっかけでミュージカルファンになったわけではないのですが、ミュージカルに関わったという点ではこの作品が最初の出会いでした。

しかも、「SOM」は私が大好きな映画ニコールの「ムーラン・ルージュ」とラースの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でも使用されていたしで、縁を感じてます。

実は、「SOM」は元々観る気はなかったんです。たまたま朝の浜村淳さんのラジオで、マリア役の笠松さんと修道院長役の秋山さんがゲストで来られた時にめちゃくちゃ観たくなったので、確か9月の時だったと思うんですが、安い席なら観てもいいやと思ってずっと先の1月の公演なら一番安い席のチケットが取れたので、今日観てきたという訳です。客席のてっぺんから観させてもらいました。

今日は笠松さんと秋山さんがキャストだったのでホント良かったです。あ、トラップ大佐の村さんも良かった。村さんの声好きだな~。顔はトミーズ雅さんに似てますが…。

舞台版は東宝で何度も再演されていたのは知ってましたが、一度も観たことなかったので、まさかこの時期にこのタイミングでしかも久々の劇団四季で観れて良かったです。ちなみに四季は京都劇場の「エビータ」以来で、その前は「ライオン・キング」ってくらいかなり四季はご無沙汰でした。

今だからリアルに受け止められる台詞や歌詞の数々にたくさん感動を頂きました。

四季の台詞回しはホント苦手なんですが、歌と音楽と台詞は本当に良かったので、心の洗濯が出来てホント良かったです。まさかこんなに涙が…ってくらい泣くなんてね…ホンマ感動しまくりました!

本日のキャストの皆さん本当にありがとうございました!ロイド=ウェバーにも感謝やね。

今日のまとめ:子役に四季の発声法は無理がある。聞き取り易さより、自然な感情で台詞を言って欲しいな。子供らしさがなくて残念。

「SOM」は良かったけど、やはり私は宝塚の方が好きだな。

さて明日はいよいよ…。浦井君の化けっぷりを楽しみにしてます!


追記:「クラシコ・イタリアーノ」、芸術祭優秀賞!!!宙組おめでとう!!!!!

あれはマジ良い作品だった!あれは本当にホンモノだったもんね!あ~、二回目が観れなかったのがホンマ悔やまれる(涙)