ヴィクトリア

2023-06-28 21:21:23 | 舞台
衝撃的事実発覚!

野田さん作の一人芝居「売り言葉」を同じスパイラルホールで上演したことを本人が今日の今日まで覚えていなかったなんて!

あんなに21年ぶりの一人芝居と宣伝しまくっていたのに!!

(笑)

ということで、その21年前に同ホールで当日券の列を並んで立ち見で観た者としては、いくら西宮でも上演があると分かっていても、ま、80%はブログネタのためですが…、

思い出のスパイラルホールでの上演。しかもゲストとのアフタートーク付き!ひょっとしたら、舞台終わりで野田さんが…、と期待を膨らませてチケットを取ったら…←この時点でめちゃくちゃ失礼な奴 m(__)m

司会経験豊富で(「トリヴィアの泉」の司会が有名)めちゃくちゃトーク力がある、←ここでフォローさせて頂いてます。←めちゃ取ってつけた感丸出し! の八嶋智人さんがゲストで、めちゃくちゃ楽しいアフタートークでした。

野田さんだったら、間違いなくさんまさんの名前は出てこなかったね。八嶋さんだからさんまさんと野田さんの両鬼門の名前が出たんだろうね。あ、両鬼門と書いてしまってスミマセンm(__)m

しかも、参加費が2万5千円もする(←さんまさんがいつもネタにしている)しのぶさんの還暦パーティのネタもあってめちゃくちゃ笑った!

まさかの、しのぶさんの独断で客席から質疑応答するという展開になり…めちゃくちゃサービス満載で、めちゃくちゃ笑わせてもらいました。

そのアフタートークの中で、しのぶさんの初一人芝居をした会場を覚えていなかったという事実が発覚し、それが1番の衝撃的事実やったわ!(笑)

あ、話がアフタートークだけになってた!

m(__)m

ということで、長い前置きはさておき、

21年ぶりにスパイラルホールでしのぶさんの一人芝居を観てきました。

Twitterで既に観劇された方の感想にガラスの仮面というキーワードを書かれていて、俄然興味倍増で東京まできましたが、

これ、1時間6分もあったの?←八嶋さんが時間を計測されてました。体感時間30分もあったかな?と思ったくらいあっという間に終わった。

しのぶさん演じるヴィクトリアは、実際に誰かと会話しているのか?場所は家の寝室なのか?

一人芝居を逆手に取って、落語形式みたいに会話劇をしているのか妄想劇をしているのか、どちらとも取れる演出で話が進む。

途中から録音されたヴィクトリアの日記から真実が見えてくるわけだが、ぶっちゃけ、その録音は不要だったように思ってしまった。

現実なのか虚構なのか分からないままラストを迎えた方が一人芝居の醍醐味として面白かったように思えた。

途中から、あ、これは「欲望という名の電車」のブランチの前日譚でもあり後日談でもあるような内容とも感じられ、実際はテネシー・ウィリアムとは関係ないが、私にはそういう世界観が視えてくる内容だった。

スイスの象徴のマッターホルンの単語から状況設定が視えてきたが、日記の内容が全ての状況設定を物語る説明になっているので、なんとか台詞にして状況を曖昧に出来なかったものかとついつい思ってしまった。

アフタートークで明らかになったが、赤い瑪瑙石の存在こそこの作品の核になっている。  

瑪瑙石はパワーストーンとして有名でいろんな色もあって縞模様が魅力な石だけど、どこでも採掘出来るから値段的にはめちゃくちゃ安い。

たとえ市場的には安い石でも、パワーストーンには変わりない。大地の力だけでなく、誰かの祈りや想いも込められればお守りになる。たかが石だけども、勇気の源、生きる源、命の源、そして希望の源として、ヴィクトリアの生命源になっていると解釈出来る。

ぶっちゃけ書くと、精神を病むということは、いつでも死ぬ可能性がある。危険性でなくてあえて可能性と書くけどね。もし、それを魂(あえて本人とは書かない)が希望したら危険性じゃないからね。周りの人間が危険性と思うだけだから。

精神を病むということは常に死と隣り合わせなのである。なんでもない音や声が悪魔の囁やきに聞こえることがある。これは、精神を病んだ経験がないと理解されないことだけど。

だから、ヴィクトリアが生きていることは、たとえベルイマンが創造した架空の女性であったとしても、現実問題としてというか、私の感覚では奇跡に近い。どんなに小さくても希望があれば生きる力になる。

特別に何かを成し遂げようと躍起にならなくていい。じっと、ぼんやり、ダラダラ、ただご飯を食べるだけでいい。食欲も希望だからね。

ヴィクトリアにとっての瑪瑙石こそ生きる理由だと思う。その石の温もりこそ彼女の支えなのだから。

そもそも、人間って貪欲すぎるねん。こんなに物余りの時代なのに全然心は満たされない。求めて求めて求め続けても1番ほしいものは手に入らない。だからその代用として人や物で満たそうとするが、本当に必要なものじゃないからずっと満たされない。

貴方にとって1番ほしいものは何ですか?

と問いかけられているよう。


しのぶさんが演じるヴィクトリアは、もちろん精神は病んでいるが、千恵子みたいな狂気ではない。あの時ほどの衝撃もないし、それを期待すると肩透かしをくらうかも。ま、NHKで放送されたけど知らない人の方が多いかも。←何気にマウントをとる奴

アフタートークの会話から察すると、長い年月の1ページ1ページを剥ぎ取って凝縮し、その時代その時代に引き戻されてる感じ。ラストのヴィクトリアこそが今なのかもしれない。

ついこの間まで、ステージママでまるで関西のおばちゃんやん!的な役柄を演じたばかりなのに、しのぶさんが演じるヴィクトリア像は、ネットで上がってる写真からも分かるように淑女という言葉似合うくらい若々しくて美しい。同じ人物が演じているとは思えないくらい別人。そういう意味ではまさしくガラスの仮面やね。

今思えば、一人芝居が二回目だとは思えないくらい、それだけ月日が流れたということやね。

いやー、それにしても、21年前のしのぶさん演じる千恵子は凄かった!千恵子の精神が崩壊する過程が分かりやすく丁寧で、しのぶさんの狂気の演技が凄まじかった。と同じくらい野田さんの演出が神ががっていて、神業ならぬ紙業に唸りまくった。

実は、当時、ワタクシ、この作品が観たくて東京に行ったわけではありませんでした。

当時は、ヴィッテルスバッハ症候群
(勝手に命名。ルートヴィヒ2世のように引きこもり。かと思えば窮屈感に嫌気がさすとエリザベートのように放浪したくなる性格。後々オットーのように精神を病む)で、その時は放浪したくて家から飛び出し、なんの目的もなく夜行バスで東京に行きました。あまりにも退屈だったので公演情報をチェックしたら「売り言葉」を演ってたわけですよ。当日券情報がのっていて、即スバイラルホールに行って当日券の列に並んで、立ち見で観たわけですよ。

今思えば凄いお導き!たまたま東京に行ったら観れるものではない。

当時はさ、久々にお芝居の醍醐味を味わったので、私ももう一度舞台に立ちたいと思って、たまたま募集していた地域住民対象のオーディション受けたんですよ!

案の定落ちたよ!(汗)

演出家さんと宝塚の話題で盛り上がったのにダメだった。

ちなみにその演出家さんは、わかぎゑふさん。全く歳を取らない今でも素敵な演出家さん。

わかぎゑふさんが、オーディション終わりに皆に言ってくれた言葉が今も私の言葉になってる。

落ちたら、それは才能がないんじゃなくて縁がなかっただけ。落ちてもまた頑張って下さい、と。

今なら分かるけど、元々既存の脚本作品だから、演出家としては役に合った人や可能性がある人が欲しいわけやん。

確かに落ちた時めちゃくちゃショックだったよ。気に入られたと思ったったからね。←めちゃくちゃ自意識過剰の自惚れ屋!(笑)

でも、後々になって、ゑふさんが仰った縁という言葉にめちゃくちゃ救われたし、今も違う場面でも救われてる。

だって縁がないんだから仕方ないこと沢山あるやん!!1789が観れなかったこともしかりね←チケットかい!?(笑)

縁がないことは、自分の存在を全否定しているわけじゃない。縁と存在価値は同じじゃない。出雲の神様の縁結びみたいなものやん。微妙に違うか…。

縁がないことで素直に諦めて方向転換出来ることも多々ある。だと思わない??

なんてことを思いだした。

そうそう、それこそ20年経って、令和になってチョイ役でも舞台に立つ機会がありましたが、いやいやいやいや、後で映像を見させてもらいましたが、めちゃくちゃヘタ過ぎて驚いたわ!

でも、チョイ役だったけど、やっぱ舞台は役作りが1番楽しい!完璧な役作り!と思っても観客に伝わらないなら、やはり自惚れと自己満足にほかならないんだけどね。

昔はさ、映像を見た時に、この人めちゃくちゃ上手いやん!と感心した相手が実は自分だったという自惚れエピソードがあったがために、自分が自意識過剰だとは思わず、自信に満ち溢れてオーディション受けては落ちまくってた時期があった。

今思えばホンマ自惚れでしかない!

でもね、当時はその自惚れが生きる糧になっていたことも事実。落ちても縁がなかったと思えば良かったから。

今は只々恥ずかしいだけ!(笑)

今は何もかもがおバカで楽しい思い出。

21年前の思い出:

いやービックリ!開演時間19時やん!?朝?昼?から何も食べずスバイラルホールの階段でひたすら並んだ記憶はあるが、まさかこんな遅い公演だったとは!
よく我慢したな(笑)

本当は、「売り言葉」の小パンフレットも写メしようと探したが見つからず、ヴィクトリアと共に写メ。























月組「DEATH TAKES A HOLIDAY」

2023-06-20 22:18:00 | TAKARAZUKA
まるで小池先生作品のオマージュか!?といわんばかりに、生田先生の小池先生作品へのリスペクトを感じるくらいギャツビーやエリザベート、そしてファウスト博士のワンシーンがフラッシュバックされまくる、というか既視感がある演出と内容だった。

私の大好きなミュージカルNINEやグランドホテル、ファントムの作曲家モーリー・イエストンの作品ということで、めちゃくちゃ楽しみにしていました。ひょっとしたら公演中止で観れないかもと思っていましたが無事観ることができて良かった。

ということで、月組シアターOrb公演を観てきました。

実は、星組の1789もチケット取れていたのに、貴重なチケットだったのにこちらは中止で観れなくなってしまった。もう少し早く再開してくれたら…と無念でなりませんが、こればかりは致し方ない。代役をたてられる状況でなかったことも想像しえる。代役立てられるなら過去の公演でも出来たはず。だから月組も…と思っていたが、無事再開して頂き鑑賞することができてよかった。

それはさておき、

最初に書いた通り、小池先生作品のオマージュを観てるかのような登場人物やシーンの数々、モーリー・イェストンの美しい旋律、まるでアニーの♪Tomorrow♪のような旋律があったり、

なんといっても月組生の歌唱力と演技力が宝塚作品を観てるというより、海外の上質ミュージカルを観てるような世界観があり、

めちゃくちゃ良かった!

と書きたいとこだけど、

いかんせん、特に第1幕が、一曲一曲が長くて睡魔が襲う。イェントンの美しいメロディーが更に輪をかけて襲ってくる。

イェストンの音楽目当てだったのに、その音楽にしてやられたりけりなんって感じ。

???

ストーリーは、至って単純というか、本当に主人公が死神だったことに驚きましたが、

本当に死神が存在していること前提に、その死神が人間になって真実の愛を学ぶっていうのが全体のプロットになるわけですが、

なんせ、タイトル回収が絶妙だった!

死神が休暇をとるということはどういうことなのか、地球レベルだったことに驚いた。

死神が人間に恋する。まさにエリザベートの世界観が描いていたことに驚いたし、そこにゲーテのファウストの世界観(小池先生の「天使の微笑み、悪魔の涙」が分かりやすい)もあり、また、海ちゃん演じるグラツィアが少女時代のデイジーだったり、レイコちゃん演じるニコライもギャツビーに見えることがあったりと、トータルで小池先生作品を観てる感覚だった。

もちろん、イェストン作曲だけあって、ファントムを彷彿させるような重唱があり秀逸でした。

もうさ、コーラスのレベルが高くて個人も歌唱力が高く、コレ月組公演なん???と疑いたくなるくらい、とても少人数とは思えないくらい迫力があった!

そうそう、美女と野獣要素もあったな。

いずれにせよ、これぞミュージカル!といわんばかりの上質なミュージカル作品を観させてもらいました。

何度も書いちゃいますが、あまりにも美しい旋律なので睡魔が…ではありましたが、

歌の素晴らしさもさることながら、月組の生徒たちの演技力がめちゃくちゃ素晴らしかった!

前作の大劇場公演であんなに沢山の芸達者な上級生が卒業したのに、月組の芸達者ぶりはちゃんと下級生に引き継がれていたね。

特筆なのは、みちるちゃんと佳城葵君。蓮つかさ君も良かった。

みちるちゃんは、最初誰が演じているのか分からないくらい表現が素晴らしかった。本来みちるちゃんの番手的にはアリス役だったとは思うが、みちるちゃんの実力を思い知らされた。そもそも、みちるちゃんにあの役させるなんて、生田先生も勝負に出たね。正解だったと思うよ。

佳城葵君の執事役がまー、素晴らしくキャラ立ちしていてめちゃくちゃ良いアクセント的存在だった。コミカルかつキュート、お笑いセンスがピカ一!

蓮つかさ君の嫌味系な役もピカ一だった。めちゃくちゃ発声や台詞に説得力があって聞き惚れた!

白河りりちゃんも良かった。以前から美人さんやな〜と密かに注目してましたが、いやいやいやいやいやいや、めちゃくちゃ実力あるやん!歌もお芝居も素晴らしかった!めちゃくちゃ前傾姿勢なアピール力に将来性を感じた。

きよら羽龍ちゃんもめちゃくちゃ安定したお芝居していてビックリ!かわいいだけの娘役さんだと思ったらめちゃくちゃ実力あるやん!

まだまだ若手と思っていたら大間違いやった。

ここからはベテラン勢に関して。

先ずは、ジュンコさん。いるだけでめちゃ場が和む。今回はコミカル専科として登板でしたが、愛嬌たっぷりで、ラストにはまさかの○○シーンに御本人もさぞ驚かれたことでしょう。ひょっとしたらうん十年ぶりの○○シーンかもね。私の記憶では、シメさんのカサノヴァ以来?あったかどうかも曖昧だけど。いずれにせよ、とってもピュアなシーンにウルッときた。

さち花さん、めちゃくちゃ歌の表現力が素晴らしい!めちゃくちゃ芝居歌やん!?なんで今までこういう役をさせなかったのか、宝の持ち腐れやん!情感たっぷりに表現されていて、お芝居も歌もめちゃくちゃ良かった!

夢奈瑠音君。なんなん、破壊力あるヴィジュアルは!登場シーンは少ないのに、登場した時の場をさらう破壊力が眼福だった。

オダチンは、いったい研究科何年なん!?まだ10年いってないはずなのにめちゃくちゃ貫禄あるやん!もともとオジサン役は得意だったとは思うけど、大先輩のさち花さんと夫婦役でも全く引けを取らない安定した夫役、お父さん役に唸るしかない。リアルに上手かった!

ヒロインの海ちゃん。いやいやいやいやいやいや、まだ進化するの?娘役としては学年的にもベテランの域に入っているのに、ブラックジャックでは男前なヒロイン役を違和感なく演じていたのに、純粋な乙女な役を全く違和感なく演じるなんて!まるで、ギャツビーに出会った頃の初々しいデイジーを観てる感覚だった。その頃よりももっと初々しかったよ。声音も違和感なかったし、トップ娘役になっても芸に対してまだまだ精進している様が娘役の鑑やわ。

そして、レイコちゃんの死神は、もうめちゃくちゃ人間臭さがあり、

ギャツビーでもありトート閣下でもありファウスト博士でもあり、そしてエリックでもあり、人間になって愛を学ぶ様になんどウルッときたことか!

死神がご都合主義じゃなくて、人間がいかにご都合主義で生きているかを知らしめす役割を担った役でもあったので、ニコライの葛藤がリアルに伝わってきた。

特に2幕目での力強い歌声がめちゃくちゃ心に響いてくる。ギャツビーの時もそうだったし、ピガール狂騒曲もそうだったけど、レイコちゃんの力強い歌声が圧巻!


1幕目はコメディー要素が強く、2幕目はシリアスな展開とメリハリがあり、月組生の芸達者ぶりも堪能出来る作品になっています。

睡眠に襲われたのは私だけだと思うくらい客席は集中して観劇されていました。

実はマチソワで2回観させてもらいましたが、ソワレはめちゃくちゃ観客の反応が良くて笑い声も拍手も大きかった。

2幕目では、レイコちゃんのパジャマがはだける(下には次のシーンの仕込みあり)というハプニングがある中、堂々とお芝居をされていたのも頼もしかったし、

コーラスがマジ秀逸なのでこれからご覧になられる方はお楽しみに!





人魂を届けに

2023-06-18 20:14:00 | 舞台
とうとう、ニュータイプ前川氏は更にステージランクアップし、私の手が届かないところに行ってしまったのか…。


ということで、もうここでの公演はないと思っていた、久々のABCホールで観るイキウメを観てきました。

大きな劇団になったからもうABCホールでの小ホール上演はないと思っていたから個人的には嬉しかった!

ま、今作に限っては、客席数が多いサンケイブリーゼよりもABCホールで正解だったかもね。

ただ、いつものイキウメ作品とはテイストが異なっていて、まるで実験的な作風になっていたと感じた。

ハッキリ書くと、言葉がほとんど降りてこないくらいよく分からなかった。

いつもは、前川氏が紡ぐ台詞の言葉や哲学的メッセージに納得して頷きまくる頷きオッサンになっているんだけども、今回ばかりはぼう然と観ている時間の方が長かった。

前川氏は私の手が届かないところに行ってしまったのかと思うほど、置いてけぼり感を食らった感じ。


ま、それはさておき、

よく分からなかった…ということを前提に、感じたことを書くと、

刑務官の八雲と公安警察の陣以外は、生きているのか死でいるのかも分からない、バッググラウンドすら見えてこない、まるで誰かの魂のように浮遊し代弁する存在。

篠井英介さん演じる山鳥は、森に住む女主人。みんなからお母さんと呼ばれている。

本当にお母さんなのか?実はお父さんなのでは?いや、母親という魂が安らぐ場所という意味でのメタファー的存在なのか?

正直、よく分からない。

いずれにせよ、篠井英介さんのキャラクターを上手く使った役柄ではあったと思う。

ただ分かるのは、この森に来る人間は、魂に空洞があり、生命もしくは精神状態がギリギリで危ぶい人間ばかり。でも本人たちは、それを自覚していない。気づいたら森の住人になっていた。果たして本当に生きているか、実は死んでいるのかすら分からない。

そして、この森から街に戻った人間は、何某の犯罪を起している。それを確かめに公安警察の陣が訪ねてきたが、陣自身もこの森の住人と化している。陣はまだそのことに気づいてない様子。

そして、ストーリーの流れとしては、刑務官の八雲のエピソードの方が陣よりも先なんだが、

八雲は、死刑執行した時に身体から落ちてきた魂と思われる塊を母親に返しに森にやってきた。

本当にそれが魂の塊なのか最後まで分からないが、声が聞こえてくる。

魂だから口あるわけじゃなく、感じることでしか伝わってこない。だから聞こえない人には聞こえてこない。

母親の山鳥には息子の魂の声は聞こえない様子。

そして、八雲もまた森に呼ばれた人間でもあった。

この森にくる人間は、街での生活では、妻や子と別れたり、何某の理由で孤独で淋しい、魂の一部が空洞になった者たち。

ある時は、八雲の妻であったり息子であったり、はたまた別の息子であったり、いずれにしても魂が置いてけぼりになった者たちを代弁する者として存在している。

代弁をしているのか、実は本人なのか、はたまた回想シーンの役割を担っているだけなのか、ハッキリとは分からない。

ただ、彼らが街に戻ると犯罪を冒す。

山鳥は、子供たちをテロリスト集団にしようとしているのか?それを突き止めるために公安警察の陣が来たわけだが、どう見てもテロリスト集団を養成しているようには見えない。ただの淋しい人たち。

今だから書くけども、

これは、私の経験と別の方の経験談だが、前川氏の別の作品(「関数ドミノ」とかそれに近い)でも取り上げられていたけど、精神を病んでいる時は、魂の半分が違う土地に飛んでいってることがある。実際には、その土地に行ってないはずなのに、○○に行ってたよね?と言われることがある。きっと魂が浮遊していた可能性がある。

この作品に置き換えるならば、魂だけこの森にきて、肉体だけ街に留まっている可能性がある。がらんどうの肉体は、もはや何をしでかすか分からない、と解釈できる。


昨今の若者による銃乱射事件に代表されるように、銃乱射事件といえばアメリカだったが、今ではアメリカだけの問題ではなく日本でも同じように、爆弾を作ったり銃乱射(発砲)事件が頻発している。

原因の一つとして、親子関係や人間関係の希薄さ、過度な教育指導などによる逆恨みがほとんど。

普通の精神状態だったら考えが及びつかないようなことを平気で、または病的に行ってしまう精神状態。まるで悪魔に魂を売ったかのような行動。

自殺もしかり、普通の精神状態だったら恐怖が先行して躊躇するもの。だが、平常心を保てない精神状態だから何をしでかすか分からない。

彼らは本当に間違ったことをしているのか?

法律上では確かに犯罪。でも、魂レベルで考えたら間違っていないのかもしれない。

そもそも、魂が半分空っぽになる精神状態を作り出す原因は本人だけの問題なのか?その家族だけに問題があるのか?彼らを取り巻く社会や環境には問題はないのか?

年々、鬱病・躁鬱病患者数が急増している。ただでなくても少子化だというのに、鬱病・躁鬱病患者の急増、認知症高齢者や若年性認知症の患者も増えてきている。高齢者数が増えているのに、このまま普通に働けない人たちが増えたら日本社会はどうなる?

っていうか、日本って本当に治安がいいのか?ニュースになっていないだけで、奇行行動を普通に動画に上げたり、煽り運転もしかり変な人多くないか?

春になったらおかしな人間が増えるっていうが、春だけか?

私の生活環境でも外国人がめちゃくちゃ増えてきているが、日本の治安の悪さは外国人のせいか?外国人のせいにしているだけじゃないのか?都合よく外国人を利用していないか?

今の日本、本当におかしいよ。

自殺者数も、先進国では日本が圧倒的にトップ。世界でみたら、日本より韓国の方が自殺率は高い。

舞台では、死刑制度にも言及されていましたが、たまたまhuluで長澤まさみさん主演の「エルピス」を一気見したときも、日本の死刑執行日は決められていない、突然決まると言ってましたが、それくらい日本の死刑制度も不可解なことだらけ。死刑囚が特赦されたこともあったしね。

そういう意味では、「エルピス」は開けてはならないパンドラの箱を開けた画期的な作品ではあったが、私からしたら世論の反応を覗った作品だと思ったよ。リアルにマスコミと政治家の癒着を描いているのにだれも現実視してないもんね。そりゃ、いつまでも政治家の思い通りになるよ。

今作は、前川氏による社会常識へメスを入れた作風だったとも解釈できるので、今までの作品とは大きく異なる点はここかと思う。

今までが世にも奇妙な物語だったら、今回は社会風刺的作品ということになるかな。

実際は、前川氏じゃないので分からんけど…。

今回ばかりは、1回の観劇では分かり辛い作品でしたね。

というか、今年は、映画も舞台も説明が足りない、観客の想像に任せるといった感じの作品が多いね。

たまたまそういった作品を観る傾向が強かっただけなのか…。

知らんけど…。

(笑)

だが、情熱はある

2023-06-13 00:07:00 | ドラマ
TVerで第10話だけ観ましたが、

めちゃくちゃ面白いやん!

主演2人、南海キャンディーズの山ちゃん役の森本慎太郎君とオードリーの若林君役の高橋海人君の表現力と演技力がめちゃくちゃ高くて、クォリティー高過ぎ!!

本人が登場していると錯覚してしまうくらいめちゃくちゃリアルだった!

いやいやいやいやいやいや、

2人ともジャニーズで、まだ25歳とは思えないくらい演技力が確かで、

まじ恐るべしジャニーズやな!

ぶっちゃけさ、ジャニーズが主演の学園モノの予告編を観ると、確かにイケメンだが…、

大大大失礼なことを書くと、客寄せパンダ的な…とついつい思ってしまうが、

こういう演技力が試される作品を観ると、

やっぱジャニーズは努力の天才やな!

と賛辞したくなる。

っていうか、この役に2人を起用した経緯が知りたくなったよ。

元々モノマネをしているとこを誰かに見初められての起用なのか、キャスティングされてから役作りに励んだのか、

とても、本来歌ったり踊ったりすることがメイン活動のアイドルの所業とは思えないくらいクォリティーが高すぎ!

外見や喋り方だけでなく、まじ本家だろ!?と言いたくなるくらい役の気持ちがリアルに伝わってきて、フィクションドラマを観ているのか再現ドラマを観ているのか分からなくなるくらい世界観に引きずり込まれた。

第10話だけしか観てないのに、2人の生き様、悩みや葛藤、周りの愛情にめちゃ泣ける!

もし、このドラマが実話なら脚本家も上手い!フィクションでも上手い!

森本君と高橋君だけでなく、オードリーの春日君役の戸塚純貴君も、南海キャンディーズのシズちゃん役の富田望生さんの表現力もめちゃくちゃ高くでリアルだった。

ゆとり教育に疑問を持ち、ゆとり教育するなら、ゆとり教育を知らない社会人にもゆとり教育を施して社会全体をゆとり社会にしろよ!と思っているオッサンの私に言わせると、

私の時代では考えられないくらい今の若者たちの演技力の高さに、

ゆとり教育もまんざら捨てたもんじゃないな!

と認めざるをえない。

ゆとり教育=甘やかしと思っていたが、ゆとりがあるから好きなことに没頭できるとも言える。

子役から若者まで演技力がまじ半端ない!

役作りだけでなく作品自体も面白く、

観るのがホント遅すぎたと絶賛後悔中。

あとで第3話も観ましたが(TVerでは第1話から第3話&最新まで視聴可)、

第4話から第9話までが観たいよ!


追記:あまりにも第4話から第9話はまで観たくなりhuluで観ました。

やっぱりめちゃくちゃ良かった!そして、やはり、泣ける。

You Tubeで沢山情報を仕入れましたが、実話をベースに書かれた脚本だけあり、芸人さんの物語だけど、山ちゃんも若林君の嫉妬や妬み、喜びや葛藤がめちゃくちゃリアルで全く他人事とは思えなかった。

ラジオで若林君が自分の過去(当時)を思い出すから辛い、あの9年間があるから今があるとは思いたくないと仰ってましたが、その気持ちも共感できるくらいリアルなものがあった。

まだ若林君は、仲間に恵まれているから幸せだと思った。ぶっちゃけ、春日君が存在するだけで無敵です。良いことも悪いことも全部吸収してくれる人、私は会ったことない!

なんでも共感してくれる人、思い通りに動いてくれる人が親友とは限らない。共感って、共感している本人が相手の分も苦しんだり喜んだりしてるわけだから、自分の感情にプラスアルファされて、辛い時は、更に気持ちが重たくなるんよね。だから、共感してもらってる相方も逆に共感してあげないと2人のバランス関係が崩れることが大いに起こりうる。

でも、春日君の場合は、共感じゃなくて吸収だから、悪い言い方だけど掃除機みたいな人なんだよ。若林君の思いを全て吸収して、勝手に消化してくれる。ある意味楽だけどある面跳ね返ってこないから虚しい面もあるが、人間としては裏切りという行為がないから本当に有り難い人。

結局のところ、人間の付き合いは、信頼関係なんですよ。

若林君と春日君には絶大なる信頼関係がある。逆にその悪い例が山ちゃんだったわけだけど(昔の山ちゃんね)。

山ちゃんはコンプレックスの塊だけど努力の天才であることは間違いない。研究熱心。そりゃ若い頃は自己中だったかもしれないけど、好きな宝塚の話をしている時の山ちゃんは相手に対するリスペクトが半端ない。私の方が宝塚ファン歴長いが、山ちゃんほどの愛はない。

山ちゃんの方が宝塚愛でいっぱい。私の場合は、ファン歴じゃなくて観劇歴と言った方が正しい。

今の山ちゃんは、蒼井優ちゃんと結婚して180°人生観が変わったんじゃない??というくらいバラエティ番組を観ていても人間として凄く尊敬する。

そして、シズちゃん役の富田望生ちゃんの経歴をウィキペディアで調べたら、

なんと!

「ソロモンの偽証」の松子ちゃん役の子だった!

そりゃ天才だわ!

テレビだけでなく舞台でも活躍してほしいと思った。




怪物 二回目

2023-06-10 01:44:21 | 映画
昨日家に帰ってから、映画を観られた方のレビューを動画やブログで見たり読んだりしたら、もう一度観たくなり、宿題が早く終わったのでレイトショーで観てきました。

ラストは、生きているのか死んでいるのか、考察すればするほど、レビューを書かれた方の意見に同意したり疑問に思ったり…

って以上にキュンキュン病が治まらないのでもう一度観てきたわけですが、

二回目はやはり、子供目線でしか観れなかった。

怪物ってさ、噂を発信したり、表面でしか判断出来ない人だけでなく、無意識に傷つけてしまう人々こそ怪物たと思ってしまった。もちろん、その中には私も含まれますが…。

子役達の演技が本当にリアルすぎて、特に湊役の子役の演技がリアル過ぎて、再度キュンキュンしまくったよ。

てっきり、湊君の恋心にキュンキュンしているんだと思っていたら、私自身の一桁代や10代の初恋であったり恋心にキュンキュンしていることに気付いたよ(笑)

自殺願望が強かったはずなのに、完全に片思いだったけども、意外とたくさん恋心を抱いていたことにビックリしたね。さすがにここでは恥ずかし過ぎて、というか、恋愛エピソードが次から次から蘇ってきて、湊君のエピソードと重ね合わせながら、まじアホみたいに過去の自分の恋愛事情にキュンキュンしまくってたよ。(笑)

今はもうあんなピュアな恋愛は出来ないけど、それなりに楽しんでいた自分を思いだしたよ。

じゃないと、今も生きてないわな。

それくらい湊役の男の子の演技が素晴らしかった証拠。


依里君に関しては、私にしたら年齢の割には達観しすぎていて、というかマセていて逆に不自然に見えてしまったけど、

ここはやはり湊君の心の葛藤に重きを置いた脚本だと思ったので、めちゃくちゃ湊君に感情移入してしまった。


ラストは、色々考察されていますが、

てっきり台風のシーンで泣くかと思いきや、

二回観てもやはり生きてるに違いないという希望の方が勝ったよ。

もちろん、時間経過的に疑問に思うことはあるが、台風一過の清々しい太陽の光、生い茂った緑、立ち入り禁止だった旧鉄道の開放的空間…、

時系列的に矛盾点があるとは思うが、私自身も清々しい気持ちになれた。

ぶっちゃけね、私が坂元裕二さんだったら、死んだことないのに、“生まれ変わったのかな?” なんて台詞言わせない。

私は、坂元脚本作は太賀くんが出ていた「初恋の悪魔」しか観たことないけど、死んで幽霊になってハッピーなんて単純なオチは選ばない。

あのドラマに関しては、林遣都君の役の切ないラストにキュンキュンしまくったから、坂元さんは恋愛の現実をご存知だからあのラストにしたと思うんですよ。

何が言いたいかと言うと、知らないことや分からないこと、経験したことがないことを文字に起こせない方だと推察するわけです。

だから、あの(映画)ラストは、坂元さん自身も生への希望の気持ちを込めたと解釈しました。

実際は、坂元さんに聞いたわけじゃないから、知らんけど…(笑)

あ、そうか、坂元さんじゃなくて是枝監督の意思かもしれんな…。

いずれにせよ、

確かに電車は横転していた。でもさ、これは私の勝手な解釈だけど、扉開けたら別の地下道への抜け道だったわけやん(多分ね)。

死んだならわざわざ扉を開ける必要あるか?幽霊なら通り抜けられるだろ?

とても死んでるとは思えなかった。

この作品は湊の成長物語だと思っているから、彼はやっと自分の気持ちに正直に行動したのがあの風呂場でのシーンだと思うんよね。

明日からの湊は、自分に嘘を付かず生きていけるように生まれ変わったと解釈。

私が坂元さんだったら、死んで生まれ変わったんじゃなく、勇気を持つことで過去の自分とおさらばしたという気持ちを込めたと思うね。

そう、死んで生まれ変わろうなんて、未来ある子どもが考えたらダメなんだよ。大人が考えさせたらダメなんだよ。

困難に立ち向かうからこそ、湊が望む幸せを掴むことが出来るんだよ。いや、掴むべきなんだよ。

田中裕子さんの校長先生に歯向かうわけじゃないけど、簡単に掴める幸せは簡単に消える。っていうか、すぐに次の幸せを求めてしまう。

苦労して得た幸せは一生モノ!

そう、恋愛というのはそういう力があるねん。

死んだらホンマ意味ない。

人を好きになって得る悩みなんて、私からしたら幸せな悩みだよ!



二回観て、巧みに伏線が敷かれていてカメラワークだけでなく編集も素晴らしかった!

確かに、あそこで飴を舐めるはやり過ぎだったけど、子供エピソードで全て帳消しになったよ。

悲しい気持ちになると思いきや、昨日と同じように清々しい気持ちになれて本当に良かった!


ネタバレしまくってますが、淡い初恋経験がある方は是非ともご覧下さい。