「おそるべき親たち」

2014-03-29 23:04:23 | 舞台
いや~、おそるべき大人達のエゴ丸出しの世界に酔いしれました!

念願のtpt公演!実際はtptとは違うけど、演出家の熊林さんの作品は未見でしたが、tptの演出家さんであることだけは存じていたので、tpt公演と言っても間違いではないと思ってます。

関西に住んでいると、tpt作品を生で観る機会なんて皆無だったし、今はもうベニサン・ピットの芝居小屋もないから、tptの魂を受け継いだ方や触れた方の作品を観ることが念願でした。私にとってはベニサン・ピットは演劇の聖地だと思うくらい上演される演目がコアーで魅力的で1度は行きたかったんですよね…。

注)tptは現在も存続してます。わたくしが言いたいのは、デヴィッド・ルヴォー氏が演出していた時代や、ベニサン・ピットで公演していた時代のことなので悪しからず。

しかも、これも念願だった佐藤オリエさんの演技、tptの常連さんだったオリエさんの演技を生で観ることも夢でした。テレビの舞台中継でしかオリエさんの演技は観たことはないんですが、オリエさんの、しのぶさんやとんちゃんとはまた違う狂気の演技に魅了されて以来、オリエさんの生の舞台を観ることが本当に夢でした。


で、実は、この作品、2010年の初演の際、観劇の予定でチケット買ってました。結局は東京に行けずで空席にしてしまいましたが、まさか再演されるとは思ってなかったので、今日のまさかの初演キャストによる再演を大阪で観ることが出来て、それだけでもうめちゃくちゃ嬉しかったし、企画制作主催者様には本当に感謝してます!

ということで、私のどうでもいい前振りはさておき、

ジャン・コクトーのこの戯曲は持っているので、ストーリーは知ってましたが、キャストがマジ魅力的!tptの常連のオリエさんを筆頭に、同じく常連(と思われる)の麻実れいさん、そしてもう一人の狂気女優の中嶋朋子さん、最高の組み合わせです。今でこそ魅力的ですが、2010年の時は存じ上げてなかった中嶋しゅうさんと満島君。もう完璧なキャスティング!

この五名が醜悪な作品とコラボするなんて演劇ファンの私にとってはもう奇跡中の奇跡です!

昨日の続きじゃないですが、美術がまた素晴らしい!作品に潜む人間の滑稽さや醜悪さを引き立てるシンプルかつスタイリッシュな美術で、tptの香りがプンプンしていてとても魅力的でした。

恋愛の三角関係ならぬ五角関係。魔のトライアングルならぬ魔のペンタゴン(五角形)。

登場人物の精神を色で例えたかのように、純粋な白と腹黒い黒の二色使いがとても印象的でした。

そう、純粋な心はいつも大人の身勝手なエゴで汚されるんですよね…。そのピュアさと腹黒さをこの二色で表現されてるとこがあって、人間のピュアな部分と邪悪な部分が見事に浮き彫りにされてました。

人間って、本当、無意識に人を傷つけ、無意識に人に依存しているんよね。無意識だからホント本人は気付いてないから質が悪い。あ、このBlogでも、思ったことをストレートに書いているので傷付いている人はかなり多いとは思います。これが私流なので許し願います。もし、何か、私の心を動かす何かに遭遇したらまたスタイルも変わると思います。

この作品には、人間の無意識、エゴ、依存、道徳、嫉妬、裏切り、歪んだ自己犠牲などなど、人間の醜い部分を浮き彫りにしていて、それが登場人物5人で見事に表現されている本当傑作だと思う。見事な五角関係だと思う。ホンマ最低な人間だらけ。でもそれが面白味でもあるので、最低な内容なんだけど、何故か笑えたりする。ぶっちゃけ書くと、チェーホフの「かもめ」よりこっちのほうが悲劇だけど喜劇だと思う。

登場人物が個性的で狂っていて、それを狂気女優&男優さんが演じるとよりリアリティーが出て面白くなるので、中途半端じゃないマジの演技、素晴らしい狂気沙汰に感動してます。

それから、熊林さんの演出で面白いのが、シーンに登場しない人物が、まるで裏シーンのように登場させているとこ。劇場自体がプロセミアムアーチなのに、さらにプロセミアムアーチを舞台上に作って、脚本の外の部分を表現しているのが素晴らしかった。脚本上登場しない人物が客観的に登場人物のシーンを見たり、またはエッチしたり、寝ていたりするんですよ。面白い演出でした。

そこで一際輝いていたのが、オリエさんの視線!メインでは母と息子の近親相姦しているシーンを椅子に座ってジーッと見てるんですよ。不気味ったらありゃしない(笑)でも私達観客と同じなんですよね…。ぶっちゃけ、近親相姦よりオリエさんの目線に釘付けでした(笑)本当、面白い演出でした。

登場人物のあり得ないけどあり得そうな狂気沙汰。演技面では各々の狂気の演技が超魅力的でした。

今回のオリエさんの役はクールで腹黒い叔母のレオ役なんですが、本当に最低な役で、冷静を装ってとんでもなく腹黒い。勘違いの自己犠牲を象徴するかのような人物で妹の夫を愛しているんですよ。その愛し方が勘違い。一緒に住むなよ!と言いたいんだけど、でもこのレオがいないと家はゴミ屋敷になってる役どころなんですよね…。微妙な人間関係の繋がりがこの作品の魅力ですね。

そう、作品を知っている人なら誰もが思ったと思いますが、オリエさんは母親のイヴォンヌ役のイメージなんですよね。でも、見事なクールっぷりで静かな狂気を体現されてました。可能ならオリエさんでイヴォンヌも観たい!

息子に依存しまくりで甘ったれで精神的にもヤバイ母親イヴォンヌ役を麻実さんが演じているんですが、麻実さんはレオのイメージだったけども、イヴォンヌも素晴らしかったです。本当に狂ってしまう役なので麻実さんのイメージにない役柄を観るのは非常に新鮮でした。


その息子ミシェル役の満島君は、無邪気な子供のようなピュアさ持ちつつも、小悪魔的な部分も兼ね備えている役柄を見事に演じてました。このミシェル、無邪気なだけに罪深い。このミシェルこそ無意識の象徴だと思う。やってることは母親同様最低だと思う。無意識で無邪気ならなんでも許されると思ったら大間違いだよ!ま、この親にしてこの子供ありな部分を上手く演じてました。

息子と同じ女性を愛してしまう父親役の中嶋しゅうさん。ホンマ最低な役!がお見事でした(笑)嘘つきで嫉妬魔ぶりを見事に体現されてました。でも、男って皆あんなんだと思う。男はいつまでも子供です(笑)

息子と父親に愛されるマドレーヌ役の中嶋朋子姐さん、見事な狂気っぷりでした!中嶋姐さんも狂気が似合う!「祈りと怪物」の時はぶっちゃけイマイチでしたがm(__)m、このマドレーヌはピッタリだった。実年齢に関係なくピュアさと狂気さを兼ね備えていて、変な表現ですが、観ていて心地よかったです。わたくし、狂気の演技大好き人間なのでついついほくそ笑んでしまうですよね(笑)(汗)

どの登場人物も救いようがないというか、一つ屋根の下で一緒に住んだらアカンやろ!?と言いたくなるくらい無意識に依存し合っていて、見事な五角関係を表現してました。

精神的自立とはなんぞや?
道徳とはなんぞや?
生きるとはなんぞや?
愛するとはなんぞや?

を問いかけいる部分もあって、戯曲を読んだ時には見えなかったこと感じました。

あと、自殺についても触れている部分もあって、内容はグロいけど、道徳観を考えさせてくれる素晴らしい作品だと気付かせてもらいました。戯曲より舞台の方が断然良かったです。

オススメしたいけど、もう終わりなんですよね。再再演は…、きっともう関西ではないかもね。

今日のまとめ:この作品、2010年に観なくて良かった。きっと私もドツボにはまったかもしれないから。勘違いの自己犠牲、心当たりがあるもので…(笑)本人は勘違いだと思ってないんだよ。だって自分を知らないから。だから他人も分かってないんよね(汗)

朝倉摂さん

2014-03-29 01:39:17 | 日記
ついこの前、4ヶ月前に、摂さんが美術を担当した蜷川さん×祐飛さんの「滝の白糸」を観たばかりなのに、突然の訃報に驚いてます。あまりにも観劇から早すぎて未だに信じられません。


朝倉摂さんといえば、ずっと蜷川作品の常連さんだと思っていたら、私が観たことあるのは、平さん主演の「元禄港歌」と「滝の白糸」だけでした。あとは別の方でした。

色々検索すると、なんと!とんちゃんが音楽座に客演した「メトロに乗って」も摂さんの美術だったんですね。というか、音楽座ミュージカルの美術、ほぼ摂さんが担当されていて驚きました。ということは、わたくし、「とってもゴースト」を生観劇しております。

あと、個人的に最も印象的だったのが、池の下事務所の舞台「身毒丸」の美術です。いかにもお金を掛けていないシンプルな美術なのに、蜷川さんの「身毒丸」より遥かに良かったこと。同じ戯曲なのに、明らかに美術の費用が違うのに、作品がめちゃくちゃ引き立てられていて、寺山アングラを堪能させてもらいました。

そもそも私が摂さんを知るきっかけは、たまたま摂さんの講義を聴く機会があったからです。当時は、演じることには興味あったけど、裏方には全く興味も関心もなかったんですが、その講義で摂さんが紹介されたご自身が担当された美術作品に感動して、それ以来、意識して美術や照明、衣装をチェックするようになりました。時々美術に口出しするのはその理由です。

凝った舞台美術も目の保養になるし、リアルな美術ももちろんいいけど、抽象的でシンプルな美術が一番想像力を必要とするから難しいと思うんですよね。空間のバランスの兼ね合いもあるし、シンプル過ぎると作品の価値を下げかねないし、派手過ぎても価値を下げることがあります。って考えると、あの池の下事務所の「身毒丸」は本当に良かった。ちなみに10年以上前です。

昨日の月組じゃないけど、どんなに美術が素晴らしくても、内容が良くなければ引き立て役にはならない。と同様に、作品を引き立てられないならそれは美術ではないと私は思ってます。創る側の想像力と観る側の想像力がパズルのピースのように上手く合致してこそベストな状況であり、舞台の醍醐味だと思います。

美術に関係なく、何処に、何に重きを置くかが大事だと教えてくれたのが、摂さんでした。もっと摂さんの美術観たかったです。

摂さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。


月組 タイトル割愛

2014-03-27 23:24:04 | TAKARAZUKA
花組千秋楽では拝見出来なかった大劇場に立つマユさんをしかと目に焼きつけて参りました。

まずは、和物のショー「宝塚をどり」。

う~ん、比較しちゃイカンけど、星組の「宝塚ジャポネスク」がめちゃ良かっただけに、今回の植田先生のショーは今一つ盛り上がりに欠けるというか、メリハリがないというか、いかんせん普通だった。

印象的だったのは、あたかもガラカメの紅天女かのような出立ちのミエコ先生。ぶっちゃけ、私には紅天女にしか見えなかったけどね(笑)

それ以外は…、三番叟の三面鏡に見立てた演出は良かった。

マユさんvs.マサオの連獅子(?)は…、そんなに…だった。マユさんの方が獅子らしい動きでしたね。以前植田先生のトークショーでこのシーンについてお話されたことがあったんですが、ゲスト出演だから稽古時間を考えると大変だとは思うけど、毛振りがなければ対決にならないと思う。ちょっと肩透かしな印象でした。それか、もっと躍動感があるような動きにすればよかったのにな~とは思った。ちなみに、バックで下級生が毛振りしてます。

♪よさこい♪の群舞もそれなりに良かったけど、やはり今回は植田先生にしては…全体的に今一つ盛り上がりに欠けた印象。

そうそう、初舞台生の口上の時のナガ組長さんのまさかの男っぷりな挨拶がかなり良かった。あんなナガさん初めて見た。

初めのうちは月組は和物に馴れてない印象を受けたけど、ラストのスミレのボレロは良かった。っていうか、あの像、マリア様なんや!?今プログラムを読んでビックリ。菩薩様だと思った。いや~、あれはマリア様やないやろ…。っていうか、なんでマリア様なん?なんか意味不明…。あ、すみませんm(__)m

あ、ここで贔屓発言をお許しください。ミヤルリ、なかなか舞踊のセンスにびっくり。見せ方が上手かった。ミヤルリなら紫子出来る!

第二部の石田先生によるプチミュージカル「明日への指針」は、突然の告白タイムまでの流れは良かった。スピ要素満載でぶっちゃけ涙した。でも、告白タイム後の二転三転する余計な秘密?裏ネタ?的な展開が…、思わず、涙を返せ!と言いたくなった(笑)

石田先生は実は照れ屋なん?いやいや相当なひねくれ者やな(笑)ひょっとしたら、強度のウディ・アレン信者かもね(笑)

もうさ、どうして、せっかくの純文学的要素を自らの手で石田ポイズンで大衆文学にしてしまうのか、マジ意味不明。ストレートにハッピーエンドすりゃいいのに、あんな味付け、余計なスパイス要りませんから!!!(笑)ホンマ、涙を返せ!もんでした。音楽担当の手島先生が、これがまた涙を誘う良いお仕事されていただけにね…。

今思えば、同じように二転三転する「再会」の方がよっぽど純文学やったで。

ここでは、コマちゃんとカチャが大活躍でしたね。もちろん、ミヤルリも!と言いたいとこですが、主役のマサオとチャピが、正塚先生の「愛するには短かすぎる」の第二章的な雰囲気を醸し出していて良かったです。

第三部、ショー「花詩集100」は、これも全体的には私にはイマイチだった。なんか藤井先生にしては地味な印象。もちろん、セットや衣装は豪華でしたよ。でも内容が今一つでした。ぶっちゃけ、藤井先生のネタぎれを感じさせる内容だった。

それでも、マユさんが登場する青い蘭のシーンは、このシーンだけはめちゃ良かった!もうね、マユさんがマジの男でビックリした(笑)あれは男役ちゃうで。あれは完全に男です。いくらラテンが似合うと言えども、あのドヤ声は…、マジのマジ、男です(笑)ってくらい最高に進化した男っぷりでした!あんなマユさん、初めて見た!最高にかっこ良かったです!

で、この青い蘭の振り付けが、あのはるか昔に同じ月組で振り付けを担当したブロードウェイから召聘された私には超懐かしいジェフ・カルフーン氏の振り付けだと思ったら、なんと尚すみれ先生でした!新鮮な振り付けでかっこ良かったです。

で、ジェフ氏は100人ロケットの振り付けでした。大劇場で初めて100人ラインダンス観ましたが、これは凄い!もう少し足上げの時間が長かったらな~。ちょっと短かった印象。でも、ラインダンスだけでなく花時計のようなフォーメーションもなかなか見応えありました。

もう一人、海外から招聘されたアントワーヌ・クルック氏の衣装のデザインはかなり斬新でした。ここまでくるともう一種のファッション・ショーを見てる感覚ですね。セットもそうですが、かなりお金掛けてますね。

いかんせん外見ばかりが目立つ構成で、いつもの独創的で独走的な藤井ワールドがなんか宝塚の歴史という重みでかき消された感がしてちと残念でした。か、ただ単に月組自体の個性が弱いだけなのか、そんな印象もなくもなかったです。

今日のまとめ:もう明日で終わってしまいますが、マユさんの青い蘭はマジ必見!ですよ。ま、映像にはなると思うので、チャンスを逃した方は是非とも映像でご確認を!マジ、びっくりするよ(笑)

追記:朝日新聞出版の「宝塚歌劇華麗なる100年」、これ、まじヤバイ!!!あの人もあの人も出てるやん!完全にMy愛蔵品です!(笑)

「辻井伸行 ショパン&リスト」

2014-03-21 20:15:46 | ライヴ
まるで、私のスケジュールを知っているかのように舞い込んできたこのコンサート情報。たまたま仕事休みで安い立ち見券がまだ残っているということで即買いしました!

ということで、長年観たい(?)聴きたい(?)と思っていた辻井君のピアノコンサートに行ってきました。

彼を一躍有名にさせたヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール(プログラム参照にて)で優勝した時に、テレビで観たショパンの♪革命♪で鳥肌が立って以来ずっと辻井君の生のピアノ演奏が聴きたい!と思って数年、偶然とタイミングが重なって念願のコンサートを聴くことができました。

超、素晴らしかったです!!!

ぶっちゃけ書くと、佐村河内氏の出現で、目が見える見えないは、私にとっては、目が見えないことはハンディキャップであってももはや特別な付加価値ではないと判断してます。もし佐村河内氏が現れなかったら、あの例の一件がなかったら、今も盲目のピアニストというだけで付加価値に十分値しましたが、もう何が真実で何が嘘か分からない今現在、付加価値に頼らず自分の感性で価値判断しないといけないと思っています。

という私の意味不明な感性で判断しても、辻井君は本当に素晴らしいピアニストだと思った。

もうね、♪ラ・カンパネラ♪と♪愛の死♪はマジやばかった!とくに♪愛の死♪は涙が出そうでした。いわゆる、ワーグナーの原曲をリストがピアノ曲にアレンジしたと解釈していいんですよね…?が素晴らしかった!ワーグナーの♪トリスタンとイゾルデ♪はマジ好きだから本当にヤバかった。

私は、音楽家でもないし、もちろんピアニストでもないから、譜面なんて一切読めない。クラシック音楽は確かに好きだけど、私が好きなのは映像が浮かぶ音楽として。蜷川さんのお芝居で使われるように演劇に絶妙にマッチした音楽は特に好き。なんせ分かり易い旋律が好き。だから交響曲よりイメージが浮かび易い交響詩の方が断然大好きなクラシック超ド素人です。

そんな私でも、テレビで観て鳥肌が立った辻井君の♪革命♪は今でも忘れられないくらい素晴らしかった。今日のアンコールで、実はなんとその♪革命♪を披露してくれたんですが、ぶっちゃけ書いて申し訳ないですが、私が求めていた♪革命♪とは微妙に異なっていたのがちょっぴり残念だった。なんか焦りを感じる♪革命♪だった。

ちなみに、わたくし、クラシック・ド・シロウトですが、ショパンの♪革命♪だけはこだわりがあります。キョンキョン主演のテレビドラマ「少女に何が起こったか?」でこの曲に出会って以来、この曲がクラシック音楽の中で1番今でも好きな曲です。1番好きだからこだわりがあるんですよ。私好みの強弱の付け方や間の取り方があって、どこがどうとは説明出来ないんですが、コンクールの時の辻井君の演奏がマジベストだった。でも今回は違ってたのが本当残念だったけど、生演奏が聴けただけでもう満足。

今回は、ピアニストの天才、ショパンとリストの曲を披露して下さいましたが、本当にド素人発言をお許し願いたいのですが、私はリストの方が断然天才だと思った。ぶっちゃけ、リストの曲自体ほとんど知らなかったんですが、今回の辻井君のセットリストで初めて♪愛の夢♪♪ラ・カンパネラ♪がリストの曲だと知った。それくらいド素人なんですよ。

でも、ショパンと比べると、リストの方が技術的には上だと思った。本当にド素人なので実際は分かってなく感じたままを書かせてもらいますが、リストの作曲や編曲を聴くと、宙組の「翼ある人びと」のリスト像とイメージ通り、よほどナルシストか、女たらし、はたまたモテモテの男だったんだろうな…と想像しました。ってくらい、左右の手が奏でる音楽がエロい!なんかね、右手で本のページをめくりながら、大袈裟なイメージですが、左手で貴婦人のネックレスを盗むような華麗な手さばきに素人ながらに魅了されました。やらしい手と言いたいとこですが、リストの左右の手は本当神の手だと思いました。ちなみにショパンを同じように例えるなら、同じ右手で本のページをめくりながら、左手でその盗まれたネックレスをそっと持ち主のバッグに忍ばせるって感じ。

ショパンからは繊細さや優しさを感じるけど、リストからは高慢さを助長させる高度なテクニックがあるとお見受けしました。あくまで私が直感で感じたことを書いているので、事実に反していたらごめんなさいm(__)m

この同じ天才でも性格の異なる二人の曲を、時に繊細に時にダイナミックに演奏して魅せた辻井君は、ミスタッチすら分からない私が言うのも憚れますが、本当に素晴らしいピアニストだと思う。盲目の天才ピアニストだとは私は評価しませんが、天才であることは間違いないと思います。譜面が読めることも素晴らしい才能だと思うけど、譜面がなくても、耳だけであれだけ演奏出来たらマジ天才!

今日は本当、安いチケットで素晴らしい演奏が聴けて、チケットの神様に感謝です!

今日のまとめ:そうそう、一部と二部の間で調律師さんがピアノを調律していたんですが、めちゃ興味深く見てしまいました。ぶっちゃけ何が違うのかさっぱり分からないくらい微妙な調律をしてました。私みたいにショパンの♪革命♪にこだわりがあるんだから、演奏家はもっと細かいこだわりがあるんだろうね。ド素人には分からない超微妙な音の違い。

アンコールで映画「神様のカルテ」のオリジナル曲も披露して下さいました。そこでやっと挨拶があったんですが、ピアニストの時の顔とは違う普通のお兄ちゃんって感じがまた良かったです。さてさて、この映画観るべきか…?


「心中・恋の大和路」

2014-03-21 01:19:41 | TAKARAZUKA
さすが芝居の雪組、文句なしの出来でした。

この作品、ぶっちゃけ、現役生では観たくなかったんよね~。発表される前も後も、最初はね。ずっともりえちゃんで観たかった作品だったから、OGならまだしも、現役生は絶対イヤだった。

でも、ホタテ氏が出るなら、与平なら観たいと思ってチケットを購入。実際は、月城君が与平だったけど…。でも、ホタテ氏の番頭も意外と存在感がある役でななかなか見応えありました。

っていうか、ラストの独唱が与平でなかったのでビックリ。ウタコさんver.もその前も与平役の方が歌っていたから、てっきり月城君が歌うもんだと思ってた。実際は、マッツの八右衛門が美声を轟かせてくれた。前々から与平が歌うことに疑問に思っていたから、二番手扱いの八右衛門が歌うことでぶっちゃけスッキリした。本来、これが番手的に自然な流れだと思う。

ということで、壮さんの忠兵衛がマジ素晴らしい!!!

封印切りと雪路かなり見応えありました!

ダメ男っぷりというか、ナヨッとした遊び人風な忠兵衛。梅川オンリー・オーラが出ていて、私は映像でウタコさんver.しか観たことないけど、全く見劣りしない素晴らしい忠兵衛でした!和モノでこれだけ魅せられたら、壮さんの光源氏も大アリでしたね。早い退団が悔やまれます。ホント勿体ない!

梅川は、ミミさんことこだま愛さんが完璧だったから、あゆっち大丈夫か!?と一番心配でしたが、全く問題なかったです。ミミさんとはまた違う梅川像で、壮さんとのバランスをよく考えていて、忠兵衛に寄り添う梅川を好演でした。台詞がないとこで、どれだけ忠兵衛一筋を魅せられるかが梅川の魅力だと思うので、あゆっちは難なくクリアーしてました。忠兵衛がいないと生きていけないオーラが出ていて本当に素晴らしかったです。

そうそう、孫右衛門のシーンが梅川の一番の見せ所なんですが、めちゃくちゃ良かったです。その直後の忠兵衛がまた泣かせてくれます。

もっと冷静に考える時間があったら、他人の金の封印を切らずに済んだとは思う内容ではあるんですが、この究極の選択が、ラストの美しくも悲しい雪路に繋がるので、壮さんとあゆっちには本当最初から最後まで恋の大和路ワールドに浸らせてもらいました。本当に素晴らしいコンビです!

で、贔屓発言しますが、ホタテ氏が意外な存在感で、何回も書きますが、なかなか良かった。与平じゃないから地味だろう…と思っていたらとんでもなかった。宙組のモンチ君もそうだけど、ホタテ氏も純粋に芝居が好きなのもめちゃくちゃ伝わってくる演技なので、個人的にめちゃ心が洗われました。やっぱ、宝塚に関係なく純粋に“○○が好きだ!”を心で表現できることは大事だと思う。それにしても、ホタテ氏の声、好きやわ~(笑)←なんじゃそれ!?

月城君の与平も気弱さがピッタリでした。与平といえばラストの独唱が一番の見せ場だと思っていたから、実際はそうでないとなると…与平は…な役柄なので、最低発言しますが、ホタテ氏が番頭役で良かったです。月城君&ファンさんごめんなさいm(__)mあ、一応月城君のソロありましたよ。これでフィフティ・フィフティということで…。←意味分からん!

かもんのせし嬢も完璧な花魁で、打ち掛け(?)の舞いはお見事でした。本当振り付けがお見事でした。上手く出来てる。素人感覚ながらに感心してしまいました。このかもんは娘役冥利に尽きる役で大人で美人のせし嬢にピッタリでした。

芝居の雪組らしく、子役からお爺さん役まで、専科も含め本当に演劇を堪能させてもらいました。歌が上手いというか、歌に不安要素がないというのは、観劇に集中できるので、歌ウマさんが勢揃いだったことも功を奏したと言えるでしょう。本当聞き応えありました。ラストのマッツはマジ圧巻!

そうそう、私が観たウタコさんver.はテレビのカットありver.なので、全部を知らないんですが、実は、オカンがこの作品の実況CDを持っていて映像にないストーリーは知ってました。ですが、音だけで映像を知らないので、今回の観劇で音だけのシーンがどんな演出なのか分かって、ワビサビのある演出に本当に感動してます。

遊廓の西の門と東の門。第二部、忠兵衛と梅川が新口村まで逃げる道中の風情、いかにも峰先生の振り付けと直ぐに分かる(ドリドリでも似た振り付けだったから)問屋仲間の舞も良かった。

去年観た「永遠物語」もそうだけど、「心中・恋の大和路」もまた、宝塚の無形遺産というより、日本演劇の無形遺産と言ってもいいくらい役者が揃えば本当に時代錯誤も淘汰もしない素晴らしい伝統作品だと思います。「心中~」はやっぱ歌舞伎よりイイと思う。文楽ver.は観たことないので比較できませんが…。

本当にクオリティーの高い演劇を作品を観させてもらいました。ラストは涙涙でした。本当にありがとうございました!

今日のまとめ:もりえちゃんが主演だとしても、月組でこれだけのクオリティーを出せたかはいささか疑問やな。やっぱ、お芝居は主演だけ良ければ…だけじゃアカンことを痛感する作品でした。